翌日…僕たち…僕とルーシィ、ナツにグレイはマグノリアにある駅に来ていた。
ん?なぜ僕たちもいるのかって?…それはね…
*昨日*
「ねぇアラジン」
「どうしたんだい?」
「明日の予定は決まってる?」
「…いや特になにも予定は決めていないけど」
(これは…逢引きのお誘いかい?)
「それじゃあ明日エルザの依頼に一緒について行ってあげて」
「え??」
「え??」
「どういうことだい?」
「だっていくらエルザがいると言ってもあの2人を押さえ込むのはかなりしんどいと思うの。ほらあの2人って水と油じゃない?」
「…実際は炎と氷ですけどね」
「というわけであの2人よりも明確に実力差のある…それもこの前の模擬戦でナツにも勝ってるアラジンの言うことなら多少は聞いてくれると思うの。…あれだったらルーシィも連れて行っていいからね」
「私はついで!?」
「「「あははは!!」」」
ということがありまして…僕たちもこの依頼に同行することになったのさ。
そんな回想に耽っていると目の前までエルザが歩いてきているのがわかった。
…なんなんだいその荷物は
「すまない…待たせたか?」
「「荷物多っ!!」」
ルーシィとアラジンが思わずつっこむ
「ん?君たちは確か…昨日ギルドにいたな」
「あ、はい。新人のルーシィと言います。昨日ミラさんに言われて同行することになりました」
「ふむ…そちらは?」
(こちらの女は戦闘に関しては素人のような気概しか感じないがこの男からは何やらとてつもない量の魔力は感じるのはなぜだ?)
「あ、僕の番ね。…僕はアラジン!僕も最近入ったばかりの新人だけどよろしくお願いするよ!エルザお姉さん!」
「ふむ。よろしく頼む。それと私のことはエルザで構わん。そうか…ギルドの連中が騒いでいたのは君たちのことだったか」
「なんのとこだろう?」
「今回は少々危険な橋を渡る事になるかもしれんが宜しく頼む」
「任せておくれよ!」「私もやれることはやるつもりよ」
「待てよエルザ」
その時ナツが急に雰囲気を変えてエルザに話しかける
「どうした?」
「この依頼を受けるにあたってひとつ条件がある」
「…条件?…それはなんだ」
「帰ってきたら俺と勝負しろ」
「「「!?」」」
「おい早まるな!」「あんたこの前アラジンと戦ってあんな傷負ってまだやる気!?」「あははは」
「確かにお前は成長したようだ…私はいささか自信がないが相手になろう」
「おっしゃあ!!燃えてきたぁぁぁ!!!」
そう言い残し体中から炎を吐き出すナツ…
そしてそんなこんなで電車に乗った僕達だったんだけどさっきまでの勢いはどうしたと言わんばかりなナツは乗り物酔いが酷く…僕が治そうとしたんだけど…治ってもうるさいだけだという周りの意見に流されて放置されていた。…ナツもしかして君は嫌われているんじゃないのかい?
「つうかそろそろ本題に入ろうぜ?エルザが招集するなんて何事なんだ?」
「そうだな…話しておこう。…先の仕事の帰りだ。オニバスで魔導士が集まる酒場に行った時少々気になる連中がいてな。」
話によると酒場で大声で飲んでいた男たちの会話の中に"ララバイ"と呼ばれる単語が出たらしい
「ララバイ?」「子守唄…何かの魔法かしら」
「分からない…しかし封印されているということを聞くとかなり強力な魔法と思われる」
「話が見えてこねぇな……
得体の知れねぇ魔法の封印を解こうとしている奴らがいる…だがそれだけだ。仕事かも知れねぇしなんてことねぇ。」
「…そうだ。私も"初め"はそう思っていた
ーー"エリゴール"と言う名を思い出すまではな」
「誰なんだい?」
エリゴール…魔導士ギルド鉄の森(アイゼンヴァルド)のエース…死神・エリゴール。暗殺系の依頼を主に生業としている生粋の戦闘系魔導士。
そしてこれを容認しているギルドも6年前に評議会から闇ギルドとして正式に認定されている
「不覚だった…あの時エリゴールの名に気づいていれば全員血祭りにあげてやったものを……」
ものすごい怒ってるよエルザ!なんかゴゴゴゴッってオーラでも発してるみたいに見えるよ!
て言うかじゃあこのメンバーの編成の目的っていうのは…
「鉄の森(アイゼンヴァルド)に乗り込むぞ」
僕の心の声を表すかのようにその問いの回答をエルザが答えてくれた
て言うかやっぱりそうなのかぁ〜。
…この世界でも戦う運命は避けられないってわけなのかい
その後僕たちは数時間電車に揺られ目的地付近の駅までゆっくりするのであった
◆
《オニバス駅》
「なんと言うことだ!」
エルザが大声を上げ駅内で叫んでいる。
どう言うことか説明するとどうやら僕たちみんな揃ってナツを電車内に置いてきてしまったらしい。…急いでハッピーが回収に向かった
その間に僕たちは馬車を借りその馬車でナツが乗っている電車を追いかける。…数十分後電車が見えた時グレイに乗り込ませようとしたその時…
「うぉ!」「ナツッ!」「なんでだい!?」
電車の上の窓口からナツがこちらに向かい飛び出してきていたのだった。
そして飛び込もうとしていたグレイに衝突し2人とも馬車から落下してしまっていた。
と言うよりなんであの速度で衝突して落下しても元気なんだい君達…
何はともあれ無事合流したナツから話をきく。…どうやら電車内でアイゼンヴァルドの連中と交戦したらしくその途中で相手の持っている奇妙なモノに気がついたそうだ。
それはドクロっぽい三つ目をした奇妙な形をしている笛のようなモノだったらしくなんとも薄気味悪かったそうだ。
「三つ目のドクロ…もしかして」
「どうしたんだい?」
その話を聞いてルーシィが意味深に呟く
「もしも…もしもその笛が呪歌だとしたら…子守歌(ララバイ)…眠り…死…
その笛がララバイだ!呪歌(ララバイ)!"死"の魔法!」
「何!?」「呪歌?」「どう言う意味だい?」
僕たちは三者三様の反応を示す
「禁止されている魔法の一つに呪殺ってあるでしょ?」
「あぁ…その名の通り対象者を呪い殺す死を与える黒魔法だ」
「呪歌(ララバイ)はもっとおそろしいの」
◆
そしてここオニバス駅から近いクヌギ駅でも妙な動きが観測される。
「ひっ!」「ひぃぃ!!」
電車の車両をアイゼンヴァルドの連中がジャックし乗っ取っていたのだった。
そしてその中でも背中に大鎌を背負った上裸の男が意味深に呟く
「この笛の音を聴いたもの全てを呪い殺す…"集団呪殺魔法"呪殺(ララバイ)!!!」
「始めよう!作戦開始だ!」
◆
ところ変わってオシバナ駅…
人がごった返すほどの密で溢れた駅内の中でエルザたち一行は進んでいた。
ていうかとりあえず…何も関係のない駅員さんを頭突きで気絶させるのはやめた方がいいんじゃないのかい?
そして最悪は進むとそこには…
おそらく国から派遣されたであろう軍の小隊が何者かの手によって壊滅させられていたのだった
「ひぃぃぃ!」「全滅!」
「おそらく相手は一つのギルド…軍の小隊程度では相手にもならんか」
エルザがそう語ったその時ーー
背後から忍び寄る多数の気配を感じた
振り向くとそこには
「やはり来たな…妖精の尻尾(フェアリーテイル)」
50…いや100はいるであろう敵の魔導士たちの姿が見えた
そしてその中心にいる男…
「貴様がエリゴールだな…貴様らの目的はなんだ…返答次第ではタダでは済まさんぞ」
「ふん…遊びテェんだよ。仕事もねぇしな」
「なに?」
そういう時エリゴールは魔法を使い空中に飛び上がる
「まだ分かんねぇのか。駅には何がある?」
「駅?」
そして駅内に設置してある放送マイクの近くまで接近すると
「まさか!呪歌(ララバイ)を放送するつもりか!?」
そう…エリゴールの目的はこの駅周辺に集まってくる民衆に対し行う大量殺人であったのだ…そしてそれを本人は"粛清"と掲げ何も知らない人間の…不公平さを味わったことない人間に対する怒りとも取れる罰を与えるのだと…
とその時
エリゴールの近くにいた敵の1人である黒髪の魔導士がルーシィに向かい魔法を飛ばす
「やっぱりお前かぁぁぁ!!」
「「ナツ!!」」
しかしその魔法をナツが炎を纏った右手で吹き飛ばし魔法を相殺する
そして片手を相手に向かって差し出して挑発しながら…
「今度は地上戦だな」
そうして幕を上げた僕たち妖精の尻尾(フェアリーテイル)と闇ギルド…鉄の森(アイゼンヴァルド)との戦いの火蓋が切って落とされたのだった
◆
戦闘が始まろうとしたその時エリゴールは
「あとは任せたぞ…俺は笛を吐きにいく。身の程知らずのハエどもに…鉄の森(アイゼンヴァルド)の恐ろしさを分からせてやれ」
それだけ言い残すと駅の窓ガラスを破りそこから風魔法を使い抜け出していくエリゴール
「逃げるのか!エリゴール!」「くそ!向こうのブロックか!」
「ナツ!グレイ!…それにルーシィ!ハッピー!」
「「む…」」「あたし!…なんか嫌な予感がするですけど…」「あい…同じく」
「お前たち2人が力を合わせれば負けるはずがない」
「「むむ…」」
「ここは私とアラジンでなんとかする」
「何とかって2人でってーー」
そこまで言いかけた時この前のアラジンとナツとの戦いを思い出すルーシィ
(2人でって思ったけど余計な心配かしらね…なんなら私が残りたいような…)
「聞いているのか!!」
「「も、もちろん!」」
エルザに怒鳴られ肩を組み合いながら笑顔でポーズを決めるナツとグレイ
「ならば良し!行け!!」
「「「「おう!(はい!)」」」」
そうしてアラジンとエルザを残し残りのメンバーは出ていったエリゴールの行方を探しに行くのであった
「こいつらを片付け次第私たちも追うぞ」
「うん。そうだね」
そう話す2人を見ながら敵軍団は…
「おい見ろよあれ…いい女だぜ?」「ぎひひひ!殺すにはおしぃな」「待て待て妖精の脱衣ショーを見てからだぜ!」
「下劣な…」
「…」
それを聞いて怒気を募らせるエルザと表情を無くしたようなアラジンの顔…
「僕さ…"そういう"の1番嫌いなんだよね」
「!?」
言い表せぬ迫力を漂わせるアラジンに対し無意識に足をすごませるエルザ…さらにはその影響をモロに受けた敵は
「「「!?」」」
「おい、なんかやべぇぞ!「早めにけりをつけるぞ!」」「おう!」
全員が恐怖を感じ先手を打って出ようとする
しかしーー
「灼熱の双掌(ハルハール・インフィガール)ーー三重詠唱(トリプル・チャント)」
「「「っ!?」」」
「うわ!!」「逃げろ!?」
アラジンの手のひらからは以前ナツに向けて放った炎よりもさらに何倍も巨大で強力な威力を誇る炎が放射された
そしてその炎は相手に逃げる余裕も与えず広範囲の敵を殲滅する
「なんて魔法だ…ナツ以上の火力…お前は一体…」
あまりの衝撃に驚きを隠せないエルザを尻目に本人であるアラジンは焼け焦げた敵陣に1人進み敵の1人であるビアードの顔を掴み
「降参するかい?」
「ひっ!?…か、勘弁してください!」
脅しをかけ開始数秒で敵100人の心をへし折ることに成功するのであった
「ふむ…素晴らしい魔法だなアラジン…色々聞きたいことはあるが今はナツたちを追うとするぞ!」
「…いや…まだそうは行かないかもしれないよ」
「なに?」
そしてアラジンが見つめる先には新たに扉から押し寄せてくる鉄の森(アイゼンヴァルド)の面々…
「ちっ!…仕方ない…今度は私も参戦するぞ!」
「お願いするよ!」
先ほどまでの威圧感はどこへやら…笑顔で返事をするアラジンであった