悟空「次はお前らの番だ。」   作:ぐぬぬです

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第十話 乗り越えるべき壁。

_____おめでとう爆豪くん!君の実技は()()()()()例年通りであれば一位でもおかしくない好成績だったのさ!

 

 

 

 

合格発表の通知は、あまりにもあっさりと届いた。

手応えはあった。落ちる理由などどこにも見当たらない。

 

筆記は自己採点の段階で合格ラインを大きく超えていたし、

実技に関しても____他の連中とは比較にすらならないほど、

仮想ヴィランを叩き潰した自負があった。

 

……それなのに。

 

 

 

「‥‥二位‥‥‥だと?」

 

 

 

 

ネズミに似た校長の口から告げられた言葉に、

胸の奥で何かが軋む音を立てた。

 

合格した喜びよりも先に湧き上がったのは、

“自分より上が存在している”という事実への苛立ちだった。

 

誰だ。

俺より上に立ったのは、一体どこのどいつ_________

 

 

 

 

「_______まさか」

 

 

 

 

 

脳裏に、ひとつの顔が浮かぶ。

認めたくない。だが否定もできない。

 

自分と同じ……いや、

自分を追い越しかねない存在に、心当たりがあった。

 

その予感は、残酷なほど正確だった。

 

だがこの時点ではまだ、

それが“人生で初めての挫折”になるとは、

爆豪勝己自身も理解していなかった。

 

 

 

 

 

 

登校初日

 

 

 

僕は雄英高校の制服に袖を通し、玄関で靴紐を結び直していた。

合否の結果は、言うまでもない。

 

母に報告した時のことを思い出す。

泣きながら抱きしめられて、何度も「おめでとう」と言われた。

 

その中でも、胸に強く残っている言葉がある。

 

『よく頑張ったね、出久』

 

「出久、超カッコいいよ」

 

「ありがとうお母さん!行ってきます!」

 

思い切り笑って、僕は家を出た。

 

 

 

 

 

 

 

学校へ向かう道中、

僕は自然と、少し前の夕暮れを思い出していた。

 

悟空さんと最後に話した日のことだ。

 

 

 

『出久、これからおめえはもっと強くなるんだよな?』

 

夕焼けに背を向けて、

悟空さんはいつもの調子でそう聞いてきた。

 

『もちろんです!悟空さんより強くならなきゃなんですから!』

 

そう答えた僕に、悟空さんは満足そうに笑った。

 

『そうこなくっちゃな』

 

――でも、その笑顔はどこか、

“区切り”を含んでいるようにも見えた。

 

 

 

『そんじゃ、これだけは覚えとけ』

 

その声は、いつもより少し低かった。

 

僕は反射的に背筋を伸ばす。

 

どんな修行だろう。

どんな厳しい言葉が来るんだろう。

 

そう思っていたのに。

 

 

 

『仲間を、大事にしろ』

 

拍子抜けするほど、静かな言葉だった。

 

『一人じゃ強くなれねえ。』

 

 

 

 

『これから教えてもらうのは、

オールマイトや……仲間たちだ』

 

『出久、出会いを大切にしろ。

それがオメェを、もっと強くする』

 

 

 

 

 

「……強く、か」

 

現在に戻り、

僕は小さく息を吐く。

 

 

 

 

「まぁ……やってみなきゃ、分かんないよね」

 

そう呟いて、

僕は雄英高校へと足を進めた。

 

 

 

 

 

校舎はどこを見ても規格外で、

異形型個性への配慮が随所に見て取れる。

 

まるでテーマパークみたいだ、と思った。

 

『1-A』

 

プレートを見上げて、胸が少しだけ高鳴る。

ここで、僕は一年を過ごす。

 

 

 

 

 

扉を開けた瞬間、聞き慣れた声が飛び込んできた。

 

――かっちゃんだ。

 

相変わらずだな、と思うと同時に、

なぜか少しだけ安心してしまう自分がいた。

 

「……デク」

 

視線がぶつかる。

 

「おはよう、かっちゃん。どうやら同じクラスみたいだね」

 

「……そうみてえだな」

 

言葉は素っ気ないのに、

その目はどこか落ち着かない。

 

――何どうしたんだろ。

 

そう思った瞬間、

 

 

「あーっ!!!」

 

 

 

かっちゃんが何か言う前に、後ろの方から女の子の声が響いた

 

その声の主は試験の際少しだけ話をした子だった。

 

 

「0ポイントを思いっきりブッ飛ばしたモジャモジャの子!!!」

 

 

「やはりか‥!君と同じクラスになれてとても光栄に思うよ!」

 

 

 

ほんわかした感じの女の子がそう言うと、かっちゃんに注意してた人もそう言ってきた

 

 

「光栄だなんてそんな‥‥」

 

 

 

「‥‥‥‥‥‥‥」

 

 

 

僕がクラスメイトと話し込んでる中、かっちゃんはジッと僕の方を見つめていた。

 

何か言いたげな様子だったから、僕はある程度話し終えた後、かっちゃんに話しかけようとしたけど、

 

 

「お友達ごっこがしたいなら他所に行け。ここは……雄英だぞ」

 

 

 

先生のその言葉で遮られてしまった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「んじゃ、これから個性把握テストを行う」

 

 

 

「「個性把握テストォ!!??」」

 

 

 

「ガイダンスと入学式は!?」

 

 

「ヒーロー科にそんなこと悠長にやっている時間はないよ。雄英は“自由”が売り文句。それは俺たち先生側もまた然り」

 

 

 

「ソフトボール投げ、立ち幅跳び、50m走、持久走、握力、反復横跳び、上体起こし、長座体前屈……中学時代から個性禁止の体力テストはやっていた筈だ。

国は未だ画一的な記録を取って平均を作り出している。

非合理的な‥‥おっと、これは単なる愚痴だ。気にしなくていい」

 

 

それに続いて相沢先生は僕とかっちゃんを指差してきた

 

 

「緑谷、爆豪、ソフトボール投げの最高記録は?」

 

 

 

「‥‥‥67m」

 

 

「僕は確か‥‥83mです!」

 

 

 

中学の平均記録は超常発現前で40m前後、発現後で55m前後。

異形型の個性により平均は大きく伸びはしたが、僕とかっちゃんの記録はその平均を上回る好成績だ。

 

 

「なら爆豪と緑谷。個性を使って投げてみろ」

 

 

「わかりました!」

 

 

「‥‥‥‥」

 

 

 

 

かっちゃんと僕は言われた通り個性を使ってソフトボールを投げ飛ばす

最初に投げたのはかっちゃん

何故か「死ねェッ!!」と叫んで投げながらも中々の勢いでボールは飛んでいく

個性の爆風を利用した上で705.2mという中々の好成績を叩き出した

 

 

次は、僕。

 

壊さない。

暴発させない。

 

人差し指にだけ力を集める。

 

_________SMASH。

 

視界の先、

信じられないほど遠くへ飛んでいくボール。

 

「……8000m」

 

周囲がざわつく中、

僕はただ、手応えだけを確認していた。

 

(悟空さんが言ってた。

細かい力の調整も、修業だって)

 

 

 

「まず自分の最大限を知る。それがヒーローの素地を形成する合理的手段」

 

 

「なんだコレ!!すげー面白そう!」

 

「個性を思いっきり使えるんだ!!さすがヒーロー科!!」

 

皆がはしゃぎだして場の雰囲気が盛り上がる。

まあ確かに、個性を存分に使えるイベントみたいなものは滅多になかったしね

そうなるのも無理もない

その喧騒が誰よりもストイックなヒーローである相澤消太ことイレイザーヘッドの癇に障ったようだ。

 

 

 

 

「面白そうか。ヒーローになる為の三年間、そんな腹づもりで過ごす気でいるのかい?よしトータル成績最下位の者は見込み無しと判断し、除籍処分としよう」

 

 

 

「「「はぁぁぁぁあ!!??」」」

 

 

 

「生徒の如何は先生の自由、ようこそこれが雄英高校ヒーロー科だ。

プルスウルトラ、全力で乗り越えて来い」

 

 

 

 

周りのみんなは先生の型破りすぎる行動に驚きを隠せずにいた

確かに理不尽かもしれない。

 

でも、オールマイトは僕にこのことを教えてくれた

 

 

 

『いいかい?緑谷少年。

ヒーローとは、どんな理不尽も自らの力で跳ね除けに行く存在なんだ。

悟空さんも言っていたがね、君より強いヴィランが今後現れるかもしれない。

その時こそ、ヒーローという存在は問われる。

この理不尽を乗り越えられるのか?とね』

 

 

 

「Plus Ultra‥‥‥」

 

 

 

 

先生の言葉の意味を理解した時、僕は思わず笑みが溢れた。

 

それは共に無意識の内に手加減して挑もうと考えていた思考を無くさせる。

 

 

______そうだ。やるからには全力で‥‥そして

 

 

 

 

「_____一番になってやる。」

 

 

 

 

そうだ。僕は『その為にここに来たんだ』。

 

 

 

 

 

 

50m走はOFAのフルカウルを使用してでの2秒01

 

100%を使用しても良かったけど、多分計測できないし周りにも迷惑が掛かりそうだからフルカウルで留めておいた。

 

 

 

「僕よりも一秒も速いなんて‥‥‥なんてすごい個性なんだ‥‥!!」

 

 

 

 

その次に握力、一度全力でやろうとしたら力み過ぎて機械が壊れてしまった為、個性無しで測ろうとしたけど

相澤先生が

 

 

 

「面倒だからお前が一番で良い。この中で壊せるのお前くらいだろ」

 

 

と言われた為免除のような処置をされた

 

 

 

 

「な、なあ‥‥この握力計って三桁まで測れるんだったよな‥‥?」

 

 

「‥‥‥あぁ、俺の記録は540だったし‥‥」

 

 

「それ壊すってどんだけゴリラなんだよ‥‥」

 

 

「感覚麻痺ってたけど540もだいぶゴリラだし、‥‥じゃああっちはゴジラ?」

 

 

 

 

続いての立ち幅跳びや反復横跳びも周りと大きく差を付けての1位通過

 

 

そしてもう一度行ったボール投げ、今度は指二本に力を込めて投げた結果、記録は9000m超えだった。

 

 

ここまで好記録を連続で叩き出せば当然一位だったわけだ。

 

 

 

結果が出たところでトータル最下位と結果が出た峰田君は絶望の表情をしていたんだけど

 

 

 

 

「除籍云々は君たちの全力を引き出すための合理的虚偽だ」

 

 

 

というわけで嘘だったらしい。

しかし、除籍が無くともペナルティはあるようで相澤先生はあることを提案した

 

 

 

「成績下位3名、耳郎、葉隠、峰田。

お前たちには夏休みまで『修業』を行ってもらう。」

 

 

「しゅ、修業‥‥?」

「つまり鍛えろってこと?」

「週6の授業に加えて筋トレかよ‥死んじまうよ‥‥‥」

 

 

 

「あぁ、だが修業をするには教えてもらう者が必要だ。‥‥ということで緑谷からコーチしてもらうこととする」

 

 

 

「‥‥‥え、えっ!?ぼ、僕ですか!?」

 

 

 

いきなりの話に僕は困惑を隠せずにいた。

というよりなんで僕なんだろうか‥‥

そんな意図を感じ取ったのか、相澤先生はこう続ける

 

 

「緑谷の成績は明らかなほどに群を抜いている。

だが、見ていて理解したんだが‥‥こいつの強さの正体は『個性』だけではない。

鍛え抜いてきた身体だ。」

 

 

 

「フィジカルが強い上に個性の扱い方も長けている。

下手すればもう既にこの学園でトップレベルの実力者になっているとも考えられる。

俺達教員が指導するよりお前が教えたほうが適任だと判断した。

頼めるか?緑谷」

 

 

 

ここまで言われてしまっては断る理由なんて無いに等しかった。

 

それに悟空さんは言っていた。

『教えるのも修業の内だ』と

 

 

 

 

「分かりました!!僕に任せてください!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

__________________________

 

 

 

 

 

 

一位 緑谷出久

 

 

〜〜〜〜〜〜〜

 

 

四位 爆豪勝己

 

 

 

誰が見ても、2位と1位を見比べてもそれは『圧倒的な差』だった。

 

 

 

 

 

_______負けた?

 

 

この俺が?出久に‥‥‥?

 

 

 

いや、出久だけじゃねえ。

 

他にも二人‥‥俺より上が存在してやがる。

 

その二人も中々の好成績を叩き出してやがった。

 

‥‥‥でもそれすらも霞んで見えるくらいアイツは上に立っていた。

 

 

 

 

クソデクがあの時言った言葉が脳裏を過ぎる

 

 

 

 

「『最強かつ最高のヒーロー』になることです。」

 

 

 

 

当時の俺からすりゃ、無個性なクソナードが口にした身の丈にもあってない無謀な夢。

 

 

"絶対に叶わない"と断言できるくらいの夢物語

 

 

そんな架空のお話が今

 

 

『現実になりつつあることに俺はやっと気が付いた』。

 

 

 

中学二年、アイツの雰囲気が変わり始めた。

 

身体付きも何処か良くなっていき、顔付きもクソナードとは無縁になっていった。

 

 

 

 

 

中学三年の春、アイツは俺を助けに走り出した。

 

そして、クソヴィランを、無個性なのにも関わらず『オールマイト』のように『力』でねじ伏せてみせた。

 

 

アイツは、雄英入学試験を一位で通過した。

 

 

個性がいつの間にか発現していたことにも不服には思うが、今はもうそんなのはどうでも良かった。

 

 

 

 

『そもそもの話をすんならな!俺とお前とじゃ才能に天と地ほどの差があンだよッ!!

 

お前は無個性のクソナードッッ!!

 

俺は将来有望の天才ッッ!!!

 

お前は何で『この俺』と!!同じ土俵に立てると思ってんだァッ!?』

 

 

 

 

『___凡人でも

 

一生懸命努力すれば天才を超えれることだって

 

あるかもしれないじゃないかッ!!』

 

 

 

 

 

その時、俺はやっと気が付いた。

 

 

俺はとっくの昔に、デクに追い抜かれてることに。

 

 

『"無個性だった時から"』もう‥‥‥‥

 

 

‥‥‥‥いや、もしかしたら

 

 

 

 

 

 

____大丈夫?立てる?

 

 

 

 

 

 

"あの時"から、もう既に、緑谷出久という男は

 

 

俺とは全く違う土俵に立ってたのかもしれない。

 

 

 

 

 

 

 

「_____________________」

 

 

 

 

そのことに気がついた俺はその場で思いっきり歯を食いしばることしかできなかった。

 

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