海馬社長(偽)のキヴォトス海馬コーポレーション創設記録   作:アルピ交通事務局

7 / 9

ざっくりキャラ紹介

海馬瀬戸

転生者生活で一番ヤバいと危機を感じた時は自分にかけている不能や不妊の呪いを解除されそうになった

闇のイグニス

転生者生活で一番ヤバいと危機を感じた時はCLAMPな世界で壱原侑子✕クロウ・リードの純愛小説とコミカライズを書いたのが本人達にバレて最上級の呪詛を飛ばされた時


海馬社長(偽)のオリチャー(パワープレイ) その4

 

「これでいいかな」

 

 海馬社長に渡されたデュエルディスクからデュエルモンスターズのルールを覚え、究極宝玉神レインボー・ドラゴンを召喚するデッキを構築した。なんでこんな事になったんだろうとは思うけれども、とりあえずはこれでいい。

 

「もうこんな時間か」

 

 アビドスは既に夜を迎えている。

 

 シロコちゃん達は今頃は眠っているけれど、ここからはおじさんの時間だ。 夜になれば余計な事をする奴等が動き出す。パトロールをしないと。

 

「っと、海馬社長は……!」

 

 アビドス高校の宿直室で寝泊まりをすることになった海馬社長。

 

 夜に暴動が起きていたりすればまた何かしらの暴言を吐いたりするだろうからと寝ているのかの確認に行けば……海馬社長は居なかった。

 

「っ……」

 

 海馬社長はキヴォトスの外の世界の人間だ。銃弾1つで死んでしまうぐらいに貧弱だ……いや、それよりも

 

「なにを企んでいる?」

 

 キヴォトスの外の世界とネットを繋ぐという言葉を私は信じたわけじゃない。

 

 確かに言っている話がホントならばお金が手に入る。シロコちゃんが計画している銀行強盗とは違った綺麗なお金が。でも、そんな上手い話なんて早々にあるわけがない。

 

 私が海馬社長とデュエルをするのを挙手したのは万が一を備えてだ。いきなり現れていきなり変な事を言い出した。

 

 確かに私達は膨大にまで膨れ上がった借金や原因不明の砂漠化について悩まされている。今までそれをなんとかしようとして協力をしてくれると言った大人達は私達を騙し続けていた。

 

 海馬社長は本来ならば連邦生徒会の人間になる予定だったけどそれを拒んだ人だ……

 

「……探さないと」

 

 色々と言っていたけど、なにか良からぬ事を企んでいるのならばアビドスから追い出す。

 

 その為の汚れ仕事ならば私は喜んでする……シロコちゃん達にはこういうのはさせたくない。

 

 私は銃を持つ手に力が入る……何処に居るのかが分からない。トイレに行っているだけだったというオチは要らないと一応はトイレを確認するが居ない。

 

「……」

 

 何処だ?何処だ?何処にいる?

 

 感情的になっているセリカちゃんじゃなくて、そういう素振りを特に見せていない私達が受け入れない、拒んで折るのを海馬社長は即座に見抜いた。それを知っても海馬社長は特に顔色を変えなかった。

 

 きっとなにかロクでもない事を企んでいるに違いない……そう思いながら探せば海馬社長は見つかった。

 

 なにをする?威嚇射撃?……いや、そもそもで海馬社長はなにをしている?私達の思い出が詰まったアビドスになにかが眠っているなんて言っていた。借金をどうにかしたいのならば学校を寄越せと散々カイザーグループに言われている。

 

 私達の思い出が詰まった学校だけど、単純な設備だとミレニアムサイエンススクールの方が上……なにかが眠っている、そのなにかを掘り起こす?……

 

「……ここではないか」

 

 海馬社長は地面に手を置いて目を閉じてなにかを感じ取っている。

 

 ここではないか、その言葉からやっぱりアビドスに眠っているなにかが目的なのかと考えていると気付く……海馬社長が私達に色々と言っていた時には装備していなかったネックレスを付けているのを。

 

 純金?と思ったけれども純金じゃない。金は使われているけれども金だけじゃない、別の物を混ぜた……悪趣味なネックレスだ。

 

「……ふぅん、コレでどうにか出来る類の相手ではないが」

 

 海馬社長はここではないと言い諦めれば拳銃を抜いた。

 

 気付かれた?と思ったけれども銃口は全く別の方向を向いている……この人は戦闘のプロじゃない。人の視線には敏感だとしても、今の私は気配を上手く消せている……それでも感づいているのならばホントに外の世界の人間なのか疑わしい。

 

 向こうは銃を抜いた。向けている方向は違うけれども銃は抜いた……だったらこっちもと思っていると

 

「っ!」

 

「クックック……まさか気付かれるとは思いもしませんでしたよ」

 

「なんだ貴様は?」

 

 顔が分からない声は男なのは分かる黒服……私に借金を返済したいのならばと交渉を持ちかけている汚い大人だ。

 

 何処からともなく、違う。海馬社長が銃口を向けている方向から現れた……気配も感じなかったし勘も利かなかった。それなのに海馬社長は見抜いたの?

 

「はじめまして……先生、と呼びたいところですが貴方は蹴ったのですね。なんとお呼びすれば?」

 

「海馬社長と呼べ」

 

「では、海馬社長。こんな夜更けに出歩くなんて物騒ですよ」

 

「ふぅん、彼奴等が居ない間にしか出来ない事だ……わざわざ注意をする為に来たのか?」

 

「それこそまさかです」

 

 海馬社長はハッキリと私達が居ない間にしか出来ないことと言った。けど、まだだ……ハッキリと決定的な瞬間を抑えないといけない。黒服が何を思って海馬社長に接触したのかは分からないけど、これでこの人の本性が分かる。

 

「色々とまどろっこしい話を抜きにして……小鳥遊ホシノを引き渡してはくれないでしょうか?」

 

「バカな言葉が出てくるとは思っていたが人身売買の話か?欲しいのであれば力を持って手に入れろ」

 

「借金の返済を担保にしているのですが中々に首を縦に振らなくて……私は見ただけで敵対心を向けてくるので話し合いにすらならないのですよ」

 

「……いきなり売り渡せと言われても、人身売買は興味は無い。まさか貴様はロリコンか?」

 

「クックック、違いますよ。私は神秘の探求者……彼女の宿す神秘を知りたいだけです」

 

 黒服が私を求めている理由を海馬社長に語った。私の神秘と言われても私には心当たりは無い。

 

 皆がイメージする魔法使いみたいに炎や水を出したりするなんて事は出来ない。私の何処が神秘なのか、むしろ私が知りたいぐらいだ。

 

「宿す神秘?ふぅん、トンチキな見た目だけあってかくだらんオカルトにでもハマったか」

 

「いえいえ、違いますよ……貴方はキヴォトスの外の世界の人間、そして銃撃戦に数度巻き込まれた為に疑問に思ってはいませんか?何故キヴォトス人は銃弾がそこまで通じないのか。外の世界と同じ作りの注射は軽く刺さるのにそれなのに弾丸は軽く血を流すだけなのかを」

 

「……キヴォトスの人間とオレの様な外の人間との間にある人体構造は基本的には同じだ。角やケモミミに関してはまだ不明だが筋肉の密度等は普通の女と変わらない」

 

「それを理解しているのならば話は早い!キヴォトスの人間は何かしらの神秘をその身に宿している。その神秘がキヴォトスの人間に干渉し、既存の理論ではありえない耐久性や力を発揮しています」

 

 海馬社長は黒服から説明を受ける……けど、少し違和感を感じる。

 

 筋肉とかはよくわからないけど、普通の人と変わらないと海馬社長は結論付けている。黒服もその通りと笑っていてキヴォトス人について語っている。

 

 海馬社長はおかしいという事が分かっている……コレって……黒服に理由を喋らせている?

 

「だから小鳥遊を研究材料か……ふぅん、奴から奴自身の人権を買い取りたければ好きにしろ」

 

「おや、止めないんですか?」

 

「金に困っているのならば人間は大抵の事はする……自分を売り渡せば借金が無くせると言うのであれば尚更だろう」

 

「……」

 

 海馬社長は小鳥遊を渡さないなんて言葉は吐かない。

 

 金に困っているのならばなんでもする、私が私を黒服に売り渡せばそれで終わるのならばそうすると素直に認める。

 

「ならば協力して頂けないでしょうか?そうすれば貴方はもっと色々と知ることが出来ますよ」

 

「どうでもいい」

 

「え?」

 

「キヴォトス人が何かしらの干渉を受けて高い身体能力を得ているのは分かっていた。懐柔策でなく脅迫でしか動けない三流の意見に傾ける耳は何処にも無い。貴様の研究のスポンサーにも協力者にもなる必要は何処にもない」

 

 黒服が伸ばした手を海馬社長は拒んだ……海馬社長の目は最初から変わっていない。どうでもいい、興味が無いという目だ。

 

「クックック、残念ですね……しかし、貴方はなにをしにここに?」

 

「未来への先行投資だ」

 

「そういう言葉で有耶無耶にせず……キヴォトス人の神秘に自力で気付いたのならば、なにか別な事に気付いているのでは?」

 

「ふぅん……アポロンウィンドウを探している」

 

 未来への先行投資と言うよくわからない言葉で流そうとする海馬社長。黒服は海馬社長がなにかをしているのは見抜いているけれどもその何かがわからない。なにかに気付いていることを指摘すれば海馬社長は答えた。

 

 アポロンウィンドウ?……聞いたことが無い。

 

「貴様はつくづく三流だ……キヴォトス人が神秘を宿しているのでなく、キヴォトスそのものが神秘を宿している」

 

「……そこまで理解していたとは」

 

「お前の様な探求者に言っておくが、世界とは基本的にはいい加減に出来ている。厳しい世界の管理者が居ようとも軽々とそれを突破する。いい加減に出来ているからこそ神秘は神秘として機能している……何故ならば理解されていないから神秘として扱う」

 

「それを理解したいのが探究者の性でしょう?」

 

「凡骨が理解出来た時点で神秘としてはおしまいだ……オレは探している。このアビドスと言う土地に眠る神秘の入り口を」

 

「それがアポロンウィンドウと?」

 

「正確には少し異なるがオレはそう呼んでいる……アポロンウィンドウを見つけ出す。オレが出したアビドスを救う答えへの第一歩だ」

 

「!?」

 

 アビドスを救う……海馬社長はハッキリとそう言った。

 

 今までそんな素振りを見せていなかったのに、それなのにも関わらず海馬社長はハッキリとそう言った……

 

「このアビドスは原因不明の砂漠化が起きた。悪徳金融ではあったが形はどうあれアビドス自治区に金は貸した。そして失敗に終わった」

 

「クックック……砂漠化の原因は不明、まさか既に解き明かしていると?」

 

「キヴォトスそのものが神秘を宿しているいい加減な世界であれば、このアビドスと言う土地にも神秘的なエネルギーが宿っている。だが、エネルギーとは無限ではない。一時期はキヴォトス随一の学区であったアビドスは何かしらの形で土地そのものに宿る神秘が枯渇した」

 

 ……デタラメだ。いや、でも……分からない。

 

 カイザーグループからは確かにお金は借りた。アビドスの復興に使ったけれどなんの効果も無かった。

 

 嘗てのアビドスはキヴォトス随一の学区で発展していた。色々と調べても分からないと言う答えしか出なかった。

 

「アポロンウィンドウを見つけ、禁断の石臼(モンティエ・デ・ビレ)を作り、そのシステムを応用してキヴォトス人が持っている神秘を注ぎ込む……そうすれば枯れたアビドスに緑豊かな土地になる」

 

 海馬社長はアビドスをどうにかする方法を既に考えていた。

 

「クックック……面白い話ですね。ですがそれは現段階では机上の空論ですね……確かにキヴォトス自体神秘的な世界です。パワースポットと呼ばれる土地が外の世界にもキヴォトスにも存在はしている。パワースポットのエネルギーが枯渇しているから別のところから持ってきたエネルギーを注ぎ込む……面白い考えですがそれは貴方の理論が正しければ、の話」

 

「ああ、そうだ……だからオレは動いている。己の仮説が正しいかどうか……言っておくがオレはアビドスを緑豊かな土地にするのが目標ではない。通過点に過ぎない」

 

「通過点?まだ何かあるのですか?」

 

「腹立たしい事にキヴォトス人は力を持ってしまっていて歪んでいる。歪んだものを真っ直ぐにするには力が必要だ……何れは歪んだ連邦生徒会も、とだけ言っておこう」

 

 海馬社長にとってアビドスを復興させるのは通過点……海馬社長はブルーアイズランドを作ると言っていたけれど連邦生徒会もと腹に黒いものを抱えている。

 

 海馬社長の話が本当ならば、キヴォトスの外に回線を繋げてキヴォトスの外で電波に乗せて売れる物を売ればお金が手に入る。

 

 海馬社長の話が本当ならば、アビドスに向かって私達が宿している神秘を注ぎ込むことで砂漠化を阻止するどころか緑豊かな土地に出来る。

 

「おやおや、恐ろしい……しかし何故それを彼女達に伝えないのです?」

 

「決まっている。彼奴等を自力で立ち上がらせる為だ」

 

「え……」

 

 糠喜びさせない為に私達に伝えずに来ているんだと認識していたら、海馬社長はハッキリと自力で立ち上がらせる為と答えた。

 

「オレはオレの道がある。他人にまでその道を歩くことを強要する程に愚かじゃない。オレが歩いた後に綺麗な花畑が出来たのならば好きにすればいい。だがそこに向かう為に歩く力は自分でつけなければならない。オレと言う人間が答えを出し続け与えるだけでは意味が無い。仮にオレが愛想良く振るまえば、奴等は今度こそは信頼出来る大人だろうと掌を返すだろう」

 

「信頼が欲しくないのですか」

 

「信じてほしければ言葉でなく行動で示せ。そして起きた結果で納得させればいい……彼奴等は今、悩んでいる。どうすればいいのか分からないともがき苦しみながらも前に進もうとしている」

 

「だからこそ、手を差し伸べるのが大人じゃありませんか」

 

「だろうな」

 

 私達がもがき苦しんでいる事を知っている。それに対して手を差し伸べるのが大人じゃないのかと黒服は言えば海馬社長は頷いた。

 

「だから聞き返してやろう……差し伸べた手で彼奴等の手を何時まで握っていなければならない?」

 

 それは…………。

 

 どうだろう。海馬社長の考えが正しかったら、アビドスの借金や砂漠化をどうにかする事を海馬社長がしてくれたら……きっと甘えてしまう。信頼出来る人を頼る……でも、頼り続けてしまうかもしれない。

 

「手を差し伸べる事は悪ではない。やらない善よりもやる偽善の方が遥かにマシだ。だが、それでは解決したとは言えない」

 

「クックック……魚を与えるのでなく魚の捕り方を教えることこそが正しいというやつですね。しかし手を握らないのはどうかと思いますがね」

 

「……助けてと泣いても叫んでも助けに来ないことだって普通にある。正義の味方が本当に助けが必要な時に来ないことがある。オレはオレの理想とする幸福を勝手に与える。それが不満ならば立ち上がればいい、その為の環境を作る」

 

 海馬社長はブルーアイズランドを作ると言っていた。子供達を無料で招待すると言っていた。

 

 自分の理想とする幸福を与える……でも、人によってなにが幸せかは異なる。海馬社長の思う幸せと私達の思う幸せは違う。

 

「協力してはくれないのですね……残念です。かなりの叡智をお持ちなのに」

 

 黒服はそう言うと去っていった。

 

『シャッチョサンよ、言うこと言っちゃっていいわけ?』

 

「手を差し伸べて道を示すのだけが大人じゃない。己の意思で立ち上がり歩く……少なくともオレには無償の愛を向ける相手はもういない」

 

 海馬社長はAiに向かってそう言うと拳銃を撃った。

 

「っ!?」

 

 私の近くに向かって……バレてた?

 

 海馬社長にどういう顔を合わせればいいのかが分からない。海馬社長は発砲するだけでなにも言わず追ってもこない。

 

 海馬社長にどういう風に向き合えばいいのかが分からない私は逃げ出した。

 

『シャッチョサン、最初から気付いていたでしょ?』

 

「本人が気配を隠しているつもりだが、感情がブレている」

 

『いいの?あんまり知られたくないこととかもあったでしょ』

 

「言っただろう。自分で立ち上がる環境は作ると……オレ自身はコレで手を差し伸べたとは思っていない。だが、奴自身が変わろうとするキッカケにはなった……コレで明日のデュエルは本気で挑める」

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。