導きのマギと妖精たち   作:心ここにあらず

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8話

 

 

昨日は、思いがけない1日を過ごしたアラジンであるが、アラジンがいないギルドでは事件が発生していたらしい。

 

ナツとエルザの決闘後、評議会によりエルザが逮捕され危うくギルドが全面戦争を仕掛ける寸前まで行ったらしいのだが、評議会としては元々刑罰など科せるつもりもなく名目上違反行為を繰り返すフェアリーテイルに罰を与える必要があったらしい。

 

 

 

そんな事件があったことなど全く知らずミラと写真集を撮っていたアラジンがエルフマンに詰められたのは当然の結果である

 

 

 

 

 

そのような出来事があった日の後日、今日もギルド内は騒がしくナツがドリンク片手に大はしゃぎしながら走り回り、その様子にキレたエルザがナツを一撃で沈めるなどいつも通りの日常である。

 

 

 

 

何も変わりない穏やかな日常…

 

 

その異変に最初に気付いたのはアラジンである

 

 

 

 

「…何か来る」

 

 

 

アラジンは自らの周辺に常に薄い電磁波のようなバリアを張り巡らせている。…そのバリアに何らかの衝撃が伝わったのだった

 

そして"それ"は現れた

 

 

 

「くっ…」「あ、アラ…ジン」

 

 

「エルザ!ミラ!」

 

 

 

エルザやミラをしきりに次々とギルドの面々が気を失うように倒れていく。アラジンは慌ててエルザとミラを抱き抱え、倒れるのを阻止するがその瞬間…

 

 

 

 

「っ…誰なんだい」

 

 

「…ほう」

 

 

 

何者かが背後に佇む気配を感じた。

 

振り向かずそう問いただすアラジンに対し、フードを被った全身黒ずくめの男はアラジンが自分と同等以上の力を持つことを瞬時に悟った

 

 

 

「…ミストガン」

 

 

 

「…マスター…誰なんだい…この人は」

 

 

 

 

辛うじて起きているマカロフにアラジンは問いただす

 

 

 

 

「…名をミストガン…フェアリーテイルのS級魔導士にして恐らく最も稀有な魔法を使う男じゃ」

 

 

「…S級魔導士?」

 

 

「…マスター…彼は?」

 

 

 

今度は逆にミストガンが問う

 

 

 

 

「…あぁ…奴はーー」

 

 

 

「「っ!?」」

 

 

 

 

マカロフが話そうとした時…今度はアラジンとミストガンの間に落雷が落ちる

 

 

 

 

「ラクサスッ!?」

 

 

 

「っ!?誰なんだい!?なぜ攻撃を…」

 

 

 

「…ラクサス…」

 

 

 

「かっかっか!!ナツをボコったって聞いたが、やっぱこの程度じゃやれねぇか…良いぜ。…認めてやる。新入り…テメェは"こっち側"の魔導士だ」

 

 

 

 

 

2階でこちらを見ながら高笑いする金髪の大男の姿

 

 

 

 

「ジジイも見てることだしどうせならここで最強を決めるのも悪くねぇか…どうだミストガン、新入り…テメェらにはその権利があるぜ?」

 

 

 

「ふん…最強だと…エルザはどうした…それに"あの男"も」

 

 

 

「エルザはダメだ。女にしちゃあやる方だが俺らの相手にはなんねぇ…それにあの男は大陸フラついてどこにいるかわかりゃあしねぇ…テメェはどうだ新入り」

 

 

 

「…僕にはアラジンっていう名前があるんだ…そう呼んでおくれよ…それより君は…」

 

 

 

「かっかっか!…そりゃそうか俺のことを知らねぇのか…良いぜ教えてやる…俺の名はラクサス・ドレアー…近い未来フェアリーテイルのマスターになる男だ」

 

 

 

「何を勝手なことを言うとるわい!!それにラクサス貴様!いつになったら仲間を見下す癖をなおすんじゃ!いつも言っておるーー」

 

 

 

「あぁ〜はいはい…これだから年寄りは…テメェらとはそのうちやる事になんだろ…せいぜい余生を楽しむんだな」

 

 

 

「…俺もいく…」

 

 

 

「…」

 

 

 

「あ!?待たんかいラクサス!魔法を解いていけ!ミストガン!」

 

 

 

 

 

そう言いながら消えていくラクサスとその先を見つめているアラジン…そして霧を生み出し消えるミストガン…現存のフェアリーテイルのトップクラスの実力を持つ三竦みの会合は思いもよらぬ形で実現してしまったのであった

 

 

ミストガンが去った瞬間目を覚まして騒ぎ出す一同…しかし、その様子を見てもアラジンは何かを考えるように明後日の方角を見つめ続けていた

 

 

 

 

 

「大丈夫?アラジン…」

 

 

 

「ん?あ、あぁ…ミラこそ…」

 

 

 

その様子に気づいたミラが駆け寄る

 

 

 

 

「ひとつ…聞いて良いかい?」

 

 

 

「ええ。何でもいいわよ」

 

 

 

「…"ラクサス"…"ミストガン"…彼らについて教えてくれないかい」

 

 

 

「ラクサス?ミストガン?…良いけど何で?」

 

 

 

「その件についてはワシから話そう…」

 

 

 

「あ、マスター」

 

 

 

 

 

話に入り込むマカロフ

 

 

 

 

「ミラよ…少しアラジンを借りるぞい」

 

 

 

「え、えぇ大丈夫よマスター」

 

 

 

「では…ついて来いアラジン」

 

 

 

「…」

 

 

 

 

そう言いながら、アラジンを別室にあるマスター専用のフロアに案内するマカロフ

 

重厚な扉が静かに閉まり、外の喧騒が嘘のように遠のく。

薄暗い室内には、長年積み重ねられた書物と、歴代のマスターたちの気配が残っていた。

 

マカロフはゆっくりと椅子に腰を下ろし、アラジンを見据える。

 

 

 

「……さて、どこから話したものかのう」

 

 

 

白い髭を撫でながら、わずかに目を細める。

 

 

 

「まずは“ラクサス・ドレアー”……あやつはワシの孫じゃ」

 

 

 

「……孫?」

 

 

 

アラジンの目がわずかに見開かれる。

 

 

 

「うむ。血筋だけで言えば、このギルドでも最も“純度の高い魔導士”と言ってもいい。ドラゴンスレイヤー魔法……雷を操る滅竜魔導士じゃ」

 

 

 

「ドラゴンを……滅ぼす魔法……」

 

 

 

「その力は凄まじい。若くしてS級の中でも頭ひとつ抜けとる。じゃが……」

 

 

 

マカロフの声がわずかに低くなる。

 

 

 

「力に溺れ、他者を見下す悪癖がある。仲間というものを“弱者の集まり”としか見とらん」

 

 

 

「……さっきの態度を見る限り、それは間違いなさそうだね」

 

 

 

アラジンは静かに呟く。

 

 

 

「じゃが本来、あやつは……誰よりも強くあろうとするが故に、歪んでしもうたのじゃ」

 

 

 

一瞬だけ、祖父としての表情が滲む。

 

 

 

「……ではミストガンは?」

 

 

 

その問いに、マカロフの表情がさらに引き締まる。

 

 

 

「……あやつはな、“謎そのもの”じゃ」

 

 

 

「謎?」

 

 

 

「ギルドの仲間でありながら、素顔を見せたことがない。常にフードを被り、単独で任務をこなす……帰還の際は必ず“眠りの魔法”でギルドの者を眠らせてから報告に来る」

 

 

 

「……だから皆、彼の顔を知らないんだね」

 

 

 

「うむ。ワシとて、あやつのすべてを知っとるわけではない」

 

 

 

マカロフはゆっくりと指を組む。

 

 

 

「じゃが一つ確かなことがある」

 

 

 

「……」

 

 

 

「ミストガンの魔法は、この世界でも極めて特異……空間や幻術、さらには“別の理(ことわり)”に干渉する類のものじゃ」

 

 

 

「……別の、理……」

 

 

 

アラジンの瞳がわずかに鋭くなる。

 

 

 

「おぬしほどの者なら感じたじゃろう?あやつの気配……ただの魔導士ではない」

 

 

 

「……うん。あれは……少し違う。まるで……」

 

 

 

言葉を選ぶように一拍置く。

 

 

 

「“別の世界の魔法”みたいだった」

 

 

 

その言葉に、マカロフはゆっくりと頷く。

 

 

 

「……鋭いのう」

 

 

 

静かな間が流れる。

 

 

 

「ラクサスは“力の象徴”……ミストガンは“未知の象徴”……どちらもこのギルドの柱じゃが……」

 

 

 

マカロフはアラジンをまっすぐに見据える。

 

 

 

「おぬしは、そのどちらとも違う」

 

 

 

「……」

 

 

 

「じゃが同時に……あの二人と並び立つだけの“何か”を持っとる」

 

 

 

 

 

部屋の空気がわずかに重くなる。

 

 

 

「……マスター」

 

 

 

アラジンが静かに口を開く。

 

 

 

「このギルドは……どうなるんだい?」

 

 

 

その問いに、マカロフは小さく笑う。

 

 

 

「決まっとるじゃろう」

 

 

 

 

 

「ぶつかり、迷い、傷つきながらも……それでも“仲間”であり続ける。それがフェアリーテイルじゃ」

 

 

 

 

 

そして――

 

 

 

「その渦の中心に……おぬしも、いずれ立つことになる」

 

 

 

 

 

アラジンは何も言わず、ただ静かに目を閉じた。

 

 

 

ラクサスの圧倒的な雷。

ミストガンの底知れぬ霧。

 

 

 

そして、自分自身の力――

 

 

 

「……不吉な予感がするよ」

 

 

 

小さく呟いたその声は、確かに次の嵐の予兆だった。

 

その一言に、マカロフはゆっくりと目を細めた。

 

 

 

「……そうじゃな。ならば一つ、試してみるかのう」

 

 

 

「試す?」

 

 

 

アラジンが首を傾げる。

 

マカロフは椅子から立ち上がり、窓の外――ギルドを見下ろした。

 

 

 

「ラクサスとミストガン……あの二人は今や、フェアリーテイルの“頂点”に最も近い存在じゃ」

 

 

 

「……うん」

 

 

 

「じゃがな……均衡というものは、いずれ崩れる」

 

 

 

ゆっくりと振り返る。

 

 

 

「どちらかが上に立つか……あるいは衝突するか……」

 

 

 

「……」

 

 

 

「その時、止める者が必要になる」

 

 

 

 

 

一瞬、間が落ちる。

 

 

 

 

 

「――おぬしじゃ、アラジン」

 

 

 

 

 

「……僕が?」

 

 

 

「うむ。エルザはランクは同じじゃがおそらく根本的にあの2人と比べて実力がまだ足りていないじゃろう…じゃからこそ――お主しかおらんのじゃ…そしてお主にはーー」

 

 

 

 

 

マカロフは杖を軽く鳴らす。

 

 

 

「S級魔導士昇格試験を受けてもらう」

 

 

 

「……S級に?」

 

 

 

「本来ならば長年の実績が必要じゃ。じゃが今回は特例……“実績抜きにワシの感性とお主の実力”だけを認めた試験じゃ」

 

 

 

アラジンは少しだけ考え、そして――

 

 

 

「僕はまだまだ"その称号"には相応しくないのかも知らない…なにせ、フェアリーテイルとして背負ってきたものが他の人たちとは違いすぎるからね」

 

 

「…」

 

 

「…でも…それでも…」

 

 

 

アラジンの脳裏にたくさんの人たちが溢れ出す

 

 

 

「僕がS級となり仲間や家族…愛おしい者達を護れるなら…護る資格があるのであれば…」

 

 

「…」

 

 

「喜んで受けさせてもらおう」

 

 

「…そうか」

 

 

 

アラジンの決意・覚悟を初めて聞いたマカロフ…

 

(まさかここまでの決意を固めておったとはなぁ…ますます、他のギルドには譲れん男じゃ…間違いなくこの男は"ギルターツ"以来の2人目の100年QS保持者になるわい)

 

敢えてフェアリーテイル史上最強の男と比較し、それでも色褪せないものを持つことを確信するマカロフ

 

 

 

 

 

「皆にはワシから説明しておく…時期はそうじゃのお…早いほうがいいかの。明後日から始めることとする!!クエスト内容は極秘!!それまでお主は英気を養っておくことだのぉ!!」

 

 

 

「うん…楽しみだね」

 

 

 

 

アラジンの目には一切の迷いも曇りもない…もはや、家族を守る為に覚悟は決めた…

 

 

 

「僕が…皆んなを護るんだ…」

 

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