Exist of If Dream[Limited] 作:一般通過みゅーたいぱー
忘れかけていた記憶を、再生する。
月ノ筈奏多のコピー体と、少しのAIを積んで創り出されたオレは、生後10分にして、オリジナルが遺言を残していることを悟った。
昔から妙な勘が冴えていたオリジナルは、きっと何かしらの要因で死ぬことを見越して、映像での遺言を残していた。
「...っと、こんなもんでいいかな」
『いいのか、そんなにあっさりで』
「いいんだ。ユノにそんな気苦労をかけられない」
『...Supremacyが解散してすぐ、お前が死んだら、あいつも首を吊るんじゃないか』
オリジナルは少し思考し、こう答えた。
「ユノは、そんなヤワじゃないよ。きっと」
『希望的観測すぎる。検討し直せ』
ハハハと笑って、俺の記憶領域にその動画ファイルを差し込んだオリジナル。
「起動は...俺の生命活動が停止して30時間後、とかにしとくか」
『半端な時間だな。しかし納得できる。死後すぐでは混乱し、破壊されかねない』
「よくわかってるな。あとはこれをユノの端末に突っ込むだけだが...」
『それならば問題ないだろう。オリジナルの信頼度ならば』
オリジナルはそうだなぁと呟いて、オレを圧縮ファイルにする設定を始めた。
「...後は頼んだよ、俺」
『承知した。万事、うまくやって見せよう、オレ』
覚悟を決めたオリジナルの顔が、オレの最後の記憶だ。
次に目が覚めた時、オレは月ノ筈奏多本人としてバーチャルワールドに存在していた。
記憶がないのだから、当然自分をコピーとしては認識していない。
記憶が戻ったのは、みゅーたいぷのVFroに入った後だろうか。
黒ピンクツートン...千石ユノという名前を聞いた時、ようやくすべての記憶の復元に成功し、自身がコピーであることを理解した。
今思い返してみても、ここで自我が崩壊しなかったことは奇跡といえる。
ある種、オリジナルが
ともかく、オレは遺言という爆弾を持ち、ユノの携帯端末からアクセスを試みた。
随分とオリジナルは信頼度が高かったようで、SDカードに仕込んであった謎zipファイル――収納されて収納されて収納されていたオレを解凍し、スマホから呼びかけることに成功。
ネットワーク経由でVFroとの記憶を共有、ユノのPC端末に自身をインストールすることに成功。
ちなみにストレージ使用率は驚異の1%。あまりにも軽すぎる。
かくして、オレは生まれたというわけだが。
「カナタさ、似てないよね」
『...オリジナルの面影を感じられるようにはしてるんだけどな』
「...会話学習型のAIのせいかな。なんだか言葉を引き出すように会話してる感じする」
『...そうか。以後気を付けよう』
完全に打ち解けるには、もう少し時間がかかりそうだ。
まさかのmillsageキーマンと名前ドン被りで草って感じ()