ヽ( ̄д ̄;)ノ=3=3=3
はい、今回は思いつきの話なので構成的になんかアレです。今が休みの人もそうでない人も、ゆっくりしていってね〜
今は昔、とある雪の降る山道には一尊の地蔵があった
山には妖怪が多く生息しているにもかかわらず、その被害を受けていない事から、近隣の村からは守神として崇められていた
しかし時代と共に村は寂れ、次第に村人は減退。
終いには積雪により半分ほど埋もれた地蔵だけが残った。
身につけている雨風や雪を凌ぐための笠も傷み、所々裂けてしまっている
「ありゃー、この地蔵随分ボロボロだな。こんな山ん中に置かれてたんじゃ無理ねーけど」
吹雪の中、これと言って防寒着の類いを纏っていない男は、唯一身につけている笠の先を持ち上げて呟いた
「……」
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「これでよし」
雪山より少し離れた場所に位置する集落近くに着くや否や、背負っていた地蔵を降ろした男は、一人でやり遂げた感を出しながら自身の被っていた笠とボロボロの笠を取り替えた
「そんじゃな。礼って訳じゃねーけど、俺が死んだ時は地獄の閻魔への口利き頼むわ」
「待ちなさい」
「!?」
その場を立ち去ろうとした男は、突然掛かった声に振り返った。
しかし周りには誰もおらず、あるのは今し方自分が持ってきた地蔵だけだった
「……誰だ?」
警戒しつつ周囲の気配を探るも、特に当たりは無い
「此方です」
「へっ?」
ーーー声は地蔵からだった
「えーと……今喋ったのお前か?」
「はい」
(……あれかな?さっき山で食ったキノコに幻聴作用でもあったのか?いやでも俺毒は効かねー筈だし)
「ああ、姿を見せていませんでしたね。……これでどうでしょう?」
一人頭を悩ませる男に、声の主が納得した後、地蔵を淡い光が包んだ
片側だけ長い緑髪に、白装束。
パッと見の特徴を挙げるならば、そんな感じの少女が地蔵から具現した
「なっ!?お、お前……!」
「人間の貴方が驚くのは無理もありません。私の名はーーー」
「その髪型、床屋で失敗したのか…!?」
「………………」
薄っすらと笑いを堪えながらそう言った男を前に、少女はその表情に影を映しながらこう言った
「先程の閻魔様への発言然り、貴方は少々物事を軽視する傾向にあるようですね。自己紹介の前にお説教といきましょう」
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「……以上で話を終わります」
「…………おいどうなってんだよ。さっきまで『ちょっと早いけど朝飯食うか〜』って時間帯だったのにもう昼だよ。これじゃあ『ちょっと遅いけど昼飯食うか……』になっちまうだろーが」
ブツブツと独り言を垂れる男はすっかり真上にまで移動した太陽を仰ぎながら呆然としていた
「申し遅れましたね。私は四季 映姫と言います。貴方は?」
「…………柊 隼斗だ」
既に目が死んでいる隼斗は、若干項垂れ気味に返した
「では柊隼斗。貴方には礼を言わなければなりませんね。……ありがとうございました」
「気にすんな。……説教の方が倍疲れたから」
「あのまま彼処に放置されたままだったら私という存在は消え、唯の置物と化していたでしょう」
「あ?人間が作ったもんだし元々そうなんじゃねーの?」
「いいえ、地蔵に限らず信仰等が集まれば私のように神格化する物もあります。存在が消えると言うのもそれに付随して」
「…じゃあつまり『映ちゃん』は神って事か?」
「そうなりますね…………ちょっと待ってください。サラッと言ったんで流しそうでしたけど、『映ちゃん』って何ですか?」
「何って、愛称…的な?」
「いやだから仮にも神に大して軽率な言動は控えなさいとさっき言ったばかりでしょう!!私ならまだしも、万が一他の神々に同じ事を言ったら大変な事になるんですよ!?」
「大丈夫だって。実際友達で二人いるから、神が」
「は、はあ?」
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「さて、そろそろ行くわ。気が向いたら菓子でも持って来てやるよ。団子好きか?」
「………好き、ですけど」
「そっか。じゃあ楽しみにしてな」
少女の頭をポンポンと叩いた隼斗は村の方へと消えていった
「……柊 隼斗」
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「四季様ー、お茶とお団子を用意したので一息入れてはどうですかー?」
「ありがとう小町。キリがついたらいただきます」
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「そういえば四季様、前から気になってたんですけど、部屋に飾ってある笠って四季様が被るにしては少し大きくありません?」
「ああ、あれは……」
ーーー『友人からの貰い物です』