【安価スレ】転生者ワイ、家の地下にある代物で色々作れるから楽しもうぜw 作:同感するワイト
IS学園。
そこではISの一大イベントとも言えよう、ISの高機動パックによる超音速下のスピード競技《キャノンボール・ファスト》が行われていた。
通常であればIS学園を卒業したベテランパイロットによって行われるも、今年度はIS学園に高い実力を持つ代表候補生が入学した上、世界初の男性パイロットや篠ノ之束の妹など、超がつくほどの重要人物が入学したことにより、IS学園で行われていた。
そんなキャノンボール・ファストもとうとうクライマックス。観客席も熱く盛り上がり、大盛況に包まれていた。
そんな中、1人の男が凛とした雰囲気でその光景を眺めていた。
男は左手につけた独特な黒い腕時計をチラチラと見ながら、会場そっちのけで、周りを見渡していた。
「……黒栗も、理論上であれば俺への毒素を消しきれてはいるんだけど、どうなる事やら。まぁ、死にそうになれば、計画を早足にすればいいだけだしな」
男はブツブツと呟く。
しかし、周りの人間は、目の前の白熱した状況に目が離せず、男の呟きは歓声の中に消えていく。
そしてキャノンボール・ファストが終わる寸前。男は立ち上がり、見回りをしている千冬の横を横切る。
それと同じくして男は口角を上げる、千冬に小声で、しかしはっきりと告げた。
「俺はイッチだ。全学年専用機持ちタッグマッチの当日にIS学園でテロを起こす。楽しみにしていてくれよ、プロジェクト・モザイカの成功例さんよ」
「ッ!貴様ッ―――!」
不気味にクツクツと笑いながら、千冬を通り過ぎた。
千冬は急いで振り向き、男───イッチを追おうとするも、そこには既にイッチは居らず、消えていた。
「全学年専用機持ちタッグマッチにテロ……。校長にも報告せねばな」
尻尾を掴むことができない相手。故に警戒しかできない自分の無力さを呪いながらも、千冬は報告を急いだ。
───
──
─
時は経ち、深夜23時。イッチはイタリアのアヴィアーノに来ていた。
「アーキタイプ・ブレイカー組の出身国襲う訳にも行かないしなぁ、まぁ、イタリアが丁度いいか。黒栗の試験運用としてもばっちしだし」
そう楽しそうに独り言を言いながら、アヴィアーノIS空軍基地に足を踏み入れる。
「待て、貴様。ここはアヴィアーノIS空軍基地だ。関係者以外、それも一般人は立ち入り禁止だ。今すぐ出ていけ」
イッチは屈強な男の警備員2人に取り囲まれる。
それでも、イッチの態度は依然変わりなかった。
「いやぁ、無関係者とは酷い言い方ですねぇ。これから関係者になるのに」
「これから関係者になるだと?ふざけているのか?今すぐ出ていけ!」
イッチの舐めたような発言に警備員は苛立ちを募らせ、怒号をあげる。
「俺は事を急いでいるので。それでは、ご機嫌よう」
炸裂音が2回響き渡る。警備員の顎下と頭頂部からは鮮血が吹き出しており、そのまま倒れる。
イッチは警備員の死体を踏み越えながら、手に持っている拳銃を放り投げ、アヴィアーノIS空軍基地をズカズカと歩いていった。
すると、そらから何かが降りてくる。
ラファールを纏った軍人5人だ。
「そこで止まれ!今すぐ両手を上げて、両脚を地面につけろ!さもなくば撃つぞ!」
イッチは軍人にそう脅される。
しかし、それでもイッチは怖い怖いと笑いながら、フラフラと両手をあげる。
「貴様…!男の癖に調子に乗って!構わん!撃ち殺せ!」
その掛け声と共に全員が銃を構え、引き金を引こうとする。
その瞬間、辺りに少しだけ光が灯った。薄いターコイズブルーの光だった。
そしてそれは小さな光の粒子によるものだった。その粒子を出していたのは、他でもないイッチ本人だった。
「夜の楽しいパーティーを始めようか」
その言葉と共に光の粒子は爆発し、ラファールを纏った軍人たちを容易く吹き飛ばした。
粒子が放つ光はより強く光り、夜の駐屯地を照らす。
その中心にはナニカが居た。各所が赤く赤熱化している機械。一言で言えば《黒い鳥》と言えようその異形たる姿を現していた。
「くっ!本部に通達!男がISと思わしき兵器を展開し、門の前で暴れ始めた!増援を求む!」
デザインが優先される近代のISとは異なり、フル・スキンの武骨なその外観。まさしく兵器そのものだった。
「御伽噺をしようじゃないか」
イッチ、もとい黒い鳥は淡々と語り出す。
「かつて、人間は自らの手で破滅の一途を辿っていた。それを見兼ねた神様は人間を救うために手を差し伸べ、救いを与えようとした。しかし、それを邪魔する者が現れた。それは黒い鳥と呼ばれた。何もかもを黒く焼き尽くす、死を告げる鳥」
「フッ…ハハハッ……。それがその黒い鳥だとでもいうのか?」
1人の軍人が馬鹿にするように笑いながら、立ち上がり、黒い鳥に問いかけた。
「えぇ。この機体こそが黒い鳥。人間を破滅に導く、死と破滅、破壊の象徴たる鳥ですよ」
「何を馬鹿なことを!第1世代の型落ちごときが!」
軍人はアサルトライフルを乱射する。
しかし、弾は虚しく黒い鳥を掠めることなく、全くの別方向へ飛んで行った。
「なっ!どういうこと!?まさかバリア!?」
軍人たちは困惑する。
そしてそれを眺めるイッチはまるで楽しそうであった。
「この機体には勝てないさ。お前たちじゃな」
そして黒い鳥、否、《N-WGIX/v》は背部に✕字型のスラスターを吹かし、イグニッション・ブーストと同等とも言えよう速度で、人の軍人に接近し、ブーストの勢いを活かし、蹴りつける。蹴りを食らった軍人は機体の装甲が粉々になりながら、吹き飛び、倒れた。
「なっ!撃て!撃ち続けろ!」
N-WGIX/vは軍人たちが乱射する弾丸をブーストで避けながら、右手のリニアカノンから放たれる痛烈な一撃で撃ち落としていく。
「んーー、安価では言われてない事だしなぁ。まぁ、一国潰したところで変わらないか」
イッチはそう言いながら、飛行しようとすると、上空から無数の弾丸がイッチ目掛け飛んでくる。
イッチは弾丸を避けながら上空を見れば、そこにはまたラファールを纏った軍人がいた。
しかし、数は先程の数倍以上。そして、その中には2機、専用機が居た。
「イタリアの専用機、《アウローラ・フォスキーア》と《フェニーチェ》、だったか?めんどくせぇもんが来たもんだよ」
イッチは嫌々そうにしながらも、満更でも無さそうに、リニアカノンと左手のVTFカノンを構える。
相手は国家代表候補生ではあるものの、現役の軍人。実力は国家代表に近しくもある。油断はできない相手だ。
「随分とまぁ、よくやってくれてるわね」
「第1世代ISモドキのよく分からない物を持ってきて。最近のテロリストは何をしでかすかわかったものじゃない」
アウローラ・フォスキーアを纏った女性《アルベルタ》がN-WGIX/vに鼻で笑いながら、言う。それに続くようにフェニーチェを纏う女性《シルヴィア》も小馬鹿にするようにそう言った。
しかし、N-WGIX/vはうんともすんとも言わず、ただ高圧的な態度の2人を呆然と見ているだけだった。
「あら、もしかして、専用機2人相手だと流石に黙っちゃうかしら?」
「いや、違いますよ」
煽るアルベルタにN-WGIX/vは言い返した。
「代表サマを呼ばなくていいのかなって。だって、貴方たちだけじゃ、俺を倒すの無理だと思いますよ?」
「言ってくれる!」
最初に飛び出したのはシルヴィアだった。
レイピア型の武器《アーゴ・ディ・ベネディツィオーネ》を構え、N-WGIX/vに向かってイグニッション・ブーストで突進し、突き出した。
しかし、刃はN-WGIX/vに当たらず空を斬り、シルヴィアの腹部に突きつけられたVTFカノンから放たれた砲弾が、ISのバリアを貫き、跡形も残らず、消し飛んだ。
「バリアが発動していない?いや、バリアもかき消した?」
「正解。
N-WGIX/vは自慢げに話しをする。
しかし、アルベルタは静かに左手を上げた。
「狙撃部隊、やりなさい」
その言葉と共に、赤い閃光が、四方八方からN-WGIX/vに迫る。
「マジか」
N-WGIX/vは上にブーストをかけ、上空に一気に飛び上がり、回避する。先程まで自身がいた地面は綺麗に削られており、少しだけ、感心を持っていた。
「なるほど。こりゃ、ヤバいね。早めに終わらせなきゃ無さそうだな」
N-WGIX/vがそう言うと同時に、数十にも及ぶ高速ミサイルを放ち、ISを撃墜していく。
アルベルタはミサイルの雨とも言えよう状況の中、正確に回避を続けた。
とうとうミサイルが止み、アルベルタは攻撃を命じようとするも既に自身以外に誰もおらず、その光景から判断が遅れた。
たった0.1秒未満の遅れ。
しかし、それが命取りとなり、人を喰らう黒い鳥の餌食となるには十分な時間だった。
ガチャ……───
アルベルタの耳元で機械の重々しい音が聞こえた。額からは冷や汗が一滴、また一滴と流れた。
「最後にこいつのデータ収集してるヤツらへ。あんたらの代表サンにこう言え。俺を殺したくばIS学園と仲間になって、全面戦争を仕掛けろ、ってな」
アルベルタはサーベルを腰から抜き、振るう。
しかし、刃は黒い鳥の羽にも届くことはなかった。
轟音と共に、アルベルタが爆発の中で消えた。焼けた赤い液体がN-WGIX/vの装甲に付着した。
「ゴホッゴホッ───!うわっ…血ぃ吐いた……、気持ちわりぃ……。かーえろっと」
吐血混じりの咳が出ながらも、N-WGIX/vはブースターを吹かし、惨状と化したアヴィアーノIS空軍基地から去った。
午後23時46分。アヴィアーノIS空軍基地は国際的テロリストであるイッチと、その乗機N-WGIX/vにより、50分足らずで壊滅した。
そしてここから始まった。
イッチの手により、世界に混乱と破滅が齎されるのは。
イッチの名前いる?
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いるに決まってんだろ!
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いるわけねぇだろ!
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どっちでもいいだろ!