AKUMA退治はティータイムと共に   作:ホワイトチャペルの青年

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第十話

 順調にアジアにまで来てしまった旅の中、俺はある事実に気付いてしまった。

 

 

「……アジア支部、どこにあるのでしょうか」

 

 

 いや、アジアに着く前に気付くべきだった。

 

 室長によるとアジア支部は、バク支部長の祖父が作ったという守り神の結界によって秘匿し守られてきた場所だとか。

 つまり事前情報なしに外部から探すことなど不可能に近いことになるのだが……。

 

 

「流石に手詰まりですね、これは」

 

 

 イノセンスのない俺では、仮にファインダーを見つけたとしてもそう簡単に信じてもらえない可能性が高い。

 ノアの一族やAKUMAに変身能力がないとも限らないからな。

 

 というかそもそも、俺あっち側からしたら死んだ判定になっているんじゃないか?

 

 

「さて、どうしたものでしょうか」

 

 

 AKUMAを相手取って大きな騒ぎを起こす、そうすれば異変を感じたファインダーや本部の人間が調査に来るかもしれない……が。

 リスクの方が高過ぎる、却下。

 

 なら怪奇現象が起きている場所に行って、その場所のイノセンスと共にファインダーを待つ?

 数多く体験して来た怪奇現象の中で俺がイノセンスを見つけられたのは幾つだったかな、多分無謀だ。

 

 

「バク支部長との会話から手掛かりを得ねばなりませんかね」

 

 

 正直、あの時は他愛もない話をしただけで手掛かりなんて大層な情報はない。

 リナリーに一目惚れしただとかで俺にも色々と聞いて来たのがきっかけだったかな。

 

 

「確か……身近には破天荒な方しかいない、でしたか」

 

 

 それ故に、いかにも少女らしいリナリーに惹かれたと言っていた。

 ……話を聞く限りだと、破天荒というより交戦的だなという印象を受けたのだが。

 

 

「その方は偶に、珍しいものや噂を探しに外へ……ふむ」

 

 

 ほっつき歩くというかイノセンスの可能性があるものを探してくれていると言うのが正しそうだ。

 基本的に本部以外の場所にイノセンスを所持するエクソシストは配置されないからな、唯一と言って良いほどの戦闘要員だとバク支部長は言っていたし。

 

 

「……それに、賭けてみるしかありませんか」

 

 

 とは言えだ、広いアジアの土地の中奇跡的な巡り合いなんて早々あり得ない話    

 

 

「いてっ」

 

「む……失礼、考え事をしていました」

 

 

 こんなところにも人がいるものなんだな。

 気分転換になると思って、人の居なさそうな竹林の中を歩いていたんだけども、目論見が外れてしまった。

 

 

「ったく。気を付けろよ小僧」

 

「はは、これでも小僧と呼ばれるほどの年齢でもありませんよ」

 

「ふん、(あたし)とっちゃどいつもこいつもガキみたいなもんだ」

 

「そうでしたか」

 

 

 ぶつかってしまったのは、ピンク色の珍しい髪をした少女。

 ……なんとも、不思議な感情(いろ)を見せることだ。

 

 

「テメェ、不思議な気配させてんな」

 

「……はい?」

 

「神の気配、それだけじゃねェ。なんか別の……ああもう、混ざっててよく見えねェな!」

 

「うぐっ!?」

 

 

 どすんと、胸に一撃を貰ってしまった。

 芯のある良い一撃だ、中々内に響く……じゃ、なくってな?

 

 

「……そういう貴女こそ、不思議な方だ」

 

「あァ?」

 

「見た目は人、それも少女の様でありながら、その精神は……感情の色はひどく落ち着きのある老人の様な色味をしておられる」

 

「……へェ、お前そういう眼か」

 

 

 俺の右目をじっと見つめる少女。

 衝撃によりうずくまった俺と、目線の高さがちょうど合うようだ。

 

 

「いいね、面白い。テメェ名前は?」

 

「ジル、と申します」

 

(あたし)はフォーってんだ、よろしくなジル」

 

 

 そう自己紹介をし、フォーは不敵に微笑んだ。

 ……全く、おれのじんせいは本当に奇縁だらけだ。

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