AKUMA退治はティータイムと共に   作:ホワイトチャペルの青年

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第二話

「The night is long that never finds the day.……ですか」

 

 

 彼の著名人シェイクスピアの『マクベス』という作品にて紡がれた言葉。

 意味としては『夜明けが来ない夜は長い』というもの。

 

 

「聞き及んだところによると『明けない夜はない』と解釈する意見もあるのだとか」

 

 

 シェイクスピア初心者の私ではどちらがどうと判断するほどの理解力はないのだが、どちらにせよ今の教団にぴったりだなと感じる。

 

 

(ノア)という闇を晴らす為に長く永く戦い続ける神の従僕、役者達」

 

 

 シェイクスピア、彼は世界のどこかでこの様なことになると予感していたのだろうか。

 既に故人だから答えは聞けないのだけれども。

 

 

「神」

 

 

 ロードによれば、ノアの一族こそ神に選ばれた使徒である。

 しかしそのノアは、その神の世界を終焉(おわ)らせようとしている。

 

 

「……」

 

 

 この矛盾が示す答えとは、一体    

 

 

 

「ああ、すみませんね。……私の中に神への叛意などありません、ですから落ち着いてください」

 

 

 出来心とはいえ神への不信を感じ取ったのか、イノセンスが少々ざわつき始めている。

 ちょっと怒りっぽ過ぎやしないかね。

 

 

「単に選ばれた彼らが狂っただけ、これで構いませんか?」

 

 

 ……どうやら、落ち着いた様だ。

 幾らシンクロ率が高いとは言え度が過ぎればしっかりと反逆される、手綱を握る為にも余計な思考(ノイズ)は最小限に留めなければならない。

 

 

「……ん?」

 

 

 警報の音、そしてドタドタと部屋の前を通過する何者かの足音。

 何やら騒がしい。

 

 

「行ってみましょう」

 

 

 

 


 

 

 

 

 目の前の、目的としていた部屋から様々な声が響いてくる。

 どうやら室長達が騒いでいる様だ。

 

 

「どうかされましたか?」

 

「あっジル君! 丁度良いところに来てくれた!」

 

 

 良い物を見つけたと言わんばかりに擦り寄ってくる室長。

 ……さて、嫌な予感がしてきたな。

 

 

「彼、どう思う?」

 

「はい? 彼とは……」

 

 

 そう問われ、見せられたモニターに映っているのは1人の少年だった。

 物珍しい白髪で、左腕に仕掛けの見える少年。

 

 

「ええとリナリー。これはどういう状況ですか」

 

「彼、クロス元帥の紹介だって言っているのよ」

 

「……成程、クロス元帥ですか」

 

 

 室長が俺に意見を求めた理由がわかった。

 クロス元帥絡みだったからだ。

 ……いや待って欲しい、そもそも俺はだな。

 

 

「確かにこの面々の中では長い付き合いなのかも知れませんが、私とて彼の御仁のことを知っている訳ではありませんよ」

 

 

 色々な奇縁があって、クロス元帥とは少々関わりがある。

 あまり良い思い出とは言えないが。

 

 

「門番に判断を仰ぐのが早いのでは?」

 

「それはそうなんだけどさぁっ! あのクロス元帥だよ?」

 

「……」

 

 

 室長の言いたいことはなんとなく理解した。

 悪魔に関わりがあったとしてその悪魔にクロス元帥の手が及んでいないという証明にはならない、と。

 

 いわゆる、悪魔の証明だ。

 決して神父に使う言葉ではない。

 

 

「ふむ……」

 

 

 そう言った諸々の事情を背負い、改めて画面に映る少年を見る。

 ……とても、人間味のある感情(いろ)が見える。

 

 

「私の意見で良ければ、問題ないかと」

 

 

 とてもじゃないが、黒の教団に攻め込む直前のAKUMA陣営に映る色だとは言えない。

 AKUMAとて、死の間際には焦りの色を映すのだから。

 

 

「そうか」

 

 

 意見を聞いた室長が押し黙る。

 まあ、この辺りは室長の匙加減だろう。

 

 

「兄さん、ジルが言うんだったら問題ないんじゃない?」

 

「うーん……」

 

「信頼は嬉しいですが、あまり頼りになる物でもありませんよ」

 

 

 リナリーからの信頼を視覚と空気感からひしひしと感じる。

 

 

「そう? 私、ジルの目は一番頼りになると思ってるんだけどな」

 

「……お戯れを、レディ」

 

「……」

 

 

 リナリーの真っ直ぐな目が、こちらを見据える。

 ……困ったな。

 

 

「この目があるから、間違えることだってあるのですよ」

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