匂い立つ学園、ヤーナム【完結】   作:セルビア

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34 最後の狩人、▓▓▓▓▓

介錯の願い。それに対して先生は……

 

“それはできない。”

 

先生は、剣を取らなかった。

 

ルマ「……何故?私を殺せば、テキストは剥がれ、全てが元に戻るのだぞ?」

 

“……それでも君は、私の生徒だから。”

 

ルマ「…先生は、まだ私を生徒だと思っているのだな。しかし……これを見ても?」

 

ルマの頭上から、ヘイローが消える。それは、気絶した時の消え方ではない。文字通り、消えた。

 

背が伸びる。少女の姿から、女性の姿に。

 

服が変わる。ボロボロの服が、洋式のコートに。縒れた帽子は羽根付きの帽子に。

 

ルマは、狩人となった。

 

 

 

 

その姿を見て、ホシノ達は気づく。

 

ホシノ「!Ms.ヤーナム!」

 

“Mr.ヤーナム?”

 

ミカ「セイアちゃんの夢に出てきた謎の人だよ。もしかしてとは思ってたけど…!」

 

狩人「ほう?私を夢で見たものがいるらしい。恐らくその者は、夢への感受性が高いのだろう。

 

……それで、先生。私は生徒ではなくなった。テキスト上ではそのままだが、今の私にはヘイローもなく、子供でもない。

これで、殺してもらえるか?」

 

“…できない。生徒でないとしても、私に人は殺せないよ。”

 

狩人「…そうだろうな。貴殿はそういう人だ。ならば、」

 

狩人は、右手にノコギリ鉈、左手に散弾銃を装備する。

狩人「貴殿らを、せめてこのヤーナムから脱出させよう。」

 

 

“…戦うしか、ないの?”

 

狩人「……ああ。貴殿が私を殺せないなら、せめて私が貴公らを殺し、このヤーナムから解放しよう。」

 

“………分かった。みんな!”

 

ホシノ「分かったよ。先生。」

 

ミカ「最終決戦じゃんね!」

 

ヒヨリ「が、がんばります……!」

 

 

 

 

 

狩人の初撃を受けたのは、ホシノだった。獣肉断ちで防いだものの、その攻撃は重い。

 

ホシノ「ぐぅっ!」

 

狩人「扱い辛いだろう。そのはずだ。それは元々、私の武器なのだからな。」

 

ホシノ「やっぱり、あの小人たちの主人も貴方だったんだね…!」

 

ミカ「下がって!」

 

ホシノが下がると、ミカのトニトルスが狩人に向かう。

 

しかし攻撃の瞬間、狩人が銃弾を放った。

 

ミカ「くっ!」

 

ミカの体勢が大きく崩れる。

 

狩人「…すまない。」

 

狩人の腕が、ミカの腹に叩き込まれた。

 

ミカ「ぐぅっ!?」

 

“ミカ!”

 

ミカ「だ、大丈夫…これくらい!」

 

ミカは立ち上がる。しかし、体に違和感。

 

ヒヨリ「ミカさん!体が…!」

 

ミカの体が、()()()()()()()

 

ミカ「これは…?」

 

狩人「夢から目覚めようとしているのだ。だから消える。」

 

ホシノ「……それはおかしいよ。だって私たちは絶対起きないように機械で…。」

 

狩人「確かにそうだろう。しかし、

現実側から起こされているとしたら、どうだ?」

 

 

 

 

 

 

────────────────────

 

 

 

 

ウタハ「ミカさんの脳波に異常発生!これは…夢の中で何らかのダメージを負ったようだ!」

 

リン「このままでは…!」

 

ヒマリ「……仕方がありません。すぐにミカさんの意識をサルベージ!残る2人も異常が発生次第速やかにサルベージして下さい!」

 

ユウカ「先生…。」

 

 

 

────────────────────

 

 

 

 

 

 

 

 

ミカの体は消えた。

それは同時に、少しのダメージが戦闘からの離脱に繋がることを意味していた。

 

ホシノ「お前…!」

 

狩人「案ずるな。彼女は死んでいない。ただ、夢から目覚めただけだ。しかし……。」

 

ホシノの目の前から、狩人が消える。

 

ヒヨリ「あれっ!?一体どこに?」

 

 

 

 

 

狩人「次は、君だ。」

 

ヒヨリ「ぐっ!?」

 

ホシノ「ヒヨリちゃん!?」

 

ヒヨリの背後に回った狩人はヒヨリに散弾銃を叩き込む。

 

ヒヨリ「うっ……。」

 

そして、ヒヨリは消えた。

 

“ヒヨリ!”

 

狩人「あと一人……だな。」

 

 

ホシノ「よくも2人を!」

 

ホシノが狩人に飛びかかる。

 

“ホシノ!落ち着いて!”

 

狩人「…そうだな。冷静さを無くしたものなど、獣と変わらん。」

 

ホシノ「黙れ!」

 

狩人「!この膂力!只者では無いようだ。」

 

ホシノ「黙れ黙れ黙れ!」

 

ホシノは怒りに任せ、獣肉断ちを振るう。

そして遂に、狩人に一太刀浴びせた。

 

狩人「くっ…」

 

狩人は倒れ、体は消える。

 

ホシノ「ハァ…ハァ…ハァ…」

 

“……やったの?”

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

狩人「貴殿は素晴らしい強さを持っているらしい。

……本来の武器を持ち、このような夢でなければ、私は負けていただろう。」

 

ホシノ「がっ!?」

 

油断していたホシノの背中に、ノコギリ鉈の太刀が浴びせられる。

 

ホシノ「うっ……あなたを殺せば、全部終わるんじゃ無かったっけ…?」

 

狩人「確かにそうだ。だが、それは『先生が』殺した時だけ。

……先生が『生徒』である私を殺し、テキストを剥がさなければこの悪夢は終わらないのだ。」

 

ホシノ「くっ…先生、後は頼んだよ…。」

 

ホシノの肉体は消える。

 

狩人「…これで、貴方一人だな。先生、今からでも私を……」

 

“もう一度言うけど、それはできない。”

 

狩人「……そうだろうな。ならばせめて、この夢から解放しよう。」

 

狩人は先生に近づく。

 

 

 

 

 

 

狩人「……何?」

 

狩人が、動きを止めた。

 

“…うまくいったみたいだね。”

 

狩人「先生、何をした?

()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()?」

 

 

アロナ「それは私たちの力です!」

 

プラナ「はい。私たちがこの夢に干渉しています。」

 

 

狩人「……シッテムの箱か。だが、何を?」

 

“…この前、君がシッテムの箱に侵入したことがあったよね?”

 

狩人「?ああ。……まさか!?」

 

アロナ「それを逆手にとって、この夢をハッキングしたのです!」

 

狩人「そんな……ことが?」

 

アロナ「このスーパーアロナちゃんにとってはお手のものです!」

 

プラナ「……私も頑張りましたよ。」

 

 

狩人は少し考え込み、そして口を開く。

 

狩人「……まさかこのような手を打ってくるとはな。だが、ここからどうする?

確かにヤーナムとこの夢の接続は切れつつある。しかし、私が生きている限り、『ヤーナムの生徒である限り』。

完全にはこの悪夢は終わらないだろう。」

 

 

 

 

“……これを使う。”

 

先生は懐から1枚のカードを取り出す。

 

狩人「……!それは……!」

 

“大人のカードだよ。”

“これで、君のテキストを剥がす。”

 

狩人「先生、それを使うと貴方は……!」

 

“…それでも。”

“私は君含め、皆を助けたいから。”

 

先生は、大人のカードを使った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

“………?”

 

先生は見知らぬ空間にいた。目の前には、マリアによく似た女性がいる。

 

「先生、ありがとうございました。狩人様を解放していただいて。」

 

「もうすぐ、夜が明けます。きっと、ほとんどの人は、ヤーナムでの出来事を覚えていないでしょう。でも、これでいいのです。」

 

 

 

 

「先生、本当にありがとうございました。

 

 

貴方の目覚めが、有意なものでありますように。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

──────────────────────

 

 

 

ヒマリ「先生の無事を確認!!」

 

ユウカ「先生、良かった…!」

 

リン「これで…一件落着ですね。」

 

 

ヒマリ「よし、それでは…

 

()()()()()()()()()()()()()()()()からの撤収を開始してください!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

──────────────────

古びた手紙

先生がヤーナム医療学園に入るきっかけとなった手紙

自らの字で、青ざめた血について書かれていた

 

真実、青ざめた血などヤーナム自治区には無かった

これは、先生を一人で訪れさせるための

ただのいたずらに過ぎなかったのだ

 

現在、この手紙に書かれた文字は消えている

白紙に戻ることこそ、悪夢の終わりを意味するのだ






もう片方のルートは気が向いたら書きます

33話ラストの選択肢

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