短編   作:しきょーかい

4 / 10
やばい。
本編を書こうとするとエンドフィールドに吸われる。
鏡も回らんといかんし…アクナイは放置周回しかできんな…。

これも空飛ぶ石像のせいです。対空はソーンズに全部任せてきたツケだ。



1094年 x94uo<x94uo

 

 

敵対する5人の肉体を焼く。

もう涙は出ない。馴染み深い場所へ帰ることも、もうないだろう。

赤い髪を靡かせる女性が、赤色の靄を纏う。

 

ぶつかり合うたびに、確かに相手の肉は焼けていき、私の勝ちが近付いていると、誰しもが思うだろう。

それでも私は…死への道を一歩、また一歩と歩いているような心地だった。

 

足掻いた所で、意味はあるのだろうかと自問する。

そしてその度、立ち止まりそうになる足を動かすんだ。

彼と私は違う。彼は激情に身を任せ、自ら滅びの道を進むことはしないだろう。

その違いを増える傷で感じて、どうにも嬉しくなった。

 

ガキン!

 

青龍偃月刀が手を離れた。

胸を貫く肉肉しい大剣。

力が抜けていくが、そこに後悔はあったのだろうか。

これ以上、君から離れることに耐えられないんだ。だから、君の下に近付く今は———。

 

 

 

===

 

 

 

ギッ、ギッ…。

金属製のトレーニングマシンが軋む音。幾重にも重なるその音で部屋は埋め尽くされ、熱気が漂っているんだ。

ある者は肉体を鍛え続け、ある者は剣術、ある者は自分より上の相手に教えを請うていたの。

 

「精が出るな。」

 

「ッ…フッ…。テレシス、マンフレッドもか。」

 

汗を流している子供は、椅子から立ち上がってぶっきらぼうに返事をした。

目の前に立つ男の頭から生える、黒い2本の角が彼をサルカズだと示しているね。

子供は、この場にそぐわない重装備の男の体から隠しきれない闘気、そして覚悟を読み取ったんだ。

 

「妹との衝突は避けられない。貴君らの手を借りたい。」

 

「お前がいなければ、私は孤独に怒りと共に燃え尽きただろう。どうして命の恩人の頼みを断るだろうか。」

 

コツン。

 

壁に立てかけた武器を手に取り、石突で床を突く。

子供の言った通り、彼は命の恩人と言っても過言ではない程の働きをしたんだ。

二度と会えないと思っていた子供と、その仲間たちとの再会。

 

子供が恩を返すため、一回くらい力を貸してもおかしくないだろうね。

 

「決行する者は既に準備を整えた。道を切り拓いてもらいたい。」

 

「…了解した。」

 

子供が再び訓練に戻ろうと、背を向けた時…男は何かを思い出して言ったの。

 

「そうだ、ロウェルがお前のことを探してい「早く言え。」…………フッ。」

 

あの頃の子供にとって、全てだと言い切れなかった存在は、彼女の全てになったんだ。

それは弱点になって、負けへと繋がるだろうけど…。

子供の顔に浮かぶ隠しきれない喜びと笑顔は、それさえも受け入れているようだったな。

 

 

 

===

 

ヴィクトリア ロンディニウム

 

轟ッ!!!

 

龍を模した炎が、立ち塞がる全ての物を焼き尽くす。

人が焼け、消えることのない火から逃れようと藻掻き、炭となって崩れ落ちた。

それでも長い歴史の中で壊れなかった、目の前の白い壁が崩れる気配はない。

 

「クソっ…お前達は、殿下の望みを知って尚…戦いを望むのかよ…!」

 

「私達はサルカズではありません。」

 

「じゃあ、なんで——— ッ!!」

 

「私の仲間を…部長を救ってくれた、彼に対する恩返し。」

 

背後に立つ、男の首へと迫ろうとした全ての刃を弾いた。

肉親を殺してまで進むことを決めた彼の目に見える、この大地へのとめどなく溢れる怒りと…。

愛するべき者を失い、失う原因となった全ての者に代償を払わせようと怒る龍の姿が重なった。

 

「ああ、そうかよ……やれ。」

 

「言われずとも。」

 

敵は残り一人。

その腹に触れ、炎を解放する。

吹き飛んだ戦士の腹には大きな穴が空き、肉を焼いた煙が立ち上った。

 

「ミリスよ、終わったか。」

 

「ええ、これで最後でした。」

 

「そうか。」

 

テレシス。

サルカズの魔王の兄であり、今まさに、最後の肉親を失おうとしている者。

 

「後悔はありますか。」

 

「ない。」

 

思わず聞いてしまったのは、最愛の者を失った者が、らしくなく怒りに突き動かされるのを見たから。

付き従う者達を喪失するたびに、自らを追い詰めていく姿を見たから。

即座に断言する彼の言葉を信じることができるだろうか。

 

「いずれ、こうなる運命だった。妹はまだ時間があると思っていた。しかし、それは間違いだ。」

 

「……。」

 

「これ以上話すことはない。」

 

「ええ。分かりました。」

 

コツ、コツ、コツ。遠ざかる足音。

残された私は、他の仲間が戻るまでの間…肉が焼けた匂いと共に洗い流されるのを待つのみだ。

火が消えたとして、その熱が消えるわけではない。

彼女の中にはまだ、炎を生み出すことの出来る熱が残っている。

 

もし。

もし、彼女が再び全てを失ったのなら…。

その時は一体、誰が止めるのだろうか。

 

 

 

===

 

 

 

「シャオ。ミリスとチュンは無事に終わらせたようだ。」

 

「そうか…なら。」

 

愛する者と共に生きる事の幸せ。

君に伝えられなかった言葉を、伝えられる喜び。

失ったことで、より強く思うことが出来るというのは皮肉だろうか。

 

「予定ではそろそろ防衛システムが消える。制圧し、道を作るだけでいい。」

 

「シャオの言った通り、無駄な戦闘を避けて構わない。皆、生きて帰れるように願っている。」

 

 

視界の端に、黒いものが映った気がした。

目にゴミが入ったのか———目を擦ると、すぐに消えたので、気にすることはなかった。

 

「やぁ、久しぶりだな、シャオ。」

 

「お前は…来ていたのか、ユジン。」

 

ロドス艦を眺めることの出来る場所にいた私達の下に、一人の女性が姿を現した。

知っている顔に驚き、そして警戒する。

暗殺者である彼女が姿を現したということは、何か理由があるはずだ。

武器を握る手に自然と力が入り———。

 

ズルリ。

 

「くっ!!?」

 

「なっ!!!」

 

「……失敗か。」

 

気がつくと、腰から下がない。

ロウェルは胸の辺りから2つに分けられていた。

体は未だに斬られたことを理解していないのか、痛みはない。

即座に、這いずって図書館では使用できなかったK社のアンプルをロウェルに注射する。

自分にも刺し、くっついた体を起こして武器を構えた。

 

「…君を殺すことになるとはな。」

 

「それについてだが…この戦いは君達の勝ちだ。私達は去ることにしたよ。」

 

「なんだと?」

 

「防衛システムが解かれた時、私達の敗北は決定事項となった。いくら魔王だろうと、限界はある。これは短い間だったが、私が彼女を見て知ったことの一つだ。」

 

刀を納め、堂々と話すその姿に武器を下ろす。

こちらはまだ抜き身の刃を見せつけているにも関わらず、彼女には不思議な余裕があった。

 

「君達の首を刎ねられなかった瞬間、負けは確定した。もう盤面をひっくり返すことも出来ない。」

 

「…君なら、斬れたんじゃないのか?」

 

そう問うロウェルの言葉に同意し、頷く。

確かに違和感はあったが、一瞬。あのまま気配を絶ち、首目掛けて刀が振るわれていれば…二人とも、少なくとも一人は絶命していただろう。

 

「あまりにも甘い、大きな理想を隣で見てきた。いつの間にか…私にも伝染(うつ)ったようだ。」

 

そう言って笑う彼女を見て、ロウェルは武器を置いた。

 

「何か、アテはあるのか?」

 

「ない。何処か遠くで…そう、煙のない場所でひっそりと生きようと思う。もし彼らが…バベルが我々の手を離さないというのなら別だが。」

 

カタリ、コトリ。

2つの小さな黒い玉。ゆっくりと漏れ出す煙は、彼女の姿を曖昧にしていく。

最後に聞いておくべきことがあった。

 

「ユジン。…君には、私にとってのロウェルのような…全てと言える人はいるのか?」

 

「私の夢を、肯定してくれる子。あの子が無事であることを祈っている。」

 

……。

白や黄色、そして黒。

混ざりに混ざって灰色となり、煙が晴れた頃には、彼女の姿はなかった。

 

 

 

———

 

 

 

 

『魔王は…眠った。……我々も、また……。』

 

「そうか。君達が歴史に残ることはないだろう。君達がそう望んだように。」

 

『……。』

 

「同じ戦場に立った、私達が記憶する。誇り高き、サルカズの英雄達よ。」

 

『……亡霊、だ…。』

 

それが最後の通信だった。

 

「…帰ろう、シャオ。」

 

「あぁ、ロウェル。」

 

私の不安で震える手を取ってくれる、彼の手。

もう二度と離すまいと、強く握りしめると…彼もまた、強く握り返した。

 

 





エンテレケイア、ウルピスフォリア、デーゲンブレヒャー。
この3人で地上を制圧します。

あら不思議、攻撃対象は空中だけですね。
ソーンズが全てをはたき落とします。

は、は、は!
侵攻ルートガン無視して飛ぶ石像くんは何なの?(真顔)
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