匂い立つ学園、ヤーナム【完結】   作:セルビア

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23 醜き導きの英雄

先生たちは、血の川の流れる源にたどり着いた。

 

“この床、まさか全部……?”

 

ツヤ「ああ、今灯りをつける。私たちの周りにあるのが、その元だ。」

 

ツヤがランタンをつける。瞬間、周りに見えたのは、見るも恐ろしい死体の山だった。

 

“こ、これは?”

 

ツヤ「彼らは狩人に憧れ、獣を狩り、血に酔った者たち。つまり、憧れで人を殺した者たちだ。」

 

「う、うう、」

 

“人の声!?”

 

声の聞こえる方向に行くと、まだ生きている住民がいた。

 

“大丈夫!?”

 

「う、うぅ、助けてくれ、、」

 

“今安全な場所に、、”

 

ルル「辞めておけ。それよりも、来るぞ。虫の温床が!」

 

 

 

 

瞬間、重い音が響き渡る

 

“何の音!?”

 

「あいつが…

 

おぞましい、醜い獣がやってくる…ああっ…呪われたルドが…赦してくれ…赦して…くれ…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その場に現れたのは、見るも悍ましい獣だった。

 

もはや人であった頃の名残はほとんどなく、

 

顔の半分のみが原型をとどめていた。

 

ルド「▓▓▓▓▓っ!!」

 

 

 

 

ツヤ「狩るぞ。先生、指揮を頼めるか?」

 

ルル「先生と言うからには、人を従えた経験があるのだろう?私も連盟の長だが、指揮の経験は少ない。虫を潰すためにも、ぜひ貴公に頼みたい。」

 

“分かった。行こう!”

 

ルド「▓▓▓▓▓ォ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

“次は左側を狙って!”

 

先生たちは順調に獣を追い詰めていた。当然だ。理性を失った獣など、統制された攻撃の敵ではない。

 

ルド「▓▓▓ォォ!!」

 

ついに、獣は倒れた。

 

“勝った……?”

 

先生たちは勝利を確信し、倒れた獣に近づいた。獣が理性を取り戻したのは、その時だった。

 

ツヤ「!! 離れろ!」

 

起き上がった獣は先生たちを気にもとめず、自らの剣を握った。

 

 

 

 

 

 

 瞬間、獣の目に光が戻り、頭の上にはヘイローが灯る。

 

 

“これは……?”

 

 

 

「ああずっと、ずっと側にいてくれたのか

 

 我が師 導きの月光よ…」

 

 

 

獣、いや、かつての英雄は、この時を以て蘇った。

 

 

 

 

 

 

 

ルド「…行くぞ。」

 

ルドは自らの剣を上段に構える。それは獣のものではなく、剣士のものだった。

 

ルル「ほう?素晴らしい。虫に犯されようと、人の心を持つか。」

 

“生徒…なの?”

 

ツヤ「…ああ。しかし今は違う。先生、今すべきことは相手の心配ではない。奴を止めることだ。」

 

“………でも…。"

 

ツヤ「…分かった。ならば殺さないように、私達を指揮しろ。」

 

“………分かった。”

"っつ!避けて!”

 

ルドが剣を振るうと、巨大な光波が放たれた。

 

ツヤ「くっ!」

 

ルル「ふっ!」

 

“壁が!”

 

なんとか二人も避けることが出来たが、壁が破壊される。その威力は甚大だった。

 

ルル「どうする先生?このままでは近づけないぞ?」

 

“…一か八か……ルル!囮になれる?”

 

ルル「…あぁ、引き受けた。」

 

“ツヤはこっちに来て!”

 

 

 

 

 

ルド「次だ。」

 

ルル「確かに素晴らしい。だが貴様は、虫が巣食う汚物だ!私の敵ではない!」

 

ルド「…これで決め……っつ!?」

 

背中に違和感。ルドは気づく。

 

ツヤ「ハァ!」

 

ツヤは背中に剣を突き立てる。そしてその傷口に、ありったけの矢を叩き込んだ。

 

ルド「ぐっ!」

 

ルドは大きく体勢を崩す。

 

ルル「終わりだ!汚物!」

 

回転ノコギリの作動音。ルドは気づいてももう遅い。

 

“待っ…!!”

 

 

英雄の首は、ノコギリによって残酷に落とされた。

 

 

 

 

 

 

 

 

“……殺してしまった、の?”

 

先生はルドに近づく。しかし、その頭上には、ヘイローが光っていた。

 

“…!まだ……生きてる?”

 

先生は警戒する。しかし、ルドに攻撃の意思は無いようだ。

 

ルド「…貴方は誰だ?」

 

“私は……先生だよ。”

 

ルド「……その剣を持っていってくれ。もはや私には使えぬが……」

 

先生は、月光の聖剣を手に取る。

 

ルド「…先生よ、光の糸を見たことがあるかね?

 

とても細く儚い。だがそれは、血と獣の香りの中で、ただ私のよすがだった。真実それが何ものかなど、決して知りたくはなかったのだよ。

 

ヒイッ、ヒイッヒイッヒイッ…」

 

“光の糸?それはどういう……”

 

その時、ルルが話に割り込む。

 

ルド「…君は?」

 

ルル「黙れ汚物。貴様は此処で死ぬ。」

 

“ちょっと待っ!”

 

ルルは自らの右手をルドの目に捩じ込むと、脳症を引きずり出し、

ルドを殺した。

 

ルド「気色悪い「虫」が轟いてるぜ…情けない糞袋女が…クハハハッ!

 

お前の死に、糞の臭いのする血の中に、きっと「虫」がいるのだろうさ!

 

クーハッハッハッ!」

 

そう言うと、ルルは何も無いところを踏み続ける。

 

“……どうして?”

 

ツヤ「…気にするな。いくら後悔してもここは悪夢。終わった世界だ。それに、これは奴の報いでもある。」

 

“………報い?”

 

ツヤ「狩りを英雄的行為にしてしまい、結果的に、多くの人を血に酔わせた報いをな。」

 

 

先生は何も答えることが出来ず、その場には、ルルの足音だけが響いていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

───────────────────────

月光の聖剣

かつてルドが見出した神秘の剣

青い月の光を纏い、そして宇宙の深淵を宿すとき

大刃は暗い光波を迸らせる

 

「月光のルド」を象徴する武器であるが

その大刃を実際に目にした者は少ない

それは彼女だけの、密かに秘する導きだったのだ

 

現在は先生が所持しているこの武器は、

彼ないし彼女に大きな力を与えるだろう

それは、英雄に対する救いなのかもしれない

33話ラストの選択肢

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