短編   作:しきょーかい

8 / 10
リカルドヒース…?お前もうリカルドじゃね…?

突然ですが俺は部長が好きです。サギュラ。あらやだイケメン…図書館長も笑顔よ。
プロムンは日本語版ASMRを出せ
カルメンのねじれ化秒読み存在否定ASMRくれ
YostarはもっとASMRを出せ、ラ・プルマだけじゃ足りぬ
アーミヤと、エンテレケイアと、アスカロンと、滌火ジェシカと…(強欲)



ヴィクトリア 1098年 太陽と月

 

 

黒い服と赤い刃。近くには倒れ伏した獣。

それも見て、男は彼女に感謝を伝えたんだ。

 

「いやぁ、今日も助かったよ!」

 

「それほどでもないさ。」

 

雪が降る中、刃の手入れをしながら答えたの。

彼女がカズデルからの撤退命令を下し、数ヶ月が経った今、ここら一帯ではまだ「バベル崩壊」と「魔王(テレジア)の死」の話が続いているんだ。

早急にも見えた命令だったけど、彼女は間違っていなかった。

裏切っていない者たちの中で最も早くバベルを離れ、被害を最小に収めたのは……流石一級フィクサーと言うべきなんだろうね。

 

行く宛もなく、傭兵として生きることも考えていたようだけれど……結局、この辺境に留まる事にしたみたい。ウルサスよりも北方、その辺境。

普通の人なら太刀打ちできない相手でも、彼女たちは"暗殺”、この一点の強みで終わらせられるんだ。

 

相手は野生動物のときもあれば、人間の時もある。———私が見た限り、そのどちらにも属さない…。

いいえ、かつては同じだったものが通っていることもあったけれど、勘で回避し続けているね。

 

どこか達観した様子で、怪しいところもあるけれど、彼女さえいればなんとかなる。

……そう思わせるカリスマ性があるからこそ、部下も皆生き延びて、着いてきたんでしょうね。

 

「あぁそうだ、この前会った行商から手紙を受け取っていたんだよ。ユジン……あんたの名だろ?」

 

「ありがとう。」

 

「良いってことよ!あんた達が居なければ、何度死んでたかも分かりゃしねぇ。」

 

笑いながら手紙を渡した男に、彼女は軽く笑って去るのを見送ったんだ。

封を開けたときには。貼り付けた(・・・・・)笑みはもうなかったの。

 

「部長、点検が終わりました。———部長?その手紙は?」

 

「……ふむ、お前たちも目を通してみるといい。」

 

「?…はい。」

 

数十秒、それとも数分だったかな?

全員が目を通したのを確認すると、彼女は静かに部下たちへ問いかけたんだ。

 

「テレジアは死んだ。私達にこの件に関する追求はなし。新しく設立した『ロドス・アイランド製薬』へのスカウトが主な内容だな。差出人はアスカロンとケルシーの二人だ。」

 

かつて早々に切り捨てた雇い主、そこが作り出した会社へのスカウト。

誰がどう考えても、復讐が目的である可能性を否定できないでしょうね。裏切ってはいなくとも、彼女がいれば救われたであろう命も、確かにあったでしょうから。

 

「正直に言ってほしい。このロドス・アイランドに行きたいと考える者はいるか?」

 

沈黙。

誰も動かず、何も発さず。

少なからず仲の良い者たちも居たけれど、彼らにとって情に流され、命を失うことはあってはならないんだ。どこまでも死の道理に正直に、誠実に向き合っている彼女が居るからこそ、その下にいる自分達も揺らいではならない……そう考えているみたいね。

 

「部長…。部長はどうしたいんですか?今の生活を捨てて、自ら死地へ向かうのですか?」

 

一人の部下が聞いたの。聞かずとも分かっている筈の答え、それが返ってくるのを信じて。

対して、彼女は……

 

「私は、決めかねているんだ。」

 

困った顔をして、そう言ったんだ。

 

「この生活は悪くない、ロドス・アイランド…ロドスに行けば、疑いで命を狙われることもあるだろう。しかし———」

 

「しかし…?」

 

「お前たちは、絵本の読み聞かせをしたことがあるか?」

 

突如投げかけられた謎の質問に、誰も答えられなかったの。

戸惑う彼らに、ゆっくりと、言い聞かせるように言うの。

 

「一人の男が、優しく、どこか悲しそうに子供たちに本を読むんだ。笑う子もいれば、泣く子もいる。結末を変えられないかと問う子もいれば、静かに眠りに就く子もいる。」

 

壊れ物を扱うかのように丁寧に、届かないものを眺めるように羨ましく。

 

「その光景を見て私は、初めて支えたいと思ったんだ。かつて話したコータスの少女。彼女の夢の延長線上に、私の夢はあった。奪ってばかりの人生だったが、与えてやりたいと思ったんだ。らしくなく、な。」

 

笑うけれど、彼女の声には悲しみが滲んできている。

 

「だが、お前たちを大切に思う気持ちは本物だ。だからこそ、その道を歩む選択はできないと自分自身分かっている。だから聞いた。お前たちがいる場所が私の立つ場であり、お前たちが死ぬ場こそ、私の死ぬ場だ。」

 

そこまで言って、彼女は目を閉じたんだ。

全ては委ねる。そういうかのような彼女を見て、彼らがどんな気持ちになったかは分からないけれど…。

仕方なさそうにつかれた溜息が、全てを物語っているんじゃないかな?

 

 

 

———

 

 

 

ケルシーと呼ばれる者が、一人の男に切り裂かれてから。

撤退する子供たちに向かって追手が出されたんだ。

男の目的の邪魔は許されない、確実に仕留めるためにね。

 

戦況としてはかなり悪い。

撤退する子供たちは士気が落ちているのにくらべ、追う方は士気が上がり続けているの。

親指が戦闘に参加しても、変わることはない。

それどころか、新たな敵を前にしてある子は闘志を漲らせた。

 

リウの炎。烈火が確実に侵食して、目の前の敵を焼き尽くす。

どれだけ指揮官が有能で部下が強くても、リウが出陣したということは"勝利”を確信したということ。

この瞬間にも、一つの会社の命運は潰えようとしているんだ。

 

そう、彼女たちが参戦するまでは。

 

彼女は戦場を歩き続ける。

怒号、矢、弾丸、砲撃……。

様々なものが飛び交う中を、全てが彼女を無視しているかのように。

そうして大将を見つけて、気さくに話しかけたんだ。長年の友人に声を掛けるみたいにね。

 

「やぁロウェル。シャオは元気かい?」

 

「……ユジン?なんで君が……いや、違うな。君は敵か?味方か?」

 

ぐっと力が込められた青龍偃月刀は、答えによっては刃を抜いていない彼女に振るわれる。

でも、一切揺るがずに、彼女は気にせず言ってのけたんだ。

 

「敵だ。彼女の意志は繋がれたのを、この目で見た。都市で見ることは稀な、有限が紡がれ無限となる輪。それを焼き切ろうとする……お前たちを殺す影だ。」

 

「見逃してくれた恩義に報いたくはあるが、私情に流されはしない。俺も、シャオも。」

 

「お前はそうかもしれないが……いや、いい。残念だ。」

 

心の底から残念そうに、ほぅと息を吐いて、彼女は刀を抜いた。

戦場の炎を反射し、赤く輝く刀を持つ腕から力を抜いて、予備動作もなく振るわれた炎の斬撃を弾く。

 

「退くならば、深追いはしない。ロドスの目的は撤退であり、衝突することもないだろう。」

 

「仕事なんだ、そう簡単には引けないさ。」

 

数度の衝突。

果敢に攻める相手に対して、彼女は自分から手を出さないんだ。

まるで何かに気付くのを待っているかのように。

相手も、そこでようやく気付いたんだ。周囲に居たはずの部下からの助力がないってことに。

 

「まさか…。」

 

「殺してはいない。退くなら解放しよう、誰も咎めやしない。」

 

「……。」

 

勝利の報告、部下の命。

天秤にかけて彼が選んだのは、部下の命だったみたい。

 

「…今回は負けみたいだな、君が来てから、既にシャオにこちらへ来るよう伝えている。」

 

「懸命な判断だ、ちゃんと彼女の手綱を握っていてくれ。」

 

「ははは……。」

 

そう言って少し和んだ空気。

刀を納める瞬間。刃が完全に納まる瞬間。

 

「———無音。いかなる激情も、不用意に発露してはならない。相手は揺らぎを見逃すことはないだろう。」

 

突如襲いかかってきた龍の炎を、一刀のもとに切り捨てたんだ。

渦巻く炎は彼を彼女から守るようにしていたけれど、もう一度刃が振るわれると消えた。

 

「……これが君の選択か?」

 

「違う!待て、シャオ!俺は無事だ!」

 

目を閉じて、脱力して、深く息を吸って、腰を落とす。

見る者が見れば、感心の声が聞こえたんでしょうね。

龍を切り捨て、納刀。

 

「無形。形に囚われず、目的より逆算し、自由に繋げろ。」

 

「ユジン!!!」

 

「無念。鎮まれ、発言の必要はない。ただ刻む。揺らぐことなき信念と、その旅路。」

 

遂に龍と相対した彼女。

上段から振り下ろされる、全てを破壊するであろう激情の一撃。

 

「君にこれほど愛せる者がいるように、私にも守るべき場がある。次は、最後まで……。」

 

流れるように、傍から見れば、ひどくゆっくりとした動きで。

でも、私でも分かるくらいに無駄がない。

触れて、一瞬止めて、空いた胴を撫でるように、鞘を走らせる。

すれ違い、龍に向き合った彼女が刀を腰に収めた瞬間———何も起きなかった。

 

もちろん、刃を抜いていないから当たり前。でも、これを見ていた子はそうは思わないだろうね。

彼女が発する人を殺せるほど研ぎ澄まされた気迫、刃を抜いていないとは誰も言い切れないから。

 

「ロウェル!無事か!?」

 

「———!!シャオ!君の方こそ……。」

 

絶技を無視して、愛する者の元へと向かう龍を見る彼女の目は、優しかった。

E.G.O.はもう消えていたし、戦闘は終わったのか次々に撤退してくる者たちの姿も見える。

それを確認して、彼女は部下に敵を解放する事と、撤退命令を下したんだ。

同時に暗雲から……これは。

 

 

空には……ふふ。

この都市を覆っていたのは、雲じゃなくてあれ(・・)なのかもしれないね。

 

 

 

===

 

 

 

「部長、お疲れ様です。今回は流石に肝が冷えましたね。」

 

「そうだな、皆もよくやってくれた。怪我人も、死者もいない。我々にとって最上の勝利だ。」

 

「……部長、嬉しそうですね。何かありましたか?」

 

「よく気付いたな、ヴァレンティン。大したことじゃない、ただ…。」

 

「ただ?」

 

「知り合いが幸せそうで良かった、それだけだ。」

 

 





ゲストでアンジェラ笑顔にできたの誰がいます?部長だけじゃない?
礼儀正しさなら親指も負けていないはずなのに…不思議だなぁ、規律がクソだからか?
あっアンダーボ(下顎を砕かれる音)
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