短編   作:しきょーかい

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『何でも料理できるわよ』こそ至高の回復ページである、◯か×か
答え→◯と言えば◯だがこれを使うやつは正気ではない



19??年 ミートパイ/街頭 ウルサス/イベリア

 

 

ウルサスと呼ばれる国の隅っこ。西北とは真反対の場所。

辺鄙な場所だけれど、不思議と人が多いんだ。疑問に思った人は理由がすぐに分かるの。

 

「も、もう体が動かないんです。どうか少しだけでも———」

 

「喋るんじゃねぇ!」

 

「がっ!」

 

「チッ、手を煩わせやがって。」

 

暫しの休みを懇願する男の体には鉱石が析出していて、全身を防寒具とマスクで覆った男は何度も鞭を振るったんだ。

源石という、都市には存在しない奇跡のようなエネルギー源。

そして、鉱石病という悪魔のような病気を引き起こす最悪の鉱物。

 

ここは源石採掘場。

不治の病にかかった者たちを死ぬまで働かせる、都市でも珍しいと思える場所。

不治の病という点が珍しいだけで、死ぬまで働かせるのは日常茶飯時だけどね。

 

そんな雪が振り続ける極寒の地に、全く似つかわしくない服装をした人が現れたんだ。

 

「……ん?おま」

 

ザクッ!

 

看守の言葉がそれ以上紡がれることはなかったの。

首の半ばまで食い込んだ包丁。吹き出す鮮血が雪を赤黒く染めていく。

最初で最後の死を前にして、看守が何を思ったのかは知らないけれど……。

自分に向かって躊躇なく刃を振るった下手人の顔を見て、どこか怯えていたのは私にも分かったかな。

 

「……。」

 

ザクザク、ゴキッ、ポキ、ザシュ、バキン。

 

無言で、何かを見定めるようにウルサスの体を解体する。

返り血で赤くなった服さえなければ、雪に紛れることができると思えるほどの白い髪を持ったその子は、一度大きく頷いて言ったんだ。

 

「うん、かなり質の良い肉ね!ジャックに早く教えてあげないと!」

 

骨についた肉片すらもこそぎ落として、今頃監察塔に奇襲を仕掛けているであろう相棒と音楽家、そして煙中毒者たちへ最高のニュースを届けるために袋詰めにしたの。

その姿を近くで見ていた労働者たちに気付いた子供は、底冷えするような笑顔を浮かべるんだ。

 

私たちが作る(ピエールの)ミートパイ、貴方たちも食べてみる?」

 

ミートパイ。

その材料が何なのか、解らないはずがないのに。

疲れて、餓えて、もう進む気力もない男は、仲間を連れて不気味なほど静かな監察塔へと歩き始めた。

 

食べたことがない程の旨味を与える材料を知ってしまえば、もう戻れない。

でも、彼らは日常に戻ることを望んでいないし、戻れもしない。

だから……彼女たちの下には絶えず人が訪れ、材料を持参し続けるんだろうね。

 

 

 

===

 

 

 

場所は変わって、イベリアと呼ばれている国。

海岸から少し離れた岩場、そこには集落があったんだ。

小さい裁判所がある集落。だけど、海に近い場所にしては安全が保証されていたの。

 

そんな場所に、3人の子供たちが流れ着いたんだ。

 

「う〜ん……暇だなぁ。マス、何かないの?」

 

「はぁ……暇なら今日の飯の種でも取ってこい。」

 

「ははは…僕も手伝うよ、ルル。」

 

「サンは手伝うのに、何処かの誰かさんはお留守番ですかぁ?」

 

「チッ……。行けばいいんだろ。」

 

「サン聞いた!?今マス舌打ちしたんだけど!」

 

まだ幼い、都市でも声を上げたばかりの小さな事務所。

ツヴァイ協会の傘下事務所ではあったけれど、正直あってもなくても変わらないものだったんだ。

結果として、人との繋がりを辿って更に大きな獲物を本にすることができたんだけど……。

 

おっと、話がそれちゃったね。

 

彼らは今、裁判所で下働きをしているんだ。今や一人の聖徒と、審問官と呼ばれる者の側付き。

名誉な働きに思えるだろうけど、そう簡単じゃないみたい。

 

バコンッ!

 

銃とは思えないほど、重い音が響く。

銃口の先には大量の"青”が蠢いていたの。

無条件の利他性を持つ彼らは、同胞の死を見ても止まることなく進み続けるんだ。

 

「はぁ…うざいっての!」

 

「やっぱり学んでるってのは本当みたいだな。」

 

本来なら燃え上がるはずの武器を持つ子供は、無闇矢鱈に炎を使ったりしない。

常人なら必死に避け続けるのに精一杯の攻撃だけど、海の怪物たちはどのように攻撃されるとどれだけのダメージを食らうのか、どうすればダメージを最小限に抑えられるかが分かっているかのように動くの。

 

熱を持たない打撃武器は、体が柔らかく、衝撃をいなせるものが受ける。

斬撃武器なら、攻撃を通さない甲殻を持ったものが受ける。

 

学び続ける。

死んだとしてもその経験は受け継がれる。

ずっと昇り続ける彼らは、目指す場所を指し示す羅針盤がない以上、その歩みは遅々としているでしょう。

それでも歩み続けているんだ。

 

バコンッ!

 

二度目の砲撃。

怪物たちの海に穴が開く。

これ以上は無意味と判断した一部の怪物たちは引き始め、残ったものも狩られていく。

 

「ご苦労だった。給金はあとで渡そう。」

 

「ハァ、ハァ、ハァ……ありがとうございます…。」

 

なんとか食いつないでいる3人。満ち足りた生活には程遠い。

だから彼らは日々願っていき続けるんだ。

「どうか明日はもっと良くなりますように」ってね。

 

 

 

———

 

 

 

またある日、子供は審問官の付き添いをすることもあるんだ。

深海教徒の疑いがかけられた、一人のエーギルは大声を上げるの。

 

「待ってくれ!俺は無罪だ!何もしていない、深海教徒なんかじゃない!」

 

「あなたの言い訳は後で聞きます。」

 

「……はぁ、さっさとしてよ。仕事が長引くんだから。」

 

審問官は男の声を無視して剣を抜く。

叫んでいた男が歯向かうように暴れ始めると、即座に振るわれたバットが男の頭を揺らしたの。

出力を上げれば自分を燃やすこともあるバット。子どもの苛立ちが現れているかのように、弱いけど確かに炎が吹き出していたね。

 

気を失った男は審問官に拘束され、連れて行かれる。

男は死んではいない、気を失っただけなの。じゃないと連れて行く意味がないから。

でも———

 

「…………。」

 

それを隠れて見ている、一人のエーギルがどう思うかはまた別の話なんじゃないかな?

 

 





た耐えるは讃えるべきページか、◯か×か
答え→フェイントを讃えよ(狂信者)
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