ティーパーティーに潜む、忠実な駒   作:KuRoNia

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思い出の味

 トリニティの夕暮れは、ゲヘナのそれよりも少しだけ静かに見える。

 

 実際には、静かなわけではない。校舎の方からは生徒達の声が聞こえるし、通りには買い物帰りの生徒が行き交っている。カフェの前では誰かが笑い、少し離れた広場では、何かの委員会らしき生徒達が慌ただしく資料を抱えて走っていた。

 

 ただ、ゲヘナのように突然爆発音が響いたり、風紀委員会の警報が鳴ったり、不良集団が路地から飛び出してきたりはしない。

 

 その違いに、黒夜は今でも時々不思議な気持ちになる。

 

 両手には、買い物袋が二つ。

 中身は食材だった。

 

 豚肉、玉ねぎ、生姜、キャベツ、豆腐、味噌。ついでに米も残りが少なかったので買い足した。特別なものは何もない。今日の夕食を作るための、普通の材料ばかりだった。

 

「……少し買いすぎましたね」

 

 黒夜は袋の重さを確かめながら、小さく呟いた。

 一人分の夕食にしては多い。けれど、作り置きに回せばいい。味噌汁は翌朝にも飲めるし、肉も下味をつけておけば明日以降に使える。そう考えれば、無駄にはならないだろう。

 そうして歩いていると、通りの向こうに見覚えのある姿があった。

 

 白いフード。

 静かな立ち姿。

 少し離れて、周囲を警戒するように立つ少女達。

 

 アリウススクワッドだった。

 

 先にこちらに気づいたのは、アツコだった。彼女は黒夜を見つけると、ふわりと目元を和らげた。

 

「黒夜だ、今帰り?」

 

「アツコさん。皆さんも」

 

 黒夜が足を止めると、サオリ、ミサキ、ヒヨリもこちらを見た。

 サオリはいつものように表情を崩しすぎないまま、黒夜の手元へ視線を落とす。

 

「買い物帰りか」

 

「はい。夕食の材料を少し」

 

「夕食の材料……?」

 

 サオリが、わずかに意外そうな顔をした。

 その隣で、ミサキも黒夜の買い物袋をじっと見る。

 

「自分で作るの?」

 

「はい。普段から自炊はしていますよ」

 

「……意外」

 

 ミサキがぽつりと言った。

 ヒヨリも目を丸くしている。

 

「えっ、黒夜さんって自炊するんですか? そ、その、なんとなく外で食べてるのかなって思ってました……!」

 

「外食もしますが、毎日ではありませんよ」

 

 黒夜がそう答えると、サオリは少し考えるように目を伏せた。

 

「すまない。勝手な印象だった」

 

「いえ。どうしてそう思ったんですか?」

 

「黒夜は、私たちと会うたびに食事を奢ってくれていたからな」

 

 言われて、そういえば、と記憶を辿る。

 

 ファミレス、カフェ、屋台、アリウススクワッドと出会った時、黒夜は自然に食事へ誘うことが多かった。

 アツコ達が空腹そうにしていたからという理由もあったし、単純に、何かを食べながら話す方が落ち着くと思ったからでもある。

 

 会計は、大抵黒夜が持っていた。

 それが、彼女達にとっては印象に残っていたのだろう。

 

「比較的、お金にも困っていないように見えた。だから、自炊をする必要がないのかと」

 

「ああ、なるほど……」

 

「す、すみません! お金の話をするつもりじゃなくて……! でも、黒夜さんって毎回ご馳走してくれるから、その、なんか……いいもの食べてる人なのかなって……!」

 

 ヒヨリが慌てて両手を振る。

 

 黒夜は苦笑した。

 

「そんなことはありませんよ。普段は普通です」

 

「普通って?」

 

 アツコが首を傾げた。

 

「ご飯を炊いて、味噌汁を作って、肉か魚を焼いて、野菜を添えるくらいです。凝ったものばかり作るわけではありません」

 

「……生活感ある」

 

 ミサキがまたぽつりと言う。

 

「私を何だと思っていたんですか?」

 

「やたら奢ってくれるお金持ち」

 

「少し否定しづらいですね」

 

 黒夜が困ったように笑うと、アツコが買い物袋を覗き込んだ。

 

「今日は何作るの?」

 

「生姜焼きにしようかと思ってました。千切りキャベツと味噌汁と、ご飯くらいですが」

 

「生姜焼き……」

 

 アツコが小さく繰り返す。

 その時だった。

 きゅう、と控えめとは言いがたい音が、夕暮れの通りに響いた。

 全員の視線が、ゆっくりとヒヨリへ向く。

 

 ヒヨリは固まっていた。

 

 顔が一瞬で赤くなる。

 

「ち、違うんです! これは、その、体内からの抗議活動というか、決して黒夜さんの買い物袋を見てお腹が空いたわけではなくてですね……!」

 

「ヒヨリ、空気読めないの?」

 

 ミサキが静かに言った。

 

「うぅ……!」

 

 ヒヨリはその場で縮こまった。

 サオリは少しだけ眉を下げる。

 アツコは、何だか楽しそうに見ていた。

 

 黒夜は手元の袋を見て、それから四人を見た。

 

「……もし良ければ、食べていきますか?」

 

 その言葉に、サオリがすぐ顔を上げた。

 

「いや、そこまで世話になるわけには」

 

「材料は多めにありますし、作り置きにするつもりだった分を使えば足ります。急なので大したものは出せませんが」

 

「しかし」

 

「サオリさん」

 

 黒夜は穏やかに言った。

 

「誰かと食べた方が、美味しいですから」

 

 サオリは言葉に詰まった。

 アツコが、黒夜を見上げる。

 

「行きたい」

 

「アツコ……」

 

「黒夜のご飯、食べてみたい」

 

 その一言は、とても素直だった。

 ミサキは少しだけ視線を逸らす。

 

「……まあ、ヒヨリのお腹も鳴ったし」

 

「ミサキさん!? わ、私のせいにするんですか!?」

 

「だってそうでしょ」

 

「うわーーん!……で、でも、食べたいです……」

 

 ヒヨリの最後の声は、小さかった。

 けれど、正直だった。

 

 サオリは三人を見て、それから黒夜へ視線を戻した。

 

「……迷惑ではないのか?」

 

「迷惑なら誘いませんよ」

 

「…そうか」

 

 サオリは短く頷いた。

 

「なら、世話になる」

 

「はい。では、行きましょう」

 

 そうして、黒夜はアリウススクワッドの四人を自分の住まいへ案内することになった。

 黒夜の部屋は、彼女達が想像していたよりもずっと普通だった。

 

 必要なものは揃っている。

 けれど、余計な装飾は多くない。

 本棚には資料と料理本が少し。机の上には整理された書類。部屋の隅には、使い慣れた調理器具が置かれている。

 

 アツコは室内を見回し、小さく言った。

 

「ここが黒夜の家なんだね」

 

「そうですよ」

 

「なんか、落ち着く」

 

「ならよかったです」

 

 ミサキは台所の方を見ていた。

 

「本当に料理するんだ」

 

「まだ疑っていたんですか?」

 

「疑ってたというか、想像できなかった」

 

 ヒヨリはそわそわしながら、部屋の入口で靴を揃えていた。

 

「す、すみません、お邪魔します……! 何か手伝います! 皿洗いでも、荷物持ちでも、えっと、毒見でも……!」

 

「毒見は必要ありません。そうですね……では、食器を出すのを手伝ってもらえますか?」

 

「はい! 食器ですね! 割らないようにします!」

 

「普通で大丈夫ですよ」

 

 黒夜は買ってきた食材を台所へ置き、手を洗った。

 

 サオリは少し離れた場所から、その動きを見ていた。

 無駄がない、買い物袋から食材を取り出し、使うものとしまうものを分ける。米を確認し、味噌汁の鍋を用意し、まな板と包丁を出す。戦闘時の黒夜とはまったく違う動きなのに、どこか同じような落ち着きがあった。

 

「手慣れているな」

 

「一人暮らしが長いですから」

 

「いつから料理を?」

 

「必要になってからですね。最初は簡単なものばかりでしたが、続けているうちに慣れました」

 

「そうか」

 

 サオリは短く答えた。

 それ以上は聞かなかった。

 けれど、少しだけ不思議な気持ちだった。

 

 黒夜は、彼女達にとって危うく、どこか遠い存在でもあった。左目のこともある。彼が自分達を許してくれていると分かっていても、その事実が消えるわけではない。

 だが今、台所に立つ黒夜は、ただ夕食を作ろうとしている人だった。

 それが、不思議だった。

 

 そして、少しだけ胸が痛かった。

 

 黒夜はキャベツを取り出し、外葉を外してから包丁を入れる。

 とん、とん、とん、と軽い音が続いた。

 

 ヒヨリが目を丸くする。

 

「す、すごい……キャベツがどんどん細くなっていきます……!」

 

「切っているだけですよ」

 

「その切っているだけがすごいんです!」

 

 ミサキも横から覗く。

 

「店で出てくるやつみたい」

 

「ありがとうございます」

 

「褒めたつもりじゃ……まあ、褒めたけど」

 

 黒夜は少し笑った。

 次に豆腐とわかめを使って味噌汁を仕込む。出汁の香りが、ゆっくりと部屋に広がっていった。味噌を溶き入れると、ヒヨリが小さく息を吸う。

 

「……いい匂いです」

 

「もう少しでできますよ」

 

 豚肉には、生姜、醤油、みりん、酒を合わせたタレを絡める。玉ねぎを切り、フライパンを温める。油が薄く広がる音。玉ねぎが焼ける甘い匂い。そこへ肉を入れると、じゅう、と食欲を誘う音が立った。

 

 ヒヨリのお腹が、もう一度鳴った。

 今度は、誰も何も言わなかった。

 

 ヒヨリだけが顔を赤くしていた。

 黒夜は肉に火を通しながら、タレを回しかける。生姜の香りが立ち上がり、甘辛い匂いが部屋中へ広がった。炊き上がったご飯の蒸気も重なり、そこに味噌汁の優しい香りが混ざる。

 

 どこにでもあるような、普通の夕食。

 けれど、アリウススクワッドの四人は、誰も軽く見ていなかった。

 

「できましたよ~」

 

 黒夜は皿に生姜焼きを盛り、横に千切りキャベツを添えた。茶碗にご飯をよそい、味噌汁を器に注ぐ。テーブルに並べられたのは、本当に素朴な食卓だった。

 生姜焼きと千切りキャベツに味噌汁とご飯。

 

 黒夜は少しだけ申し訳なさそうに言う。

 

「急でしたので、簡単なものですが」

 

「……これで簡単なのか」

 

 サオリが呟いた。

 

「家庭料理ですし」

 

 黒夜は箸を並べた。

 

「では、どうぞ」

 

 四人は少しだけ緊張した様子で席についた。

 サオリは姿勢を正し、ミサキは無表情を装い、ヒヨリは明らかに待ちきれない顔をしている。アツコは目の前の生姜焼きをじっと見つめていた。

 

「いただきます」

 

 黒夜が言うと、四人もそれぞれ小さく続けた。

 

「いただきます」

 

 最初に箸を伸ばしたのは、意外にもアツコだった。

 小さく切った生姜焼きを口に運ぶ。

 

 ゆっくり噛む。

 

 そして、目を細めた。

 

「……おいしい」

 

 その一言はとても真っ直ぐだった。

 ヒヨリは一口食べた瞬間、目に見えて表情を変えた。

 

「お、おいしいです……! すごくおいしいです……! あの、これ、ご飯と一緒に食べると、もっと……あっ、ご飯が進みます……!」

 

「ご飯はお代わりもありますから遠慮せず食べてくださいね」

 

「本当ですか!?」

 

 ヒヨリは一瞬、救われたような顔をした。

 

 ミサキも無言で食べていたが、二口目、三口目と箸が止まらない。

 

「ミサキさん、どうですか?」

 

「……普通にすごく美味しい」

 

 その言い方が少しおかしくて、黒夜は笑いそうになった。

 

 サオリは、慎重に味わっていた。

 

 生姜焼き。

 キャベツ。

 ご飯。

 味噌汁。

 

 順番に食べて、それから小さく頷く。

 

「旨いな」

 

「口に合ったならよかったです」

 

「店で食べるものとは違う」

 

「流石にお店の料理には勝てませんよ」

 

「……だが、いいな」

 

 サオリはそれだけ言って、また箸を進めた。

 黒夜は、自分の分の味噌汁に口をつけながら、少しだけ安心した。

 

 喜んでもらえている。

 それだけで十分だった。

 

 しばらく、食卓は静かだった。

 

 気まずい沈黙ではない。

 誰もが食べることに集中している沈黙。

 

 ヒヨリは二杯目のご飯を遠慮がちに頼み、黒夜が普通によそうと、涙ぐみそうな顔で受け取った。ミサキはキャベツにタレを少し絡めて食べる方法を覚え、黙ってそれを繰り返している。サオリは味噌汁を飲むたびに、少しだけ肩の力が抜けていった。

 

 アツコは、食事の途中でぽつりと言った。

 

「黒夜のご飯、あったかいね」

 

 黒夜は顔を上げた。

 

 アツコは器を両手で持っていた。

 味噌汁の湯気が、彼女の顔の前で柔らかく揺れている。

 

「温かいうちに出しましたから」

 

「そういう意味もあるけど…」

 

 アツコは小さく首を横に振った。

 

「なんか、料理から思いやりが伝わってくる」

 

 黒夜は少しだけ言葉に詰まった。

 その言葉が、料理の味だけを指していないことは分かった。

 

 アリウススクワッドにとって、こういう食卓がどれほど当たり前でなかったのか。黒夜は完全には分からない。

 それでも、彼女達がこの場所で、今、温かいと思ってくれたのなら。

 それは、とても嬉しいことだった。

 

「……それなら、よかったです」

 

 黒夜は静かにそう答えた。

 食事が終わる頃には、皿はほとんど空になっていた。

 

 ヒヨリは満腹そうにしながらも、まだ名残惜しそうに生姜焼きの皿を見ている。ミサキは「食べすぎた」と小さく呟き、サオリは「後片付けを手伝う」とすぐに立ち上がろうとした。アツコも器を重ねようとする。

 

 黒夜はそれを制した。

 

「今日は私が誘ったので、片付けもしますよ」

 

「しかし」

 

「では、食器を運ぶところだけお願いします」

 

「……分かった」

 

 結局、全員で軽く片付けることになった。

 ヒヨリは皿を落とさないように両手で大事に運び、ミサキはテーブルを拭き、サオリは流しの横で布巾を持ち、アツコは黒夜の隣で静かに食器を並べた。

 片付けまで含めて、食事なのだと黒夜は思っている。

 

 そしてその時間も、悪くなかった。

 

 帰る頃には、外はすっかり暗くなっていた。

 玄関先で、サオリが黒夜へ向き直る。

 

「今日は世話になった」

 

「こちらこそ、食べていただけてよかったです」

 

「……また、何か礼をする」

 

「気にしないでください」

 

「そういうわけにはいかない」

 

 サオリらしい言葉だった。

 ミサキは少しだけ視線を逸らしながら言う。

 

「……また食べたいかも」

 

「はい。機会があれば」

 

「…そんな事言ってると無理やり食べにくるよ?」

 

「ミサキさんにそう言われるとは思いませんでした」

 

「美味しかったし、また食べたいって思っただけ」

 

 ミサキはそれだけ言って、顔を背けた。

 ヒヨリは何度も頭を下げていた。

 

「あ、ありがとうございました……! 本当においしかったです……! 私、あんなにご飯食べたの久しぶりで……あの、食べすぎてすみません……!」

 

「たくさん食べてもらえるのは作り手としてはうれしい限りです」

 

「うぅ……ありがとうございます…」

 

 最後に、アツコが黒夜を見た。

 

「黒夜」

 

「はい」

 

「また来てもいい?」

 

 黒夜は少しだけ目を細めた。

 

「いつでもお待ちしてますよ」

 

 アツコは、静かに笑った。

 

「うん。また来るね」

 

 そうして、アリウススクワッドは夜の通りへ戻っていった。

 黒夜は玄関先で四人の背中を見送った。

 サオリはいつものように周囲を警戒し、ミサキは少し眠そうに歩き、ヒヨリは満腹で幸せそうにしている。アツコは一度だけ振り返り、小さく手を振った。

 

 黒夜も、軽く手を振り返す。

 

 扉を閉めた後、部屋にはまだ生姜焼きの香りが残っていた。

 黒夜は空になった皿を見て、少しだけ笑う。

 

「……作り置きの分まで、なくなりましたね」

 

 けれど、不思議と困ってはいなかった。

 また作ればいい、そう思えるくらいには、今日の食卓は悪くなかった。

 

 その日、アリウススクワッドの四人は、黒夜の家で普通の夕食を食べた。

 それは豪華な料理ではなかった。

 特別な食材を使ったわけでもなかった。

 ただの生姜焼きと、千切りキャベツと、味噌汁と、ご飯だった。

 

 数日後、彼女達は思い知ることになる。

 

 その“普通のご飯”が、思っていたよりずっと厄介なものだったのだと。

 

 アリウススクワッドの隠れ家には、いつも通りの静かな食事風景があった。

 机の上に置かれているのは、携帯食料と保存食。必要最低限の栄養を摂るためのもの。味よりも保存性。満足感よりも効率。食べられるなら十分で、腹が満たされれば問題ない。

 少なくとも、これまではそうだった。

 サオリは包装を開け、携帯食料を一口かじった。

 

 硬い。

 

 当然だ、前からこうだった。

 水分は少なく、噛めば噛むほど口の中の水気を奪っていく。味は薄く、風味と呼べるものもほとんどない。栄養補給のために作られたものなのだから、そういうものだと分かっている。

 分かっているはずだった。

 

「……」

 

 サオリは、もう一口食べた。

 やはり、味がしない。

 いや、味がないわけではない。以前と同じ味はする。けれど、何かが足りない。足りないというより、急に物足りなさを自覚してしまった、という方が近かった。

 

 隣では、ヒヨリが携帯食料をじっと見つめていた。

 

「あ、あの……これって、前からこんな味でしたっけ……?」

 

 その声は、ひどく頼りなかった。

 ミサキが無表情で答える。

 

「前からこういう味」

 

「で、ですよね……? 前からこういう味ですよね……? でも、なんか、その……」

 

「味気ない」

 

 ミサキがぽつりと言った。

 ヒヨリは顔を上げる。

 

「そ、それです……! 味気ないんです……!」

 

「贅沢になったね」

 

 ミサキは自分で言いながら、少しだけ眉を寄せた。

 その言葉は、半分は自分に向けたものだった。

 

 前なら何も思わなかった。

 むしろ、食べられるだけありがたいと思っていた。

 空腹を紛らわせられるなら、十分だと。

 

 それなのに、今は思い出してしまう。

 

 甘辛い生姜焼きの匂い、湯気の立つ味噌汁、白いご飯、生姜焼きのタレが少し染みた千切りキャベツ。

 そして、黒夜が当たり前のように「お代わりもありますよ」と言ってくれたこと。

 

 アツコは、手元の携帯食料をまだ開けていなかった。

 ただ、静かにそれを見つめている。

 

「アツコ?」

 

 サオリが声をかけると、アツコはゆっくり顔を上げた。

 

「黒夜の作った生姜焼き、また食べたいね」

 

 その一言で、隠れ家の空気が止まった。

 ヒヨリが、こくこくと何度も頷く。

 

「た、食べたいです……! でも、そんなこと言ったら黒夜さんに迷惑ですよね……前も急にご馳走になったばかりですし……」

 

「黒夜なら、たぶん作ってくれる」

 

 ミサキが言うが、その声にも少し迷いがあった。

 

「でも、毎回頼るのは違う気がする」

 

 サオリは静かに言った。

 

「黒夜は優しい。こちらが頼めば、おそらく断らない。だからこそ、簡単に頼るべきではない」

 

「……うん、わかってるよ」

 

 アツコは小さく頷いた。

 けれど、その視線はまだ携帯食料に落ちている。

 

 味がしない。

 食べられないわけではない。

 飲み込めないわけでもない。

 

 でも、あの食卓を知ってしまった後では、どうにも寂しかった。

 

 誰かの家で、誰かが作ったご飯を食べる。

 温かいうちに出された料理を、同じ机を囲んで食べる。

 

 それは、食事というより、場所だった。

 

 帰っていい場所。

 座っていい場所。

 空腹だと言ってもいい場所。

 

 アツコは、携帯食料の包装を開ける。

 けれど、一口目を食べる前に、端末が鳴った。

 

 黒夜からだった。

 

 四人の視線が、一斉に端末へ向く。

 

 サオリが代表して開く。

 

“突然すみません。今度、ティーパーティー主催のトリニティ内の政治的なパーティーで、料理を担当することになりまして。

 久しぶりに本格的なフルコースを作るので、事前に一度味を見てもらえませんか? 皆さんの都合が合えばで大丈夫です。”

 

 次の瞬間、ヒヨリが立ち上がった。

 

「い、行きます!」

 

「早い」

 

 ミサキがヒヨリに突っ込むが、自分の目も少しだけ輝いていた。

 サオリは端末を見つめたまま、慎重に口を開く。

 

「これは……味見役としての依頼だな」

 

「うん」

 

 アツコが即答する。

 

「黒夜が困ってる」

 

「困っているかは分からない」

 

「でも、頼んでくれた」

 

 アツコの言葉に、サオリは少しだけ考えた。

 確かに、ただ食事をねだるのとは違う。黒夜からの依頼だ。味見役として協力するという名目がある。ならば、受けてもいい。いや、受けるべきだ。

 サオリは自分にそう言い聞かせるように頷いた。

 

「分かった。協力しよう」

 

「た、たまたま予定も空いてます! すごく空いてます! 今からでも行けます!」

 

「ヒヨリは少し落ち着け」

 

 ミサキはそう言いながら、自分も立ち上がっていた。

 アツコは静かに端末を見つめて、短く返信した。

 

“みんなと行くね”

 

 黒夜からの返事は、すぐに来た。

 

“ありがとうございます。では、準備しておきますね”

 

 その文面を見て、ヒヨリは両手を握りしめた。

 

「フルコース……黒夜さんの料理……」

 

「ヒヨリ!よだれ垂れてる!」

 

 サオリは咳払いをした。

 

「味見役だ。遊びではない」

 

「はい!」

 

「……味見役だぞ」

 

 そう繰り返すサオリ自身が、少しだけ楽しみにしていることを、誰も指摘しなかった。

 

 その日の夕方。

 

 アツコ達は、再び黒夜の家を訪れた。

 玄関を開けた瞬間、前回とは違う香りがした。

 

 前回の生姜焼きは、家庭の匂いだった。甘辛く、優しく、食欲を真っ直ぐ刺激する匂い。けれど今回は違う。バター、香草、焼けた肉の香ばしさ、丁寧に取られたスープの深い香り。

 いくつもの匂いが重なっているのに、どれも喧嘩していない。

 

 ヒヨリは玄関で固まった。

 

「こ、これ……高級なお店の前の匂いです……!」

 

「なんでそんなのわかるの?」

 

 ミサキが言うが、その目は室内の方へ向いていた。

 黒夜はエプロン姿で出迎えた。

 

「急にお願いしてすみません」

 

「いや、こちらこそ呼んでもらえて助かる」

 

 サオリは真面目に答えた。

 アツコは黒夜を見て、少し嬉しそうにする。

 

「黒夜、料理人みたい」

 

「今日は少し本気ですから」

 

「本気なの?」

 

「はい。久しぶりなので、勘を戻したくて」

 

 黒夜はそう言って、四人を席へ案内した。

 テーブルには、前回とは違う白いクロスが敷かれていた。食器も整えられ、カトラリーが並んでいる。アリウススクワッドの四人は、少し落ち着かない様子で席についた。

 

「な、なんだか緊張します……」

 

「普通に食べればいいですよ」

 

「普通に食べるのが難しいです……!」

 

 ヒヨリの声が震えている。

 黒夜は少し笑って、最初の皿を運んできた。

 

 前菜だった。

 

 彩りの鮮やかな野菜と、薄く切られた魚。酸味のあるソースが控えめにかかり、皿の上に小さな庭のように盛りつけられている。

 ヒヨリはそれを見て、しばらく箸、ではなくフォークを持ったまま固まった。

 

「こ、これ、食べていいんですか……?」

 

「どうぞ、遠慮せずに食べてください」

 

「綺麗すぎて、食べるのがもったいないです……」

 

 ミサキは小さく頷く。

 

「分かる」

 

 サオリは姿勢を正して、慎重に一口食べた。

 そして、目を見開いた。

 

「……」

 

「サオリ?」

 

 アツコが覗き込む。

 

「凄いな…」

 

 サオリは短く言った。

 ただ、その声にははっきりと驚きが混じっていた。

 ミサキも一口食べる。

 

「……何これ」

 

「口に合いませんでしたか?」

 

「違う。おいしい。味が、なんか……多い」

 

 黒夜は少し困ったように笑う。

 

「褒め言葉として受け取ります」

 

 次に出てきたのはスープだった。

 器から立ち上る香りだけで、ヒヨリが目を潤ませる。

 

「こ、これだけでご飯食べられそうです……」

 

「今日はパンを用意しています」

 

「パン……!」

 

 ヒヨリはその言葉だけで幸せそうになった。

 

 魚料理、肉料理、口直し、そしてデザート。

 

 黒夜の料理は、前回の生姜焼きとはまったく違っていた。

 

 丁寧で、繊細で、華やかだった。

 ソース一つ、付け合わせ一つにまで意味があり、食べる順番によって印象が変わる。見た目も美しく、味も深い。

 

 アリウススクワッドは、最初こそ緊張していたが、途中から完全に料理に飲まれていた。

 

 サオリは一皿ごとに真剣に味を確かめ、時折小さく頷く。

 ミサキは「分からないけどおいしい」と何度も呟く。

 ヒヨリは皿が運ばれるたびに小さく震え、デザートの時にはほとんど拝むような顔になっていた。

 アツコは静かに食べながら、黒夜が料理を運ぶたびに嬉しそうに目で追っていた。

 

 最後のデザートを食べ終えた後、しばらく誰も話さなかった。

 

 黒夜は少し緊張したように尋ねる。

 

「どうでしたか?」

 

 サオリが深く息を吐いた。

 

「……私に適切な評価ができるか分からない」

 

「思ったことを言ってもらえれば大丈夫です」

 

「なら、言うが…凄まじかったな」

 

「ありがとうございます」

 

「前回の料理とは、まったく違う」

 

「そうですね。今回はコース料理なので」

 

 ミサキは空になった皿を見ていた。

 

「黒夜って何者?」

 

「ただの生徒ですよ」

 

「ただの生徒にこれは作れないと思うんだけど」

 

「そうでもないと思いますが、私の知り合いのフウカさんとかなら作れそうですけど」

 

「超人じゃん…」

 

 ヒヨリは両手を握りしめていた。

 

「あの、私、今日のこと忘れません……! こんな料理、もう一生食べられないかもしれませんから……!」

 

「そこまで大げさにしなくても」

 

「大げさじゃないです……! 私の舌が、もう戻れないところまで来た気がします……!」

 

 黒夜は苦笑した。

 アツコは、最後に静かに言った。

 

「すごく美味しかったよ」

 

「ありがとうございます」

 

 こうして、味見は無事に終わった。

 少なくとも、黒夜はそう思っていた。

 

 だが数日後。

 

 アリウススクワッドは、再び新たな問題に直面していた。

 携帯食料が、さらに味気ない。

 前回の生姜焼きで少しおかしくなった感覚は、黒夜のフルコースによって完全に戻れないところまで進んでしまった。

 ヒヨリは携帯食料を見つめ、涙目になっていた。

 

「……私たち、知ってはいけない味を知ってしまったのでは……?」

 

「言わないで」

 

 ミサキはそう言ったが、手元の食料はほとんど減っていない。

 サオリは腕を組み、真剣な顔で考え込んでいた。

 

「これは、黒夜に責任を取ってもらうべきではないか」

 

「サッちゃんがそう言うの、珍しいね」

 

 アツコが言う。

 

「黒夜が悪いわけではない。だが、結果として我々の食生活に深刻な影響が出ている」

 

 サオリは本気だった。

 ヒヨリが小さく手を上げる。

 

「せ、責任を取ってもらうって、またフルコースをお願いするんですか……?」

 

 その言葉に、全員が一瞬黙った。

 

 フルコースは美味しかった。

 凄まじく美味しかった。

 

 けれど、アツコは首を横に振った。

 

「生姜焼きがいいな」

 

 その言葉で、全員の中に同じ光景が浮かんだ。

 

 黒夜の部屋。

 少し狭いテーブル。

 湯気の立つ味噌汁。

 ご飯のおかわり。

 甘辛い生姜焼き。

 千切りキャベツ。

 

 豪華ではなかった。

 けれど、あの食卓は、初めてだった。

 

 アリウススクワッドが、黒夜の家で初めて食べた料理。

 ただ空腹を満たすためではなく、誰かに迎えられて食べた料理。

 

 サオリは小さく頷いた。

 

「……そうだな」

 

 ミサキも目を逸らしながら言う。

 

「私も、それがいい」

 

 ヒヨリは勢いよく頷いた。

 

「私もです……! 生姜焼き、また食べたいです……!」

 

 そしてその日の夕方。

 

 黒夜は、アリウススクワッドから呼び出された。

 待ち合わせ場所に着くと、四人が揃っていた。サオリは真剣な顔で立ち、ミサキは少し気まずそうに視線を逸らし、ヒヨリはそわそわしている。アツコはいつも通り、静かに黒夜を見ていた。

 

「皆さん、突然呼び出してどうしたんですか?」

 

 黒夜が尋ねると、アツコが一歩前に出た。

 

「黒夜」

 

「?」

 

「責任取って」

 

 黒夜は固まった。

 

「……え?」

 

「私たちにあんなことしたのに…」

 

 見かねたサオリが補足する。

 

「黒夜の料理を食べてから、携帯食料の味がひどく物足りなくなった」

 

「あ、あぁ~、失念していました、すいません」

 

「謝罪を求めているわけではない」

 

 ミサキが小さく言う。

 

「でも、責任はあると思う」

 

「ミサキさんまで」

 

 ヒヨリが慌てて続ける。

 

「あっ、あの、変な意味じゃないんです! ただ、その、黒夜さんのご飯を知ってしまったせいで、私たちの舌が大変なことになってしまって……!」

 

 黒夜は困ったように笑う。

 

「では、またフルコースを作ればいいですか?」

 

 黒夜としては、自然な提案だった。

 彼女達が舌が肥えたと言うのなら、おそらくこの間のフルコースのことだと思ったからだ。あれほど喜んでくれたのだから、また作ること自体は構わない。

 けれど、アツコは首を横に振った。

 

「ううん」

 

「違うのですか?」

 

「また、あの生姜焼きが食べたいな」

 

 黒夜は、少しだけ驚いた。

 

「生姜焼き、ですか?」

 

「うん」

 

 アツコは静かに笑う。

 

「最初に食べた思い出の料理だから」

 

 その一言で、黒夜は理解した。

 

 フルコースではない。

 本気の料理でもない。

 彼女達が求めているのは、豪華さではない。

 

 あの日の食卓だった。

 

 黒夜の家で、初めて四人が食べた普通の夕食。

 それが、彼女達の中に残っている。

 

 黒夜は少しだけ表情を緩めた。

 

「……分かりました。では、今日は生姜焼きにしましょう」

 

 ヒヨリの顔がぱっと明るくなる。

 

「ほ、本当ですか!?」

 

「はい。ただ、前回と同じような普通のものですよ?」

 

「それがいいです!」

 

 ミサキも小さく頷く。

 

「普通がいい」

 

 サオリは真面目な顔で言った。

 

「手伝う。今度は、食べるだけではなく」

 

「ありがとうございます。では、買い物からお願いしてもいいですか?」

 

「もちろんだ」

 

 その後、五人で買い物をした。

 ヒヨリは米の袋を大事そうに抱え、ミサキはキャベツを選び、サオリは肉の量を真剣に確認し、アツコは生姜を手に取って「これ?」と黒夜に聞いた。

 黒夜は一つ一つ答えながら、少し不思議な気持ちになった。

 

 ただの買い物なのに。

 ただの夕食なのに。

 

 四人にとっては、それが少し特別なものに見えている。

 

 家に戻ると、今度は全員で準備をした。

 

 サオリは米を研ぐ。最初は力加減が分からず、黒夜に教わりながら慎重に水を替えた。

 ミサキはキャベツの千切りに挑戦したが、途中から「太い」と自分で呟いた。

 ヒヨリは味噌汁の具を並べながら、何度も黒夜に確認した。

 アツコは生姜をすりおろしながら、少し楽しそうにしていた。

 

 黒夜はそれを見ながら、台所に立つ。

 

 前回とは違う。

 今日は、一人で作っているわけではない。

 

 少し不揃いな千切りキャベツ。

 慎重すぎるほど丁寧に研がれた米。

 少し多めにすりおろされた生姜。

 具材の位置が妙に整えられた味噌汁。

 

 完璧ではない。

 

 けれど、悪くなかった。

 

「皆さん、そろそろ焼きますよ」

 

 黒夜が言うと、四人が自然に台所の方を見る。

 

 フライパンが温まり、肉が焼ける音がする。

 生姜の香りが立ち上がる。

 甘辛いタレが絡み、玉ねぎが柔らかくなる。

 

 ヒヨリのお腹が、また鳴った。

 今度は、誰も笑わなかった。

 ヒヨリも、あまり慌てなかった。

 

「……お腹、空きました」

 

「もうすぐですよ」

 

 黒夜はそう言って、生姜焼きを皿へ盛った。

 テーブルに並んだのは、また同じ料理だった。

 ただし、キャベツは少し太く、味噌汁の豆腐は少し大きく、米はいつもよりほんの少し柔らかかった。

 

 黒夜はそれを見て、少しだけ笑う。

 

「では、いただきましょう」

 

「いただきます」

 

 五人の声が重なった。

 

 アツコが最初に生姜焼きを食べる。

 ゆっくり噛んで、目を細める。

 

「……うん」

 

「どうですか?」

 

「やっぱり、これが好き」

 

 黒夜は静かに尋ねた。

 

「フルコースよりですか?」

 

 アツコは迷わず頷いた。

 

「うん。黒夜の家で、最初に食べた味だから」

 

 サオリも箸を置かずに言う。

 

「フルコースは見事だった。だが、これは別だ」

 

 ミサキが続ける。

 

「こっちの方が、落ち着く」

 

 ヒヨリはご飯を頬張りながら、少し涙目になっていた。

 

「お、おいしいです……やっぱり、おいしいです……!」

 

 黒夜はその様子を見て、胸の奥が少し温かくなるのを感じた。

 

 料理を褒められるのは嬉しい。

 本気で作った料理を評価されるのも、もちろん嬉しい。

 

 けれど、こうして普通のご飯を、特別だと言ってもらえることは、それとは少し違っていた。

 

「……またいつでも作りますよ」

 

 黒夜が言うと、四人が顔を上げた。

 

「本当に?」

 

 アツコが聞く。

 

「はい。家庭料理でよければですけどね」

 

「それがいい」

 

 アツコはそう言って、また生姜焼きを口に運んだ。

 その日の食卓は、前回より少しだけ賑やかだった。

 サオリは味噌汁の作り方を覚えようとし、ミサキはキャベツの切り方に納得していない様子で、ヒヨリはご飯のおかわりを少し遠慮しながらも結局頼み、アツコは黒夜の隣で静かに笑っていた。

 

 豪華な皿はない。

 高価な食材もない。

 美しい盛りつけも、特別なソースもない。

 

 けれど、アリウススクワッドにとって、それはどんなフルコースよりも忘れがたい食事だった。

 

 最初に食べた、黒夜の家の味。

 温かいと言ってもいい場所で、空腹だと隠さずにいられた時間。

 その記憶ごと、生姜焼きは彼女達の中に残った。

 食後、黒夜が片付けようとすると、サオリが立ち上がった。

 

「今日は私たちもやる」

 

「では、お願いします」

 

 ミサキが皿を重ねる。

 

「次は、キャベツもう少し細くする」

 

「練習しますか?」

 

「……する」

 

 ヒヨリが洗い場へ向かう。

 

「あ、あの、私も洗います! 割らないようにします!」

 

「普通で大丈夫ですよ」

 

 アツコは、テーブルを拭きながら黒夜を見る。

 

「また来るね」

 

 黒夜は少しだけ笑った。

 

「はい。お待ちしています」

 

 その言葉に、アツコは満足そうに頷いた。

 食卓には、まだ生姜焼きの香りが残っていた。

 

 それは豪華なパーティーの香りではない。

 誰かを驚かせるための料理でもない。

 

 ただ、また帰ってきてもいいと思えるような、普通の夕食の匂いだった。

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