デッキが全部いあいあしてる闇のカード   作:いちごの入った大福

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タッグフォースリメイク発売決定万歳!お触れホルス!機械竜A召喚!



第5話

 

 

 

「こっちですよアンちゃん!」

 

「うん」

 

 

レクリエーションの終盤。アカデミアにある空き教室のテラス。人がおらず、眺めの良い場所を見つけたアンとサラ。2人は何度かデュエルを終えて、休憩ができる場所を探していたところ、この穴場を見つけた。

 

 

デュエルの結果、サラは10戦2勝7敗1分。アンは9戦7勝2敗という結果だった。

 

 

アンはかなり勝ち越せていたものの、途中に【先攻列車ワンキル】というバケモンと交通事故を起こしてしまい敗北。その後は【地獄詩人ヘルポエマー】とかいう謎モンスターにやられて敗北。2敗したため全勝とはならなかった。

サラはサラで【わくわくメルフィーズ】が決まって勝利した場面があったものの負け越し。サラもまた自爆に全てを賭けるボマーみたいなイカれたデュエリストと交通事故を起こして引き分けていた。

 

 

テラスの下を見降ろせば、学園中でいまだデュエルが行われている。

 

 

 

「俺のライフは回復を繰り返して10000!対してお前のライフは残り100!これで詰みだ!」

「くっ………かくなる上は仕方ない。罠カード発動【自爆スイッチ】」

「ゑ?」

『爆発します!!』

「「ゑ?」」

 

「「うわあああああああ!?!?」」

 

 

 

 

「エルシャドール・ネフィリム融合召喚!」

「ネフィリム!?どうしてここに……逃げたのか?自力で脱出を!?」

「ネフィリム返してアタック!」

 

 

 

「黒服の生徒はどこだ!」

「それはデュエルの中で見つけるしかない」

「誰だお前!?」

 

 

 

「ドローしたのは死者蘇生!これでいつでも墓地からエースモンスターを呼び出せ……ハッ!?」

「悔しいでしょうねえ(インフィニティ)」

 

 

 

 

 

「ふふ、とっても賑やかですね」

 

 

眼下の阿鼻叫喚は放っておいて、小休憩モードに入った私達は風にあたって一息をつく。

 

 

『もし黒服、つまり生徒会役員に勝利した新入生がいた場合……現在の生徒会役員の空席、生徒会庶務に推薦しましょう』

 

 

結局、最初に生徒会長が言っていた黒服の生徒は一度も見ることはなかった。ニャル君が言う『主人公』とやらならまだしも、幸(・)運(・)を(・)い(・)じ(・)っ(・)て(・)い(・)な(・)い(・)私がそんなイベントごとに出会うこともなかった。

 

 

ニャル君が望むような混沌としたイベント祭りは、私のような一般市民が遭遇することもない。それは宝くじに当選するようなものだ。

 

 

『一般市民(笑)』

 

 

モノローグにツッコまないで。

 

 

こうして、私達のバトルロワイヤルは、特に山場もなく終了の時間を迎えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おい、デュエルしろよ」

 

「ゑ?」

 

 

終了を迎える直前。

私とサラの背後から声をかける男子生徒がいた。

 

 

「わ、私達ですか? もうすぐ終わりの時間ですけど……1戦くらいなら出来るかもですね」

「そうだ、ね………?」

 

 

 

その人物からは

 

 

混沌とした闇の気配が漂っていた

 

 

 

 

 

 

 

◆

 

 

 

 

「フヒヒッ、デュエル、デュエルだあ………」

 

「な、なんだか様子がおかしいですよ」

「これは……」

『間違いないね』

 

 

まだ状況が分かっていないサラに対して、即座に警戒に入ったアン。思い当たる節があったが、同じ結論に至ったニャル君がストンとアンのすぐ隣に降り立つ。さっきまで散歩に出かけていたが、イベントの気配を感じて戻ってきたのだ。

 

 

『彼(・)は(・)闇(・)の(・)カ(・)ー(・)ド(・)に(・)呑(・)ま(・)れ(・)て(・)い(・)る(・)』

 

「さあ闇のデュエルの始まりだ!!」

 

 

ドロリ

 

 

まるで溶け出すかのように、3人を取り囲む空間が闇に包まれた。

 

 

「な、なんですかこれ!?」

「サラちゃん、下がってて。私が相手する」

「えっ……で、でも」

「俺はどちらでも構わない。ヒヒッ、覚悟して出てこい」

 

 

 

 

「「デュエル!」」

 

 

 

 

 

◆

 

 

 

この時、同時に他の場所でも闇のデュエルが行われていた。

 

 

「この闇のカードさえあれば†血塗れのアガタ†が負けるはずがない!!」

「なっ何だコイツ!」

 

 

奇抜な髪型の少年が、様子のおかしい不良生徒と対峙して

 

 

 

 

「「「デュエル……デュエルしろ……」」」

「フウン。黒服の生徒の後を追えばこの有様か、きな臭いな。この海馬瑛人が相手してやる。まとめてかかってこい」

 

 

少年のライバルとなる海馬瑛人は3人の呑まれた生徒と対峙して

 

 

 

 

 

「クハハハハ!!俺のタァン!!」

 

 

アンもまた、闇のカードに呑まれた人物と対峙した。

 

 

 

 

 

『ボクがアンと出会う前にばら撒いた闇のカードが広まっていて嬉しいよ』

「(やっぱニャルくんのせいじゃん!)」

 

 

まあコイツ(ニャル)が全ての元凶なのだが。

 

 

豪快にカードを5枚手札にした闇のデュエリストの男子生徒は迷わず3枚のカードをデュエルディスクに叩きつける。

 

 

「俺は手札から3体のモンスターを特殊召喚!」

 

 

 

 

 

 

 

 

何も、起きない。

 

 

「あれ? モンスターを出したはずなのに、何もいませんよ」

 

「ククク…」

 

 

 

 

 

クスクス

 

 

クスクス

 

 

クスクス

 

 

 

 

 

 

突然、嘲笑うかのような音が複数響いた。

 

 

【????】

星?/?属性/???族/攻?/守?

???

 

 

「ひっ!?」

 

 

その音を耳にしたサラが怯えた様子で後退りする。

まるで正気度が減少したように、青ざめて尻もちをつく。

 

アンはその様子を横目で気にしながらも、怯えた様子なく相手と対峙する。

 

 

「正体が分かるまい。これが闇のカード! 悪魔の力よ!」

 

 

男子生徒はカードを1枚セットしてターンエンドした。

 

 

 

 

 

 

「私のターン、ドロー」

 

 

 

 

天音アン

クトゥルフ神話技能 ???% > 判定成功

 

 

 

 

 

「星の精、血を吸う地球外生命体。よく使役できたね」

 

「ひょ?」

 

 

アンはその存在の名を言い当てた。

 

 

 

「無数の触手で身体を構築する生命体だよ。頭も四肢もなく、触手の先にかぎ爪だけがついている。どういう原理か分からないけど、翼もなく宙に浮いている。生物の血を食糧とするけど、本来宇宙で暮らす彼らが何を食べているのかは不明。そもそも食事を必要としているのかな?人間の目では見えない無色透明の体だけど、食事をするため吸血した場合、血が身体を通ることで実質可視化される。まあ、それはあくまで消化するまでの間だけなんだけど」

 

「は……?」

 

「そういった生態から、人は彼らのことを【星の吸血鬼】と呼んだ」

 

 

※呼びます

 

 

「だよね?」

 

「な、何なんだお前!!」

 

 

ヴェールを剥いでしまえば簡単なこと。彼らは何も分からない怪物ではなく、ちゃんと生態があるクリーチャーである。不明点が多い生物なんて、地球上にいくらでも存在する。地球外に住んでいて、ちょっと変わっていて、人間並みあるいはそれ以上に知能が高い生物であるだけで、人間を含む他の動物と何の違いがあろうか。

 

 

『本来その正体不明の上位種族を宇宙的恐怖(コズミックホラー)って呼ぶはずなんだよ、アン』

 

 

ニャルが冷静にツッコミを入れたが。残念ながら当然である、違いありまくりに決まっている。

 

 

「攻撃・効果の対象にならない効果。吸血効果と、その際に対象にならない効果が失われる……ってところかな」

「クッ」

 

 

 

【嘲笑う星の精】

星9/地属性/悪魔族/攻2400/守2000

⑴自分フィールドにモンスターが存在しない場合、または「嘲笑う星の精」のみの場合、このカードは手札から特殊召喚できる。

⑵このカードに装備カードが装備されていない場合、相手はこのカードを攻撃・効果の対象に選択できない。

⑶1ターンに1度、相手モンスター1体を対象に発動できる。そのモンスターをこのカードの装備カードにする。

 

 

 

「だが、その正体が分かったところで、貴様にコイツらを対処する手立てはあるまい!」

 

 

男は狂乱したように叫ぶ。この様子のおかしさも、どうやら闇のカードの影響を受けて一時的狂気になった結果のようだ。

 

 

「それはどうかな?」

「なにっ!?」

 

 

闇のカードに呑まれた人間の共通点として、闇のカードを過信するという点がある。

これはかつて広まった闇のカードの一種「ナンバーズ」とも共通する点だろう。

 

今回であれば、彼らを使用してランク9なりリンクモンスターなりで妨害を立てた方がよかったようにも思える。

召喚権を使っていないのなら、自分の元々のテーマを使用することもできたはずだ。

 

闇のカードによって、デッキ・ドローが歪まされた結果である。

 

 

「サラちゃん、デュエルが終わるまで目を逸らして。直視しちゃダメだよ」

「えっ、あっはい!」

 

 

サラが素直にぎゅーっと目を閉じる。それを確認した後、自分のターンを続行する。

 

 

「まずはヴェールをはがそう。永続魔法【譌ァ縺埼嵯繧ェ繝ェ繧ク繝ウ】を発動」

 

「ゑ?」

 

 

 

【譌ァ縺埼嵯繧ェ繝ェ繧ク繝ウ】

永続魔法

解読不能

 

 

 

アンが何かの永続魔法を発動した。その名をアンは確かに宣言したが、名を聞き取ることはできなかった。

その謎のカードはデュエルディスクに正常に読み込まれたが、ソリッドビジョンはテクスチャがバグったかのような表示になり、それが何なのか見ることは叶わなかった。

 

 

 

「この発動時の効果でデッキから【レインコートのアン=シャトレーヌ】を特殊召喚する」

 

 

 

【レインコートのアン=シャトレーヌ】

チューナーモンスター

星2/風属性/魔法使い族/攻200/守300

このカード名の⑵効果は1ターンに1度しか発動できない。

⑴自分フィールドに「レインコートのアン=シャトレーヌ」を除く「黄衣の王 ハスター」またはそのカード名が記されたモンスターが存在する場合、相手はこのカードを攻撃・効果の対象にできない。

⑵このカードを召喚・特殊召喚した場合に発動できる。「レインコートのアン=シャトレーヌ」以外の「黄衣の王 ハスター」またはそのカード名が記されたカードをデッキから1枚選んで手札に加える。

⑶自分が邪神獣族モンスターを儀式召喚する場合、このカード1枚で儀式召喚に必要な分としてリリースすることができる。

 

 

 

「この効果で手札に加えた【黄の印 原典】を発動。発動時の効果で【黄衣の王 ハスター】の名を高らかに謳う」

 

 

 

【黄の印(イエローサイン) 原典(オリジン)】

永続魔法

このカード名の⑵⑶はそれぞれ1ターンに1度しか発動できない。

⑴発動時の処理として「黄衣の王 ハスター」のカード名を宣言する。

⑵手札を1枚捨てて発動できる。「黄の印」以外の「黄衣の王 ハスター」またはそのカード名が記されたカードをデッキから1枚選んで手札に加える。

⑶手札の邪神獣族モンスターを相手に見せて発動できる。デッキから儀式魔法を1枚選んで手札に加える。

⑷フィールドのこのカードを墓地へ送って発動できる(この効果の発動と効果は無効化されない)「黄衣の王 ハスター」のカード名が記された魔法・罠カードをデッキから1枚選んでフィールドにセットする。

 

 

 

「⑵の効果で【黄衣の王 ハスター】を手札に加える。⑶の効果でハスターを公開して儀式魔法【邪神招来の儀式】を手札へ」

 

「儀式魔法だと!?」

 

「【邪神招来の儀式】発動。アン=シャトレーヌを贄として邪神降臨の儀式を執り行う。黄衣の王よ、臣下の声に応え、降臨せよ」

 

 

レインコートを纏う少女が風に包まれる。

少女が溶けだした背後から現れたのは、のたうつ触手を持つ名付けざられしもの。

 

 

「【黄衣の王(グレートオールドワン) ハスター】」

 

 

 

 

【黄衣の王(グレートオールドワン) ハスター】

儀式モンスター

星11/風属性/邪神獣族/攻4000/守4000

「邪神招来の儀式」により降臨。

このカード名の⑶効果は1ターンに1度しか発動できない。

⑴このカードはカードの効果の対象にならない。

⑵このカードを儀式召喚した場合に発動する。このカード以外のフィールドのカードの効果を無効にする。

⑶このカードが相手によってフィールドを離れた場合に発動できる。「黄衣の王 ハスター」のカード名が記されたモンスターをデッキから2枚まで選んで守備表示で特殊召喚する。

 

 

 

 

 

「なんだ、こいつ……!?」

 

「ハスターの効果を発動。フィールドの全ての効果を無効にする」

 

「なっ!?」

 

 

つまり、星の精たちが持っていた不可視の力もまた失われるということ。効果が無効になり、対象無効を失ったことで、半透明の異形の怪物たちが姿を現した。

 

 

「クソッ、だが次のターンになれば……」

 

「この無効効果は永続する。ターンが渡っても無効化は解除されない」

 

「は? な、なら再び出しなおせば……」

 

「そもそもハスターは効果の対象にならない」

 

「なっ」

 

 

不可視性を対象にとらない無効効果ではがされて、装備化する効果も通用しない。まさに天敵とも言える効果であった。

 

 

「ば……馬鹿な、馬鹿な馬鹿なこんなこと!?」

 

 

 

 

 

 

 

「あと、ターンを渡すつもりもない」

 

「なっ」

 

「永続魔法【狂信者の写本】を発動」

 

 

【狂信者の写本】

永続魔法

このカードは1ターンに1度しか発動できない。

⑴発動時の処理として、邪神獣族モンスターのカード名をひとつ宣言する。

⑵1ターンに1度、以下の効果からひとつを選んで発動できる。

●宣言したカードを墓地から手札に加える。

●宣言したカードを手札から捨てて1枚ドローする。

●宣言したモンスターと同じレベルを持つ生贄トークン(効果モンスター/魔法使い族/闇属性/攻0/守0)を特殊召喚する。このトークンは攻撃できず、邪神獣族モンスター以外の融合・S・L素材にできない。

 

 

 

「このカードの発動時の処理として、カード名を宣言する。私が宣言するのは」

 

 

 

 

 

 

 

 

「地底に潜むもの(グレートオールドワン) シュド=メル」

 

 

 

 

(親のキャロルより聞いたキャロル)

 

 

 

「名が宣言されたことで墓地の【邪神招来の儀式】を手札に戻す。狂信者の写本の効果を発動し、場に生贄とするトークンを生み出す。【邪神招来の儀式】を発動。トークンを贄として邪神降臨の儀式を執り行う」

 

 

 

 

 

グ=ハーンに封じられしクトーニアン共の王よ

 

 

雌伏の時を終え、現世に讃歌を響かせ

 

 

大地を砕き、蔓延るものを喰らいつくせ

 

 

 

 

「【地底に潜むもの(グレートオールドワン) シュド=メル】」

 

 

 

 

【地底に潜むもの(グレートオールドワン) シュド=メル】

儀式モンスター

レベル11/地属性/邪神獣族/攻4000/守4000

「邪神招来の儀式」により降臨。

このカード名の⑷効果は1ターンに1度しか発動できない。

⑴このカードを特殊召喚した時に発動する。フィールドゾーンのカードを全て破壊する。

⑵このカードは相手モンスター全てに1回ずつ攻撃できる。

⑶このカードが戦闘を行う場合、ダメージステップ終了時までその相手モンスターの効果は無効化され、互いにカードの効果を発動できない。

⑷このカードが相手によってフィールドを離れた場合に発動する。デッキから「地底より来たるクトーニアン」を可能な限り特殊召喚する。

 

 

 

巨大なミミズのような姿をした存在が大地を砕き、地底からその顔を晒す。

地底都市に封じられた存在。大地を泳ぐクトーニアンの長にして、忌むべき存在が姿を現した。

 

 

「シュド=メルは降臨時、フィールドゾーンのカードを全て破壊する。今回はフィールド魔法が存在しないため不発」

 

 

シュド=メルは地底から飛び出すサンドワームのような存在。その巨体が地下から出現するだけで地表を破壊し尽くしてしまう。

 

 

「シュド=メルは全てのモンスターに攻撃が可能」

 

「な……」

 

「バトルフェイズ。シュド=メルで3体のモンスターに攻撃」

 

 

見上げるほどに巨大なシュド=メルが首をもたげる。その姿に怯えた様子を見せた男子生徒は、かろうじてセットしたカードに触れることに成功した。

 

 

「攻撃宣言時、リバースカードオープン!【砂塵のバリアーダスト・フォースー】!!」

 

 

【ERROR!!】

 

 

しかし、そのセットカードは発動しなかった。

 

 

「シュド=メルの攻撃宣言時、互いにカード効果を発動できない」

 

「ば、馬鹿な……」

 

「攻撃力2400の3体に対して攻撃力4000の3回攻撃。つまり1600ダメージが3回でライフは0となる」

 

「何なんだそれは!そのカード達は!」

 

「守備表示なら、その伏せカードを使う余地もあっただろうにね」

 

「まるで、闇の――」

 

 

 

 

「呑み干せ」

 

 

 

 

 

 

「うわあああああああ!?!?」

 

 

男子生徒 LP4000 → LP2400 → LP800 → LP0

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◆

 

 

 

「もう目を開けていいよ、サラちゃん」

「はい……」

 

 

デュエルを終えたアンは腕を降ろす。シュド=メルの攻撃を受けて吹き飛ばされた男子生徒が目を回して気絶している。

怯えて目を閉じていたサラに声をかければ、ぎゅっと閉じていた目を開いてきょろきょろとあたりを見渡す。

 

 

「あの……この人、一体何があったんでしょう」

「とりあえず先生に引き渡そう」

「そ、そうですね。私が呼んできます!」

 

 

アンからすれば「うちのニャルがごめんなさい」なのだが、ニャルが見えていない他の人に言っても仕方がないことである。とりあえずすっとぼけて先生に引き渡すことにした。

 

 

「おっと、忘れるとこだった」

 

 

パタパタと先生を呼びに行ったサラを見送った後、気絶した男子生徒の傍らに散らばっていた3枚のカードを拾い上げる。

 

 

 

【嘲笑う星の精】

星9/地属性/悪魔族/攻2400/守2000

⑴自分フィールドにモンスターが存在しない場合、または「嘲笑う星の精」のみの場合、このカードは手札から特殊召喚できる。

⑵このカードに装備カードが装備されていない場合、相手はこのカードを攻撃・効果の対象に選択できない。

⑶1ターンに1度、相手モンスター1体を対象に発動できる。そのモンスターをこのカードの装備カードにする。

 

 

 

デュエルを終えてなお放たれる混沌とした気配。かつてニャルがアンと出会う前、お試しで作ってばらまいた闇のカードの一部である。

怪物のように見えるが、星の精には人間と同じくらいの知性があり、文明を築き上げているという説もある。恐らくはその影響もあって3枚固まってこの男子生徒の手に渡ったのだろう。

 

 

 

『そのカードにはそこまで力を注いでなかったんだけどね。コレでもダメとは人間は脆いね』

「そうなの?」

『うん。かつて僕が関与していない【ナンバーズ】が闇のカードと呼ばれていた時はこんなものじゃなかった。これは闇のカード界隈でも下の下さ』

「そんなひっどい界隈あってたまるか」

 

 

ニャルはやれやれと呆れた様子でため息を吐く。アンはそんな様子のニャルには慣れたもので、ジト目を送るにとどめている。

 

 

 

『脆い人間に反して、アンは頑丈で偉いね』

「私も人間だってば」

『何せアンのデッキは……』

 

 

 

 

 

『全部、闇のカードなんだから』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◆

 

 

 

 

『これは………間違いありません、闇のカードです!』

「な、なんだって~~!?」

 

 

闇のカードに呑まれた†血濡れのアガタ†を倒した少年……武藤ユウキはカードの精霊である少女の証言にひっくり返るほど驚く反応を見せる。

 

 

 

【飛行するポリプ】

星9/風属性/悪魔族/攻2500/守2200

このカード名の⑴⑵効果は1ターンに1度しか発動できない。

⑴手札のこのカードを相手に見せて発動できる。このカードをA召喚する。この時、モンスター1体をリリースしてA召喚できる。

⑵相手がモンスターを特殊召喚する際に発動できる。手札を1枚捨てて、その特殊召喚を無効にする。

 

 

 

機械族のクリフォートモンスターを扱う†血濡れのアガタ†のデッキにはそぐわない、悪魔族のモンスター。彼はクリフォートの展開力を利用してこのモンスターのA召喚を行い、【クリフォート・アセンブラ】のドロー効果で手札を補っていた。

 

 

「これが闇のカード……種族がデッキに合ってないじゃんか」

『仕方がありません。1(・)枚(・)持(・)つ(・)だ(・)け(・)で(・)心(・)が(・)闇(・)に(・)呑(・)ま(・)れ(・)る(・)といういわくつきの代物です』

「なんでそんなもんがアカデミアに……一体だれが!」

 

 

それいつものやつ(ニャルってやつ)の仕業だよ。

困惑するユウキの傍らで、カードの精霊の少女は心当たりがあったのか、困ったように頭を悩ませていた。

 

 

『これは……まずいことになったかもしれません』

「何か心当たりあるのか!?」

『はい。この不気味なモンスター、そして闇のカードが幅を利かせるのは本来起こりえないのです。このアカデミアを中心としたこの場所……【学園都市アカデミア】は、三(・)体(・)の(・)幻(・)神(・)獣(・)に護られているからです』

 

 

 

 

 

『つまり、かの幻神獣……三幻神に何かあったとしか思えません!』

 

 

 

 

 

 

 

 

『三幻神のカードを探しましょう!』

「ああ!……で、どこから探せばいいんだ?」

 

物語の主人公とその相棒である精霊の少女が、この事件を機に動き始め

 

 

 

「フウン。生徒会か……待っていろ、俺が暴いてやる」

 

主人公のライバルとなる少年もまた活動を始める。

 

 

 

そんな中、天音アンという少女もまた――

 

 

 

 

 

 

 

「見つけ次第、かたっぱしから回収しちゃおう。闇のカード」

 

『えぇ~?』

 

 

ニャルにブーイングを受けながら、物語の影で動き始めるのだった。

 

 

本文中になるべくカードテキスト入れてるけど、これ要る?

  • 要る
  • 要らない
  • オリカだけ要る
  • ネフィリムカエシテ
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