東方万能録   作:オムライス_

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お待たせ致しました。
93話の投稿です


93話 守矢の神々

 

 

「中に神力が一つ、湖の方にも一つ…か」

 

隼斗は守矢神社本殿を前にして立ち止まり、内部の神力を探った

 

(……強ェな。少なくともそんじょそこらの神じゃ比較にならねェ程の力だ)

 

再び歩き出した隼斗は、特に警戒するでもなく堂々と近づいて行く

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「なあ、なにも『お互いを知らねェ訳じゃ無ェ』んだ。顔くらい見せたらどうだ、『諏訪子』」

 

 

 

『ありゃ、やっぱりバレてた』

 

 

 

幼げな声が響き、目の前の空間が揺らぐと、具現化するかの様にヘンテコな帽子を被った少女が現れた

 

 

「此処にやって来た新しい住人ってのが、まさかお前達とはな」

 

「私もこうして再会するとは思わなかったよ。よく私らの正体がわかったね」

 

「んなもん神力を感じ取った時から気付いてたよ。……尤も、此処の名前が守矢神社だって聞いた時もある程度の当たりは付けてたけどな」

 

「そっかそっか。……それで?久しぶりに会った友人に言う言葉はそれだけなのかな?」

 

「そりゃあ偶然再会したとかなら話も弾むだろうな。だが、生憎と今回は博麗神社の使者として来てるんでな。そっちを片付けてからだったら幾らでも話してやるよ」

 

「うー、隼斗……今回は仕方ないんだよ。外での信仰が激減した今、私達が新たに信仰を集めるには幻想郷しかない」

 

「だからって博麗神社に地上げ屋紛いな要求持ち掛けたり、この山を支配するってのはやり過ぎじゃねーのか?住人から侵略者呼ばわりされても文句言えねーぞ」

 

「たははー、それを言われちゃうとね……」

 

 

 

 

見た目相応のあどけない表情を見せた諏訪子は、帽子の鍔を持ち上げて空を見上げた

 

「……空は外の世界と変わらない。不思議な所だね此処は」

 

「……まっ、幻想郷だからな」

 

同じく空を見上げた隼斗は、ある気配を感じ取り視線を元に戻した

 

 

 

 

「来たか、神奈子」

 

 

「!……やっぱり隼斗だったのね」

 

 

疾風と共に現れたのは、嘗て大和の国に軍神として座していた神、『八坂 神奈子』だった

 

 

神奈子が到着した事を確認した隼斗は、自身が垂れ流していた霊力を引っ込めた

 

 

 

「久しぶりね、隼斗。少し老けたかしら?」

 

「ああ、最後に会ったのは幻想郷が出来る前だったか………歳のせいか百年単位になると記憶が曖昧になっていけねーや」

 

「ふっ、積もる話もあるし、中でゆっくり話したいところだけど……」

 

そう言いつつ隣の小さな土地神に目をやると、少女は困ったように苦笑を浮かべた

 

 

 

「……どうやら、先に別の話をつけなきゃいけないみたいだね」

 

 

「互いの為にもな」

 

 

三人は中へと消えていった

 

 

 

 

 

ーーー

 

 

 

 

「……まさか隼斗が博麗の関係者とはね」

 

「別に直接の関係者じゃねーけどな。一応初代から世話焼いてきたからよ」

 

「あはは、世話焼きなところは変わってないんだね」

 

「今回に至ってはお前らが原因だけどな」

 

茶を啜りながら不満を垂れる隼斗へ、いつの間にか戻って来ていた早苗が御茶請けを並べながら質問する

 

「でもびっくりしました。隼斗さんが神奈子様と諏訪子様のお知り合いだったなんて。あの、昔のお二人はどんな感じだったんですか?」

 

「ちょ、ちょっと早苗……」

 

「あー……そうだな。取り敢えず喧嘩が多いのなんのって、毎回俺に飛び火してたっけか。酷え時なんか頭から味噌汁被った時もあったぜ?」

 

「み、味噌汁……?」

 

「い、今はそんなだよ!昔ほど喧嘩してないと思う……多分恐らくきっと」

 

「………そう言えば昨日沢庵漬けの取り合いで喧嘩してませんでしたか?」

 

「こ、こらっ早苗……!」

 

〜〜

 

昨晩

 

「ぐぐぐっ…!神奈子、此処は私に譲りなよ」

 

「ぎぎぎっ…!ふん…軍神として、一度取ると決めた勝負は引くわけにはいかないわね…!」

 

 

 

「お二人共、沢庵でしたら追加で切りますから………箸で取り合わないで下さい」

 

 

 

「もう歳でしょ?塩分控えたら?」

 

「アンタも大差無いでしょうが!」

 

 

 

〜〜

 

 

「……って事が」

 

「ガキかお前ら」

 

「諏訪子は見た目もだけどね」

 

「なんだとぅ!?」

 

 

 

 

「言ったそばからおっ始めてんじゃねーよ」

 

 

二人の脳天に昔懐かしき拳骨が落とされた

 

 

「「ふぎゃっ!?」」

 

 

 

 

 

 

……閑話休題

 

 

 

「分社を建てる?」

 

「そっ。これならお互いに損は無い筈でしょう?」

 

 

 

神奈子等が持ち掛けた提案。

 

博麗神社への譲渡要求を取り下げ、代わりに博麗神社へ守矢神社の分社を建てるのはどうか、という内容であった

 

「まあ、それについては俺から口出し出来ねーし、後日ウチの巫女と直接対談でもして決めてくれ」

 

「ありゃ、案外あっさりだね」

 

「平和的に解決出来るなら俺は御役御免だよ。それに帰って昼寝してーんだ。最近叩き起こされる事が多くてな」

 

 

欠伸をしながら立ち上がった隼斗は、襖に手を掛けながら一言、「またな」と言い残し部屋を後にした

 

 

 

 

 

「『またな』か……ホントに変わらないね、隼斗は」

 

 

「そう?昔は今程ダレてなかったと思うけど……」

 

 

「ははっ、案外歳なのかもね。……さて」

 

 

 

神奈子は庭に出ると、後の二人もそれに続いた

 

「今度はもうちょっとフランクに信仰を広めてみようかしらね。手始めに天狗のところにでも繰り出すか」

 

 

 

 

 

ーーー後に天魔との会談を行った守矢一行は、その末に和解。幻想郷に君臨する神の一柱として受け入れられた

 

 

 




風神録解決に関する内容をもうちょっと詳しく書きたかったんですが、本音言うと主の脳内容量では神社・分社だの何だの制度がイマイチ理解出来ず簡易的な内容になってしまった感がありますが、何はともあれ異変解決です。お粗末っ!!


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