東方万能録   作:オムライス_

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風神録が終わり、物語は次いで緋想天へ……

舞台は夏場の幻想郷。そこで起こる数々の異常気象…!

そして博麗神社に被害が!?

東方万能録94話 この後すぐ!!


94話 異常気象〜博麗神社倒壊〜

「最近晴れ続きでまいっちゃうわ。この暑い季節に……」

 

 

季節は夏。

博麗神社にて、庭の掃除をする紅白巫女はぶつくさと文句を垂れる。

彼女の頭上には雲一つなく、正しく快晴であった

 

「おう、霊夢。…なんかテンション低いな。どした?」

 

「隼斗……ハァ、別に大した事じゃないわ。唯『良い天気』過ぎてウンザリしてるだけ」

 

「?……なんだよ吸血鬼みてーな事言って。別に特別日差しが強え訳でもあるまいし。ほれ、雲だってちゃんて流れてんだろ」

 

「はあ?何言ってんのよ。今日は朝から雲一つn……あら?」

 

霊夢が空を見上げると、適度に流れる雲と青空が広がっていた

 

「おかしいわね……普通の天気になってる」

 

「いやいや、さっきからずっとこんな感じだったろ」

 

「いいえ、確かに貴方が来る前は雲一つ無かったわ。日差しだってもっと照りつけるような感じだったし、それが異常な程長く続いてるのよ」

 

「あー、日差しの暑い暑くないは兎も角、俺の家と此処はそんなに離れてねーから、そこまで変化はねー筈だけどな」

 

「……まあ、土砂降りの雨が続くよりマシだけどね。ところで今日はどうしたの?」

 

「ん?ああ、今日人里まで足を運んだんでな。偶にはと思って差し入れ持って来たんだ」

 

隼斗は手に持っていた包みを霊夢へと手渡した。丸印に『甘』の文字、長年隼斗が通っている人里でも有名な老舗の甘味処だった

 

「えっ、いいの?」

 

「おう食え食え。お前チビの時から好きだったろ。彼処の饅頭」

 

「ありがと♪良かったら上がって行ってよ。すぐお茶淹れるから」

 

 

 

パタパタと室内へと駆けていく霊夢を見て、隼斗は微笑ましく呟いた

 

 

「……途端に上機嫌になりやがって。わっかりやすいなぁ、アイツも」

 

 

 

 

 

ーーー

 

 

 

 

博麗神社を後にした隼斗は、自宅のある魔法の森を歩いていた。

そしてつい先程霊夢の言っていた『異常な天気』について思い出していた

 

「アレは……雹か?」

 

そのキッカケとなったのが、少し離れた場所で降り続けている雹。

季節的に可笑しくないとは言え、自身の頭上には青空が広がっている。

 

……にも関わらずあの一点にだけ降り注ぐ雹に不信感を覚えた隼斗は、その場所に急行した

 

 

(アリスん家か。なんで此処ら一体だけ雹が降ってんだ?)

 

辿り着いた場所は、魔法の森の住人『アリス・マーガトロイド』の住む家。

隼斗は一先ず話を聞こうとドアをノックした

 

「はーい、何方?って隼斗じゃない。どうかしたの?」

 

「いや、どうかしたの?って、屋根の上見てみろよ。今頃天井がギシギシ言ってんじゃねーか?」

 

指差した先を見ると、屋根の窪みに溜まった雹が溢れている状態だった

 

「はぁ、これで何度目かしら。朝から嫌になるわね」

 

「ちょっと待った。朝から?朝は普通に晴れてたろ」

 

「何言ってるの、朝どころか此処最近ずっとこんな調子じゃない……ってあら?急に止んだわね」

 

アリスの言葉に隼斗も気がついた。先程まで喧しい音を立てながら降っていた雹が止み、天候が落ち着いてきていた

 

「どうなってんだ?」

 

「ホントに貴方が来るまでは降っていたのよ?」

 

「いや、それはわかってるよ。だからこそ気になってアリスん家を訪ねたんだから。可笑しな天気だなー」

 

「……そういえば魔理沙が言ってたわね。最近異様に雨が多いって。突然の雹と言い、何か異常が起きてるんじゃないかしら」

 

「……異変って事か?」

 

「そこまではわからないけど……でも一度調べた方が良いんじゃない?」

 

「そうだな……明日もっかい霊夢のトコ行ってみるか」

 

別れの挨拶を交わし、再び自宅へと進路を戻した隼斗が去った後、アリスは空を見上げて溜息を吐いた

 

「また雹……はぁ、どうなってるのよ一体」

 

 

 

 

 

「あん?ヤケに風が出てきたな。それにパラパラと雨が混じってやがる」

 

 

 

 

「そうなんですよ。此処最近風雨に見舞われて飛びにくいったらありゃしない」

 

ナチュラルに独り言へ乱入した幻想郷の新聞記者である射命丸 文は、翼に付いた水滴を払いながら答えた

 

「突然現れんなよ。どうした急に」

 

「どうしたも何も、記者としてネタは無いか飛び回ってたところです!」

 

「要はいつも通りって事な。悪ぃけど雨降ってるから帰るわ」

 

歩みを進めようとした隼斗の眼前に文が回り込み、ある情報を口にする

 

「それなんですよ!此処最近各地で異常気象が発生してるみたいで、聞くところによると雪まで降っているようですよ」

 

「雪ー?この真夏にか?……それがホントなら確かに『異常』だな」

 

異常即ち異変。いよいよその線が濃くなってきた現状に、隼斗は思考を凝らした

 

「つっても心当たりなんて無ぇしなー。現に今日までその事に気がつかなかったわけだし」

 

「気がつかない?そんな筈ありませんよ。現に今も………あや?」

 

 

 

「…………晴れてるな」

 

 

風は止み、雨音も消え、雲の切れ間からは日の光が差し込んでいた

 

 

 

 

ーーー

 

 

隼斗が異常気象を認めてから翌日の事。

ここ最近各地で起こっている異常気象を『異変』として調べる事にした隼斗は、霊夢のいる博麗神社へと向かっていた

 

 

 

(……霊夢のトコでは快晴、アリスは雹。魔理沙が霧雨で、文が風雨か。まあこれが異変だとするなら何かしらの関連性があるんだろうが………何で俺には起きてねーんだ?)

 

 

試しに空を見上げるも、特別日差しが強いと言うわけでもなく、雨が降っている訳でもない。適度に雲が流れ、時折心地いい風が吹く普通の天気だった

 

「はぁ、サッパリだな」

 

 

頭を掻きながら石階段を上がり、博麗神社の入り口に立った

 

 

 

 

 

「……は?」

 

 

 

隼斗は目の前の光景に呆然とした

 

 

 

「…う、嘘だろ……?」

 

 

 

思わず駆け寄った隼斗の目線の高さにあるのは、博麗神社本殿の『屋根』

 

 

 

ーーー博麗神社は見るも無残に倒壊していた

 

 




はい、冒頭から気合い入れたつもりですが、肝心なところで次回に続きます。


そして次回投稿なんですが………
仕事で他県に出張するため、投稿日が一週間飛んで9月6日頃になりそうなんですT^T
出来る限り合間に書くつもりではいますが、どうかご了承下さい

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