匂い立つ学園、ヤーナム【完結】   作:セルビア

26 / 35
26 漁村

マリアは、炎を剣に纏わせる。

 

“炎の刃!?”

 

ツヤ「恐らくカインハーストの力だろう。……先生、私に一つアイデアがある。少し時間を稼いでくれ。」

 

ツヤは先生の返答を聞かず、来た道を引き返す。

 

“え!?”

 

マリア「お仲間は逃げたようだ。だが逃がすわけにはいかない。貴殿を殺し、奴も殺す。」

 

“ちょ、ちょっと待って!”

 

マリア「何だ?この期に及んで何か言いたいことでも?」

 

“…君はルマとどんな関係なの?”

 

マリアの目が見開かれる。

 

マリア「貴殿、ルマ先輩の知り合いか?」

 

“うん。彼女にここに連れて来られたんだ。”

 

マリア「……それなら、話してもいいだろう。」

 

“ありがとう……!”

 

マリア「…アレは今から3年前のことだ。このヤーナムの学院に、どこからか一人の転校生が来た。

それが、弔ルマだ。彼女は、多くの人に慕われた。私もその一人だ。」

 

“でも……彼女は今夢の中にいる。どうして?”

 

マリア「…とある事件が起こった。結果として、療図レンは獣となり、有礼ムイは未来のために眠りにつき、

……そして先輩は、夢で全てを隠し、未来の狩人の助言者となった。」

 

“その事件って……?”

 

 

 

ツヤ「それはこの奥にある、医療教会の罪さ。」

 

“ツヤ!”

 

マリア「戻ってきたか。だが、結果は……っつ!?」

 

マリアは驚愕する。ツヤが投げたのは、マリアが慈しんだ患者の死体だったからだ。

 

マリア「ッツ!!貴様ァ!」

 

マリアは死体を床に置く。

 

ツヤ「この瞬間を待っていた!」

 

 

ツヤの腕が、マリアの体内に入る。

 

マリア「ぐぅっ!」

 

ツヤ「……終わりだ。」

 

マリアの腹から大量の血が溢れた。

 

マリア「…あぁ、先輩。これも貴方の遺志なのか?……」

 

マリアは再び死亡した。

 

 

 

 

 

 

“…ツヤ。”

 

ツヤ「…先生の気持ちも分かる。だが、秘密を知るためには彼女を殺すしかない。」

 

“……それでも…!”

 

ツヤはマリアの死体から星見盤を取ると、上に掲げた。

 

時計の針が動き、人が通ることの出来る形になる。

 

“…これは?”

 

ツヤ「…先生。ここから先が本当の秘密。医療教会の罪。この先にこそ、貴方の求める物はある。」

 

“…どこに繋がってるの?”

 

 

ツヤ「全ての始まりの地、漁村。忌々しい罪の場所さ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

先生とツヤは時計の道をくぐり、先に進んだ。

 

“なに、これ、、?”

異質。先生はその村にそんな印象を受けた。周りには、重苦しい気配が漂っている。先生は、このような場所は初めて経験した。

 

先生が奥に目をやると、誰かがいることが分かる。

 

“…あれは?”

 

ツヤ「警戒しなくてもいい。あれはこの村の村長さ。……正気じゃないがね。」

 

 

 

村長「ビルゲンワース…ビルゲンワース…

冒涜的殺戮者…貪欲な血狂い共め…

奴らに報いを…母なるゴースの怒りを…

ギイッ!ギイイッ…

憐れなる、赤子に救いを…

どうか、救いのあらんことを…

 

…奴らに報いを…

赤子の赤子、ずっと先の赤子まで、永遠に血に呪われるがいい…

不吉に生まれ、望まれず暗澹と生きるがいい…

ギイッ!ギイイッ…

 

憐れなる、赤子に救いを…

ついにゴースの腐臭、母の愛が届きますように…

ギイッ、ギギギギイッ…。」

 

 

 

 

“……一体ここで何が、、?”

 

ツヤ「殺戮だよ。

ビルゲンワースの中でも、後に聖歌隊とメンシスを作る者。伊津ユリエと檻冠ミコを中心とした者たちが、

この漁村の住民を殺戮した。」

 

“…嘘でしょ?ユリエがこんなこと……”

 

ツヤ「詳しくは、目覚めてから本人に聞くんだな。

ともかく、この出来事がきっかけで、ムイは眠りにつき、レンとルドは獣と化した。しかしこの記憶は忘れ去られ、この悪夢が作られた。」

 

“…ユリエたちは、何を目的に?”

 

ツヤ「それは……」

 

“……ツヤ?”

 

鐘の音。ツヤは立ち止まる。

目の前には、見知らぬ生徒がいた。

 

ツヤ「始末屋のラド……俺たちを始末しに来たか。」

 

“どうするの?”

 

ツヤ「先生、俺は恐らく勝てない。アンタだけでも先に行け。」

 

“そんな!”

 

ラド「ウォォォォォ!」

 

先生とツヤの間にラドが割って入る。ツヤは、その槌を、自らの剣で止めた。

 

ツヤ「時間がない!早く!」

 

“…分かった。また後で!”

 

 

 

 

 

 

 

ツヤ「また後で、か。…お願いだ先生。悪夢を、終わらせてくれ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

──────────────────

落葉

時計塔の狩人、マリアの狩武器

カインハーストの手による仕込み刀であるが

血の力ではなく、高い技量をこそ要求する名刀である

 

マリアもまた、「落葉」のそうした性質を好み

特殊な血族でありながら、血刃を厭ったという

 

だ信頼する友は狂い、尊敬する先輩も夢に消えた

彼女にとって、実験棟の患者のみが自分に残ったものだったのだ

33話ラストの選択肢

  • 1
  • 2
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。