デッキが全部いあいあしてる闇のカード 作:いちごの入った大福
Q.ふーん、邪神獣族って?
A.ああ! それって原作三邪神の種族?
『デュエルアカデミア』はデュエルを教える国立校である。
現代社会において、デュエルは一定の社会的地位を保障するものであり、どの職業に就いても少なからず関わってくるものである。交渉デュエル、接待デュエル、研究デュエルに国会デュエル、セキュリティのデュエル逮捕に病魔を倒すデュエル等、多岐にわたる。
よって、デュエルを教える学校というのはかなりの価値を持つ。その筆頭であるデュエルアカデミアは中等部から本格的なデュエルを教える先鋭的なデュエリスト養成校であり、各地にあるにも関わらず高い倍率を誇る。
天音アンは小学6年生になった。本来の運命とは外れてデュエルを続けているアンは、他のデュエリストと同じように自然とデュエルアカデミアを目指すようになった。
今日はデュエルアカデミアの入学試験。デュエルアカデミアの試験は各地にある広いデュエルフィールドを内包する施設を借りて一斉に行われる。試験の内容で最も重要なのは、当然ながらデュエル実技。それを受けるにあたり、アンにはひとつ他にはない課題があった。
「ニャル君。カードのビジュアルは抑えめにね」
『えー、ケチだなあアン』
「いっぱい人がいるの! デュエル実技は見学可能なんだから、皆んな発狂したらダメだよ!」
アンが黒猫ニャルを持ち上げる。脇から抱えられたニャルは本物の猫と同じように胴体がみょーんと伸びる。
数年前にアンが出会ったニャルは、あれからずっと行動を共にしている。ニャルは他の人に見えない。こうして戯れる仕草も1人でやっているように見えるが、人前でやらかしたのは最初だけ。アンは成長して分別ができるようになっていた。
「昔みたいなビジュアルは人前じゃダメ。私とニャル君だけのデュエルならそのまま出していいから」
『しょうがないにゃあ、人間は脆いね』
「ニャル君が頑丈なだけでーす。このカチカチ猫!」
『キミも同じでしょ。ブーメラン飛んでるよ』
アンが使うデッキは少々特殊である。昔、アンティルールで奪われたデッキを奪い返すためにデュエルを行った際、先攻1ターン目で顕現した【深き海に眠るもの クトゥルフ】を目視した相手デュエリスト及び取り巻きが全員発狂して病院送りになるという結末を迎えた。報復にしてもやり過ぎである。
ニャル曰く『1d20の減少程度に抑えたんだけどなあ』とのことだったが、1d20の正気度減少に耐えられる小学生はアンくらいである。ニャルの調整ミスであった。アンは平然と耐えていた。ほんとに人間か?
あれから何とかニャルに出力を調整してもらうことで人前にお出しできる程度に抑えられたが、ニャル的には不満らしい。反抗しないのは、それをもってアンがニャルへ退屈しのぎを提供しているからであった。
この女、さりげなくニャルラトテップの化身ひとつの無害化に成功していた。世界の平和はアンの双肩にかかっている。
「受験番号40番、天音アンさん。実技試験を行います、フィールドへどうぞ」
「あ、はい!」
試験場のスタッフが呼びにきたので、ニャルと戯れるのを止めてスタッフについて行く。この会場の受験者は120人ほどいて、1部屋40人の3部屋が待機室として用意されていた。アンはこの部屋の最後の受験者である。ずっと他の人がいてニャルに構えなかったので、一人になってから戯れていたのだ。
長い廊下を歩いた先、会場にたどり着く。フィールド3つで40人ずつの受験者を対応しており、アンの組以外のフィールドもほぼ終わりかけのようだ。観客席の見学者もちらほらと帰りつつある。
「そっちのフィールドはどうだった?」
「普通だな。悪くないが飛び抜けてもいない」
「1番と5番はメモしておけ。ウチに誘うぞ」
「ネフィリムカエシテ」
「今後に期待だな」
「今日は帰るか」
「あの子小さいな……」
一部の観客はどうやらアカデミアの在校生らしい。新入生候補の実力をいち早く確認に来ているようだ。値踏みするような視線を感じる。
「(ど、どうしようニャル君。緊張してきた)」
『(ファミチキください)』
「(直接脳内に!?)」
アンが思っていたよりも観客席が多かった。ニャルは残念ながらこんな時に助けてくれる性格ではない。緊張でガチガチになっていると、試験官の先生が苦笑いしていた。
「緊張せず……は難しいと思いますが、肩の力を抜かないと実力を出せませんよ」
「は、はい!」
緊張しながらも、いつものルーティンを行う。デッキを手動シャッフルし、デュエルディスクに装着。デュエルディスクの自動シャッフルも起動する。基本的に自動シャッフルだけでいいのだが、アンは何となく手動シャッフルも行っていた。
「ルールを説明します。マスタールールのハーフデュエルに準拠、よってライフポイントは4000。先攻と後攻は受験者が選択できます。手札のマリガンは採用しません、ドローも実力ですからね。勝敗で合否が決まるわけではありませんが、勝った方が加点が大きいです。質問はありますか?」
「だ、大丈夫です!」
「では先攻か後攻か選択してください」
「先攻で!」
「承知しました。それでは…」
「「デュエル!!」」
先攻 天音アン LP4000
後攻 デュエル実技試験官 LP4000
「私のターン。モンスターをセット、カードを2枚セットしてターンエンド」
天音アン 手札2 LP4000
セットモンスター
リバースカード×2
「静かな立ち上がりですね。私のターン、ドロー。スタンバイ、メイン。手札の【沼地の魔神王】を捨てて効果を発動。【融合】を手札に加えます」
【沼地の魔神王】
星3/水属性/水族/攻 500/守1100
(1)融合モンスターを融合召喚する場合、手札・フィールド・墓地のこのカードはその融合モンスターにカード名が記された
融合素材モンスター1体として代用できる(他の融合素材は代用できない)。
(2)このカードを手札から墓地へ捨てて発動できる。デッキから「融合」1枚を手札に加える。
「【デブリ・ドラゴン】召喚。効果で沼地の魔神王を効果を無効にして特殊召喚します」
【デブリ・ドラゴン】
チューナーモンスター
星4/風属性/ドラゴン族/攻1000/守2000
このカードをS素材とする場合、ドラゴン族モンスターのS召喚にしか使用できず、他のS素材モンスターは全てレベル4以外のモンスターでなければならない。
(1)このカードが召喚に成功した時、自分の墓地の攻撃力500以下のモンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターを攻撃表示で特殊召喚する。この効果で特殊召喚したモンスターの効果は無効化される。
「レベル3の沼地の魔神王にレベル4のデブリ・ドラゴンをチューニング。シンクロ召喚!【氷結界の龍 グングニール】!」
【氷結界の龍 グングニール】
シンクロモンスター
星7/水属性/ドラゴン族/攻2500/守1700
チューナー+チューナー以外の水属性モンスター1体以上
(1)1ターンに1度、手札を2枚まで墓地へ捨て、捨てた数だけ相手フィールドのカードを対象として発動できる。そのカードを破壊する。
「手札を2枚捨ててグングニールの効果を発動。セットカード2枚を破壊します」
「チェーンしてリバースカードオープン!【ヨグ=ソトースのこぶし】!」
【ヨグ=ソトースのこぶし】
通常罠
このカード名の⑵効果は1ターンに1度しか発動できない。
⑴1000LPを払い、相手フィールドのカード1枚を対象として発動できる。そのカードの効果を無効にして破壊する。
⑵このカードが墓地に存在する場合、1000LPを払って発動できる。このカードをフィールドにセットする。この効果でセットしたカードはフィールドを離れた場合に除外される。
「破壊される前に止めます。グングニールを破壊!」
「させません。速攻魔法【禁じられた聖槍】」
「わっ!?」
【禁じられた聖槍】
速攻魔法
(1)フィールドの表側表示モンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターはターン終了時まで、攻撃力が800ダウンし、他の魔法・罠カードの効果を受けない。
「グングニールは攻撃力が下がりますが、その破壊効果を受けません」
「うぐう」
一連の駆け引きの結果、グングニールは攻撃力が1700まで下がったが、アンの伏せたカード2枚が破壊される。これでアンの場には無防備なセットモンスターのみとなったが、グングニールもまた下級モンスター並みの攻撃力まで下がってしまった。
「攻撃しますか?」
「……いえ、無理はしないでおきましょう。メイン2、カードを2枚セットしてターンエンドです。グングニールのステータスも元に戻ります」
試験官 手札0 LP4000
氷結界の龍 グングニール
セットカード×2
「エンドフェイズ時、墓地の【ヨグ=ソトースのこぶし】を発動!1000LPを払って再びセットします」
「ふむ、随分とLPを減らしてきますね」
これでアンのターン、再び【ヨグ=ソトースのこぶし】を放てるようになったが、既にコストだけでLP2000。次に放てばLP1000である。【ヨグ=ソトースのこぶし】は非常に強力な呪文であるが、LP4000で繰り返し使うには少々重い呪文である。
「(うう、容赦ないよお)」
『当たり前じゃないか。これは実技試験なのだから』
「(分かってるよお)……私のターン、ドロー!」
【銀の鍵のアン=シャトレーヌ】
『使う?』
「(使わない!)」
ニャルが甘言を囁いてくるが、アンは首を横に振ってドローしたカードをそっと手札に加える。このカードを経由して出てくるモンスターはちょっとだけ……いや結構
こちらの手札には【邪神招来の儀式】があるので儀式召喚可能。相手の手札は0枚。先ほどサーチした【融合】はグングニールの効果を発動するために手札コストとして捨てられていた。ブラフもあるかもしれないが、2枚とも罠カード等の防御札と想定した方がいいだろう。何とかあの2枚を使わせたい。
「セットモンスターを反転召喚!」
テケリ・リ
テケリ・リ
テケリ・リ テケリ・リ テケリ・リ テケリ・リ テケリ・リ テケリ・リ テケリ・リ テケリ・リ テケリ・リ テケリ・リ テケリ・リ テケリ・リ テケリ・リ テケリ・リ テケリ・リ テケリ・リ テケリ・リ テケリ・リ テケリ・リ テケリ・リ テケリ・リ テケリ・リ テケリ・リ テケリ・リ テケリ・リ テケリ・リ テケリ・リ テケリ・リ テケリ・リ テケリ・リ テケリ・リ テケリ・リ テケリ・リ テケリ・リ テケリ・リ テケリ・リ テケリ・リ テケリ・リ テケリ・リ テケリ・リ テケリ・リ テケリ・リ テケリ・リ テケリ・リ テケリ・リ テケリ・リ テケリ・リ テケリ・リ テケリ・リ テケリ・リ テケリ・リ テケリ・リ テケリ・リ テケリ・リ テケリ・リ テケリ・リ テケリ・リ テケリ・リ テケリ・リ テケリ・リ テケリ・リ テケリ・リ テケリ・リ テケリ・リ テケリ・リ テケリ・リ テケリ・リ テケリ・リ テケリ・リ テケリ・リ テケリ・リ テケリ・リ
「おいで……ショゴス」
【玉虫色の眷属 ショゴス】
リバースモンスター
レベル11/光属性/水族/攻3000/守3000
⑴このカードはリリースなしで裏側守備表示でセットできる。
⑵このカードは戦闘で破壊されない。
⑶このカードを召喚・特殊召喚・リバースした時に発動する。このカード以外のフィールドのモンスターを1体選んで破壊する。
玉虫色の粘液。不定形の怪物。直視するだけで正気度を1d20ほど吹っ飛ばしそうな見た目のモンスターだが、ニャルフィルターによってデフォルメされることで「気持ち悪いモンスター」程度に収まっている。これくらいなら同じくらい気持ち悪い他のモンスターも存在しているだろう。
「こ、これは……見た事ないモンスターですね」
「ショゴスの強制効果が発動。モンスターを1体選んで破壊します」
ショゴスは悪食である。この悪食さと「奉仕種族」と呼ばれるほど本能的に他上位存在に従属する性質から、太古の上位種族に体よく使われていたと言われている。その悪食さは相手モンスターがいなければ自分モンスターすら喰らうほどである。
「対象に取らない破壊ですか……!」
「グングニールを破壊します」
これで試験官のフィールドはがら空きとなった。後は伏せカードの対処をしたい。
「【邪神招来の儀式】を発動! 場のショゴスを贄として、邪神を儀式召喚します!」
「儀式召喚ですか。しかし、邪神……?」
【邪神招来の儀式】
儀式魔法
このカード名の⑵効果は1ターンに1度しか発動できない。
⑴レベル合計が儀式モンスターのレベル以上になるように自分の手札・フィールドのモンスターをリリースして、邪神獣族の儀式モンスターを手札から儀式召喚する。
⑵このカードが墓地に存在し、邪神獣族モンスターのカード名が宣言された場合に発動できる。このカードを手札に加える。
深き水底に封じられし古代の王よ
水面下に潜む醜き魚人達の王よ
永き夢から目覚め、信者達の喝采と共に浮上せよ
いあ! いあ! くとぅるふ ふたぐん!
いあ! いあ! くとぅるふ ふたぐん!
「星辰ここに揃えり。【深き海に眠るもの クトゥルフ】」
【
儀式モンスター
星11/水属性/邪神獣族/攻4000/守4000
「邪神招来の儀式」により降臨。
このカード名の⑶効果は1ターンに1度しか発動できない。
⑴このカードはフィールドに「海」が存在する限り、他のカードの効果対象にならず、効果で破壊されない。
⑵このカードを儀式召喚した場合に発動する。「海」を除くフィールドの魔法・罠カードを全て破壊する。
⑶このカードが相手によってフィールドを離れた場合、フィールドに「海」があれば発動できる。「海」を破壊して、このカードを特殊召喚する。
海の底に沈められし古代の王。蝙蝠のような翼とタコのような頭を持つ見上げるほどに大型の巨人。
大いなるクトゥルフ、その現し身。当然ながら直視すれば直葬して頭がパーン!なので、ニャルフィルターを何重にもかけた状態での顕現である。ただ大きくて不気味なモンスターであれば他にも存在する。
とはいえ、その身体から放たれる名状しがたき不気味さはどうしても通じてしまう。対峙する試験官はたじろぎ、この試合を見ていた観客席は何やらざわめき始めている。
「な……何、ですか、このモンスターは」
「(ニャル君、ちゃんとフィルターかけてる?)」
『いっぱいかけてるよ。正気を擦り減らすにしても1d3程度さ』
「(それにしては周りが変な目で見てるんだけど)」
『正気が1d3点減るような状況で平然としてるのはアンくらいなものさ』
アンはニャルフィルターなしのグレートオールドワンを直視しても平然としている頭のおかしい小学生であるが、それ以外の感性については一般人である。どうしても周りの視線は気になってしまう。気を取り直して、クトゥルフの効果を発動させる。
「大いなるクトゥルフは己が顕現したとき、全ての小細工を粉砕する。フィールドの魔法・罠カードを全て破壊」
「っ……リバースカードオープン!【和睦の使者】【融合準備】!」
【和睦の使者】
通常罠
(1)このターン、自分のモンスターは戦闘では破壊されず、自分が受ける戦闘ダメージは0になる。
【融合準備】
通常罠
(1)EXデッキの融合モンスター1体を相手に見せ、そのモンスターにカード名が記されている融合素材モンスター1体をデッキから手札に加える。その後、自分の墓地の「融合」1枚を選んで手札に加える事ができる。
「1000LPを払って【ヨグ=ソトースのこぶし】発動! 和睦の使者を無効にして破壊!」
発動した2枚のカード。クトゥルフの直接攻撃が通れば勝ちの状態である以上、止めるべきは明確である。結界を張ろうとした使者たちを丸ごと魔力の塊が押しつぶして粉砕した。当然だがR-18G表現にはならずカードが割れる演出だが。
「ちゃんと止めるべきカードも確認できている。うん、良いですね」
「これで終わりです。クトゥルフでダイレクトアタック!」
見上げる程に大きな巨人がこぶしを叩きつける。これはソリッドビジョンなので物理ダメージを与えるようなことはなく、試験官のライフをぴったり4000削り切って消滅した。
試験官 LP4000→LP0
「対戦ありがとうございました」
「対戦ありがとうございました!」
試験は終了。双方お辞儀をしてフィールドから降りる。こういったマナーも試験対象になっているもので、アンは普段から心がけているためボロを出すことなく終了することができた。
「試験はこれで終了です。結果は後日郵送しますので、ご確認ください」
「はい!」
セットカードの対処、大型モンスターの召喚、マストカウンターの判断。アンの諸々の流れは十分に合格圏内であろう。後は座学の結果次第であろうか。
『結構うまくいったんじゃない?』
「(うん。ちょっとライフコスト減らし過ぎたかもだけど、結果的に試験官さんのリソースを削れたし、大型モンスターの直接攻撃を通せて早期決着できたんだから、大丈夫と思う、んだけど……)」
『だけど?』
「(変なモンスター使うせいで減点とかないかな)」
アンとニャルは顔を見合わせる。果たして未だに騒めく観客席の惨状は勘定されるのだろうか。
『もし落ちたら、次はもっとフィルター重ね掛けしようか』
「(それ出来るなら先にやってよお~~!!)」
なお試験は合格であった。
天音アンは晴れて4月から、デュエルアカデミア中等部の生徒として入学できるようになったのであった。
今まで登場したカードの解説ページいる?
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いる
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いらない
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分からない、我々は雰囲気で遊戯王している
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ネフィリム返して