レーヴァテイン復刻ですって。俺ロッシで爆死したんですけど。
超美しいドーセントロージャですって。俺薬指ホンルで爆死したんですけど。
俺ってバッドエンドとか悲しい物語書けるのかな、と思ったので挑戦。
時系列は死んだ。(n度目)
存在を消し去り、世界を超えて、時間をも斬り刻む。
完成された一本の刀。完成したはずの
不治の傷を抱えて歩む道は、終わりなく、歩を進めるたびに痛みを伴う。
誰の仕業か…いや、御業か。
消え去った傷以外の全ては元通りだった。
捨てた仮面も、ここにある。
返事のない端末機を仕舞い込み、ただ歩き続けた。
急かすようなビープ音が消えても尚、早まる鼓動は変わらず。
予想できない武器も、変わらない。
行く宛は、ない。
終点が存在していては、不可能を可能だと間違えるだろうから。
「
名の意味は、『何も無い』。
「
「私はテレジア、貴方の名前は?」
だから、この出会いは、断ち切られて終わるのだろう。
———
日が昇り、真上に立つまで約2時間といった所だろうか。
味気のない硬いパンと、塩味の湯を腹に入れ終わった頃だった。
「リアン、テレシスと外に出る間、アスカロンに読み聞かせをお願いしたいのだけれど…頼めるかしら。」
「あぁ、問題ない。」
突如与えられた日常は、幸せであり、苦痛だった。
懐かしく、暖かく、それでいて、俺が喪ったものを彷彿とさせるから。
指令に導かれるまま、あらゆる憎悪と感謝と共に歩んだ道は、果たして断ち切れているのだろうか。
簡単には、断ち切れない。
何度も、娘に読み聞かせた物語。
何度も、
蜘蛛の糸から出ようと望んだ、蜘蛛の話。
風の吹くままに砂の城を壊し、悲しむ波の話。
どんな話だろうとしてあげよう。友達の蛙を呑み込む、蛇の話もあったな。
都市との繋がりがあってこそ、俺は俺で在れる。
「アスカロン、リアンのそばから離れちゃ駄目よ。リアン、アスカロンをよろしくね。」
そう言ったテレジアの背後から、幼子と言うには成長し、大人と言うにはまだ早い少女が歩み出る。
短く、雑に切ってある赤紫色の髪が揺れて、徐々に近づいてきた。
テレジアが退出し、部屋を沈黙が支配する。
数十秒、数分、はたまた、十数分。沈黙を破って問いかけた。
「さて、聞きたい話はあるか?」
「……なんでお前は、私を見る度に泣きそうな顔をするんだ?」
「……ふむ。」
感情のコントロールが下手になってしまったか。
いつもなら、押し殺していたもの。ちっぽけな、それでいて痛みを覚えたくないもの。
指令に従う上で必須の"それ”は、いつの間にか失われつつあったらしい。
改めて、引き締めるとしよう。
この世界にいる者が、心に入り込んでしまってはならない。
空いた穴を、埋めようと考えてはならない。
この苦しみに耐えて、自分の幸せを願わない事こそが、回り回って自分のためになる。
「そうやって、仮面を被り続けるのか。」
「初めから…俺が存在してから、仮面はずっと着けているんだ。今更外した所で、何も変わらない。———中途半端になるのが一番いけないんだ、アスカロン。一度道を逸れたなら、戻ってはならないように…世界は、都市はそれを許しはしないだろうからな。」
「……。」
アスカロンは何も答えない。
俺はどうやら、長く話しすぎたようだ。余計なことも話してしまった。
再び沈黙が訪れる。
だが、今度の沈黙の間は短く、破ったのはアスカロンだった。
「リアン。」
「どうした、アスカロン。」
「波は、
「そうだ。もう変わる事はない、
「
「……。」
その問いに、俺は答えなかった。答えられなかった。
俺は一切、望んでいないと知っているから。
過度に期待して、幸せを求めて、裏切られて、失って。
望むだけ辛くなると、知っているから。
「いや、いい。今まで世話になったな。」
「何処に、行くんだ?」
「修行だ。師匠の…テレシスの元で学んでくる。当分会うことはないだろう。」
「そうか。」
いつの間にか、日は沈み始めていた。
直に迎えが来て、彼女とも別れるのだろう。
「風と波、砂の城の話。」
「……。」
「聞かせてくれ。お前の声は、殿下ほどではないが落ち着くからな。」
「……あぁ、分かった。」
目を閉じるアスカロン。椅子に座り、全てを背もたれに預ける。
まるで眠るかのように、しかし、確信を持って起きてると言える彼女が、望んだ物語を紡ぎ出した。
———
時が経ち、テレジアとテレシスが別れ、バベルという名の組織が生まれ、沢山の人が集まった。
テレジアの掲げる物へと邁進する彼らは、俺のような存在に気をつける心配がないから。
しかし彼女は、俺を忘れることはないらしい。優しさが、激痛を伴って染み込む。
ドクターという人物がやってきて、数ヶ月。
軍事委員会との衝突が増え、俺の心が満たされていく日々に耐えかねて壊れる寸前だった頃、気付いた。
互角に見える戦況は、ただの張りぼて。ドクターの天才的な手腕によって、どうにか食らいついている事。
日々摩耗していくドクターを、誰も見ていない。
褒め称えこそすれど、本質に潜む苦しみを押し殺していることに気付かない。
テレジアでさえも気付かない。もっとも、ドクターが押し殺す方が上手だった可能性もある。
だが、俺は気付いた。
誰も気づかなかったであろうその姿に、本来なら聞く者はいない独り言に。
「く……ぅ、私は、どうすればいいんだ……分かっている、分かっているんだ……。」
「———ドクター、話があるんだ。」
「ッ!?誰だ!!」
ピピピッ。
鳴らない筈の端末機から、音が鳴った気がした。
———
赤黒い液体の上を歩けども、足取りは羽獣のように軽やかに。
死んだ鱗獣のような目を開いたまま倒れる、バベルの者たちの目を閉じて進む。
終わりを与えに進む。終幕を望んで歩く。
扉を開けば、死屍累々。血溜まりに沈むサルカズの英雄たち。
何かを守るようにして立つ彼女は、まだ余裕がありそうに見えた。
「ふむ、潜んでいる者たちに伝えておく。俺と、彼女の戦いに割り込めば殺す。例外はない。」
「リアン…貴方は……。」
彼女へと向き合い、カドゥケウスを取り出す。
黒い液体金属は、都市から離れても変わらず予測不可能なまま、武器を生み出してくれる。
それは、俺が今も尚、都市との繋がりを断てていないという事。
「———ここでお前を殺せば、俺は再び喪失を味わうだろう。」
「お前が俺に与えた優しさは本物で、お前の仲間たちとの繋がりは、俺に絡みついているから。」
「でも、一人嘆いたあいつに、俺くらいは味方してやってもいいんじゃないかな?」
ピピピッ。
ドクターに頼んで、連絡時の音を変えてもらったが、やはり馴染む。
伝えられた言葉は『戦闘開始』。
カドゥケウスから黒色の液体が漏れ出し、武器を模り始める。
テレジアの周囲に、高密度のアーツが漂い始めた。
「……。」
「はっ。よし、始めようじゃないか。」
———
「一。」
最初は手斧。ハズレだが、これから運が良くなっていくと信じよう。
背後に周り、斬りつける。
「二。」
レイピア。当たり。
肩を貫き通し、鮮血が舞い散る。
アーツが俺の体に触れるよりも早く、下がって次の武器が構築されるのを待つ。
「
スティレット。どうやらあまり、運は良くないみたいだ。
いや、この世界でも、カドゥケウスが使えている時点で運は良いのかもしれない。
手の甲に穴を開けた。
「無我夢中。」
テレジアはアーツの弾を操りこそすれど、どれも防御の域を出ない程度だった。
致命傷は躱しているが、それだけ。
攻撃に回せば、俺の命など吹くように消えるだろうに。
じわりと、スーツの下、シャツに血が滲みていくのを感じる。
重くなる体は、出血によるものか、それとも罪悪感か。
「リアン、貴方は……。」
「それ以上口を開くな、テレジア。」
お前が何かを言えば、揺らいでしまう。
指令に従うことで保ってきた心は、標を失えば壊れて堕ちていくだけだ。
そして、俺の標は、お前じゃない。
「お前は俺を殺して、今回の作戦を遂行させることだけを考えるんだ、テレジア。俺もお前を殺して、あいつがどんな道を歩むかを見届け、最後に俺を殺す事を考えている。」
「なんで、ドクターに協力したの?」
知っていたのか。
そう思ったが、驚きを押し殺す。
「過度な期待、不安、板挟み。俺が決断できずに、切り捨ててきた
「……。」
「もし、指令に従わず妻と娘を守っていれば。今になってやっと、気になるな。」
ハンマー。ハズレ寄りだが、手斧よりかマシだ。
黒い壁。突如生み出されたそれに阻まれた。
「四。五。」
「まだ話は終わってないわ。」
「いいや、終わりだ。楽しい話はここまでなんだ、テレジア。」
突然重みを増したカドゥケウス。見るまでもない、大剣だ。
遠心力を活かし、回りつつ振るう。滅多にしない戦い方だが、即席にしてはやったほうだろう。
「
ランス。当たり。
大剣が衝突した場所を狙い、加速して突撃する。
周囲のアーツが寄ってくるよりも早く、次の武器が構築された。
「フッ、七。」
俺ごと、テレジアを殺そうと現れた残りの英雄たち。
鞭を振り回し、肉を削ぐ。数人避けたが、体勢を崩した彼らはテレジアのアーツに巻き込まれて肉塊と化す。
「八。」
バスタードソード。
汎用な武器と得意な武器が、最後の方に固まっていたな。
黒い結界にヒビが入る。
「
鎌。
2つの望を纏わせる。
精神が削れる、次元を越えて、結界を切り裂き、息のある英雄たちを斬り刻む。
血の雨が降った。
結界は壊れて、青ざめたテレジアの姿が顕になる。
どうやら、結界はかなりの負担を伴うようだ。
「支離滅裂。」
「はぁ…、はぁ…。リアン、貴方、仮面が……。」
「……あぁ、取れていたのか。」
この傷は、隠し続ける必要があった。
1度でも見せてしまえば、俺へ関心を向けてしまうだろうから。
感情が向けば、否応なく感情が向ける事になる。
……情が湧けば、別れる時惜しくも、悲しくもなるだろうに。
「だから、仮面を被り続けていたんだ。」
「まるで…私を殺すのが惜しいみたいな言い方ね。」
ふふっ、テレジアは笑った。
苦笑とも、嘲笑とも受け取れる笑み。
傷口から垂れてきた血を拭う。
「血…まるで涙を流しているように見えるわ。心も、体も……。」
「テレジア。俺の
癒えない傷が熱を帯びる。
顔と、肩から腰へ斬られた、新しい傷。
「ここがお前と俺が留まるべき奈落だ。彼は巡行し、新たな地獄へと向かうことを選んだ。」
「……一つ聞かせて。貴方は、幸せになれるのかしら?」
「……。」
「貴方からは、ずっと悲しんでいるのが伝わってきた。自分だけが取り残されて、一人は嫌だと叫ぶ子供みたいに。……私は、貴方が一人ではないと気付けるまで…待つつもりだったのよ。」
そう言うテレジアの周りには、もうアーツは浮かんでいない。
カドゥケウスは、鎌の状態から一切変化しない。
……俺もまた、あの時から変わっていない。
「……Furioso-Replica.」
今まで、打ち、斬り、貫き。いくら攻撃しても、軽傷でしかない。
サルカズの魔王は、この程度で死にはしない。
俺が攻撃した所で、致命傷に届かない。……最後の、この一撃以外は。
「苦しまずに殺そう。それが"仲間”への、最大の礼儀だから。」
「……。」
テレジアは、そっと目を閉じた。
二望。
鎌を持ち上げる腕は重く、それでいて軽い。
何処までも最適化され、何処までも斬り裂く事を目的とした斬撃。
記憶の線をなぞるように、振り下ろす。
テレジアの背後から、何かに包まれている者が歩み出た。
黒ではなく、白色の結界。
テレジアの胸元を切り裂き、結界を切り裂こうとした瞬間、俺は見た。
「———リアン……さん?」
「———はっ、目を閉じてくれ、アーミヤ。」
不安げに耳を曲げた、
空間を斬り裂く一撃がブレる。攻撃の手が止まる。
テレジアの手の中から放たれた黒色の線が、俺の心臓を貫いた。
勢いの乗った鎌は、そのまま振り下ろされ続けて。
更にもう一歩踏み込み、体を捻った俺の動きに従って、アーミヤごと狙った刺客を二つに切り分ける。
ピピピッ。
「……寂しいけれど、お別れの時間みたいね。」
「そのようだ。」
「また、会えるかしら。」
「次はないだろうな。だから、ここでお別れだ、テレジア。」
ゆっくりと、しかし確実に、傷口からは血が溢れ出している。
俺が死ぬ場所はここではない。
ここではない何処かを目指して、歩き始めた。
———
「ドクター。…………あの"詩”を、読んでくれないか?」
部屋から出る前に、ドクターへ頼んだ。
血溜まりの中で話しているテレジアは、俺へ何も返さない。
『……私には、苦痛しかありません。それ以外の何物も望みませんでした———』
部屋を出た。
惨劇が行われた廊下を進む。
この部屋から、もっとも近い出口を目指した。
「ああ、苦痛よ。お前は……この上なく愛する恋人より優しい。」
『私は知っている。』
ドクターの声に、乱れた呼吸音が混じる。
扉が開く音も、足音も聞こえる。
「私が、ゴホッ、死に就く日にも」
視界がぼやけてきた。
カドゥケウスは、何の形を取っている?
『……汝は私の心の、奥深くに入り。』
『「私と共に整然と横たわらんことを。」』
===
「……。」
「……遅かったな。」
目の前で、壁にもたれかかる一人の男。
黒いスーツには大量の血が染み込んでいるのが分かり、胸に空いた傷からしてもう助からないだろう。
「お前なら……もう少し、早く帰って、来れたんじゃないか?」
「……。」
「……裏切った者たちのリスト。俺の部屋の、机の上に置いてある。上手く使え。」
既に持っている。
あの惨状を見てから、一番最初に向かった場所がそこだから。
「お前は……いや。」
「……ははっ、ようやく…声を聞かせてくれたな。」
「お前にとって、ここは———砂の城に、なれたのか?」
俯いていた男が、顔を上げる。
そこには、いつもあったはずの仮面がなかった。
代わりに右目から流れる水と、左目から流れる血があった。
「……。」
男は答えない。
ただ、男が行動したという事実が物語っていた。
「……波の音が、聞こえるな。」
「———どう聞こえる?」
「……い。」
次の言葉を待った。
顔は再び下を向いた。
男の握られた手が開いた。
一本の食器がこぼれ落ちた。
それでも、答えを待ち続けた。
ただ、待ち続けた。
そして今も、私は答えを待ち続けている。
『黒色の先割れスプーン』
既に亡き者が持っていたという武器。
たった一つの資料によると、様々な形へ変化したらしい。
『スフォーク?あぁ、フォプーンの事か。』
『最後、これが武器として出てきた時、俺は———』
宿舎と活動室に飾れば、雰囲気を良くする
『返事のない端末機』
既に亡き者が持っていたという端末。
資料によると、今は飾りでしかないが、かつては"指令"を紡ぎ出していたという。
『たとえ指令が途絶えても、これがある限り俺は俺でいられる。』
『……この話はここまでにしようか、アスカロン。今日はどんな話が聞きたい?』
宿舎と活動室に飾れば、雰囲気を良くする
『印のつけられた書類』
赤い印で、顔が塗りつぶされた者たちが載っている書類。
印は全ての書類に付けられている。
『生者が死者に縛られないよう、終わりを用意することにした。』
『終わりが訪れたなら、次は新しく踏み出せるだろ?』
『あの子なら、上手く使ってくれる。』
宿舎と活動室に飾れば、雰囲気を良くする
『壊れた白い仮面』
既に亡き者が着けていたという仮面。
元からこの形であり、"壊れた"というのは正しくないとされている。
『この仮面は、俺とお前達を隔てるたった1枚の、分厚い壁だ。』
「……仮面を外せば、お前は"私"を見てくれるのか?」
『それは……。……お前が俺と同じくらい大きくなってから、外しに来てくれ。』
『お前が無事に育ったなら、俺から仮面を奪えるだろう。』
「その下に浮かべていた表情は、今でも鮮明に覚えている。それは———」
「恋しさ。」
宿舎と活動室に飾れば、雰囲気を良くする