匂い立つ学園、ヤーナム【完結】   作:セルビア

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30 悍ましい獣

馬車はオドン教会の前に着いた。

 

“みんなはここで待ってて。この子を他の避難民に預けてくる”

 

ホシノ「分かった。ここで待ってるよ〜。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

“嘘、でしょ?”

 

オドン教会にたどり着いた先生が見たのは、まさに惨状だった。

 

偏屈な男の死体。

アリアンナの死体。

神音ラオの死体。

神音リリの死体。

避難させていた人は、全滅していた。

 

赤ローブ「ああ、どうしてこんな…先生…。」

 

“まだ生きてる人が……!?”

 

赤ローブ「あぁ、先生。避難民を連れてきてくれたみたいだけど、もうここは駄目だ……。」

 

“一体何が、、?”

 

赤ローブ「最後に連れてきてくれた人がいただろう?彼女が獣だったんだ。それで、みんなを……」

 

“そんな……”

 

先生は、自分のせいで避難民が全滅してしまったことを知った。

 

赤ローブ「今は狩人さん達が聖堂教会の方に追い詰めてるよ……ぐぅ!」

 

“大丈夫!?”

 

赤ローブ「先生、俺はただ、あんたの友達に…やっぱりいやかなあ…」

 

“そんなこと……!”

 

赤ローブ「…。」

 

赤ローブの男は、生命活動を停止した。

 

“……私のせいだ…。”

 

“………ごめん、ここで待ってて。”

 

先生は、イトをオドン教会に置き、外に出た。

 

 

 

 

 

 

“…避難民は、全滅してた。”

 

その言葉に、三人は驚く。

 

“避難民の一人が、すでに獣の病に感染してたんだ。”

 

先生は、遠くに見える教会を指さす。

 

“…あそこに狩人たちが追い詰めたみたい。みんな、一緒に止めてくれる?”

 

三人が、先生の言葉を否定することは無かった。

 

 

 

 

 

 

 

ミカ「うわ、ひどい有様だ。」

 

聖堂教会に向かう途中の医療教会の狩人は、全員倒れていた。

 

“イリン達が危ない!”

 

聖堂教会の階段には、見覚えのある人物が倒れていた。

 

デュラ「う、あんた……先生か?」

 

“デュラ!大丈夫!?”

 

デュラ「俺はもう駄目だ。イリン達に早く加勢してくれ。」

 

“でも……”

 

ホシノ「……先生、行こう。」

 

“ホシノ……”

 

デュラ「……そこの嬢ちゃんの言う通りだ。早くあいつらを、助けてやってくれ。」

 

“……分かった。”

 

 

 

 

 

デュラ「あぁ、これで終わりか……。だが、これも報いなのだろう。

狩人と称し、人々を殺した俺の、報い……。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

先生たちが聖堂教会に到達したとき、巨大なケモノと、イリン、コイが戦闘していた。しかし、コイの様子がおかしい。

 

コイ「ウォァァァ!」

 

イリン「落ち着け!血に飲まれるぞ!」

 

“加勢に来たよ!”

 

イリン「先生!?…助かるよ!」

 

獣「アンタも、私を殺すのか?」

 

“っつ!それは……!”

 

ホシノ「先生!攻撃が!」

 

先生に向かって攻撃が飛ぶ。しかしそれは、コイの攻撃によって妨げられた。

 

コイ「汚れた血の匂いだ。獣は狩らねばなるまいな…」

 

獣「狩人など、お前らの方が血塗れだろうが!」

 

イリン「…先生、悩むのはいい。だが、まずは奴を止めることだね。」

 

“…分かった。みんな!”

 

 

 

 

 

 

5対1。それはいくら獣といえども、覆すことのできない差だった。

 

ホシノ「ハァ!」

 

コイ「ウォァァ!」

 

ホシノの獣肉断ちと、コイの獣狩りの斧が獣の腕を切り付ける。

 

獣「クソッ!クソッ、クソッ!狩人など!獣だと?獣だとっ?あんたに何が分かる!私だってなあ!」

 

コイ「黙れ。」

 

獣「は……」

コイは、獣の眼前に迫る。

 

獣「知ってるかい?人はみんな、獣なんだぜ…」

獣の首は、落とされた。

 

 

 

 

 

 

“……。”

 

ホシノ「今のは一体…うわぁ!」

 

先生達の目の前に、小人が現れ、手紙を見せる。

 

『この先、聖歌隊があるぞ』

 

“……それはどういう……って、ええ!?”

 

先生が目を開けると、小人たちが大量に現れ、自らの身体で籠の形を作っている。

上にある滑車の形を見ると、エレベーターだろうか。

 

ミカ「乗れってこと、なのかな?」

 

先生たちはエレベーターに乗り込む。

 

ヒヨリ「な、なんだか変な感じです…」

 

“そうだ、イリン、君達も一緒に…”

 

イリン「それは…できそうにないね。」

 

 

 

 

コイ「ウォァァァ!」

 

コイがイリンに襲いかかる。

 

“コイ!?なんで!?”

 

イリン「血に飲まれちまったのさ。可哀想にね。」

 

“今加勢に……”

 

イリン「やめとくれ、これは私の仕事だよ。狩人狩りのね。」

 

ヒヨリ「…先生、行きましょう。」

 

“……死なないで!”

 

先生たちはエレベーターで上に登り、聖堂教会の奥に向かった。

 

 

コイ「ウォァァァ!」

 

イリン「…可哀そうにね。せめて介錯が、狩りの情けというものさね…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

─────────────────────

シスターの狩装束

神音コイの狩装束

 

うす汚れた首巻は、医療教会の象徴たる聖布であるが

彼女自身は、最終的に教会と袂を分かっている

 

彼女が転校してきた際に共に持ってきた装備であり、

彼女を蝕み、ついに恐ろしい獣と化した「臭い」が染み付いている

 

なおシスターとは、元々が異邦の聖職者であった故の呼び名であり

医療教会では、シスターという敬称は使用されない

33話ラストの選択肢

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