オールマイトから
悟空さんと別れを告げてから半年以上月日が流れた。
そうして僕は今______
雄英高校入試当日を迎えていた。
国立雄英高等学校は日本が誇る最大の高等教育機関であり、世界有数のヒーロー科を有している。
結果一般入試倍率は300倍にもなっており、求められる偏差値は驚異の79。
だが、この日を迎えるまでオールマイトの下で修業を積み、
学業面でも一切の妥協なく準備を重ねてきた。
そんな不必要なモノは
今の僕が目指すものは、
ただの「合格」じゃない。
目指すのは______
「誰よりも‥‥‥強く‥‥」
『ハイ!スタート!!』
その独り言と共に、試験開始の合図が響き渡る。
出久は一気に“気”を解放し、地面を蹴る。
個性との併用も可能だが、身体への負担が大きい。
周囲への影響も考え、スタートはあくまで気の解放のみに留めた。
――それでも。
「は、はやッ!なんだあの個性!?」
「ウッソだろおい!?」
「僕と同じような‥‥‥いや‥‥あれは違う‥‥のか!?」
背後から上がるどよめき。
一般人の目には、
出久の加速は“異常”としか映らなかった。
(この速さなら、追いつける人はいない……)
(よし、このまま一気にロボットを……!)
『標的発見、狙いを定め___』
「SMASHッ!!」
拳が閃く。
攻撃動作に入る前の仮想ヴィランが、
一撃で粉砕され、爆散した。
一体。
また一体。
さらにもう一体。
淡々と、確実に、
緑谷出久はロボットを“狩って”いく。
二十体以上を撃破した頃、
ようやく他の受験生たちが戦線に追いついた。
だが、そこにいた全員が、
同じ人物に視線を奪われていた。
「あの緑髪……マジでヤバくねぇか……?」
「すっ……ご……」
「あれは……まるで……」
『圧倒的な力』
誰もが、同じ存在を思い浮かべる。
___『平和の象徴 オールマイト』
『残り6分〜!』
残り時間の警告と共に、
“それ”が姿を現した。
プレゼントマイクさんが話していた仮想ヴィラン‥‥‥これらには種類別で1〜3ポイントずつ別れていて
中に完全に邪魔だけをする為に存在するヴィラン
0ポイントの仮想ヴィラン‥‥
そのヴィランはもはや災害のようなものだと言えよう
「こりゃ確かに邪魔なだけだわ!」
「あれを回避しながらポイントを‥‥!」
「デカすぎるだろマジで‥‥!!」
「ビルの崩落に巻き込まれちまう!!」
その場にいた受験生たちに、“立ち向かう”という選択肢は存在しなかった。
皆、0ポイントヴィランに背を向ける中
______その場に居た一人の少年だけは
『ワン・フォー・オール!!フルカウル!!』
緑髪の少年だけは、前へ出た。
理由は、決して立派なものじゃない。
――自分の力を、試してみたい。
――この仮想ヴィランを、吹き飛ばしてみたい。
そんな衝動に、胸が高鳴っている。
(……誰の影響だろうな)
答えは、分かっている。
「____見ててください! 悟空さん!! オールマイト!!」
_____これが、今僕の出せる全力ですッ!
少年は跳び、力を込める
『ワン・フォー・オール!!100%!!!』
『デトロイト・スマッシュッッ!!!!』
衝撃。
巨大な仮想ヴィランは、生徒のいない方向へ吹き飛ばされ、空中で完全に爆散した。
呆然と、その光景を見つめる受験生たち。
地面に着地した出久に、一人の少女が駆け寄る。
「す、凄いね!?あんなパンチ初めて見た!‥‥‥ってその腕大丈夫!?」
視線を落とすと、右腕は黒ずみ、
明らかに限界を超えていた。
「……やっぱり、100%はまだ無理か」
小さく息を吐き、拳を握る。
___でも、いつか必ず。
そう心に誓いながら拳を力強く握った。
場所は変わり、実技の採点を行うモニタールーム
「‥‥‥マジか‥‥‥」
教師たちの口から、同じ言葉が漏れた。
仮想敵を、“何かする前に沈めていく”少年の映像。
しかも___
手加減しているようにすら見える。
そして、0ポイント仮想敵エグゼキューターを余裕で大破。
「……とんでもないのが入ってきたな……」
入学成績一位。緑谷出久
仮想敵撃破ポイント128点
レスキューポイント45点
2位と大差をつけて、少年は――
最強のヒーローへの道を、歩み始めた。