「さて、ここからは下水道を使いましょう」
ユリエが切り出す。
“下水道?”
「今、聖堂街につながる唯一の橋は閉鎖されているのです。まだ無事な人々を保護するために」
“なるほど。分かったよ。じゃあここから……”
「あ、あのっ!」
ユリエと先生がルートを話していると、後ろからリボンの少女に話しかけられた。
見たところによると、年は中等部といったところだろうか。
“………君は?”
「あ、いきなりすみません!あなた、先生なんですよね!」
“そうだけど…。”
「お願いです!私の姉たちを探して下さい!」
“お姉さんたち?”
「私の姉たち…1人は狩人なんですけど、二人とも帰ってこないんです。私、不安で…」
「それは大変でしたね」
“分かった。お姉さんたちは必ず見つけるよ。”
先生はその少女の依頼を受けることにした。こんな状況だが、生徒の頼みを断るわけにはいかない。
「…!ありがとうございます!」
リボンを付けた少女は頭を下げた。
“それで、君とお姉さんたちの名前は?”
少女はハッとしたような顔をして答える。
「あ!私まだ名乗ってなかったですか?
ごめんなさい!私の名前は神音リリ!狩人のお姉ちゃんが神音コイで、もう一人が神音ラオお姉ちゃんです!」
“分かった。2人の特徴を教えてもらえるかな?”
「コイお姉ちゃんはシスター服で、ラオお姉ちゃんは赤いブローチをしています!
あ!あとこのオルゴールを!」
“これは?”
「これは私たちの好きな曲のオルゴールです!いつもは持っていくのに、今日は二人とも忘れて行ったんです!きっとこれを聴けば…!」
“分かった。届けておくよ。”
「お姉ちゃんたちを、よろしくお願いします!」
こうして先生とユリエは下水道に向かった。
少女の依頼がどこにいくかも分からぬまま。
“こっちの道は人が少ないね。”
「…なぜでしょうか?私が来る時に鎮圧したとはいえ、この数は少なすぎます」
ユリエが不思議に思いながら歩いていると、
突如、ユリエが先生を庇う。
ユリエの腕にナイフが突き刺さる。
「ぐっっ!」
“何!?”
「チッ!仕留め損なったか。私も腕が鈍ったね」
下水道の上から声が聞こえる。
「やはりあなたでしたか、羽鳥イリン!」
ユリエに名前を呼ばれた生徒、ペストマスク姿の羽鳥イリンは先生たちの前に姿を現した。
“ユリエ、傷が!”
「大丈夫です。この程度。これでっ…!」
ユリエが輸血液を体に突き刺すと、傷はみるみるうちにふさがった。
“傷が…?”
「…それがヤーナムの『血の医療』だよ」
その問いには、イリンと呼ばれた少女が回答。
“血の医療…これが…!?”
「…気をつけてください先生。彼女は羽鳥イリン。『狩人狩り』と称して私たちを襲う危険人物です!」
「危険人物?ハッ。確かにアンタら医療教会から見たら私は危険だろうさ。
けどね。私たちは忘れちゃいない。アンタら医療教会が旧市街にやってきたことを」
“旧市街?”
イリンはそう言うと、先生に向き直る。
「そしてアンタ…先生だね?なんでこんなヤツといるかは知らないが、早くこの街を去りな。ここはまともな人間のいるべき場所じゃないんだよ」
“…それはできない。私は生徒の味方だから。”
「…ハァ、アンタとんだ馬鹿だね。
…いいさ、なら力ずくで!」
羽鳥イリンが武器を構える。
“!ユリエ!戦闘”
その瞬間、先生の意識は暗闇に落ちた。
「…味方を気絶させるとは、さすが医療協会だね」
「やめてくださいよ。褒められてもうれしくありません」
「……そいつ、どうするつもりだい」
「夜を終わらせる協力をしてもらいます」
「…それは、ヤーナムのためか?」
「…いいえ。人類のためですよ」
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小さなオルゴール
リリから預かった、小さなオルゴール。
家族の思い出の曲が流れるらしい。
蓋の裏には写真が貼ってあり、
よく見ると家族写真のようだ。
リリ、ラオ、コイの三人が写っている。
33話ラストの選択肢
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1
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2