【安価スレ】転生者ワイ、家の地下にある代物で色々作れるから楽しもうぜw   作:同感するワイト

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6話 運命の戦い

旅館から離れた海岸。そこは元々専用機持ちが戦っており、本来なら専用機持ちが倒れているが、アマルガムの舐めた温情と言うべきか、専用機持ちを逃がすだけなら待ってやると言わんばかりに、武器を持たずISを纏った教員が専用機持ちを回収するのを大人しく待っていた。

 

その事もあり、海岸には邪魔な物が何一つなく、正に決闘に打って付けの場所となっていた。

 

「お前がアマルガムか」

 

千冬が自身の目の前に立っているアマルガムへと問いかける。しかし、アマルガムは黙秘を続けていた。

ISを態々フル・スキンタイプにしているんだ。正体を隠蔽しているから当たり前か。そう千冬は自身の中で完結させ、雪片とアロンダイトを構えた。

 

アマルガムは千冬が武器を構えたのを見た。

ただただ見ているだけ。しかしその視線が千冬にはまるで武装含め機体を愛でているかのような気持ちの悪い視線に思えた。

 

そしてアマルガムは2振りの剣を取り出した。

それはロードロングソードでもグランドスラムでもない。刀身にビームを発生させた対艦刀を小型化したような長剣《OWC-QZ18 対モビルスーツ強化刀》を取り出し、構えた。

 

「一つだけ言っておこう」

 

千冬は構えを取りながら話し始めた。

 

「生きて帰れるとは──────思うなよ?」

 

その言葉と共に千冬はイグニッション・ブーストでアマルガムまで一瞬で迫る。

しかし、アマルガムはそれをひらりと回避し、強化刀を斜め下から切り上げる。

 

だが、千冬も強化刀を食らわず、アロンダイトで2本とも押さえつけ、アマルガムの顔面目掛け雪片を突いた。

 

アマルガムはスレスレで雪片を回避し、後方へのブーストで千冬と距離を取った。

 

アマルガムは機体に着いた砂をぱっぱと払いながらも、少しオーバーリアクション気味に肩を落とした。

 

「《いやー、予想外。かなりやばいかもな》」

 

喋ったのだ。あのアマルガムが。

声は加工が入っており、素の声は聞こえないが、とうとうアマルガムが話し始めた。

 

「《流石とでも言うべきかな、《作り物の最強様》は》」

 

ハハハッと巫山戯たような笑い声を上げながら、千冬を煽るようにそう言った。

 

「貴様───!何故それを!」

 

「《何故も何もねぇ。《織斑計画(プロジェクト・モザイカ)》だったっけか?それで生まれたくらいはわかってるよ。てか、作り物も怒る時は怒るんもんなんだな。まぁ、情がある時点で最強には至れないとは思うけども》」

 

最後は付け足すように不満げにそう言った。

 

「《まぁ、いいさ。あの《録に強くもない脆弱でひ弱な失敗作同然の弟くん》とは違って、手応えはあるみたいだし》」

 

その言葉と共に千冬の中で何かが切れた。

 

「貴様ァッ!」

 

千冬は一気に加速し、雪片とアロンダイトをアマルガムに打ち付ける。

アマルガムはギリギリで強化刀で防ぐも、パワーで押されていた。

 

「《おぉ、怖い怖い。でも、怒りに身を委ねた単調な動きで、俺を倒せるのかね。頭を冷やしてみてはどうですかねぇ?》」

 

「──────ッ!」

 

どの口が言うか。

千冬はその言葉によりヒートアップしそうになるも、それと同時にご最もな正論でもあった。

 

「……お前は何が目的だ?」

 

千冬は頭を冷やすために、質問で時間を稼ぐ道を選んだ。

 

「《目的?》」

 

「お前たちは何のためにテロを起こし続ける。人々を恐れさせるのが目的なのか?」

 

その質問にアマルガムは顎を指で抑え、頭を傾けながら悩んでいた。

 

「《一つ確実に言えるのは《エンタメ》の為、ですかね?》」

 

「エンタメだと……?テロで誰が楽しむと言うのだ!貴様自身の娯楽の為だろう!?」

 

その言葉にアマルガムはすぐに反論した。

 

「《いやいや、居るでしょ。オーディエンス達が》」

 

「オーディエンスだと?」

 

「《そうそう。俺の信頼できる人達や、この世界中にいる女尊男卑に悩まされた男達。この状況にスカッとする人は多いと思いますよ?》」

 

そしてアマルガムはそれにと付け足し、口を開いた。

 

「《あんただって、自分とたった一人の友人の自己満足の為に世界を巻き込み、日本を危険に晒したテロ紛いの事をしているだろうに。俺とあなた、そこにどれ程の違いがあります?あなたも───《俺と同じ穴の狢》だと思いますけどねぇ?えぇ?》」

 

「なっ───……」

 

千冬は固まった。それと同時に脳裏に浮かび上がってきた。あの日の出来事───白騎士事件の首謀者、白騎士のパイロットとしての自分が。

 

「《ぼーっとしてたら、やられっぱなしですよ!》」

 

アマルガムはイグニッション・ブーストの加速力と速度を活かし、千冬の腹に前蹴りを食らわせる。

前蹴りをノーガードで食らった千冬は勢いよく吹き飛び、近くの崖の壁にぶつかった。

 

「《なら、これで終いと───「そうだな……」

 

「《はぁ?》」

 

千冬はぽつりと呟いた。

 

「私はお前と同じだ。あいつの…束の願いを叶えるために全世界を巻き込んだ。それは認める……」

 

なにこの空気?そうアマルガムは千冬に聞こえない程度の小声で言い、空気感的に攻撃しない方が良いかと思い、剣を一旦下ろした。

 

「だからこそ、私は変わる為にあいつと決別した…。今度は人を助けれるようになるために……」

 

「《どういうこっちゃ?てか、そう気持ち悪いくらいに清々しく開き直んなら、最初からそれでやれば良いものを。やっぱり作り物の気持ちは、フツーの人間の俺には理解できないな》」

 

これが主人公を倒したと思ったらよくわかんない理論で立ち上がってくる主人公を眺めてるボスの気持ちか、なんて事を思いながら、再び強化刀を構えると、千冬の暮桜から煙が立ち上り始めた。

 

「《あれは───、ハハッ!なかなかな勇気と覚悟してますねぇ!》」

 

      EXAM-SYSTEM

        STAND BY

 

音声が鳴り響くと同時に千冬の瞳が赤く染った。

その瞬間、アマルガムの視界から千冬が消え、気がつけば吹き飛ばされていた。

 

パイロットの反応速度や機体のハイパーセンサーすらも凌駕する圧倒的なまでの機体スペックの上昇。

それも生まれながらにして高い対G体質を持つ千冬なら、EXAMシステムの弱点である、機体スペックが高すぎるが故のパイロットの死亡を帳消しにしていると言っても過言ではなかった。

 

「《なるほど………。あんの忘れてたなぁ……》」

 

頭を抑えながらアマルガムは立ち上がる。

その声は吹き飛ばされた衝撃からか、少しかぼそかった。

 

「《でも、所詮は50%のデチューニング品だ》」

 

アマルガムの緑色のカメラアイが点滅し初め、機体からはまるで危険を伝えるかのような大きな駆動音が鳴り響く。

 

「《見せてあげますよ。本当のEXAMってやつを》」

 

      EXAM-SYSTEM

        STAND BY

 

アイカメラが赤色に激しく光を放つ。それと同時にブーストを吹かし、地面を蹴り、飛び出す。

その速度は先程の千冬と同等かそれ以上だった。

 

何度も何度も振るわれる強化刀に千冬はEXAMシステムありきでも防ぐので精一杯だった。

 

そして勢いよく振り下ろされる強化刀を、千冬は雪片とアロンダイトで防ぐも、今度はパワー負けし、押されていた。

 

「《さっきみたいに押し返さないんですか?ならっ!》」

 

アマルガムがそう言うと、両腰のサイドアーマーが変形し、レールガンへと変わる。

ゼロ距離から千冬の身体へと放たれた弾丸は、千冬に強い衝撃を与え、後退させていった。

 

「《これで、ラス───!》」

 

怯んだ千冬にトドメを刺そうと強化刀を逆手持ちにし、振り下ろそうとした。

その時だった。横からエネルギー弾が飛んでき、アマルガムは横に飛び、回避する。

 

「千冬姉!」

 

「織斑先生!」

 

そう叫ぶ声が海岸に響き渡った。

その声の主は他でもない、一夏と箒のものだった。

そして一夏の纏う白式は姿が変わり、より派手に、より攻撃的な物へと変化していた。

 

「篠ノ之、それに一夏………」

 

千冬は2人の安全を確認し、一息吐くも、その場に片膝を着いてしまう。EXAMシステムの高負荷からだ。

どれだけ対G耐性が高かろうと、人間の域を超えた挙動による負荷が無いわけではない。

それに加え、機体の関節部にも損傷があり、ジェネレーター出力も低下してしまっていた。

 

「《ふーん、なるほどねぇ。姉のピンチに進化して助けに来る主人公。いい絵になるねぇ。まるでアニメのワンシーンだ》」

 

「お前が千冬姉を───!」

 

一夏がアマルガムに飛びかかろうとしたその時、アマルガムは両手をあげた。

 

「《やーめた。もう暮桜のデータも取り終えたし、やる事もやったし》」

 

「なっ!」

 

「ふざけるな!」

 

一夏と箒はアマルガムの衝撃の発言に驚き、怒った。

しかし、アマルガムはそれをやれやれと言わんばかりにため息をつきながら、強化刀を一夏達を向けた。

 

「《別にやんならやるでいいんだぞ?でもさっきは手加減したから気絶で済ませただけで今回は───確実に殺すぞ?》」

 

殺す。その言葉には子供がおふざけや勢いで言うものとはまるで違う、冷酷で、残酷な殺意が込められていた。

それに一夏達は身体が固まってしまった。

 

「《それで良し。あぁ、後》」

 

付け足すようにアマルガムは言った。

 

「《俺は《イッチ》とでも覚えておいてくれ。それじゃ、アディオス》」

 

アマルガム、もといそのパイロットのイッチは、そう言い残し、強化刀を地面に振るい、土煙を舞い上がらせると共に、その場から消えた。

 

かくして、臨海学校の事件は幕を下ろした。

多くの謎と傷を残しながら。

イッチの名前いる?

  • いるに決まってんだろ!
  • いるわけねぇだろ!
  • どっちでもいいだろ!
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