POKEMON☆ADVENTURE   作:神爪 勇人

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気が付けば1年近く更新していなかった・・・だと?

『前回までのお話』
ニビシティで、ついにサトシはポケモンジムでのトレーナー対決での初挑戦。
そのファイトぶりを認められ、ポケモンリーグ参加資格の一つであるグレーバッジを手に入れたサトシ。
ポケモン界のトップブリーダーを目指すタケシも加わり、旅は続く。
続くったら、続く。


第6話 ピッピと月の石!

でもって、その続き。

こんにちは、妹のミドリです。

4月13日現在。

私達は今、オツキミ山にやってきました。

次のジムがあるハナダシティへの最短の近道は、この山なのです。

 

「オツキミ山って風流な名前よねぇ」

「風流も風流。この山には隕石が落っこちたっていう伝説があるんだ」

 

カスミとタケシの言葉に、馬鹿兄が「隕石?」と首を傾げた。

 

「お兄ちゃん、また馬鹿な事考えてない?」

「おいおい失礼だなミドリ。それだと俺が常日頃馬鹿な事を考えてるみたいだろ」

 

いや、実際そうでしょ。

 

「ただ隕石のコスモパワーと、俺のマサラパワーのどっちが上なのかと気になっただけだぜ?」

「ごめん、意味分かんない」

 

もう10年も生まれた時から一緒にいるが、この兄の思考回路が理解できません!

 

「うわぁぁああああああああああああああああああああああああ‼‼‼」

 

「!? 何?」

 

急に悲鳴が聞こえて来て、私達は立ち止まる。

兄が「あっちだ」と気配でも感じたのか駆け出し、私達もその後に続いた。

 

 

◆◆◆

 

キーキーキー、と金切り声の様な音が聴こえてくる。

足を進めると、そこにはズバットの群れに襲われてる人が!

 

「ズバットか」

 

兄はポケモン図鑑を取り出して、ズバットの情報を読み取る。

 

「ちょっと何やってんのあの人を助けなくちゃ‼」

「そうだよお兄ちゃん!」

「ちょっと待て。ちゃんと図鑑で情報を取らないと、俺の図鑑の『出会ったポケモンの数』が更新されない!」

「そんな事どうでもいいでしょ!?」

「よくねーよ! どっちの出会いが多いかマサラタウンに帰ったら勝負しようぜ‼ってシゲルと賭けてんだからよ‼」

 

シゲルさん、お兄ちゃんと何やってるんですか!?

 

「兎に角早く助けないと! フシギダネ‼」

「ダネ!」

 

私は相棒のフシギダネに、ズバットを蹴散らす様に指示する。

ピカチュウも電撃を放ち攻撃し、駄兄もマサラ波でズバットを蹴散らす。

・・・・・・うん、もうツッコまないよ私は。

 

「おーい、大丈夫か?」

 

洞窟の奥へと逃げていくズバットを見送り、兄が襲われていた人を足で突いた。

いや、礼儀悪すぎるよお兄ちゃん・・・・・・。

 

「うぉぉおおおおおっ! 君達は素晴らしいぃぃいいいいいいいいいいっ‼」

 

倒れていた人は急にガバッと起き上がり、お兄ちゃんに熱き抱擁を交わそうとするが、

 

「マサラ丸‼」

「グハァッ!?」

 

お兄ちゃんがマサラ丸でふっ飛ばして・・・って、

 

「ちょっ、お兄ちゃん!?」

「野郎が俺に抱き着くんじゃねぇよ。俺に抱き着いていいのは女とポケモンだけだぜ」

 

あ、ポケモンは良いんだ。

 

「人間とポケモンの斯くも熱き絆、見せてもらいました!」

 

あ、起き上がった。

丈夫だな、この人。

 

「絆?」

「そうとも! モンスターボールなんか無くたって、人間とポケモンは分かり合える!」

 

そして山に向かって「お天道様ありがとぉぉおおおおおおおおおおおお‼‼」と吠える。

見かけによらず熱い人だ。

 

「で、ズバットは何でオッサンを襲ってたんだ?」

「オッサンじゃない! 僕の名前はリカオ。ニビシティ科学博物館の、愛と! 勇気の! 研究員‼」

 

・・・・・・研究者って変な人多いよね。

カスミもタケシもポカンとしてるもん。

 

 

◆◆◆

 

 

「この洞窟を見てごらんよ」

 

リカオさんの案内で、私達はオツキミ山の洞窟の中へ進む。

洞窟の中は、壁に取り付けられた電球のおかげで明るく、洞窟の中って感じがしない。

 

「昼間みたいに明るいだろ? 変な連中が洞窟中をこんなにしちゃって、おかげでポケモン達の生活は滅茶苦茶さ」

「ズバットはこの光のせいでおかしくなってしまったんだな」

「他にもパラスがキノコをパラパラ植えたり、サンドは身体が干からびて散々。だから僕は、悪い奴等からオツキミ山を護るために、パトロールをしてるんだ」

「へぇ、パトロール・・・・・・」

「でも、何で荒らされてるんですか?」

「・・・・・・月の石が有名になったからさ」

「そうなのか・・・・・・」

「そうなんだ・・・・・・」

「・・・・・・・・・・・・・・」

 

兄が黙ってチラッと私を見た。

何だろう?

 

「なぁ、ミドリ」

「何?」

「お前月の石でメイクアップとかしてみないか?」

「・・・・・・は?」

 

意味が分からなかった。

 

「いや、洞窟を荒らす悪い奴等を『月に代わってお仕置きよ』的な感じで変身とか」

「いや、しないから」

 

どういう発想うなんだろうか?

 

「ああ、大宇宙のロマンチック! 月の石‼」

 

私と兄の馬鹿なやり取りを無視し、リカオさんは何かトリップしだした。

何なんだろ。

 

「この山に眠っていると言われながら、未だ破片しか見つかっていない! 伝説の宇宙からの贈物‼ 月の石がポケモンのパワーをアップさせるという研究報告が出てから、人間は月の石を探してドンドン山の中に入って行ったんだ」

「なるほど」

「僕はね、小さい頃から、ポケモンは宇宙から来たと思ってるんだ!」

「「「宇宙!?」」」

「ああ。きっと月の石は宇宙船で、ポケモン達はそれに乗って地球に来たに違いない‼」

「凄い発想力・・・・・・」

 

ホント、子供並みだ。

 

「いいや! きっとそうなんだ‼ 月の石はポケモンの物! 人間が取っちゃいけないんだ‼ なぁ、そう思うだろ!?」

「そーですね」

 

兄に力説するリカオさんだが、兄は適当に聞き流してる感じだ。

あまり興味なさげ。

 

「いや、待てよ? 月の石のパワーで俺のマサラパワーが上がったりするのかもしれん・・・・・・」

 

なんか馬鹿な呟きが聴こえたのは、きっと私の気のせいだ。

 

「あ!」

 

カスミの声に、みんなの視線が集まる。

見ると、そこにはピンク色の体色をした丸っこくずんぐりとしたポケモンが!

 

「アレは、ピッピだ!」

「キャー、可愛い!」

 

カスミのリアクションに、兄は「あーハイハイ、可愛いモノを見て可愛いって言ってる自分の事を可愛いって言うナルシーな自画自賛ね」と鼻を穿り乍ら呟き、それを聞いたカスミの鉄拳が愚兄に炸裂する。

その鉄拳を避けて、なんかマサラ人とハナダ人の戦いが始まった!

カスミもダンダン常人から外れていくなぁ・・・・・・。

私は思わずピッピをゲットしようとモンスターボールを取り出すが、リカオさんに止められてしまう。

 

「このままそっとしておいて欲しいんだ」

 

真剣なその眼差しに、私は渋々モンスターボールを仕舞った。

うー・・・ゲットしたかった・・・・・・。

 

―――――ピィィイイイイイイーッ!?

 

「!?」

 

ピッピの悲鳴が聞こえて来た!

さっきのピッピに何かあったの!?

 

 

◆◆◆

 

 

ピッピの悲鳴が聞こえた先に向かった私達の目に映ったのは、ピッピに迫っていた――――

 

「――――ニャース!?」

「ピカチュウ」

「ピッカァァァアアアアアッ‼」

「ニャアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!?!?」

 

私が驚いている間に、兄は有無を言わさず速攻で片付けるべくピカチュウに指示を出し、ピカチュウは10万ボルトでニャースを攻撃した。

お兄ちゃん、ちょっといきなりすぎだよ・・・・・・。

 

「この洞窟で悪さする奴ってのは、やっぱロケット団か」

「となれば、叩かねば漢が廃るってもんだ!」

「廃っててくれりゃあ良いのに」

 

!? この声は・・・・・・!

 

「世界の破壊を防ぐ為」

「世界の平和をm――――」

「ピカチュウ」

「ピッカァァァアアアアアッ‼」

「「――――ギャアアァァァァァーッ!?」」

 

ああ、台詞の途中なのに!?

お兄ちゃん容赦無さすぎ!

せめて喋らせてあげて!

こんなんでもレギュラーキャラだから‼

 

「「「のっけからやな感じぃぃいいいいいいいいいいっ!?」」」

 

あー、洞窟の外に飛んで行っちゃった・・・・・。

哀れ。

 

 

◆◆◆

 

 

その後、私達は洞窟の外に進むピッピの後に付いて行き、更に別の洞窟へとやって来た。

そこにあったのは、でっかい月の石。

・・・・・・きっとコレが欠片の本体だ。

私達が追っていたピッピ意外にも、たくさんのピッピがこの場所に居た。

そしてピッピ達が大きな石を囲んで、飛び跳ねて周り始める。

コレは、何だろう?

何かの儀式?

 

「・・・・・・・・・・」

 

ピッピの声を聞いて分かったが、ピッピ達にとってこの大きな月の石は、神様のようなモノらしい。

 

「なんか、こうして幸せそうに暮らしているピッピ達の邪魔はしたくないわね・・・・・・」

「そうだな・・・・・・」

 

うん。確かにそうなんだけど・・・・・・

 

「・・・・・・お兄ちゃん、両手を上に掲げて何やってるの?」

「いや、月の石から発せられてる宇宙パワーを集めようかと」

「そんな元気玉みたいな事出来る訳無いでしょ・・・・・・」

 

いつものことながら、兄のやる事には呆れるばかりだ。

 

「あ」

 

と、カスミが声を上げた。

何だ?と目をやると、大きな月の石の周りに並べている、月の石の欠片が輝き出す。

コレは・・・・・・!

 

「進化の光だ!」

 

ピッピ達が輝き出し、ピクシーに進化した。

流石に全員ではないが、この場にいる半分ほどのピクシーが進化した様だ。

 

「フ・・・・・・」

 

兄が何かドヤ顔してる。

まるで進化したのは自分のおかげだぜと言わんばかりのムカつく顔だ。

いや、お兄ちゃんの力じゃないからね、今の。

ホントにただの偶然だから!

 

 

◆◆◆

 

 

オツキミ山を登っている間に一晩明け、私達は洞窟を抜けた。

 

「リカオさーん、ピッピー、また会おうねー‼」

「さよーならー‼」

「ピッピ達、本当に宇宙から来たのかな?」

「そう考えると、楽しいわね!」

「ああ!」

 

リカオさんはピッピ達と一緒に暮らす為、オツキミ山に居を構えるんだそうだ。

これもまた、ポケモン大好き人間の1つの姿なんだろう。

 

「この道を行けば、ハナダシティだ」

 

洞窟を抜けた先の森を抜け、看板が目に入る。

看板には『ハナダシティへの近道はこちら』と描かれていた。

 

「ん? 落書きがあるぞ」

「いるんだよなぁ、看板とかポスターに悪戯書きする奴って」

 

お兄ちゃんが「どれどれ?」と、書かれた落書きを読み上げる。

 

「『シゲル参上! サトシのバーカ‼』・・・・・・子供かアイツは」

「まぁ、私達まだ10歳だし」

 

10歳児の発言じゃないかもだが。

やれやれと肩を竦めながら、私達はハナダシティを目指す。

 

 

ああ、ライバルたちは今何処に?

遅れたっていいじゃないか。

最後に笑うってのも、結構カッコいいかもしれないぞ。

たぶん。

続く・・・・・・

 

 

兄の一言

「よーし、俺も落書きしてやる! えーと『マサラ神サトシ様降臨! シゲルは下僕‼』っと・・・・・・」

 

妹の一言

「お兄ちゃんも子供じゃん・・・・・・」

 

.




次回予告

今度はハナダシティのジムでブルーバッジをゲットするぜ!
ってあれぇ? 中で深紅のナイスの睡眠具やってる!
え? 何だミドリ?
『深紅のナイスの睡眠具』じゃなくて『シンクロナイズドスイミング』だって?
それだと深紅色のナイスな睡眠アイテムだろって?
どっちも同じようなもんだろ、水中でだって寝れるぜ、俺?
シンクロナイズドスイミングだって水中で何か沈んだり浮かんだり漂ったりしてるだけじゃん。
つか、此処は何処? ポケモンジム? それともソープなの?
え? 何だミドリ?
ソープじゃなくてプールだろって?
いや、だって美女が3人も並んで濡れてるんだぜ。
ソープだろ?
それに何でカスミがいるんだよ!?
お前にソープ嬢は務まらん!
後5年は成長してから出直して来い‼
圧倒的に色気が足りんわ‼‼
え? 何だミドリ?
後? 後ろを見ろって?
え、何で? 何かいるの?
何かそれ俺への死亡フラグの様に聞こえるんだけど?

次回! ポケットモンスター‼
ハナダシティの水中花

おいカスミ、何でお前そんな般若みたいな顔してんの?

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