東方万能録   作:オムライス_

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今回は題名通り、異変解決を目指して隼斗と霊夢が動きます。では95話です↓



95話 天界へ

倒壊した博麗神社を前に隼斗は状況が飲み込めずにいた

 

境内で爆発でも起きたか?はたまた何処かから砲撃でも受けたか?それとも隕石が降ってきたか?

 

いくら考えても現場を見ただけではその程度の憶測しか浮かばない

 

(爆発だろうがなんだろうが、そんなモンが起きれば流石に気付くはずだ。だが今朝からそんな感じは無かった………って霊夢!アイツはどうなった!?)

 

ハッと我に返った隼斗は周囲を見渡し気配を探った

 

 

 

 

 

「霊夢ならここよ」

 

突然の声と共に開いたスキマ。

中から現れた紫は、傍にいた霊夢と一緒にスキマから地上に降り立った

 

「紫…?っと霊夢!お前無事だったのか!?」

 

「え、ええ…何とか。神社が潰れる前に紫がスキマを開いてくれたから」

 

「潰れる……って何があったんだ?」

 

「……地震よ。しかもかなり大規模なね」

 

「地震?……朝からそんなもんは感じなかったぞ?」

 

「そうでしょうね。地震が起きたのは博麗神社の建つこの場所だけだもの」

 

崩れた神社を一見しながら紫はそう答えた。

よくよく辺りを見渡せば建築物が倒壊する程の地震があったにしては被害が小さいように見える

 

「仮にそうだとして、地震ってのはそんなピンポイントで起きるもんなのか?」

 

「自然現象では考えにくいわ。……『誰かが故意に行なったのなら』話は別だけど」

 

 

 

各地で相次ぐ異常気象、意図的に起こされた地震、博麗神社の倒壊

 

これだけ条件が揃えば異変として博麗の巫女が動き出すには十分だった

 

 

 

「何処の何奴か知らないけどこのままじゃ済まさないわ!何がなんでも見つけ出してとっちめてやる!!」

 

「霊夢にしては珍しくやる気ね」

 

「そして!再建築費用を踏んだ食ってやるわ!!迷惑料込みで三倍よ!!」

 

「おっ、いつもの霊夢だ」

 

うっすらと背後に般若を浮かべ、全身に殺気を漲らせる霊夢を見て紫と隼斗は顔を見合わせる

 

 

「……お願い出来る?」

 

「……しゃーねーな」

 

 

 

互いに一言交わし隼斗は霊夢の横に並んだ

 

 

 

「……何よ?言っとくけど異変の主犯は私がシバくからね!」

 

「心配すんな、流石に今回は自重する。まあ露払い程度に考えてお供させてくれ」

 

霊夢はそれ以上何も言わず一度だけ頷くと、一気に飛翔した。

後に続こうとする隼斗へ紫が助言する

 

 

「妖怪の山の頂上に緋色の霧が集まっているらしいわ。怪しいとするならそこじゃないかしら」

 

「どーも」

 

 

隼斗は上空に向けて跳躍した

 

 

 

 

 

ーーー

 

 

「ねえ、いつも疑問に思ってたんだけど」

 

「?…なんだよ改まって」

 

妖怪の山へ向け空を駆ける隼斗と霊夢。

自身と並走して空中を走る隼斗を見て、霊夢はとある疑問を投げ掛けた

 

 

「何でいつも飛ばずに走ってるの?」

 

「飛べねーからだ」

 

「……はあ?冗談でしょ?」

 

「俺からしてみりゃ空飛べる方が不思議でしょうがねーよ。一体全体どう言う力が働いて飛んでんの?」

 

「どうって……私は能力で飛べるし、魔理沙とか咲夜は魔法とか使ってるんじゃない?」

 

「……いつの間にか妹紅も飛べるようになってるしよー。もしかして幻想郷で飛べねー人間って俺だけなんじゃね?まあ別に支障が出てる訳じゃねーし良いんだけどさ」

 

「ふーん。逆に私は霊力で足場を作る技術の方が難しいと思うけどね」

 

「そうか?もう慣れちまったよ」

 

 

 

雑談もそこそこに、前方に妖怪の山が見え始めた。

その頂上、正確に言うならば上空に緋色の霧が集結している

 

 

「紫が言ってたのはアレの事か。もうちょい近づいて…………なんか風が強くなってきたな」

 

「雨も降ってきたわね。はぁ、傘持って来てないんだけど……」

 

 

近づくにつれて段々と悪くなる天候。

そして二人は霧の真下で止まった

 

付近を漂う黒雲の為か周囲は薄暗く、激しい突風が眼下の木々を揺らしている

 

 

 

「……此処だけまるで台風だな。余計な被害を被る前にさっさと抜けちまおう」

 

 

風が吹き荒れる中、黒雲へと突っ込む二人。

確証は無かったが、この先が怪しいと二人の勘が告げていた

 

視界の悪い雲内を進んで行く中、進行方向に一つの気配を感じとった隼斗は後続する霊夢を止めた

 

 

「…おや?こんな所に人間なんて珍しい」

 

 

雲の中を優雅に泳ぐソレは、二人の前に舞い降りた

 

 

「こんな天気の悪い中普通に泳いでるなんて……アンタ誰?」

 

「私は永江 衣玖。竜宮の使いとして幻想郷に起こるであろうある異変を伝えに参りました」

 

「異変だぁ?生憎と色々起こりすぎて今更な気がするけどな」

 

「今現在緋色の霧が空を覆っているでしょう?緋色の空は宏観現象の兆しとして近い内に震災に見舞われる事を示しています」

 

「震災ですって!?それならとっくに起きたわよ!お陰でウチの神社がペチャンコになったんだから!」

 

激しく憤慨する霊夢。しかしその言葉を聞いた衣玖は怪訝な顔をした

 

「……それは可笑しいですわねぇ。本来なら地震が収まれば緋色の空も元に戻る筈なんですが……………もしかしてあの方が?」

 

「……あの方?お前はこの異常気象、もとい地震起こした奴を知ってんのか?」

 

「はあ、この先の天界に住まわれていますが………恐らく貴方方を襲ったと言う地震は前震であり、この先更なる大規模な地震が起こるでしょう」

 

 

隼斗は思案した。

地震含め、自然災害なんてモノを自在に起こせるのだとしたらその者の気分次第で幻想郷は壊滅してしまう。

人一人の力とは違う。自然の力とは彼とてそうやすやすと抗えるモノではない

 

 

 

「……霊夢、先に行け」

 

 

隼斗は更に前へ出ると、霊夢に指示を出し竜宮の使いと対峙した

 

「約束通りメインはお前に譲ってやる。だが忘れるなよ。今回は幻想郷の危機かもしれねェんだ。……やるからには必ず解決して来い」

 

「……!」

 

顔すら向けることなく背中を向けたままそう告げると、一度息を呑んだ霊夢は黙って頷き先へと飛んだ

 

 

 

 

「……いいのですか?お一人で行かせても。これより先の天界にはそれなりの強者が数多くいらっしゃいますが」

 

 

 

 

「構わねェさ。アイツは俺の弟子だ」

 

 

 




【次回の投稿日について】
次回の投稿日につきましては、9月11日土曜日を予定してます。
当初の3日毎の投稿に中々戻れず申し訳ありません。なるべく早く書き上げますm(_ _)m


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