悟空「次はお前らの番だ。」   作:ぐぬぬです

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第六話 架空は現実に。

その場に居る者達が突如として走り出す少年に驚きの声を上げる

 

 

 

「バカヤロー!!止まれ!!止まれ!!!」

 

「(なんで‥‥なんで飛び出したんだ僕は‥!?なんで!?)」

 

 

 

 

少年は、一度あのヴィランに負けている。

 

有効打が無いことは本人が一番よく理解しているはずだ

 

 

 

無個性のはずなのに

 

 

なんの力も打算も無いはずなのに

 

 

 

 

「テメェ‥!!あん時のガキか!!」

 

 

 

「はッ‥ァ!?デク‥!?な、ンで!??」

 

 

 

「(___いや、理由なんて‥‥()()()()()()()()()()()()!!)」

 

 

 

 

走り出した理由なんて一つしか存在しない。

 

 

 

 

目の前に居る、ヴィランに拘束された男の子を

 

 

 

ただ、『助けたい』という一心で走り出したのだ。

 

 

 

その走る背中は、まるで

 

 

 

______否。

 

 

 

 

その姿は正しく、『ヒーローだった』。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「もう、大丈夫」

 

 

 

少年は憧れのヒーローに近づく為に、

 

そしてその憧れのヒーローをも追い越す為に

 

拳を握り、あの人のように

オールマイトのように笑顔で言うんだ。

 

 

 

「『僕が来たッ!』」

 

 

 

「ヤッ‥‥メロッッ‥!!」

 

 

 

「テメェ如きに何ができるってんだ!!コイツの個性でくたばれッ!」

 

 

 

 

―――もう、油断や慢心はしないッ!!

 

 

僕は身体全体の重心が拳に入るように構える

 

 

このヴィランの攻略法は、オールマイトが見せてくれたッ!

 

 

集中しろ。

 

 

身体全体に巡る力を自覚するんだッ!

 

 

 

ヘドロヴィランがかっちゃんの個性を使って攻撃をする前に

 

僕はヘドロヴィランに『全身全霊を込めた拳を叩き込む』

 

 

 

 

 

____SMASHッッッ!!!!!

 

 

 

 

 

拳を叩き込むと、ヘドロヴィランの一部が弾け飛ぶ

 

 

その勢いでかっちゃんの拘束が外された

 

 

 

「なッ!?」

 

 

「ッッ!ゲホっ‥ゲホっ!!」

 

 

 

 

 

かっちゃんを回収するが、すぐにヘドロヴィランがこちらに向かってくる

 

 

 

 

「クソガキがァッ!!今度はテメェを隠れミノにしてやるッ!!」

 

 

 

 

「ク、、ソデクッ!!逃げろっ!!」

 

 

 

 

 

「―――いいやッ‥逃げないっ!!」

 

 

 

 

 

さっきのは僕が求めてた一撃じゃない‥!!

 

 

もっと、身体の中にあるエネルギーを、『爆発』させるイメージだ!!!

 

 

 

 

もっと明確に自覚しろ‥‥!!

 

 

自身の『気を』!!

 

 

相手の『気を』!!!

 

 

 

 

緑谷出久の集中力が極限にまで高まる

 

 

その瞬間、世界の音が遠のいた。

 

 

観客の声も、爆音も、恐怖も。

 

 

ただ、自分の身体の内側を巡る“何か”だけが、はっきりと分かる。

 

 

 

(‥‥‥‥これか)

 

 

 

逃げたい気持ちも、怖さも、全部そこに溶け込んでいく。

 

 

 

そうして彼は掴みかけた気の感覚を______

 

 

 

完全に掌握する。

 

 

 

 

拳を再び強く握り、再びヘドロヴィランへと向かう

 

 

 

 

「僕は_____」

 

 

 

 

 

―――力は、外から与えられるものじゃない。

 

 

 

 

 

 

 

 

「ヒーローにッ―――」

 

 

 

 

 

 

 

―――“立ち向かう意志”が

 

 

 

―――"闘う勇気そのもの"が

 

 

 

 

 

 

 

 

「なるんだあああああああッ!!」

 

 

 

 

_________力を現実にする。

 

 

 

 

拳を炸裂させると、『水が弾ける』ような轟音が町中に響き回った

 

 

 

それと共に町中にいた者達は歓声を上げた。

 

 

 

 

 

 

――人々は言った。

 

 

 

 

あの少年の姿は正しくヒーローのようだったと

 

 

 

まるで、()()()()()()()()()()()のようだったと_____

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あの後、ヘドロヴィランはすぐに駆け付けたオールマイト率いるヒーロー達によって回収され無事に警察へと引き渡された

 

 

僕はヒーロー達に怒られると思い色々と覚悟してたんだけど、その考えとは裏腹にめちゃくちゃ謝られた。

 

 

 

「い、いや!そんな!むしろこっちこそごめんなさい!!ヒーローでもないのに飛び出しちゃって‥‥」

 

 

 

「‥それでも、あそこで走り出したのは君だけだった。

本来はヒーローである我々があーするべきだったんだ。

本当にすまない。」

 

 

 

 

警察には個性を使ったと勘違いされかけたり、無個性だと伝えても信じてくれなかったりと色々と大変だったけど

 

 

何事も無く僕は開放された

 

 

 

一緒に出てきたかっちゃんに声をかけようとして――

その背中は、もう遠ざかっていた。

 

 

(……怒ってる、よね)

 

 

警察の人は言っていた。

 

「死ぬほどイラついてた」って。

 

胸が、少しだけ痛んだ。

 

 

その時。

 

 

 

 

「オッス!出久!」

 

 

 

聞き慣れた声がして、顔を上げる。

 

 

 

「!悟空さん!」

 

 

そこにいたのは、

いつも通りの笑顔だった。

 

 

「遠くから見てたぞ。スゲえじゃねえか!」

 

 

「は、はい……!

気の感覚、ちゃんと掴めました!」

 

 

 

「やるじゃねえか。

最初の頃とは比べもんならねえなあ」

 

 

その言葉に、胸が少し軽くなる。

 

 

「でも……」

「かっちゃんが襲われたの、

元はと言えば僕のせいかもしれなくて……」

 

謝らなきゃ。

ちゃんと向き合わなきゃ。

 

そう思った、その時だった。

 

 

 

 

「私が来た!!」

 

 

「あ、え!?お、オールマイト!?取材陣に取り囲まれてませんでしたか!?」

 

 

「お〜、このおっちゃんが例の」

 

 

オールマイトが突如として目の前に現れた

悟空さんも実物は初めて見るようだった

 

 

 

「抜けるくらいワケないさ!何故なら私は、オールマイトだからね!!」

 

 

 

悟空さんと僕は不思議そうにオールマイトを見つめる

 

 

 

 

「え、えっと‥‥それじゃあ何か忘れ物とか‥?」

 

 

 

「‥‥少年。

私の提案を聞いてくれないか?」

 

 

 

「え‥?」

 

 

 

 

「無個性である君は、あの場を言葉通りの意味で自身の力のみで解決してみせた。

その背中に、その姿に、私は魅了されたよ。」

 

 

 

オールマイトから直々にそう言ってくれるだけで僕は目頭が熱くなるのを感じる。

 

 

 

 

「あの場で、あの瞬間、君は誰よりもヒーローになってみせた!!」

 

 

 

 

「約束通り、『ヒーロー同士で』会えて光栄に思うよ!少年!!」

 

 

 

 

 

その言葉に、ある記憶が重なった

 

 

 

 

『ごめんね。

 出久、ごめんね。』

 

 

 

 

違うんだ。

 

 

違うんだよ母さん。

 

 

 

僕が欲しかった言葉は‥‥そうじゃないんだ。

 

 

僕が、言ってほしかった言葉は―――

 

 

 

 

 

「君は、『私をも超える最高のヒーローになれる』!」

 

 

 

 

――胸の奥から感情が湧き上がってくる

 

 

力が抜けて、

 

膝が地面につく。

 

涙が、止まらなかった。

 

 

 

「出久」

 

 

 

 

 

悟空さんの言葉で顔を上げる。

 

涙とかでグチャグチャになってる顔を拭いてくれた後に、悟空さんは優しく頭を撫でてくれた。

 

 

 

「その力も、その覚悟も、ヒーローになれたのも、全部、全部お前が頑張ってきたからだ。

言っただろ?ヒーローになれるかはオメェ次第だって」

 

 

 

―――よく頑張ったな。出久。

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