「一体どこへ!?」
ユリエが振り返ると、今まで無かった階段が作られていた。
“これは?”
「ここは奴らの夢です。何があってもおかしくありません。」
階段は上に続いている。取りあえず先生とユリエは上に進むことにした。
階段を登ると、ミコが立っていた。
「追い詰めましたよ!」
“っつ!ユリエ!危ない!”
先生の叫びは、一歩遅かった。ユリエと先生は、鉄格子で分断されてしまった。
「分断、ですか。」
「あぁ。君も一対一の方が良いだろう?」
「そうです、ね!」
ユリエは仕込み杖の鞭でミコの両手を斬りつけた。
「ぐっ!!」
その手では、物を持つことなどできないだろう。
「これで先触れは使えませんね。」
「それはどうかな?」
ミコはズタズタになった手で無理やり懐のナメクジを持ち、両手を上に掲げた。
光が満ち溢れ、ミコは声を聞く。
本来、ミコは呼びかけで攻撃するつもりだった。しかし、この場に先生がいたことによって、呼びかけは成功してしまった。
「あ、あぁ、あぁぁぁぁぁ!そういうことだったのか!上位者とは!このヤーナムは!すばらしい!majestic!majestic!majestic!」
「隙ありです!」
“待って!殺しちゃ…!!”
ユリエは、ミコの腹に、変形した仕込み杖を突き刺す。それはすぐに、ミコの内臓をズタズタに破壊する。
「ギャアァァァァァァ!ああ、これが目覚め、全て忘れてしまうのか………」
ミコは、完全に消滅した。
「…。」
“ユリエ…。”
「心配しなくても大丈夫ですよ先生。彼女は夢の中で死んだだけです。現実ですぐに目覚めますよ。」
“それは…良かったけど…これで終わったの?”
「……ええ。後は奴らが盗んだ儀式の触媒を回収すれば終わりです。」
“結局それってなんなの?”
「見れば分かります。さぁ、行きましょうか。」
先生とユリエは、屋上に向かった。
屋上には、謎の乳母車があった。ユリエは、その中身を取り出す。
“それは?”
「心臓です。このヤーナムに最初に訪れた上位者、ゴースの胎児。その心臓。」
ユリエの纏う雰囲気が変わる。
「先生、お疲れ様でした。これであなたの『先生』としての役目は終わりです。」
“……どういうこと?”
銃声。それは、ユリエの放ったものだった。
“なん、で?”
先生は困惑する。いつもならアロナが防ぐはずだが、それがない。
「さようなら、先生。あなたに血の加護がありますように。」
「あれ?もう終わってしまいましたか?」
「遅いですよニセ。いや、今は夜瀬フカと呼ぶべきですか?」
「いいですよニセで。姉はメンシスに付き、聖歌隊を裏切った。その名が忘れられるのが、相応しい罰です。」
「現実の先生の肉体から、神秘の箱を離してくれて助かりました。この後、あなたは先生の肉体を診療所に運んでおいて下さい。」
「分かりました。先輩はどうするんですか?」
「私はこれから上層に向かい、儀式の準備を行います。あぁ、今から楽しみですね。」
「空にある宇宙、それは人類にとって、福音となるのでしょうか?」
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胎児の心臓
かつてヤーナム自治区に到来した上位者ゴース、その胎児の心臓。
採取から時間が経っているのにも関わらず、動き続け、血を放出している。
医療教会、聖歌隊の一員は思った。
「この血を人に移植すれば、彼らの座に到れるのでは?」
33話ラストの選択肢
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