AKUMA退治はティータイムと共に 作:ホワイトチャペルの青年
「ジルさんは神様のことをどうお思いですか?」
「……」
俺の紅茶を大層気に入られたらしい伯爵殿は、紅茶を楽しみながらその様なことを仰られた。
伯爵殿、事情を知らぬとはいえエクソシストにそれを聞くのはどうかと。
……ああ今イノセンスないんだっけ。
「私個人の意見でよろしいのでしたら、無関心というのが1番近しいかと」
「ほう、それはどうして?」
「神は天から人を見守るとよく言われておりますが、見るだけで終わるのならそれはもう居ないも同義」
好きの反対は無関心という言葉があるが、俺の考えはそれに近しいのだろう。
俺は生き物を
なら、見られぬものは無関心しかあるまいよ。
「私は居ないものに関心を向けるつもりはございません」
「ンフフ、そうですカ……」
俺の答えに満足そうに頷かれる伯爵。
……あくまで表面上ではあるが、内心は不服な様だ。
この数日、伯爵殿や近辺の者達との会話を通じて伯爵が神嫌いであるというのは把握している。
あわよくば俺も嫌いなのではないか、と期待されていたらしい。
「では、神が居ると仮定した場合どう思われますか」
「……居る場合、ですか」
はてさて困った、仮定では色で見分けられない。
……となれば情報で推察するしかないが。
神に関連する事柄、ハート、イノセンスにエクソシスト、そして……ノアの一族。
俺の知るノアは1人だけなので、判断基準はロードということになる。
ハートやイノセンスは置いておくとして、エクソシストは……話題のアレンやリナリーと仮定しておきましょう。
「そうなれば嫌い、という答えになります」
「……」
「何故と言われてしまえば答えに困りますが」
俺自身は……まあ少々嫌っている節はあるがその程度。
それよりも、だ。
神に選ばれたという、死なずの少女。
俺は、彼女の色を美しいと感じた。
「しかし、それはそれとして感謝の意を述べねばなりません」
「……!? そ、それは何故?」
予想外の続きに大きく動揺される伯爵殿。
嫌いなのに感謝するなど、酔狂にも程があるという自覚はある。
「私が美しいと感じる
「それは……」
「であるのならば、嫌いであっても制作者への感謝は致しますとも」
一本透き通った感情や、人間的な色の変化が俺は好きだ。
彼らは、それに当てはまる。
「私の答えはお気に召されましたでしょうか、伯爵様」
「……あなたハ……」
「伯爵様?」
こちらを見つめる伯爵殿は、どこか悲しげだ。
……浮かぶ色は青、そして強く波打っている。
動揺されている様だ。
「ああ……!」
「どうかなさいましたか、伯爵様」
「……すみませン……すこし、1人にさせてください……」
頭を抱え苦しまれている状況で1人になど……!
「大丈夫デス、座って少し休めば治りますカラ……♡」
「……かしこまりました」
俺の目では、色を読み取っても心までは読み取れない。
故に、そう言われてしまえばそう思うしかないのだ。
「外でお待ちしておりますので、何かあればお声がけください」
それはそうとして、俺はこの先どうすればいいのだろうか。
このまま執事してるってのは流石にダメだろう。
執事が去った部屋の中で、1人の貴族が葛藤していた。
「あ、あああ……私は何を忘れているというのデス……♡」
彼の心に浮かぶのは、郷愁、悲哀、悔恨……どれもこれも見知らぬただの人間に浮かぶ様なものではない。
加えて。
「あのニンゲンの発言、動作の全てが頭に響ク……♡」
この様なことは長い生の中で初めてだと感じる貴族。
何故? 何故? 彼とは面識がある?
「イエ、それはナイ♡ しかしならば……これハ……♡」
貴族の痛みは、今もなお続いている。