輪廻の檻 ―異世界で再会した幼馴染は、俺を知らない敵だった― 作:あすらりえる
レナートの死体の右腕を覆う蔦が、弧を描いて枝の上へ伸びた。
逃げ遅れたエルフの一人が悲鳴を上げ、足元に絡みついた蔦を振りほどこうとする。だが薔薇の蔦は締め上げを強め、その身体を引きずり始めた。
「離れなさい!」
カミラが鋼線を走らせた。薔薇の蔦が数本に断たれ、解放されたエルフが足元の枝にへたり込む。
「逃げて。早く」
短い返事も待たず、カミラは視線をレナートの死体へ戻した。左腕から別の蔦が三本、今度は違う方角のエルフへ向かって伸びている。一体の骸から、同時に複数の蔦が蠢いていた。
「バルトロメオ!」
「ああ!」
両手剣に魔力を集束させながら踏み込み、バルトロメオは剣を振り抜いた。刃ではなく、不可視の衝撃が中間距離へ放たれる。
衝撃がレナートの身体を直撃し、蔦が何本も弾け飛んで深紅の花弁が散る。死体がよろめき、標的に向かっていた蔓が引き戻されたことで、捕われかけたエルフが間一髪で駆け抜けた。
だが、攻撃を当てたバルトロメオは剣を構えたまま動けなかった。
弾け飛んだはずの蔦の断面から、新たな芽が音もなく萌え出ていた。欠損した箇所を埋めるように、薔薇の蔓が増殖していた。
(……蔦を断っても、意味がないのか)
蔦に動かされる形で、鉄球が巨木の太枝を砕く。
バルトロメオは両手剣を構え直し、上官が愛用していた武器を見据えた。
鉄球を繋ぐ鎖は薔薇の蔓に侵食され、もう片方の腕もまた、寄生した薔薇の蔦が幾重にも重なり、歪に膨張している。
ゆっくりと傾いた首の先で、白濁した眼球がバルトロメオとカミラを捉えるが、そこにもう意思はない。蔓の蠢きに連動し、眼球が偶然その方角で静止したに過ぎない。
鎧を突き破り溢れ出す蔓は、かつてレナートと呼ばれた男から、死者として朽ちる安息さえ奪い去っていた。
「……レナート副団長」
バルトロメオの声は低く沈んでいた。
薔荊蛇に執拗に狙われていたシルフィアとエヴァンもまた、少し離れた場所から、異形へとなり果てた者へ瞠目の眼差しを向けていた。
「失敗したわね。最期を見届けた上で、死体を処理しておくべきだったわ」
自らの判断を悔いる声だった。自滅を確認して離脱したあの判断が、思わぬ形で跳ね返ってきた。
「……哀れな。森に混乱をもたらした末路が、あれか」
エヴァンの声が重なる。怒りではなく、森の守護者としての一片の同情。
バルトロメオの傍らで、カミラが短く息をついた。
「……憎いと思ったことは一度や二度じゃないわ。でも……こんな姿になってほしいと望んだわけじゃない」
震える指先で鋼線を走らせ、カミラはレナートの肉体を縛る蔓を断とうと試みた。
その気配を察知したのか、レナートの死体が鉄球を無造作に振るう。それは生前の洗練された構えとは無縁の、蔦が筋肉を強引に引き絞り、質量を振り回すだけの非人間的な挙動だった。
鉄球が二人の足元の枝を粉砕する。
(速い!)
生前のレナートには到底不可能な速度だった。劇薬による代償を命で払い終えてなお、寄生した薔薇が死体を無理やり動かすことで、生前を上回る膂力を与えていた。
バルトロメオは反対側へ向けて声を張る。
「シルフィアさん!エヴァンさん!レナート副団長は俺とカミラで止める!お二人は薔荊蛇に集中してくれ!」
「……いいの?」
「俺たちが招いた災禍の責任だ。この人は、俺たちで終わらせる!」
シルフィアは一度目を伏せ、再び杖を構えた。
「……分かったわ。任せる」
本体である薔荊蛇は既に身をくねらせ、次の猛攻を予感させている。エヴァンもまた、娘の前で盾に氷を張り直し、父娘は再び薔荊蛇へと意識を向けた。
「カミラ、下がっていろ。俺が行く」
「……一人で受ける気?」
「俺の衝撃を当てれば、あの鉄球を逸らせるはずだ」
両手剣に魔力が集束していく。魔力の花園に魔力を奪われる中、衝撃魔法の威力は著しく鈍っていた。普段の半分にも満たない手応え。それでも、剣を下ろす選択肢はない。
「はあああッ!」
踏み込みと同時に、衝撃を乗せた斬撃を斜め下から繰り出した。狙いは鉄球を握る、膨張した右腕。刃は蔦を断ち割り、薔薇の花弁を散らした。蔓に覆われた腕が露わになる。だが、その場所にも、新たな蔦が生えて欠損を埋めていく。
「ここまで侵食されているのか……!」
舌打ちした瞬間、鉄球が振り抜かれた。風圧が先行する。咄嗟に剣を縦に構え、身を低くした。鉄球は頭上の枝を掠め、巨木の幹を抉り取った。
「バルトロメオ、避けて!」
カミラの叫びと共に、鋼線がレナートの脚部に絡みついた。レナートの死体が倒れかけたが、膝がありえない方向へ折れ曲がり、蔦の膂力で強引に姿勢を正した。関節の破壊という物理的な手段が、薔薇に寄生された死体には意味を為さない。
「関節を狙っても意味がないなんて……!」
カミラが呻く傍らで、バルトロメオが一歩踏み出す。
「カミラ。死体に寄生している薔薇を残らず潰す。そうすれば、この人は解放されるはずだ」
「……ええ」
迷いを断ち、カミラが頷く。
かつての上官の無残な姿を前にしても、その意思が揺らぐことはなかった。
薔薇に操られるがままのレナートの死体は、ただ二人へ向けて、無造作に鉄球を振り上げた。
□■□■□■□
里の地上部では、レンが何体目とも知れぬマッドエイプを倒していた。
「こいつら、本当にキリがないな!」
寄生された薔薇を破壊すれば、操られていた魔物も沈黙する。だが、その流入が止まらない。
「レン、右!三体、纏まって来てる!」
リズの叫びに、レンは咄嗟に身体を捻った。
先行した火球がマッドエイプの胸元に咲いた薔薇を焼き払う。焦げた花弁が散る隙を突いて、レンのメイスが薔薇を根元から粉砕した。
「ありがとよ、リズ!」
「当然でしょ」
リズの声に普段の張りはない。火球一発一発の威力は確実に減衰していた。
だが、薔薇を焼くだけの熱量はかろうじて維持している。レンが薔薇を露出させ、リズが焼く。あるいは、リズが焦がし、レンが核を砕く。二人は絶え間なく襲いかかる群れを倒していった。
周囲ではエルフの弓兵が狙撃を続けていた。
レンが汗を拭ったその時だった。森の外縁の樹々が、一際大きな音を立ててなぎ倒された。
「何だ、あれ」
踏み出してきたのは、通常個体を優に超える体躯を持ったマッドエイプだった。
「そりゃ、魔物にも個体差があるだろうけどよ!」
レンが舌打ちする。遠方から放たれた矢は鎧のような薔薇の蔦に弾かれて、届かない。リズが薔薇を焼き祓うために火球を放つことで、着弾と同時に薔薇の表層が焼けるが、薔薇の全てを焼き尽くすまでは炎が浸透していない。魔力を奪われているのが痛かった。
「……こいつ、タフね。魔力さえ奪われてなければ……」
歯噛みするリズの呟きに、レンが並び立った。
「なら連射を頼む。リズ、焼き続けてくれ!俺が薔薇の根元を剥き出しにする!」
「分かったわ!」
レンがひと際大きいマッドエイプへ突っ込んだ。薔薇を纏った腕が薙ぎ払われる。本来のレンなら容易に潜り込めるところだが、消耗した身体は一瞬の遅れを生んだ。
直感が、死を告げた。
レンは踏み込みを急停止して、横へ跳ぶ。空ぶった蔦の風圧が髪を掠めた。
「レン!」
「当たってないから問題ねえ!」
着地と同時に、レンは土魔法をメイスに纏わせた。不安定な制御ながら、残存する魔力を振り絞る。重みを増したメイスが、薔薇の奥、核があるはずの胸部へ叩きつけられた。一撃では砕けない。
だが、表層が千切れ飛び、核の一部が露出した。
「リズ、今だ!」
「ええ!爆ぜろ!」
リズが杖を両手で握り、魔力を集中させた。火球が連射される。五発、六発。単発では力不足な炎が、露出した急所へと吸い込まれていく。薔薇の核が、内側から燃え上がった。
巨躯のマッドエイプが呻きを漏らして崩れ落ちる。全身の薔薇が一斉に萎れ、寄生によって繋ぎ止められていた肉体が地面に倒れ込んだ。
「……やった」
レンが肩で息をつき、リズも杖にもたれて膝をついた。魔力の消耗は限界に近い。
「派手な相手ほど、二人で組まないと倒せないってことね」
「組まないと倒せないんじゃなくて、組めば倒せるってことだろ」
「言い方の問題よ」
だが、安息は許されない。まだ、マッドエイプの群れはいるのだから。二人は顔を見合わせ、同時に頷いた。
「まだ終わらねぇ」
「ええ」
二人は薔荊蛇との戦いに邪魔を入れさせないため、再び、魔物群れへと駆け出していった。
□■□■□■□
樹上で、シルフィアが氷塊を連続で生成していた。
魔力の花園の影響下にあっても、彼女の氷魔法はまだ威力を保っていた。大規模な氷魔法の行使を本分とする彼女にとって、魔力の荒い練り方はむしろ得意の範疇といえる。繊細な制御を放棄した分、彼女は未だ余裕を維持していた。
「そんなに私を喰らいたいなら、まずはこれを消化してから来なさい」
シルフィアの杖先に、巨大な氷柱が形成される。
質量を増した氷の塊を、
だが、薔荊蛇は退かなかった。
怒りの混ざった咆哮を上げ、執念深くシルフィアへ向けて巨躯をしならせる。
「シルフィア、下がれ!」
エヴァンが叫び、娘の前で盾を構えた。盾を覆う氷は薄い。
薔荊蛇の噛みつきが盾に激突し、氷が砕け散り、盾ごとエヴァンの身体が後方へ圧し出される。彼は背後の幹に背を叩きつけ、その衝撃を全身で受け止めた。
「お父様……!」
「……下がれと、言ったはずだ」
エヴァンの膝が震えていた。魔力の花園による干渉は、守護者の肉体から着実に余裕を奪っている。シルフィアが父の背を支えた。
「お父様、無理よ。下がって。私がまだ動けるわ」
「娘を置いて……下がれるか」
エヴァンが歯を食いしばる。だが、次の一撃を凌げる確信は彼自身にもなかった。父親としての意志と、限界を迎えた守護者としての肉体が乖離し始めていた。
薔荊蛇が次の突進へ向け、鎌首を引き絞る。
「貸して、お父様の盾を」
シルフィアが短く告げ、エヴァンの盾に自らの魔力で氷を重ね張りした。厚みを取り戻した氷壁が、再び鈍い光を帯びる。
「シルフィアッ」
「守護者はお父様だけど、今この瞬間、娘が父を守ることだってあっていいはずでしょう」
シルフィアの瞳に強い光が宿り、エヴァンの目がわずかに揺れた。
薔荊蛇が突進を開始する。シルフィアは盾を構えてエヴァンの前に立ち、大きな氷塊を生成した。肉薄した薔荊蛇の顎の下から、氷の質量を真上に突き上げる。氷塊が直撃した薔荊蛇の頭部が衝撃で逸らされた。
その僅かな隙に、シルフィアは息を整えた。消耗は激しくなっているが、カミラたちがレナートの死骸を食い止めていて邪魔が入らない状況で、ここで自分たちが倒れるわけにはいかなかった。
その時、シルフィアの視界の端を淡い光がよぎった。斜め下方、剣に重力の魔力を込める海里が立つ枝の上。彼の視線が、薔荊蛇の身体のある一点を見据えていた。
(……彼、何を見ているの?)
シルフィアにそれを確認する余裕はない。薔荊蛇が再び頭部を下げ、次の獲物を狙い始めている。
「お父様、もう一度耐えるわよ」
「……ああ」
父娘は再び盾と杖を構え直した。
□■□■□■□
海里は少し下がった枝の上で、息を整えていた。
接近戦を
(……打開策が必要だ。このままでは全員、いずれ魔力切れで戦えなくなる)
思考を巡らせながら、海里は薔荊蛇の巨体を改めて見上げた時だった。
(……精霊?)
視界の端を、淡い光の粒がよぎった。ルクスと同様に精霊を視る目。里の中を逃げ惑うように漂う精霊を、これまでにも僅かながら目にしていた。
だが、今の海里の目は、その精霊たちの動きに明白な異常を感じ取っていた。逃げ惑っているのではない。精霊たちは薔荊蛇の体表のある一点へ、引き寄せられるように、それでいて決して触れぬよう距離を保ちながら周囲を飛んでいた。
(あの一点だけを囲っている……何のために?)
海里の目が、一点に絞られるように細められる。巨体の中ほどに一際大きく咲いた深紅の薔薇の付け根あたりを精霊たちが飛んでいた。
(あれは……何だ?)
大輪の薔薇の根元に、周囲の鱗とは明らかに異なる一枚がある。色は薄く、光の加減によっては白に近い。全身の鱗の中で、その一点だけが異質だった。
逆鱗。
精霊たちが囲んでいるのは、薔荊蛇が魔力を制御する中枢ではないのか。精霊たちは、海里にその場所を指し示しているように見えた。その奥に、薔荊蛇の致命的な弱点が隠されている。海里はそう確信した。
海里は樹上を仰ぎ見た。
高い位置で、リュカが薔荊蛇の動きを窺いながら次矢を番えようとしていた。だが、戦線へ復帰したばかりの彼女は本体への警戒に全神経を注いでおり、精霊の微かな予兆に気づいていない。
(薔荊蛇はシルフィアさんたちを優先して狙っている。今ならリュカと合流できるか?)
海里は矢を番えていた少女へ向けて声を張り上げた。
「リュカ、こっちに降りて来てくれ!奴の弱点がわかったかもしれない!」
呼ばれたリュカの顔がぱっと海里へ向いた。驚きと、一瞬の迷いが彼女の瞳をよぎる。
「でも、僕がそっちに行ったら、薔荊蛇の注意が海里に……!」
「それで構わない!こっちに来てくれ!」
海里の呼ぶ声に、リュカは意を決して頷いた。枝を蹴り、薔荊蛇の視界を横切る軌道で、海里の待つ下層の枝へと飛び降りる。
シルフィアとエヴァンを執拗に狙っていた真紅の瞳が、リュカの移動する様を追った。
有効打を放ち得る小さな射手が、別の獲物の隣へ移る。二人が合流した枝の上を、薔荊蛇の視線が射貫いた。鎌首がゆっくりと沈み、巨体が新たな標的へと角度を変え始める。
矛先が切り替わった瞬間だった。
□■□■□■□
リュカが海里の隣に降り立った。
「海里、弱点って……」
「見えたんだ。精霊が囲っている部位がある。あいつの胴の中ほど、一番大きい薔薇の根元だ」
海里は早口で告げた。
リュカの視線がその方向を追い、息を呑む。
「……本当だ、少し鱗の色が違う。逆鱗……?」
リュカが矢筒へ手を伸ばした。
「リュカ、あれを撃ちぬいてほしい」
「うん、任せて」
リュカの返答は短く、迷いもない。
薔荊蛇の巨体が、二人の立つ枝へ向かって突進を開始した。シルフィアたちから完全に矛先を逸らし、有効打を放ち得る射手への排除に切り替わっている。
「来るぞ!」
海里はリュカの肩を引き寄せ、重力魔法で二人の身体を軽量化した。枝を蹴って横へ跳ぶ。直後、薔荊蛇の牙が先刻までの足場を粉砕し、木片が飛散した。
別の枝に着地すると同時に、海里はリュカを腕の中で支え直した。
「リュカ、矢を番えろ。君を上に投げたら、俺が隙を作る」
「うん、海里。君のことを信じてる」
リュカの声は海里への信頼で満ちていた。この森で出会い、付き合いは浅くとも、互いに助け合ったことで二人の間に出来た信頼は揺らがない。
海里はリュカを上方へ押し上げると同時に、薔荊蛇が突進してくる。その瞬間を見逃さず、薔荊蛇の頭部にかかる重圧を倍加させた。
「その頭を下げろ!!」
魔力の花園に奪われ、行使できる魔力は限られている。だが、対象範囲を絞れば、威力を一点に集中させられる。
薔荊蛇の頭部へ不可視の重圧がのしかかり、突進の勢いを止めることに成功した。鎌首が強引に押し下げられた反動で、胴体の中ほどが跳ね上がった。
深紅の根元に一際目立つ白い鱗。逆鱗が完全に露出していた。
「リュカ!今だ!」
「穿て」
リュカが短く呟き、矢を番えた弓から指を放した。精霊の力が込められた一矢は、淡い光を纏って空気を切り裂く。そして、狙いを過たず、薔荊蛇の逆鱗へと吸い込まれていった。
その矢が逆鱗を穿った瞬間、
ぎしゃ、ぎしゃあああああああああ!!
この森を支配し始めていた魔物が、明確な苦悶の鳴き声を上げ、その巨体から樹々に巻き付く力が失われていく。
「落ちる」
海里が呟いた。
樹々から薔荊蛇が滑り落ち、ただ自重のままに地上に向かって落ちていく。
そして、轟音と共に地面へと叩きつけられた。里の地面が大きく揺れ、落下した衝撃で周囲に土煙が舞い上がる。
地上で戦っていたレンが、土煙の向こうを仰ぎ見た。
「……おい、今のは」
「有効打を入れたみたいね。魔力を吸われる感覚が消えたわ」
リズが呼吸を整えながら応じた。
樹上では、シルフィアが下方の状況を窺っていた。
「……やったの?」
呟くシルフィアの隣で、エヴァンは荒い呼吸のまま、地上を睨みつけていた。
「落ちただけだ。まだ死んではいない」
海里は重力が解除され、落ちてきたリュカをしっかりと抱きとめた。
一射を終えた極限の緊張が、彼女の身体を微かに震わせている。
「ありがとう、リュカ」
「……海里が隙を作ってくれたから」
リュカが小さく笑った。その表情には、会心の一撃を与えた確かな自負があった。
海里は樹上を仰いだ。見下ろすシルフィアとエヴァンの視線が交差し、シルフィアが短く頷く。
さらに、バルトロメオとカミラが死闘を続けているのが遠目に見えた。
「リュカ。俺たちは下に降りて、あいつを倒そう」
「うん」
海里はリュカを抱えたまま、地上に横たわったままの薔荊蛇の巨躯を見据え、枝を伝って降下していく。
里に侵攻してきた薔荊蛇との戦いに決着をつけるために、二人は地上へと急いだ。