ティーパーティーに潜む、忠実な駒   作:KuRoNia

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守れなかった者と、守ろうと足掻く者 ~2~

 目を覚ました時、最初に感じたのは静けさだった。

 ミレニアムの機械音とも、トリニティの柔らかなざわめきとも、ゲヘナの賑やかな喧噪とも違う、乾いた空気の中に溶け込むような静寂。

 窓の外では風が砂を運び、わずかにカーテンを揺らしている。

 

 身体を起こすと、まだわずかに重さが残っていた。だが、あの時と比べればどうというほどではない。

 あの短時間でここまで消耗したという事実に、改めて自分の戦い方の問題を突きつけられた気がする。

 黒夜は軽く息を吐き、立ち上がる。校内は思っていた以上に人の気配が少なく、足音がやけに響いた。

 廊下を歩きながら感じるのは、最低限の機能だけで成り立っているような空間だという印象だった。

 

 人の気配が希薄なのに不思議と、不安は感じなかった。

 階段を降りたところで、声を掛けられた。

 

「……起きた?」

 

 短くそう言ったのはシロコだった。

 

「体、大丈夫?」

 

「ええ、おかげさまで。ご心配をおかけしました」

 

 黒夜が頭を下げると、シロコは小さく頷くだけで、それ以上は何も言わない。だがその視線は、黒夜の動きをしっかりと観察していた。

 

「歩けるなら来て」

 

「訓練、ということですね」

 

「ん」

 

 それだけで話は通じる。シロコは先に歩き出し、黒夜もその後に続く。

 途中、数人の生徒とすれ違った。

 

「あ、起きたんですね!」

 

 明るい声で駆け寄ってきたのは 十六夜ノノミ だった。柔らかな笑みを浮かべながら、まるで以前から知っていたかのような距離感で話しかけてくる。

 

「大丈夫ですか?かなりの時間倒れていたらしいですけど」

 

「ええ、おかげさまで。ご心配をおかけしました」

 

 黒夜は軽く頭を下げる。その丁寧な仕草に、ノノミは少し目を丸くした。

 

「へぇ~、すごくしっかりしてるんですね。シロコちゃんが連れてきたって聞いた時はどんな人かと思いましたけど」

 

 その後ろから、落ち着いた足取りで近づいてきたのは 奥空アヤネ だった。

 

「礼儀正しい方ですね……。シロコ先輩が連れてきた人だから、もっとぶっ飛んでる人かと思ってました。やっぱりしっかりとした対応ができる方は好印象ですね」

 

「恐縮です」

 

 短く応じる黒夜の横で、シロコがぽつりと付け加える。

 

「黒夜は真面目」

 

 その一言に、ノノミが嬉しそうに頷く。

 

「やっぱりそうなんですね~」

 

 そのやり取りを、少し離れた位置から見ていた 黒見セリカ が小さく鼻を鳴らした。

 

「どうせすぐ帰るでしょ」

 

 腕を組んだまま壁にもたれながら。露骨に興味がなさそうな態度で、黒夜を一瞥する。

 

「そうならないように頑張らせていただきます」

 

「は?なにその余裕たっぷりな態度!アンタみたいな奴は大体続かないんだから!」

 

 刺のある言い方だが、黒夜は特に気にする様子もなく受け流した。

 

「ご意見として受け取っておきます」

 

 淡々とした返答に、セリカはわずかに眉をひそめる。

 

「……変なやつ」

 

 その横でシロコが一言。

 

「セリカは口が悪い」

 

「うるさい!」

 

 そのやり取りを見ていたノノミがくすりと笑う。

 

「まあまあセリカちゃん。せっかく来てくれたんですし、もう少し優しくしてあげてもいいんじゃないですか?」

 

「別にいじめてないし!」

 

 そんな軽いやり取りの中で、黒夜は一歩引いた位置から彼女たちを見ていた。人数は少ない。設備も整っているとは言えない。それでも、この場には妙な安定感があった。

 

 ――これが彼女たちの日常なのか。

 

 そこへ、ゆるい声が降ってくる。

 

「お、起きたんだ~」

 

 顔を上げると、階段の上からホシノがこちらを見下ろしていた。

 

「じゃあ、さっそく訓練やる~?」

 

 気の抜けた言い方だったが、その意味は明確だった。

 

「ええ、よろしくお願いします」

 

 黒夜はすぐに応じる。休んだとはいえ、完全に回復したわけではない。それでも、ここで時間を無駄にする理由はなかった。

 校庭に出ると、相変わらずの砂地が広がっている。足場としては不安定だが、それも含めて訓練の一環と考えるべきだろう。

 

「じゃあ最初だし軽くやろっか~」

 

 ホシノは気だるそうにそう言いながらも、黒夜の正面に立つ。

 黒夜は盾を構える。先ほどの戦闘を思い出しながら、意識的に姿勢を整える。

 

「まずね~」

 

 ホシノが一歩踏み出す。

 

「盾、前に出しすぎだよ~」

 

 その言葉と同時に、軽く手が伸びる。反射的に黒夜は盾を押し出すが――

 

「ほら、それ」

 

 すぐに弾かれる。力の方向がずらされ、盾ごと体勢が崩れる。

 

「それだと全部食らうよ~」

 

 続けてもう一撃。今度は受け止めるが、衝撃がそのまま腕に伝わる。

 

「……ぐっ!」

 

「力で受け止めてるでしょ?」

 

 淡々とした指摘。

 

「それ、すごく体力消耗するからやめたほうがいいよ」

 

 黒夜は一度構えを解き、深く息を吸う。

 言われていることは理解できる。だが、それをどう改善すればいいのかが分からない。

 

「もう一回」

 

 ホシノは軽く手を振る。

 再び構える。今度は少し意識して角度を変えてみる。だが――

 

「うーん、惜しいね」

 

 やはり弾かれる。

 

「方向はいいけど、まだ“力で止めてる”」

 

 その後も何度か試すが、結果は大きくは変わらなかった。理屈は理解できる。だが、それを動きに落とし込めない。

 離れた場所から、アビドスの面々がその様子を見ていた。

 

「ちゃんと教えてますね~」

 

 ノノミが感心したように呟く。

 

「珍しいですね……ホシノ先輩があそこまで丁寧に指導するなんて」

 

 アヤネも同意するように頷く。

 

「どうせすぐへばるわよ」

 

 セリカは腕を組んだまま、冷めた目で見ている。

 その言葉に、シロコが小さく首を振る。

 

「黒夜は諦めない」

 

 短い断言だった。

 だが黒夜はその視線を気にする余裕もなかった。

 再び打ち合いに戻る。黒夜は何度も盾を構え直し、試行を繰り返す。だが、結果は大きく変わらない。

 

「……」

 

 何度目かの試行の後、黒夜は一度動きを止める。呼吸はまだ乱れていないが、確実に消耗はしている。

 ふと、視線がホシノの持つ盾に向いた。

 使い込まれている。表面の傷、縁の摩耗、何度も修繕された痕跡。単なる装備以上の“時間の経過”がそこにはあった。

 

「ホシノさんの盾は……かなり使い込まれていますね」

 

 自然と口に出た言葉だった。

 

「どなたかから受け継いだものなのですか?」

 

 その瞬間――風が止まったように感じた。

 ホシノは何も言わない。ただ、動かない。

 黒夜の背筋に、わずかな緊張が走る。

 

 ――しまった。

 

「申し訳ありません、何も知らないくせに軽率でした」

 

 即座に頭を下げる。

 しばし緊張が走る。

 やがて、ホシノが小さく息を吐いた。

 

「……別にいいよ~」

 

 軽い口調。だが、ほんのわずかに視線が落ちていた。

 

「気にしてないし…」

 

 そう言いながらも、先ほどまでとはほんの少しだけ空気が違う。

 

「まぁ……そんな感じかな…」

 

「昔の知り合いから受け継いだモノだよ」

 

 それ以上は語らない。

 だが、それで十分だった。

 黒夜はそれ以上踏み込むことはせず、静かに頷いた。

 

「……そうでしたか」

 

 ホシノはすぐにいつもの調子に戻る。

 

「ほら、続きやるよ~」

 

 何事もなかったかのように手を振る。

 黒夜は再び盾を構える。

 先ほどまでとはわずかに違う感覚があった。技術の理解ではない。

 だが、この場で学ぶべきものは、単なる動きだけではないのかもしれない。

 そんな曖昧な感覚を抱えながら、黒夜は再び前に出た。

 

 砂を含んだ風が、校庭の端から端へと緩やかに流れていく。

 足場の不安定な地面の上で、黒夜は何度目かの構え直しを行っていた。盾の角度を調整し、衝撃を受け流す意識を持ちながら前に出る。

 しかし――わずかな差で、そのすべてが崩される。

 

「うーん、やっぱりなんか変だな~?」

 

 ホシノは、相変わらず気の抜けた調子のまま、黒夜の動きを見ていた。

 

「最初から盾使ってた感じじゃないよね、それ」

 

 黒夜の動きが、ほんの一瞬だけ止まる。

 

「……何のことでしょうか?」

 

 表情は変えない。だが、わずかに警戒の色が滲む。

 

「その戦い方だよ」

 

 ホシノは軽く顎で示す。

 

「途中からでしょ」

 

 断定ではない。だが、確信に近い声音だった。

 黒夜は一度視線を落とし、小さく息を吐く。

 

「……否定はしません」

 

 短く答えると、ホシノは「だよね〜」と気の抜けた声で頷いた。

 

「なんか噛み合ってないもん」

 

 その一言は、黒夜自身が感じていた違和感をそのまま言語化したものだった。

 

「一回それやめてさ〜」

 

 ホシノが手をひらひらと振る。

 

「元のやつ、見せてよ」

 

 その言葉に、少し離れた位置で見ていたアビドスの面々が反応する。

 

「え、気になります!」

 

 ノノミが身を乗り出す。

 

「確かに……先ほどの動きには違和感がありましたね」

 

 アヤネも静かに同意する。

 

「どうせ大したことないでしょ」

 

 腕を組んだままのセリカは相変わらず辛辣だが、視線はしっかりと黒夜に向いている。

 

「……見たい」

 

 そしてシロコが一言だけ添えた。

 

 黒夜はしばらく沈黙したまま、視線を伏せる。

 

「……あまりおすすめはしませんが」

 

 ぽつりと零す。

 

「まぁまぁ〜おじさん強いからさ、気にせず来なよ~」

 

 ホシノは気にした様子もなく笑う。

 

「どうせなら全部見たいし」

 

 その言葉に押される形で、黒夜はゆっくりと盾を外した。砂の上に置くと、次に腰に差していた銃にも手をかける。

 その動きを見て、ホシノが少しだけ首を傾げる。

 

「あれ、銃も置くの?」

 

「ええ」

 

 黒夜は淡々と答える。

 

「私は素手で敵の武器を奪うのが本来のスタイルなんですよ」

 

 その言葉に、ホシノの動きが一瞬だけ止まった。

 

 ――素手?

 

 内心で小さく呟く。

 

(流石に、それで負けるわけないでしょ)

 

 軽い油断が、確かにあった。

 

「じゃ、来なよ〜」

 

 適当に手招きをする。

 その瞬間だった。

 かなりあった距離が、消えた。

 

「――っ!?」

 

 気付いた時には、黒夜の姿が目の前にあった。

 反応が、遅れる。

 伸びてくる手が、ホシノのショットガンにかかる。

 

 ――奪われる!

 

 咄嗟に身体を捻り、強引に距離を取る。銃は守った。

 

 だが――

 

 視線を落とす。

 

 そこにあるはずのものが、ない。

 黒夜の手には、ホシノの盾が握られていた。

 

「……あ、やば」

 

 思わず漏れる。

 ほんの一瞬の隙。それを正確に突かれていた。

 だが動揺は一瞬で切り替える。

 

「ま、いいや」

 

 すぐに銃を構え、引き金を引く。

 乾いた発砲音が響く。

 

 だが――当たらない。

 

 黒夜はすでに動いていた。撃たれる“前”に動き出し、軌道を外す。そのまま無駄なく距離を詰めてくる。

 

 ――速い。

 

 だが、それだけではない。

 

(違う……これ)

 

 ホシノは目を細める。ただ速いのではない。“動き出し”が異常に速い。

 予備動作がほとんどない。思考と同時に身体が動いているような、そんな違和感。

 再び発砲。だがやはり当たらない。むしろ距離はさらに詰められていく。

 

「うへ~、めんどくさいな~」

 

 思わず本音が漏れる。

 盾を奪われた状態での接近戦は、明らかに分が悪い。だが、だからといって距離を取り続けるだけでは決着はつかない。

 黒夜が踏み込む。ホシノが捌く。互いに決定打を欠いたまま、攻防だけが続いていく。

 

 その様子を見ながら、遠くでセリカが目を見開いていた。

 

「ちょっと……あいつ普通にやばくない?」

 

「……うん、初めて見た」

 

 シロコが短く答える。

 

「黒夜、こんなに強かったんだ…」

 

 ノノミも感心したように頷く。

 

「さっきまでと全然違いますね~」

 

 アヤネは静かに分析するように見つめていた。

 

「あれが本来の戦闘スタイル…」

 

 ホシノはアビドスのみんなに気付かれない様に努めていたが内心で凄く焦っていた

 

 (素手って聞いた時はすぐ終わると思ったのに、こんな粘られるなんて! 一体誰に教わればこんな技術を身に着けられるの!?)

 

 

 一方その頃、遠く離れた、ゲヘナ風紀委員会の部室では――

 

「……くしゅん」

 

 ヒナが小さなくしゃみをしていた。

 

「ヒナ委員長、風邪ですか?」

 

「……誰かに噂でもされたのかしらね?」

 

 そして何事もなかったかのように仕事へ戻る。

 

 

 アビドスではまだ戦いは続いていた。

 だが、互いに決め手を欠いている以上、結末は見えている。

 数度の攻防の後、自然と距離が開いた。

 

「……はぁ〜」

 

 ホシノが大きく息を吐く。

 

「もういいや」

 

 銃を下ろす。

 

「黒夜君!引き分けでいいでしょ〜?」

 

 黒夜もそれに応じるように動きを止める。

 

「そうですね、こちらも決め手がありませんし…」

 

 静かに答える。

 しばらくの沈黙の後、ホシノがふっと笑った。

 

「すごいね〜君」

 

 軽い口調だったが、その中には確かな評価が含まれていた。

 

「それ、誰に教わったの?」

 

 黒夜はわずかに視線を逸らし、そして小さく笑う。

 

「……悪魔みたいな人ですよ」

 

 一瞬の間。

 ホシノはそれを聞いて、声を出して笑った。

 

「あはははは!」

 

 肩を揺らしながら、楽しそうに言う。

 

「君、いい性格してるよ」

 

 その言葉に、黒夜はわずかに肩をすくめた。

 

 砂を払うようにして黒夜が呼吸を整えていると、遠巻きに見ていたアビドスの生徒たちが、堰を切ったようにこちらへ集まってきた。

 乾いた校庭に、さっきまでとは少し違う賑やかな空気が戻ってくる。

 

「すごかったですね、今の動き……!」

 

 真っ先に駆け寄ってきたのはノノミだった。目を輝かせ、興奮を隠しきれない様子で黒夜の周りをぐるりと見回す。

 

「さっきまでの盾を使っていた時の動きと全然違ってて、びっくりしちゃいました~。あんなに一気に距離を詰めるなんて……どうやってるんですか?」

 

 少し距離を保ちながら近づいてきたアヤネも、興味深そうに黒夜の足元や姿勢を観察している。

 

「初動の速さが異常でしたね……。予備動作がほとんど見えませんでした。意図的に消しているのでしょうか?」

 

 分析的な視線に、黒夜はわずかに苦笑する。

 

「消している、というよりは……習慣のようなものです。動くと決めた瞬間に身体が動くように叩き込まれているだけでして…」

 

「叩き込まれてるって……どうやったらそんなことになるのよ」

 

 腕を組んだまま近づいてきたセリカが、呆れ半分の顔で言う。

 

「さっきまでどうせ大したことないって思ってたけど、あの動きはちょっと反則でしょ。というか、普通に怖いんだけど?」

 

「評価として受け取っておきますね」

 

 淡々と返す黒夜に、セリカは小さく舌打ちをする。

 

「なんか調子狂うわね……」

 

 そのやり取りの横で、静かに歩み寄ってきたのがシロコだった。じっと黒夜の足元を見つめ、そして視線を上げる。

 

「……その動き」

 

 短く切り出す。

 

「教えて」

 

 まっすぐな言葉だった。

 黒夜は一瞬だけ目を細める。拒む理由はない。だが、簡単に教えられる類のものでもないという自覚もある。

 

「再現は、難しいと思いますが」

 

「いい」

 

 シロコは即答した。

 

「できるところだけでいい」

 

 その声音には、余計な感情はない。ただ純粋に“知りたい”という意思だけがある。

 黒夜は小さく息を吐いた。

 

「……わかりました。簡単なものになりますが」

 

 そう言って一歩下がる。足の位置、重心、視線の置き方。ほんのわずかな差だが、それを一つずつ示していく。

 

「動き出しを速くするためには、完全に静止してはいけません」

 

 砂の上で、軽く体重を移す。

 

「常に“どちらにも動ける状態”を維持する。これだけでも、反応はかなり変わります」

 

 シロコは無言で頷き、その場で同じように足を運ぶ。わずかな違いを確かめるように、何度か試す。

 

「……少し、分かった」

 

 短くそう言うと、もう一度動く。先ほどよりも明らかに滑らかになっていた。

 

「すごいです、少しそれっぽいですよシロコちゃん!」

 

 ノノミが楽しそうに声を上げる。

 

「適応が早いですね……」

 

 アヤネも感心したように頷いた。

 

「……あんたたち、ほんとよくやるわね」

 

 セリカは半ば呆れながらも、その様子をしっかりと見ている。

 黒夜はそんな彼女たちの様子を見て、わずかに表情を緩めた。

 先ほどまでの戦闘とは違う、穏やかな空気がそこにはあった。

 その少し後ろで、ホシノがあくびを一つ噛み殺す。

 

「いや〜、いきなり人気者になったね〜」

 

 気の抜けた声で呟きながら、ゆっくりとその場に腰を下ろす。

 黒夜はその視線に気付き、軽く一礼する。

 

「ご指導、ありがとうございました」

 

「ん〜?」

 

 ホシノは手をひらひらと振る。

 

「まだ始まったばっかりだよ〜」

 

 その言葉は軽い。だが、確かに“続く”ことを前提とした響きがあった。

 

 黒夜は頭を下げる。

 

「……これからもご指導ご鞭撻のほどよろしくお願いいたします」

 

 砂の上に残った足跡は、まだ消えていない。

 それは、ここでの時間がまだ続くことを示しているようだった。

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