Exist of If Dream[Limited] 作:一般通過みゅーたいぱー
あたしの問いは、空中でふわっと解けた。
画面の中のカナタは、腕組をしながら考えているようだったが、やがてどこからか椅子を取り出して、よいしょと言って座った。
『まずは、そこまで推論できたことを褒めよう、千石さん』
「それやめて、ユノでいい」
『ではユノ。2つほど勘違いをしているね。まず一つ。オレは創られていない。付随して2つ目、オレはAIではない』
「は?どういうこと?」
『まぁ正確には、1から作られたわけじゃないってことだな。体は誰かの癖の塊だけどさ』
理解が追い付かない。
「ごめん、1から説明して。まだ何もわからない」
『...ユノ、君が聞きたいのはそんなんじゃないだろう』
「な、にを...?」
『オレが月ノ筈カナタを名乗る理由と、オレが奏多と同一かどうか、だろ?』
「なっ...」
カナタが当たりかと呟いて、あたしのスマホにファイルを受け取った旨の通知が来た。
「...mp4ファイル?」
『開けてみ』
動画をタップすると、どこかの家の中が映った。
程なくして、一人の人間がフレームインする。
「...奏多」
《あー、テステス。これを見てるってことは、うまく行ってるってことだよな。や、ユノ。多分、隣に俺はいないんだろうから、先に言っておくよ、ごめんな》
動画から流れてくるのは、奏多の声。
映像も、あたしの知ってる奏多だ。
《まぁ、なんだ。手短に話すよ。多分、俺はもうすぐ死ぬんだろうよ。いやまぁ、別に余命宣告されたとかそういうわけじゃなくて、ただの勘だけど》
奏多のそういう勘は、昔からよく当たった。
例えば、道行くおじさんを見て、あの人腰悪いっぽいね。とか、あの人電話出るよ、とか。
そういう些細なことをぽろっと言っては、大体当たってるっていうことが多々あって。
一回どうして分かるのかと聞いてみたら、ただの勘だよと。
でも、歩き方とか直前の動作とか、そういうので見てることもあるって。
真似しようと思ったけど、人間に点で興味がないあたしには無理だった。
《までも、そんな気にすることじゃないよ。ユノにとっちゃ、俺もたかが人間の1つだし。...そう思うのにこうやってビデオレターを残してるのは...まぁ、ただのエゴだな。ほかの人間よりは記憶に残しててほしい、ってね》
「...覚えてるに決まってるでしょ。目の前で死んどいて何言ってんの」
空気を読んだのか、カナタは黙ったままだった。
《で、たぶんこの動画を見てるってことは、俺に似たやつがこれを送ってきたんだろうけど。多分ユノはそいつが何者なのかっていうところが一番気になってるんじゃないのかな》
「教えて」
動画だからレスポンスはないけど、奏多は一つ頷いて言った。
《そいつは、俺のコピーだ。紛れもなく、俺に限りなく近いモノ、だ。本物じゃない上に、少しAIを載せてる以上、それが100%俺、とは言えないが》
どっかの地下世界でも3分でぶっ壊れた自分のコピーをどうやってこいつは安定させたんだ...