クロエが異常者なだけなんだよね。
「ミラちゃん待ってよ!?考え直そ?!」
フブキが後部座席で泣きそうな顔のまま声を上げたのも束の間。
「良い心がけでありますな!そんな貴官に朗報であります!代わりの足が到着したでありますよ!!」
「レイン局長!」
「ご苦労であります!この子のこと、よろしく頼むでありますよ!」
「はっ!」
要請していたパトカーが到着すると、レインは文字通り瞬く間に始動前点検から準備までを終わらせた。
ミラとフブキは有無を言わさず後部座席へと投げ込まれ、タイヤが凄まじい白煙を上げて鳴き、パトカーが矢のように高速へと再突入していく。
「いたであります!」
「これ何キロ出てんのぉ?!」
前方右側、陽炎に霞む道の先には暴走魔改造トラックが黒煙を上げて走っていた。
しかしレインの悪魔的なまでのドラテクによりその差はものの数十秒で目視距離にまで詰められてゆく。
「おい、アイツらまた追ってきたぞ!」
「諦めが悪い警察め!鉛玉の雨でも降らせてやれ!」
トラックの荷台で機関銃を構えるスケバン達が一斉にパトカーに向かって発砲を始めた。
ドドドドドッ!!
「レイン本部長、車間4mを確保して右に15cm寄せたあと、1秒間フルブレーキを。あの弾道をすり抜けます」
「自信が出てきたでありますな!結構なことであります!」
「私は結構じゃないんだけどなぁ?!」
ミラは分厚い眼鏡の奥の目をカッと見開き、やけに厳つい自身のスマホで凄まじいスピードの計算を行っていた。
彼女はもう、
今の彼女は傲慢なバーサーカーだ。
迷わない、厭わない。
通り道に刻んだ痕こそが彼女の論理になる。
「それーッでありますよ!!」
レインが豪快にハンドルをさばく。
パトカーは弾丸の雨を嘘のような変態軌道でギリギリすり抜け、機関銃の弾はフロントガラスのすぐ横の空を空しく切り裂いていくだけになった。
「計算誤差なし!このまま前方のスパイクバンパー横まで詰めてください!」
「了解であります!」
「なんでぇ?!」
後部座席で床に丸まったままのフブキだけが悲鳴をあげていた。
嗚呼合歓垣、今の彼女の周りには発狂する獣しかいない。
バオォォォォォォンッ!!
パトカーは恐ろしいエンジン音を轟かせながら猛然と加速し、魔改造トラックの側面へと肉薄する。
装甲に覆われた窓の隙間からは、驚愕のあまり、口をパカンと開けているスケバンたちの顔が見えた。
「で、どうするでありま「再加速!!」すかぁぁぁぁ?!?!」
レインが次の行動を聞いた瞬間、ミラはレインの右膝を強く押し込み、無理やりアクセルを踏ませて加速させる。
「てめぇの免許叩き割ったろうかコラ!!!」
あまりにも危険な行為に、思わず交通安全局長としてブチ切れたレインだが、冷静に加速に合わせてギアを変える。
「うわすっごい綺麗な繋ぎ、クラッチいらないの?」
「車をよく理解していれば使わずとも出来るでありますよ」
「うわすっごい綺麗な変わり身、どうなってんの?」
感心したフブキと得意げなレイン。
その横で、ミラはドアハンドルに手をかけていた。
「いきます!!!!!」
「」は?
パトカーのドアを開け、ミラが定規一本だけを構えて車から身を乗り出す。
「やぁぁぁぁああ!!!!!」
彼女はスっと体を回し屋根に着地すると、並走するトラックの荷台に向かってなんとそのまま飛び乗ってしまった!
「嘘ぉ?!あの子インドア派じゃなかったっけ?!!」
フブキが窓に張り付き、驚愕の視線を向ける。
ドザッ!
「…目標地点到達、誤差ゼロです」
トラックの上、スケバン達の真っ只中に着地したミラは、ゆっくりと顔を上げた。
「え…な、なんだこのチビ!?」
「ど、どういうこと!?」
「────計測、開始」
敵がパニックに陥る中、ミラは手元の定規で敵の配置と、トラックに積まれている機銃や砲台の結合部分の隙間をマイクロミリ単位で目視測量していく。
その為に費やす時間は、限りなくゼロに近い。
(そうだ───この世界は───)
──私にしか見えない、時の止まった世界。
時候ミラの観察眼は、烏丸クロエのものとは違う。
彼女が培ってきた、経験によるものでは無い。
純粋な、才能であり、特性である。
彼女の目は、定規の目盛りを通じて相手の全ての脆弱性を把握していた。
「測定、完了」
ミラは傍らに転がっていた鉄パイプを片手で拾い上げる。
普段ならばこんなものも持ち上げられないくらい非力なはずの彼女だが、異常なテンションとアドレナリンが筋力の限界を超え、火事場の馬鹿力状態へと突入していた。
「そこのネジ穴の緩み!コンマ2mm!!これだからズブの素人の仕事は不愉快なんですッ!!!」
「ヒィィッ!?」
ゴッ!!!
バキンッ!!!!
ミラの振るった鉄パイプが、機関銃座の土台の下、たった数ミリのボルトの接合部の急所へと信じられない威力と精密さでピンポイントで叩き込まれた。
それは威力ではない、計算され尽くした『一点にかかる圧力』の極限だった。
ミラのフルスイングの一撃で、屈強な装甲ごと固定金具が砕け散り、巨大な銃座が根元からガコォン!と悲鳴を上げてハイウェイの後方へひしゃげて倒れ込んでいく。
「嘘だろ!?あの細腕で銃座が壊せんのかよ?!!」
「これ不良品じゃないの?!」
「ふざけんなあたしがちゃんと設計したんだよ!」
「次のターゲット、右舷の弾薬ラック!結合強度が弱すぎる!こんな施工で街を走るなど道交法と設計思想はの侮辱ですッ!!!道交法はよく知りませんが!」
「今聞き捨てならない話が聞こえた気がするであります」
「おわあああぁ!来るなバケモノォォ!!」
それはもはや、数学的制圧による地獄絵図であった。
スケバンたちが反撃しようにも、ミラの超精緻な計算の前に全て回避され、彼女はその回避の反動を自分の攻撃力に乗せて定規と鉄パイプを相手の脳天や武装へ振り下ろし、機材ごと制圧していく。
(…この感覚!クロエ先輩ならきっとここで導線を切る!しかし、今の私の定義では………こっちだ!!)
「フフッ……アハハハッ!このまま荷台ごとバラしてやりましょうかァ!怯え!竦め!私の計測の前に、あなた達の計画は永遠に停止するのです!!」
ミラは狂ったような笑い声を上げながら、完全に一人でトラックの後部武装を血祭りにあげていくのだった。
「これ…解決?」
「……フブキ殿、ミラ殿の元へ向かって欲しいであります」
「え?」
「アハハハハ!……アレ?」
だがしかし…これほどの計算と運動を同時に長時間続けるほどの体力は、もともと非力な彼女に備わっていない。
「は、はぁッ、はぁっ…これは………身体の……そうですか……誤差…これがわたしの……誤算…きゅぅ」
ミサイルランチャーの砲身をバールで叩き割り沈黙させた直後、アドレナリンが切れたミラの足がふらりとよろけ、彼女の目からハイライトが消えた。
彼女の手から定規が力なく落ちる。
そのまま後ろへ倒れそうになったミラの身体を、滑り込んできたフブキが、片手でサッと抱き留めた。
「あっぶな…よくやったよミラちゃん」
「」
「うわ酷い顔」
行動限界を迎えたミラは、トラックの上で白目を剥いて気絶していた。
あの理数系バーサーカーの姿から一転した大人しさにフブキは苦笑する。
「レイン局長〜、無事だったよ〜」
『ご苦労であります!本官の見立ては間違いなかったでありますな!』
「それより、これで終わりってことでいいの?」
やっと帰れる。
グォォォォン…
そんなフブキのその淡い期待は、無骨なモーター音と共に裏切られた。
「え、なに」
トラックから不快な警告音が鳴り響き、ただの四角いコンテナであったはずの前方ボディがガション、ギガゴゴといういかにも変形してますよと言わんばかりの音を伴いながらゆっくりと上へと隆起し始めたのである。
「は?」
フブキはミラを抱えたまま匍匐の体勢に入り、静かに後ずさりする。
「ヒハハハハ!!機銃座が全滅しようと、こいつがまだ残っているのだァァ!」
トラックは文字通りの『魔改造装甲』を変形させ、巨大なロボット「ねぇこれトランスフ「それ以上はやめるであります!」よろしく立ち上がり…下半分が無限軌道、上半身には強引にくっつけられた戦車用のクレーン付き主砲台と重機のアームが現れた。
道交法のみならず建築基準法から別の条約までありとあらゆる全ての制限を無視した違法無法の機動戦車形態。
「ガン〇ンクだこれ!!」
フロントガラス越しに様子を伺っていたレインは、眉をピクリと持ち上げた。
「なんと…!戦車仕様へとチェンジするとは!警察としては愚かで忌々しく思いながらも…悪くないセンスをしているであります!!」
レインの眼に強烈な光が灯った。
彼女の走り屋であり無類のメカ好きでもある熱い魂が燃え上がる。
「どうだァ!この最強兵器でハイウェイのごみにしてやるぜぇ!!」
「やば…落ちる!落ちるって!!」
「フブキ殿!パトカーの上に降りるであります!」
「あーもうどうにでもなってよ!!!」
やけくそで飛び出したフブキ。
レインは鮮やかなドラテクで二人をキャッチする。
「これどうすんの局長!!」
「…」
フブキの言葉に、レインは答えない。
「ゆくゆくは…D.U.を破壊しつくしてやるんだぜぇ!」
「笑止!でありますなぁ!!」
レインはパトカーのクラクションを激しく鳴らす。
「ハイウェイパトロール本部に通達!『虎の子』の出番であります!!」
『本気ですか本部長!アレを出したら修繕費と燃料代で四ヶ月分の予算が飛びますよ!』
「元より未承認!自腹上等であります!」
『これ通信記録残るんでやめてください!!』
「なーにをごちゃごちゃとお!!!!」
機動戦車はパトカーに砲塔を向ける。
「フブキ殿!ミラ殿を連れてパトカーの中へ退避を!」
「助かったぁ〜…いや助かってない!!どうすんの?!」
後部座席に滑り込んだフブキを一瞥したレイン。
「フブキ殿、運転代われるでありますか?」
「内容次第」
「本官が直接叩くであります」
「うーーーん…………ちょ「感謝するでありますよ!」は?」
フブキの返答を待たずして、レインはドアを開きハイウェイのアスファルトの上に身を投げ出した。
「はぁぁぁぁぁ?!?!?!」
自身でも驚く速度で運転席に飛び移ったフブキは、レインを目で追うが、既に彼女は遥か遠くへと消えてしまっていた。
「どどどどどどうすんのさ?!」
『フブキ殿!今すぐ下がるであります!本官の、いや…このハイウェイにおける支配者が誰であるかをお見せする時が来たであります!!』
遠くから聞こえたきたのは、雷鳴のような重く鋭い『何か』の音。
「ねぇ知ってる?!人って説明無いと分かんないんだよ〜?!」
空気が、地面が、周囲の全てがびりびりと振動していた。
道路の後方から、凄まじい『圧』が迫ってくる。
(これ絶対やばいやつ…!)
フブキはパトカーを一気に切り、機動戦車の隣から離脱する。
「なんだぁ?!びびって逃走かぁ?!!」
『そんなワケないでありましょう!!』
ドドドドドド…!!
聞こえてきたのは、どんなパトカーのエンジン音でもなく。あの機動戦車のものとも違う、まさに地の底を揺るがす『地鳴り』そのもの。
「も〜今度は何────」
フブキが運転席から振り返ると、ハイウェイのはるか彼方から、ものすごい白煙と重低音を纏って迫ってくる『建造物』があった。
『我らの進む道は闘争の中にあり!』
全長およそ20m、全幅にわたってはパトカー数台が余裕で潰されるほどの5m以上を誇り。
摂取した戦車2体を縦に合体させ組み込んだとんでもない違法構造を持つクローラー駆動部を轟かせながら爆走してくるバケモノが、赤く染まる太陽を背に現れたのだ。
装甲の全面は煌めくばかりのパールホワイトと群青色でピカピカにレストアされており、ご丁寧に交通警察らしいイエローの反射テープや赤色灯が無数に点灯している。
『交通障害物・一斉路面整正用 多目的重機 V-99型』
またの名を────
「行くでありますよ!『パーフェクトローラー』!!!!!」
「本当に何?」
レインの機械弄り趣味と情熱が爆発した、表向きはハイウェイ事故処理車両にして、中身は全てを破壊する巨大陸上戦艦である!!
ガガガガガァァァァッ!!!
パーフェクトローラーが凄まじい勢いでフブキと敵の間…そして前へドリフトで割り込んでくる。
アスファルトがまるでガラスのように粉砕され、尋常じゃない量の土煙が立ち上った。
「うおおおおおッ?!?!」
「フブキ殿!こちらへ来るであります!」
「言われなくてもぉ!!」
夕暮れのオレンジ色に染まったアスファルトの上。
建物並の高さの要塞戦車の足元では瓦礫と土煙が広がる中、上部中央にあるコントロールルームではドヤ顔のレインが腕を組んで座っていた。
その席の後ろでは、ミラをひっくり返して介抱しつつ「とりあえずもう安全だよね〜」という感じで心底疲れた顔をしたフブキが座り込んでいる。
「では来るでありますッ!!はみ出し者共!!本官が!! このパーフェクトローラーが!!!ハイウェイの作法をスクラップになるまで教えてやるでありますっ!!!」
「お…おおお恐れるかぁ!!うちのは最新技術を取り入れた最強の戦車なんだ!スクラップになるのはそっちだ───」
相手が砲口をローラーへ向けようとしたその刹那。
レインは重機のレバーをまるで車のハンドルのように流麗に倒した。
「第一の作法!過積載は安全通行の敵!!アーム展開!!」
ローラーの側面に配置された一対のマニュピレータクレーンが目にも止まらぬスピードで伸び上がり。
戦車の砲門に向けて真っ直ぐに油圧式の爪を突き入れた。
敵の発射とほぼ同時に砲口そのものをぐしゃりと折り曲げると、暴発した弾がむなしく空の彼方へ飛び去ってゆく。
「ヒィッ!?」
「ハッハァ!それだけじゃないであります!!第二の作法!!道を塞ぐ障害物は…粉砕処理であります!!!」
ローラーの上部ド真ん中───戦車であれば主砲があるような位置に備えられているのは、直系の大きさが数メートルに及ぶ、巨大採掘重機『バケットホイールエクスカベーター』の掘削バケットを縮小したようでありながら、十分に凶悪で巨大な破砕ホイールであった。
ドキュイイイイン!と音を立て、超硬質チタンで作られた数え切れないほどの爪が轟音で回転を開始する。
「粉砕・回収・路面正常化ああああっっ!!!」
「作法二つしかねーじゃねーか!!!!」
パーフェクトローラーは六基積みの後方V8エンジンのスロットルを最大まで引き上げ、一気に対象目掛けて直進。
バケット突撃をかました!
「ほげぇぇぇぇぇ!!!!」
あまりの巨大な破壊エネルギー。破砕ローラーが敵の装甲をミルフィーユのごとく粉砕して飲み込み、破片となって地面にばらまかれた。
「ゆ、許してくださいぃぃぃぃぃ!」
「話は署で聞くであります!」
すりおろされていく最中、乗員たちを器用にクレーンアームによって外へと摘み出すという職人芸をレインは披露していた。
スクラップが砕け、路面の破片も削られ、文字通りその場は一時的に完全にクリーンに均されていったのであった。
そして最終的には皆が降りて離れたところで、ホイールに押し潰された機動戦車が豪快すぎる花火となった。
爆風を背後に、レインはサムズアップしてみせた。
「いやなんなのこれ?!」
合歓垣フブキは、今日のことを一生忘れないだろう。
─────────────
「志戸レイン!!!!!!この大馬鹿者!!!!!!」
「ゲェ?!カンナ?!」
「私もいるよ」
「サザナ?!」
その後、鮮やかに交通規制がかけられたハイウェイにて、現場検証と後始末をしていた一同。
そこにやってきたのは怒り心頭のカンナ。
そしてニコニコ笑顔のサザナだった。
「やぁレイン。大変な時にたいへんなことをしてくれたね」
「ハハハ!良い機会でありました!」
「ははは」
レインの顔面に蹴りが叩き込まれた。
「前が見えないであります」
「というかヴァルキューレって資金繰りに苦戦してるはずなのに、こんなの運用できたの〜?」
フブキは燃え盛る残骸と、爆破を受けても無事なローラーを見てぽかーんと呟いた。
「そんなわけあるか!!」
カンナがキレながら巨大なキャタピラをバンバンと足で蹴る。
「これはレインとハイウェイパトロールが接収した車両やらを改造して作ったジャンク100%の趣味兵器だ!!」
「なっ、兵器など人聞きが悪いであります!!これはハイウェイの平和を守るため、すべて環境に配慮しエコな視点から作り上げられたハンドメイドのパトロールカー!認可は通ってないでありますが、ちゃんとした車両であります!!見なさい!このピカピカの車体を!悪いことする車に見えるでありますかこれが!」
「いやダメだよ色々と」
フブキが突っ込むサザナに同意して「だよね〜」と相槌を打つ。
「逆にこっちの方がハイウェイ荒らしてなーい?」
フブキの疑問に、レインは親指をグッと立てて歯を光らせるだけだった。
「全く問題ないであります!滅多な事では使わないでありますし、ハイウェイそのものに関しては予算は連邦生徒会側が持つ形になるでありますからな!」
「君、財務に刺されるよ」
「刺さる程ヤワな身体はしていないであります」
レインの顔面に蹴りが叩き込まれた。
「相変わらず良い蹴りでありますな…鼻曲がったであります。よいしょ」
「それ漫画でしか見たことないぞ」
ドタバタが収まりつつある中で、やっとゆっくりと目を開けたミラは「ここは…」と起き上がったところでフブキとレインに手を取り囲まれた。
「目覚めたでありますか!では共にラーメン屋へ直行するでありますよ!!!」
「おつかれー、とりあえず油飲も?」
「え、何が起こったんですか…?レイン局長?!その鼻は一体…え、ちょっと、どこに…!」
そんなこんなのてんやわんやを経て。
夜。
深く静かになったD.U.の東端、国道沿いの寂れた大型ドライブイン中華店『満タン軒』の座敷と一つは、珍しく生徒の一団に占拠されていた。
「ずずずっ〜!美味ァいっっ!!!疲れた時にこそこの大盛り馬油ネギラーメンでありますな!!この真っ黒な濃口スープのハーモニー!!たまらん!これこそ警察官の魂へのオイル交換!ガソリンの補給でありますっっ!」
鼻ぽん。豪快にズルズルと音を立てながら麺を食らうのはレイン。
相変わらずバカ正直に目の前の炭水化物と真剣に向き合っていた。
その対面のテーブル。
少し行儀の悪い様子で口をもぐもぐさせているのはフブキ。
「今日は奢ってよね〜レイン局長〜。ずっと振り回されててサボりどころじゃなかったんだからさー…おお、うま……このパリパリのエビ春巻きうまい…」
「当然でありますよ!好きなだけ食べて欲しいであります!!」
タレをベッチャリと付けた春巻きとエビチリを交互にかじってフブキは頬をピンク色にしてフワフワしていた。
彼女の残してきたドーナツは誰かによって食い尽くされてしまっていたが、これだけ他人の奢りで食べられたのなら帳消しになるのかもしれない。
「…」
そしてその隣で、いまだに自分一人で事態の流れに追いつけず頭の中で情報を繋ぎ合わせようとしている少女が一人。
特に怪我などはしていない彼女だが、手元の定規を見るたびに自分の暴れっぷりを思い出し呆然としてしまっているのだった。
「…恥ずかしいです」
「記憶あるタイプなんだ」
空になったグラスを置いて、ミラが項垂れそうになった時。
目の前にどんと八角皿が置かれた。
それは豪快に盛られたチャーハンだった。
驚いて顔を上げたミラの視線を受け、レインは追加のネギをラーメンに載せながらニッと笑った。
「もう既に済んだことであります、とりあえず咀嚼してから考えれば良いでありますよ」
「レイン局長…」
「ここの炒飯は絶品でありますよ、是非冷めないうちに」
レンゲを炒飯に刺してレインは笑顔を見せた。
ミラの顔にほんのわずかながら柔らかな笑みが浮かんだ。
「はい、いただきます」
「良いのでありますよ。では大将!!こちらに油そば追加で頼むであります!!」
「そんな食べて帰り車動くの〜?」
「問題ないでありますよぉ!ハッハハハハ!」
窓の外の黒い夜は、明るい月の光で白く塗られているように見えた。
ハイウェイパトロール、生活安全局、そして鑑識の自分。
全く別の部署の仲間達に視線を向けつつ、ミラは炒飯を一口分すくい、口の中へ放り込んだ。
「…おいしい」
炒飯は思っていたよりも淡白な味だった。
それでいいのだ。
こうしてハイウェイに出現した魔物は(それ以上の魔物によって)無事に葬られ、そのあおりをうけてミラもある種の成長を経て、フブキのドーナツはモナカに食われた。
「今日はお疲れ様でありました!」
「あ、そうだ、皆さん写真撮りませんか?」
「いいんじゃなーい?」
日常は再び帰ってくる。しかし、それは自分が進まない理由にはならない。
ミラはそう信じて、今日の写真を自身のデスクに飾っている。
「─────ミラ、いますか?」
「……」
「おかえりなさい、クロエさん」
時は動き出す。
『パーフェクトローラー』
レインとハイウェイパトロールの面々がジャンクや摂取した車両を使って作り上げた化け物。バイアランカスタム。
「あくまで個人所有の車両なので、経費は自腹切ればなにも言われないであります!」
「って言っているがどうだろうか、財務室長」
「志戸本部長、少し『お話』いいかしら」
「彼女を呼んでくるのは反則でありますよサザナ!!!」
かつて彼女の姉が見たという『
どの話が見たい?
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クロエ
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サザナ
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イキハ
-
モナカ
-
ミラ(鑑識課)
-
レイン(交通安全局長)
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まだ見ぬオリキャラ
-
既存生徒との関わり