――イシュガル大陸・フィオーレ王国
意識が、ゆっくりと戻ってくる。
最初に感じたのは、潮の匂いだったんだ…
そして、肌を撫でる湿った風が吹くのが分かる
「……?」
アラジンは、石畳の上に座り込んだまま、目を開ける。
空は青い。
だが、ルフの流れが――今までと違う。
(……ルフがない?)
正確には、“ない”わけではない。
だが、マギの世界のように万物を巡る意思ある流れではなく、
もっと直接的で、荒々しい力が空気中に満ちている。
アラジンは立ち上がり、周囲を見渡す。
巨大な港。
停泊する無数の船。
石造りの建物と、賑やかな人々の声。
――看板に書かれた文字が、自然と読めた。
《Hargeon(ハルジオン)》
「……」
ここが、彼の辿り着いた“別の世界”であると言うことをまだ知らない
◆
街を歩きながら、アラジンは気づく。
人々が、あまりにも自然に「魔法」という言葉を使っていることに…
「魔導士ギルドがさ」
「仕事の依頼がどうとか」
「有名な魔導士が来てるらしいぞ」
(……ここでは魔法が、生活の一部なんだ)
マギの世界では、魔法は力であり、理であり、時に神に近いものだった。
だが、この世界では――
魔法は、職業だ。
僕はどこかマグノシュタットでの日々を思い出していた
あそこでは皆が魔法を使い生活の一部と化していたからね
街中を歩いていると港の方角が、急に騒がしくなった。
「おい、知ってるか!?」
「フェアリーテイルの魔導士が来てるんだって?!」
「それもあの最近有名な火竜(サラマンダー)らしいんだ!」
アラジンの足が、止まる。
「なんだか騒がしくなってきたねぇ〜」
◆
港の一角。
少し不安げな表情で歩く少女がいた。
長い金髪。
星の鍵を腰に下げた、白色の服装。
彼女の名は
ルーシィ・ハートフィリア。
まだ、彼女は知らない。
この出会いが、人生を変えることを。
◆
アラジンが街中を探索していると港の方から騒ぎ声が聞こえるのが分かった
「なんなんだい?」
近くまで見に行くと
「「「きゃー!!」」」
「きゃー!火竜(サラマンダー)様よ!」「素敵!!」
多くの女性達がある男を囲っているのが見えた
「火竜(サラマンダー)…」
僕が遠目から見つめているとその中心に1人の男が飛びついていくのが分かった
「イグニール!!…イグニール!!!」
桜色の髪をした青年はその男の前まで意気揚々と近づいていったのだが…自分の求めていたものと違う回答だったのか興味を無くし帰ろうとしたところを先程の男のファン達から袋叩きにされていたのだった
「うごっ!…なんだったんだ…あいつは」
そう呟く青年に今度は
「本当いけすかないわよね。あ、さっきはありがとね!」
金髪の髪を左側でリボンを使い纏めてた少女が隣になっていた
桜色の少年と隣にいた青色の猫は怪訝な顔を浮かべていると
さらに
「やぁ!さっきは災難だったね!」
今度は反対側に夜空の魔力をそのまま纏ったような青年が立っていた。深い蒼の髪は伸び、静かに揺れる三つ編みが背で光を弾くように。。切れ長の瞳は優しさを残しながらも耳元で揺れる蒼玉のピアスが、彼の神秘性を際立たせていた。
服装も白と紅の衣は大人びた身体に馴染み、金の装飾と宝石がその人物が只者ではないと語るようであった
「あらイケメン!!」
「誰だお前?」「あい!!」
◆
港町のとある料亭で先程知り合ったばかりの4人?3人と一匹?は食事にありついていたのだった
「あんふぁいいひふほがぶぁ」
「うんうん」
桜色の少年と青色の猫はお腹が空いていたらしく驚きのスピードで食事にありついていたのだった
「あはは…ナツとハッピー…それにアラジンだっけ?」
「ぐぼぼぼぼ」
「うんそうだよ!君はなんて言うのかな?」
アラジンは金髪の少女の隣につき最近ハマっているワインを嗜む程度に飲んでいるのだった
「はいはい分かったからあんた達はゆっくり食べなって…なんか飛んできてるから…私の名前はルーシィよ」
「へぇ〜ルーシィさんって言うんだね。」
「ルーシィで大丈夫よ?見たところ世代も近いし。それよりさっきの男の話…あの火竜(サラマンダー)って男、魅力(チャーム)っていう魔法を使ってたの。」
「…魅力(チャーム)」
(やっぱり聞いたこのない魔法だね…ここは本当に今までと違う世界なのかな)
「この魔法は人々の心を術者に引き寄せる魔法なのね。何年か前に発売が禁止されていた筈なんだけど…あんな魔法で女の子達の気を引こうとしてたなんてやらしいやつよね。そんで私はアンタ達が飛び込んできたおかげで魅力(チャーム)が解けたってわけ。こーみえて私魔導士なんだぁ〜あ、まだギルドには入ってないけどね?」
「魔導士?ギルド?…なんだいそれは?」
「「「へ??」」」
「アンタそんなことも知らないの!!子供でも知ってることよ!」
「ごめんよ。かなり遠くの田舎の方から来たからそう言うのに疎いんだ。よければ教えてくれるかい?」
「も、もうしょうがないわね」
アラジンが微笑みながら頼み込むだけでルーシィはどこか毒気の抜かれたような表情を浮かべながら語り始めた
◆
どうやらこの世界には、「魔導士」と呼ばれる職業についている者たちがいるらしい。
生まれ持った魔力を操り、炎を放ち、風を裂き、時には人を守る力を持つ者たちだ。
だが、魔導士はただ魔法を使えばいいわけじゃない。
彼らは仕事として魔法を使う。
人探し、討伐、護衛、配達――依頼を受け、力を貸し、その対価として報酬を得る。
それが魔導士という職業の生き方だった。
そして、その魔導士たちが集う場所…
それが【ギルド】と呼ばれる場所である。ギルドは仕事を斡旋し、魔導士たちを守る拠点でもある。
だが同時に、仲間と笑い、ぶつかり合い、帰ってくる“居場所”でもあり僕で言う学校みたいなもんなのかな?
どのギルドに所属するかで、その魔導士の人生は大きく変わる。
それが【ギルド】である
◆
「あ、そういえばアンタ達誰か探してたみたいだけど…」
「あい!イグニール」
「イグニール?それはなんなんだい?」
「イグニールは父ちゃんだ!火竜が来るって言うから見に来てみれば…来てみたけどありゃあ別人だったな」
「あい!火竜って見た目じゃなかったね」
「見た目が火竜ってどう言うことよ…」
「ん?人間じゃねぇよ?イグニールは本物の竜(ドラゴン)だ」
この青年の話によればこの人は人間の両親じゃなくイグニールと呼ばれる本物のドラゴンに育てられたらしい。…そして色々あって今そのドラゴンを探していると…
あ、ちなみに僕も一文なしだけどこの青年達もお金を持っていないらしくここはルーシィの支払いに頼ることになったんだ。青年と猫は店の中で土下座してたけど
ルーシィはそんなことは歯牙にも掛けずおあいこだと主張して払ってくれた。
「ルーシィ。僕は何もしていないからね。よかったらこれを上げるよ。売るなりなんなりしてみるといいよ!」
「へ?…これって本物の金!?」
僕が手渡したのは首元についていた一つのアクセサリー…僕の世界では割といい値段するものだからこの世界でもおそらくその価値に近いものは得られるはずさ
そう言い残しルーシィと別れると僕と青年と猫もお店を出る。店を出るとあたりは太陽が沈み暗くなってきていた
「そういえば、君の名前はなんて言うんだい?」
「あ?そう言えば言ってなかったな!…
俺はナツ…ナツ・ドラグニルだ!!こっちは相棒のハッピー!」
「あい!」
「ナツにハッピーかぁ〜よろしくね!」
そう話していると通行人達の会話が耳に入ってきた
何やらこの港の近くの海の上でさっきの火竜(サラマンダー)?って言う男がパーティーを開催するらしい。
初めは僕たちも適当に聞いていたんだけどある単語が飛び出した瞬間ナツの表情が一変する
「ーーーそれがあの有名な"妖精の尻尾"(フェアリーテイル)の魔導士なんだって!」
「フェアリーテイル?なんだいそれは?」
僕が聞こうとした時…ナツ達はもう僕の目の前からいなくなっていた。
だけど…おそらく向かった場所は
◆
ルーシィ視点
私はあの後昼間会った火竜(サラマンダー)と言う男に遭遇し気づいたらこの場所に移動させられていた。
「これはどう言うつもりかしら?」
私が問いかけた瞬間背後に何人もの男達が現れ私の両腕を掴んだ
「ほほぉ!これは中々の上玉だなぁ!」「流石サラマンダーさん!」
「アンタたちなに!?」
私が問いかけると目の前の男が語り出した。…ここはどうやら海上の船らしくこの男が指揮する奴隷船であったようだった。そして私は他国にそのまま売り払われる算段だったと言う訳らしい。
私が下を向いている隙に目の前の男に腰につけていた大事な"鍵"を取られてしまった
「門(ゲート)の鍵…星霊魔導士か」
「星霊?なんですかそりゃあ?」
「この魔法は契約者以外使えん。つまり僕には必要ないってことさ」
そう言いながら私の鍵を窓から海の外に投げ捨てる男
(これが妖精の尻尾(フェアリーテイル)の魔導士か!!)
「まずは奴隷の烙印を押させて貰うよ?」
そう言いながら熱した鉄の棒を私に当てようとした
次の瞬間…
天井から昼間助けてもらった桜色の髪の男が飛び出してきたのだった
カッコよく登場したものの桜色の青年…ナツは乗り物にめっぽう弱くすぐにグロッキー状態に変貌してしまった
そして今度こそ終わりかと思われたその時…
「ルーシィ。 助けにきたよ!」
ナツが突き破った天井からコチラを見下ろすアラジンの姿が
「なんだお前は!?」
「おじさん悪い人だね?僕の友達に酷いことしようとした…」
そう言い残すとアラジンは
視線を落とし、床に転がるナツを見る。
「……ナツ、まだ気持ち悪い?」
「うぇ……船……無理……」
完全に船酔いで潰れてしまっている
アラジンは小さく息を吐き苦笑する
「やっぱりそうなんだね」
そういうとナツの額へとそっと手を伸ばす。
――その瞬間。
アラジンの視界が、世界の裏側へと沈む。
見えるのは、人の形ではない。
赤く、荒々しく渦巻くルフの流れ。
「大丈夫。少し整えるだけだよ」
アラジンは、意識を集中させる。
――ルフ干渉(ルフ・コントロール)。
ナツの体内を巡るルフに、
自分のマゴイを“添える”ように流し込む。
「……っ」
ナツの体が、びくりと跳ねた。
ぐちゃぐちゃに絡まっていたルフが、
一気に一本の流れへと収束していく。
「……あ?」
ナツは目を見開いた。
「……あれ? 気持ち悪くねぇ」
「うん。もう大丈夫だと思うよ」
「すげぇ……!」
ナツは勢いよく立ち上がり、拳を握る。
「ありがとなアラジン!」
「お喋りは終わりかガキども!」
「ナツ!」「おう!」
ナツが踏み込む。
「火竜の鉄拳!!」
炎を纏った拳が、真正面から叩き込まれた。
ドォンッ!!!
男は吹き飛び、甲板を転がる。
だが、まだ意識はある様子である
「あ、お前俺にこんなことしてタダで済むと思ってんのか!?」
「…お前が妖精の尻尾(フェアリーテイル)の魔導士か?」
ナツが問いかける
「それがどぉした?」
「よぉくツラ見せろ」
その瞬間そばにいた手下がナツに飛び掛かる
「俺は妖精の尻尾(フェアリーテイル)のナツだ!!!お前なんて見たことねぇ!!」
そう言い放ち飛びかかってきた手下達を炎を纏った拳を一閃し叩きのめした
そしてナツの右肩には赤色の独特な刺青が彫られている
「ふゅ〜やるねナツ!」
「あの紋章!」「本物だぜボラさん!」「ば、ばか!その名で呼ぶな!」
あれ、やっぱり偽物なんだねこの人…
「おめぇが悪党だろうが善人だろうが知ったことじゃねぇが妖精の尻尾(フェアリーテイル)を語ることだけは許さねぇ」
そう言い放つナツに対しボラは炎の魔法を放ちナツに命中する
しかし炎がどんどん吸収され消え去る直前目にしたものとは
「炎を食っていやがる!」「熱くないのそれ」「そこかよ!!」
「ふぅーご馳走様でした」
「食ったら力が湧いてきたぁぁぁ!!!」
ナツの全身から炎が吹き出す。まるでこれから起こることを示唆するかのように
「僕の友達を攫ったことを僕もまだ許してないからね」
「アラジン!!」
ナツは大きくのけ反り口のなかから大きく炎を吹き出す。
対するアラジンは仁王立ちから構えた左の手のひらから強力な熱を放射したのだった
「火竜の咆哮!!!」
「灼熱の双掌(ハルハール・インフィガール)!!!」
炎に焼かれる寸前に部下達と共に何かを口走っていたがそれすら許さず2人の放った炎がこの場を破壊し尽くすのだった
「火竜(サラマンダー)…それに…あなたは何者なの…」
ルーシィが驚愕する隣でハッピーは
「竜の肺は焔を吹き、竜の鱗は焔を溶かし、竜の爪は焔を纏う、これは自らの体を竜の体質へと変換させる古代の魔法(エンシェントスペル)…」
「なにそれ!」
「元々は竜迎撃用の魔法だからね」
【滅竜魔法(ドラゴンスレイヤー)】
「イグニールがナツに教えたんだ」
「それも驚きだけどならそれに匹敵する魔法を放ったアラジンは何者なの?」
「……さぁ?」
「知らんのかい!!」
「初めて見たからねナツと同じくらいの炎の魔導士を…」
「…というかやりすぎでしょう!!!」
2人の魔法により船は沈没寸前でギリギリ陸に上陸したもののナツとアラジンは残った残党を1人ずつのしていった。…そこまでは大丈夫なのだが問題は…
「すげぇ!!こんなうめぇ炎久しぶりだぁ!!」
「そうかい?ならもっと上げるよ!」
炎を食べることを知ったアラジンが自分の魔法で創生した炎をナツに食い与えることでナツが余計元気になり街を破壊する勢いで炎を吹き出し暴れ回っていた
そしてしばらくすると街の奥深くから大量の軍を引き連れた軍隊が現れたのだが
ナツはアラジンとルーシィの手を引き
「なんで逃げるのよぉ!!私まで!」
「どうしたんだい?」
「だって妖精の尻尾(フェアリーテイル)に入りてぇんだろ?」
「「…」」
「こいよ!ついでにアラジンも!!」
「「うん!!」」
そうして新しく始まった異界でのアラジンの旅は新しく出来た仲間を連れて再び歩き出すのだった