匂い立つ学園、ヤーナム【完結】   作:セルビア

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エピローグ 夜明け

その後の話。

 

先生は、ナイチンゲールメディカルスクールの学区内で保護された。

事件の概要はこうだ。

 

ナイチンゲールメディカルスクール生徒会『医(・)療(・)協(・)会(・)』は、認可されていない薬品を使用するなど、違法行為を繰り返していた。そんな彼女らが次に目をつけたのが、先生という『大人』の存在である。

 

彼女らは先生を虚言を使い誘拐。治験されそうになった所を現地の協力者とホシノ、ミカ、ヒヨリの三人からなる選抜部隊により救出された。

 

実行犯であった井(・)筒(・)ユ(・)リ(・)、織(・)缶(・)ミ(・)ラ(・)は矯正局に送られ、他の医療協会メンバーも様々な罪により現在取り調べを受けている。

死亡者、行方不明者はともに0。事件は幕を下ろした。

 

そういうことになっていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「狩人?私はただの火薬職人だよ。その…旧市街?とやらのことは聞いたこともないな。」

 

 

「確かに私には二人の妹が居ますが…別に何も問題はありませんし、健康体ですよ?

というかそもそも私達は初対面ですよね?」

 

 

「マリア…?なんだか高貴そうな名前だけど、私はそんな名前じゃないよ?私は土岐形リア。人からは、灯(・)台(・)の(・)リ(・)ア(・)と呼ばれてる。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

シャーレ

 

“……本当に、誰も覚えていないんだね。”

 

先生は、シャーレの壁に立てかけられている剣を観ながら一人話す。

月光の聖剣。あの日、助け出された先生が何故か持っていた物。

今はこれと、先生が持っている手紙のみが、ヤーナムがあった、ということを物語っていた。

 

 

 

 

 

 

 

「オオォォォ…」

 

突如先生の足元から、音が響く。

 

“うわっ!?”

“……あれ?君たちは…。”

 

先生の足元には、あの小人たちがいた。小人たちは、手紙を持っているようだ。

 

『先生、久し振りだな。貴方があの夢を切り離してくれたおかげで、ヤーナムの悪夢は終わった。

間違ったテクスチャで起こったことは修整される。きっと、私が訪れた当初の、『ナイチンゲールメディカルスクール』がある世界に修整されているだろう。

……先生は、誰もあのことを覚えて居ないことを気にしているかもしれない。

しかしいいのだ。あのようなもの、早く忘れた方が良い。』

 

“……忘れた方が良い、か。”

 

その後、ヤーナムで起こったことの記録について書かれた後、

最後に一つの文があった。

 

『何かあったら呼んでくれ。あそこのような特殊な環境でない場所で、少しの干渉なら、もはやテクスチャが被さることはないだろう。

この鐘と空砲があれば、いつでも私を呼び、そして追い返せる。』

 

小人たちが、鐘と空砲を手渡す。

 

『機会があればまた会おう。我が友。

最後の狩人、▓▓▓▓▓より。』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「狩人様…。」

 

「ああ。人形か。どうした?」

 

「このようなことは、思うべきでは無いのかもしれませんが…

私は狩人様が命を捨てずにいてくれたことを、嬉しく思うのです。」

 

「……そうか。それは、良かった。」

 

「これからどうするのですか?」

 

「そうだな……ひとまず、世界の観測は中止としよう。」

 

「……それは何故ですか?今まではあんなにも……。」

 

「……今までの私は、過去に囚われていた。過去の夢に囚われ、過去の仲間を追い求めた。

……ゲールマンも同じだったのかもな。」

 

「ゲールマン様も……?」

 

「だが、キヴォトスに行き、先生と出会い、気付いた。

……過去は過去で、夢は終わるものなのだ。」

 

「狩人様…。」

 

「……人形。一つ祝いの準備をしてくれないか?」

 

「お祝い?それは何の……?」

 

 

 

 

「ヤーナム医療学園の、夜が明けたことに。」

 

 

夢は終わり、そして朝が来る。

この時をもって、匂い立つ学園の夜は明けたのだ。

33話ラストの選択肢

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