「先生、下がっていて下さい。」
ユリエは先生の前に出ると、その剣に炎を纏わせた。
「では、行きますよ!」
ユリエの剣がロマの脇腹に突き刺さる。
「……!?」
大量の地が吹き出す。
同時にロマの周りに大量の蜘蛛が現れる。おそらくは眷属。
「なるほど、眷属ですか。しかしこの程度!」
ユリエは剣を鞘に差し込み大剣にし、蜘蛛たちを薙ぎ払った。
“うわっ!”
「…先生!?」
先生に蜘蛛が襲いかかる。しかしそれは、アロナによって防がれた。
“ありがとうアロナ!”
「どういたしましてです先生!」
「よく分かりませんが、無事ならばいいです。
……よし。では、眷属も倒したことですし、本体に掛かりましょう。」
ユリエはロマに剣を振るう。ロマには眷属たちのように跳び回る事もできず、その攻撃を為すがまま受け続けていた。
「!!!」
あと一息で狩り殺せる。そう思った瞬間、ロマが姿を消した。
“一体なにが!?”
突如、湖を明るい光が照らす。
月の光?いや、違う。
“あれ、は…?”
それはまさしく、『隕石』だった。
「先生伏せて!」
ユリエは懐から一匹のナメクジを取り出すと、虚空から触手を放った。その触手は、こちらに来た隕石を弾いていく。
“なにが起こってるの!?”
先生は伏せていたのでなにが起こっているのか分からなかった。次第に、光は薄れ、周りが見えるようになる。
「……!」
「どうやらあれが最後のようですね!」
ユリエはロマに近づくと、その剣を首に突き刺す。
そしてそのまま、力任せに剣を動かした。
「!!?!」
「これで、終わりです!」
ユリエが剣を引き抜き、更に力強く剣を振り下ろし……
ロマの首は刎ねられた。
“終わった…?”
直後、先生は気づく。
それはまさしく『異常』だった。空が青い。そしてそれ以上に不気味なのは、月が血のように赤かったことだ。
「驚きましたか?これがメンシスの隠していた真実です。しかしこれで、奴らの本拠地に攻め入ることができます。」
“それはどこ?”
「隠し街ヤハグル。その悪夢の中に、奴らはいます。」
同刻、隠し街ヤハグル
有賀エドは、聖歌隊がメンシスに送ったスパイである。
「赤い月…ユリエのやつはやったみたいだね。じゃあこっちも、露払いといこうか。」
エドはヤハグルの広場に入る。
鐘の音。見るとメンシス学派の者だろう。
「鐘…?…っ!まさか!?」
エドは自らの銃で鐘を持つ者たちを気絶させる。
しかし、それは遅かった。
死体の山。それを形容するとすれば、そのような表現しか無かった。その死体の山、いや死体の化け物は、エドに牙を向く。
「噂には聞いていたが、実在したとはね。メンシスの作り出した失敗作の再誕者。いいさ、相手になってやる。」
エドは自らの武器、ルドの聖剣を抜き放った。
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発火ヤスリ
これを擦ることで、武器に炎を纏わせる特製のヤスリ
現在医療教会が使用している狩道具の1つ
かつての旧市街の惨劇でそうであったように
病の浄化の偏見もあり、獣狩りに炎はつきものである
だからだろうか、ある種の獣は病的に炎を恐れるという
火を持って焼き切る。それが正しい方法だと、
人々は思っていたのだ。
焼かれる者の心など知らず。
33話ラストの選択肢
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1
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2