海馬社長(偽)のキヴォトス海馬コーポレーション創設記録 作:アルピ交通事務局
「の、効果で小鳥遊ホシノをオレのフィールドに出す……」
「え…………」
気付いた時、私の目の前には海馬社長が居た。いや、違う。海馬社長は後ろに居た。
キヴォトスの外から来た人間でとても弱い筈のに、どんな相手にも口が悪くて傲慢だけど仕事の腕は確かな人で……キヴォトスと言う場所で先生になることや立派な大人として扱われる事をこの上なく嫌った。
連邦生徒会の捜査部であるシャーレと言うキヴォトスの勢力図を塗り替えかねない新たなる部署。
海馬社長は連邦生徒会長からその顧問として呼び出されたが大激怒し、僅かな資金と謎のカードの力、そしてキヴォトスに宿る神秘の研究を行い海馬コーポレーションと言う大企業を作り上げた大人の男。
「ほぅ、小鳥遊ホシノも目覚めたか」
「っ、お前は!!」
私が意識を最後に失う前に見た謎の存在。
意識を失ったのはこのよく分からない存在がカードを翳したからであり、そこからについては覚えていない。
そして私は気付いた。空崎ヒナ、美甘ネル、聖園ミカ、剣先ツルギ……そして私。学園都市キヴォトスで最強は誰か?と聞かれた場合に真っ先に話題に上がる4人が近くに居た。
「ねぇ、起きてよ社長……ねぇ」
「まったく……だからお前達キヴォトスの人間と線引きし続けていたと言うのに……」
「社長!」
今にでも涙を流しそうで震えている聖園ミカは海馬社長に声をかけた。
海馬社長は生気のない声で何時もの様に私達を何処か毛嫌いしている声を出しており、その声を聞いた空崎ヒナが希望を見出す。
「嬉しそうな声を出すな……形はどうあれ負けた」
「負け、た?」
強靭!無敵!最強!それを謳っている海馬社長は負け知らずだ。
私達キヴォトス人の神秘について研究し、外の世界の人間でありながら自らも前線で戦える技術を作るなどホントに同じ人間なのかと思えるほどの力の差を思い知らされた。そんな海馬社長が敗北をした……気付く。海馬社長の左腕に宿る海馬社長が最も得意としているゲームであり海馬社長が外部からの神秘を頼ることでキヴォトス人すらも容易く倒す兵器の側面を持つデュエルモンスターズを行う為の道具、決闘盤が起動しているのを。決闘盤には0の数字が表記されており……海馬社長はライフポイントが0になった。
「なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?」
「おい、AI!社長にデュエルモンスターズで勝てる人間はお前の知る限り3人だけ!社長と同じ立ち位置だけで完全に別人なあのプレナパテスとか言うのはそれに該当しねえんだろう!!」
『そうだよ!ちょっと今忙しいから手が離せねえからちょいと待ち。コレじゃなくてコレじゃなくてあった!』
なにがどうなっているのかが分からない。
美甘ネルが海馬社長にカスと呼ばれている
「じゃあなんで海馬社長は負けたの!?」
「ふっ、その疑問は最もだろう……この世界には私は居ない。私の立ち位置に居るであろう海馬瀬戸は知略、財力、戦闘力全てにおいて上回っている。海馬瀬戸を殺すことが出来る可能性を秘めているのはデュエルモンスターズただ1つ」
「勝てないって言ってるじゃん!!」
「そう、そのままでは勝つことが出来ない。デュエルモンスターズ最強のモンスターである
海馬社長はとんでもない人だ。僅か数ヶ月でアビドスの借金を終わらせたり色々とあり数えていたらキリがない。
例え未来を見ることが出来る相手だろうと海馬社長は負けない。プレナパテスは勝てないと素直に認めている。
『……やったんだよ。プレナパテスは。ぼくのかんがえたSinキヴォトスデッキを作った!』
「その通りだ。空崎ヒナ、剣崎ツルギ、聖園ミカ、小鳥遊ホシノ、美甘ネル。キヴォトスの中でも5本の指に入るであろう最強戦力。貴様達をカード化し、更にSin化させる事で最強のキヴォトスデッキを作り上げた」
「……ありえるわけがないっ!!カードゲームである以上は例えゲームバランスが壊れる程の強さでもっ、海馬社長なら攻略法を」
「ああ、見出していただろう。だがそれと同時に選ばなければならなかった」
キヴォトス最強戦力をデュエルモンスターズのカードに変換し、最強デッキで海馬社長に挑んだ。
だけどデュエルモンスターズはカードゲームでもある。相性の悪いデッキが相手だとどうしても勝てない。
どれだけ強くても違う攻撃をされたのならば倒せる。海馬社長がそれを理解しないわけがない。剣崎ツルギがそれを指摘すればプレナパテスはそれを素直に認めた。美甘ネルが海馬社長の決闘盤を操作する。
「なんだよこれ……ブルーアイズでも、オベリスクでも、XYZでも、DDDでも、
「お前達は、ただカード化されたわけではない。Sin化されたんだ」
「Sin?」
「そう。ただカード化したところでお前達の力を完璧にコントロールすることは出来ない。お前達自身の意思が背き何かしらの形で裏切るだろう。だが、デュエルモンスターズにはSinモンスターと言うモンスターがいる。最強格のモンスター達を少々厳しい制限があるものの簡単に自由自在に操ることが出来るモンスターだ。Sinホシノ、Sinミカ、Sinヒナ、Sinツルギ、Sinネル、この5枚のモンスターを作り上げた」
「それとなにが……」
「Sinモンスターを扱う際にはSinモンスターのオリジナルとなったモンスターカードが必要になる」
プレナパテスは髪の色が変わったり、髪の毛が伸びたり、怪しげな仮面をつけていたりする私達5人のカードを見せる。
そんなカードがあろうとも海馬社長ならば倒すことが出来た筈でわざわざ説明をしたという事はなにか意味があると問いかければSinモンスターを扱う際に必要なもの、それはSinモンスターのオリジナルとなったモンスターカードが必要だと教えた……
「おい、まさか」
「ああ、そのまさかだ。海馬瀬戸は君達キヴォトス人に情を向けたが故に本来であれば勝てるデュエルに敗北した!カードとなった君達5人を取り戻す事に特化したデッキで最強のデッキ、Sinキヴォトスデッキに挑んだ!!」
「……ぁ……ぁ、ああああ!!」
プレナパテスが海馬社長が勝つことが出来なかった理由、それは勝つデュエルをしなかった。
Sinモンスターの素材になったオリジナルの私達を助け出す為のデュエルを行った……命を賭けたデュエルで、敗者のその後がどうなるか、基本的には勝者が生殺与奪の権利を手に入れる事が出来る。デュエルに使っていたカードが何処に行くかは分からない。知らない。海馬社長の事だからプレナパテスがデュエルを挑んできたら迷いなく闇のデュエルで殺していた。海馬社長はそういうことには躊躇いが無い人だ。
「なんで…………なんで?」
海馬社長は皆がイメージしている聖人君子じゃない。傍若無人なところがあり、敵を増やしたりしている。なんだったら連邦生徒会から海馬コーポレーションに支配権が移るようにクーデターを起こすことを企んでいた。
海馬社長は私達に上手い商売の話を伝えてくれた。
でも、好みの異性とか悩みに乗ってくれるとかそういう話はあんまりしない。冗談とかを言えたりする人ではあるけど、私達と何処か距離を置いている。
私達と友達とか生徒とかじゃなくて顧客とか使える駒とかそんな感じで接している。
チェスで例え最強の女王の駒であろうとも迷いなく捨て駒として使う人が、私達5人を切り捨てなかった。
「なんで……なんで……見捨ててよ。わたしなんかをえらばずに」
「オレとした事が、情けない……この程度のことしか出来なかった……だが、布石は既に打っている。プレナパテス、貴様を倒す準備は既に着々と進行している」
聖園ミカが堪らえていた涙を流す。
カード化された私達を見捨てれば、プレナパテスを倒すことが出来た。そうすれば……
「生憎だが、カード化したお前達を見捨てたらその時点でオレは海馬瀬人に憧れた海馬瀬戸で無くなる……それだけは譲れん。っちぃ!カス!何処までだ!」
『完成した!今送ってる!!』
「ふぅん、初期設定かどうかは曖昧だが千年アイテムには願いを叶える力があった筈だ。最後の千年アイテムであるそれに加え、今は世界の境界線が曖昧になっている……オレが倒せればそれでよかったが、どうやらまだまだ甘かった様だ。だがしかし、ちゃんと出来た……奴とオレの力は対等であるならば、オレも器になれる……っぐぅ!……うっ……」
「まさか闇のデュエルを終えた後にもそれほどまでペラペラと語る事が出来るとは……だが、さらばだ。歴戦のデュエリストよ」
プレナパテスの持っていた1枚のなにも書かれていない白紙のカードに海馬社長が封印された。