AKUMA退治はティータイムと共に   作:ホワイトチャペルの青年

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第三話

「……というよりも室長」

 

「うん? どうかしたのかいジル君」

 

「クロス元帥からの紹介だと言うのであれば、その手紙があるのでは? 如何にクロス元帥といえどその程度の配慮はするでしょう」

 

「……えっ」

 

 

 そう言葉を紡いだ瞬間、部屋の空気が固まってしまったかの様に静まった。

 ……うん? いや紹介ってそう言うもんだよな、本人がいないってんなら尚更。

 

 

「如何に門番に頼り辛くて、私の意見を使わざるを得ないとしても。物証に勝る信頼はない」

 

 

 室長がだんだんと動作不良に陥って行っている。

 周りを気にせず己の意見を言い切ってしまったが。

 

 いや、まさかこいつ。

 

 

「そこの君! 僕の机の上を探して!」

 

「えっ!? は、はい!」

 

「……」

 

 

 やっぱりか、このシスコン。

 やりやがったよ……!

 

 

「ジル、顔に出てるわよ?」

 

「……これは失礼、まさか重要文書を放置したままにしていたとは思わず」

 

 

 しまった、あまりにも愚か過ぎるミスに素の俺が漏れ出てしまっていたらしい。

 そういうものに限らず、手紙は逐一確認すべきだろうに。

 ……せめて差出人の名前だけでも、だ!

 

 

「ふふ」

 

「意地が悪いですよ、リナリー」

 

「ごめんね、つい。ジルの素顔なんて、こんな時でもないともう見られないから」

 

「……」

 

 

 懐かしいものを見たと言いたげな表情でこちらを見据えている。

 その色には、悪感情は一切ない。

 

 ……リナリーはあんなに柄の悪かった俺のどこに面白さを見出せるのか。

 

 

「今のジルも好きだけど、昔のジルは懐かしくて頼もしいって感じるの」

 

「……あんな野蛮さは頼もしさとは呼びません」

 

 

 今思い出しても恥ずかしいからな。

 

 

 

 


 

 

 

 

「初めまして、アレン・ウォーカー。クロス元帥はお元気ですか」

 

「え……?」

 

「ああ失礼、自己紹介がまだでした。私はジル・スチュアート、クロス元帥とは少々縁がありまして」

 

「え、あ、そうなんです、か……?」

 

 

 そう言った瞬間、青……彼の感情(いろ)に、怯えや同情の色が灯る。

 ……何故?

 

 

「クロス元帥にお礼を、と思っているのですが最近は中々会えず仕舞いでして。どこにいるだとかご存知ではありませんか?」

 

「ひっ……い、いえ、知りません!」

 

「?」

 

 

 おかしい、話せば話すほど同情や申し訳ない、悲しいと言った系統の色が強くなっている。

 よく見ると悲しいやトラウマなどの色まで混ざっている、一体何事だ。

 

 

「あの……ミスター。どうやら勘違いなされている様なので少々説明をしても?」

 

「えっ?」

 

「私はクロス元帥を恨んだりしている訳ではありません、むしろその逆と言える」

 

「え、えええっ!?」

 

 

 ああやっぱり、彼の元帥はロクな噂を聞かないからもしやと思っていたが。

 お礼参りとでも思われていたらしい。

 弟子にまでその手の思われ方をしているとは、普段何をしたらそうなるのか。

 

 

「彼に関して、私やリナリーとその他では印象に大きく差がある様でして……クロス元帥には偶に珍しい本などを贈り物として貰っているのですよ」

 

「なっ……あ、あの師匠がそんなことをっ!? 男にっ!?」

 

「はい」

 

 

 ウォーカーからすれば、相当の女好きらしいクロス元帥を間近で見てきた分リナリーに優しく接することは容易に想像が出来るのだろう。

 その逆は全く想像できないのだろうが。

 

 

「う、う、嘘だっっ!! 僕にはあんな所業を繰り返していたのに! ジルさんには優しいだなんて    

 

「……ご愁傷様です」

 

 

 あまりにも無情な現実に耐えきれなかったのか、ウォーカーが膝から崩れ落ちてしまった。

 その様を見ていると何か申し訳なくなってくる俺がいる。

 

 本当に申し訳ない。

 

 

「お詫び、と言って良いのかは分かりませんが。何か困ったことがあれば私に言ってください。出来うる限りのことをしますから」

 

「じ、ジルさん……!」

 

「ジルで構いませんよ、ミスター」

 

 

 ぱあっと、彼を覆っていた青の感情が晴れていく。

 ……彼には俺が救世主にでも見えているのか? まさかな。

 

 そんなこんなで(アレンにとって)衝撃的なファーストコンタクトを終えることができた。

 何故クロス元帥は、俺に優しい対応をするのだろうか?

 

 あんなぶっきらぼうな顔をしながら、おれに青の色を浮かべる元帥は一体、何を    

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