匂い立つ学園、ヤーナム【完結】   作:セルビア

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12 獣の守護者、デュラ

先生とイリン、コイは旧市街に向かった。

 

“そういえば、イリンは弔ルマに会ったことがあるんだよね?”

 

先生は気になっていた疑問を聞いた。

 

イリン「アンタ、夢に呼ばれたのかい?珍しいね。」

 

コイ「そんなこともあるだろう。奴は気まぐれだからな。」

 

“コイも会ったことがあるの?”

 

コイ「…答える必要があるか?」

 

“…嫌われてるね。”

 

イリン「仕方がないさ。コイは医療教会、特に聖歌隊の連中が大嫌いなんだ。

その聖歌隊の連中と行動を共にしてきたアンタは、疎まれて当然だろうさ。」

 

“なんで聖歌隊が嫌いなの?”

 

コイ「…旧市街に行けば分かる。」

 

 

 

 

 

   【これより棄てられた街。獣狩り不要、引き返せ】

 

イリン「下がってな。今開ける。」

 

“いいの?入るなって書いてあるけど、、”

 

イリン「いいんだよ。私とあいつの仲だ。」

 

先生たちは旧市街に入った。

 

 

 

 

 

 

“うっ…!これは…?”

先生は顔をしかめた。当然だ。

 

…死体の焼ける匂いなど、心地の良いものではない。

 

不意に、声が聞こえてくる。

 

デュラ『貴公ら、警告は読まなかったのか?引き換えしたまえ!ここは見捨てられた街。上の者たちに迷惑は掛けないだろう!』

 

イリン「そう邪剣なことを言うんじゃないよ!」

 

デュラ『!貴公羽鳥イリンか?久しいな。息災であったか?』

 

イリン「お陰様でね。お客様を連れてきたから、今そっちに連れて行くよ。」

 

デュラ『あぁ、わかった。分かっているとは思うが、彼らを傷つけないでくれよ。』

 

イリン「分かってるよ。先生、こっちだ。」

 

先生はイリンとコイの後を歩く。

 

獣「▓▓▓…!?」

獣は近づいてはいるものの、二人の持つ松明の火に怯えているようだ。

 

 

 

 

長いはしごを登り、先生はその狩人の下にたどり着いた。

イリン「紹介するよ。こいつがこの旧市街に残った唯一の狩人、デュラさ。」

 

デュラ「貴公がお客人か。私はデュラだ。」

 

“先生だよ。よろしくね。”

 

先生は、そのデュラと名乗った猫の獣人に挨拶した。

 

デュラ「生徒でなくて驚いたかな?」

 

“そうだね。今まで会った狩人は生徒ばかりだったから。”

 

デュラ「昔は多かったのだがな。いつの間にか生徒以外の狩人も少なくなってしまったよ。」

 

“どうして?”

 

デュラ「…主な理由は二つある。一つは、自分たちのやってきたことを知ったことだ。」

 

“…やってきたこと?”

 

デュラ「獣の病は、発生当初、隔離すれば治るものだと思われていた。そのために私たちは、感染者を狩り、療養施設に押し込めた。

…しかし、それは実際は感染者を放置し、獣の病を悪化させることに繫がってしまった。」

 

“…二つ目は?”

 

デュラ「…その情報が広まり、それを先導した医療教会は非難の的になった。特に、この旧市街では、獣の病の感染者が多かったこともあり、大きな怒りを呼んだ。

…それを知った医療教会は、どうしたと思う?」

 

“どうした…って?”

 

その時、コイが口を開いた。

 

コイ「閉じ込めて、焼き殺したのさ。この街ごと。」

 

"…焼き殺した?”

 

イリン「文字通りさね。アンタも見ただろう?街で燃える死体、火を恐れる獣たちを。」

 

コイ「確かに、それは一時的な解決にはなった。

しかし、多くの人々が犠牲となったうえ、結局はヤーナム市街にも獣の病は広がった。」

 

デュラ「…これが私たち狩人が医療教会の狩人を嫌悪する理由だ。もっとも、多くの市民は忘れてしまったようだがな。」

 

“…イリンとコイは、これを伝えるためにここに?”

 

イリン「…そうさね。先生、アンタが医療教会の味方をするなら、知って置かなければならないと思ったのさ。」

 

“……何を?”

 

 

イリン「医療教会の、罪をね。」

 

 

 

 

 

イリン「先生、アンタこれからどうする?このまま医療教会の味方をするのかい?」

 

“…うん。私は彼女たちにこの夜を終わらせるように助けを求められているからね。”

 

イリン「…そうかい。私たちにとってもこの夜は不快さ。アンタがこれを解決してくれるって言うなら……。」

 

“もう一つ。”

 

イリン「?」

 

“医療教会の彼女らの味方もするけど、私は生徒全員の味方だからね。”

 

 

イリン「……ハァ。アンタ、よくお人好しのバカって言われるだろ。」

 

“ひどくない?”

 

「……フッ。」

 

“!今コイ笑ったよね?”

 

「…笑ってない。」

 

“えー本当に〜?”

 

「笑ってないと言っているだろ!」

 

 

 

 

その様子を見て、イリンとデュラは話す。

 

デュラ「貴公が客を連れてきたと聞いたときは驚いたが、存外良い男だな。」

 

イリン「あぁ。」

 

デュラ「…あ奴ならばできるかもしれない。」

 

イリン「何をさ?」

 

デュラ「このヤーナムの人々を救うことが、だよ。」

 

 

 

 

 

─────────────────────

煤けた狩装束

標準的な狩装束の1つ

 

旧市街の事件、獣の病の酷い蔓延と街を焼く浄化の時代に作られ

塗れたようなマントが、炎に対して高い防御効果を発揮する

 

これは、燃え盛る炎と血の焼ける臭いの中で

生き残った罹患者を狩った、そういう装束なのだ。

 

故に医療教会は、真実を閉じ込めた。

生きた者がいるとも知らず。

33話ラストの選択肢

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