ホシノに依存するまで   作:元ポリスメン少佐

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今回短いです。
それとテスト期間でまた一ヶ月ほど空きます、ごめんなさい。


行方不明

 

「ユメ先輩、ホシノはどうしたんですか?」

 

 帰ってきたと思ったら、ホシノがいなかった。

 

「あはは、そのぉ。ちょっと怒らせちゃって、先に帰っちゃったの」

 

「一体何したんですか、ユメ先輩…………」

 

 だとしても先輩が生きている、それだけで油断していて。

 

「レミちゃん。私が行ってもまた怒られちゃうだけだと思うから、ホシノちゃんの様子を見て来てくれない?」

 

「分かりました、行きます!」

 

 そんな俺の行動は、未来を知る人間としてはさぞ愚かで、滑稽だっただろう。

 

 

 

 

 

◯◯◯

 

 

 

 

 

 

「ホシノ、二日も経ったんだから素直に謝ってこいよ?流石に二人が喧嘩してるの見続けるの辛いんだよ」

 

「そのくらい分かってますよ。ただその……少し、落ち着くのに時間がかかっただけです」

 

 

 

「ユメ先輩、戻りましたよ。以前はその……すみませんでした。先輩が私を元気づけようとしたのは分かってたんです。だから……」

 

「…………ユメ先輩?」

 

 

 

 

 

◯◯◯

 

 

 

 

 

「レミ!?レミ!?砂嵐ですよ!?外に行かないで!」

 

「先輩がっ!」

 

 知らなかったんだ、先輩の遭難とポスターに直接の因果関係が無いなんて。

 いや……気づこうとしなかったんだ。少し考えれば分かることだった。

 

 二人が喧嘩別れをして、先輩が一人の時が生まれること。それが原因であることなんて簡単に分かることだった。

 

 でも俺はポスターだなんて明確な原因のみに固執して、本質的に物事を見れていなかった。

 

「外で砂嵐に遭うなんてよくあることでしょう!?先輩も流石にコンパスは持ってますよ!」

 

「持ってないんだ……だから、先輩は遭難するんだ!」

 

「なっ!?……だとしても、今向かって起きるのは二次遭難です!砂嵐が引くまでは待ちましょう!」

 

「────分かった。……ごめん、冷静じゃなかった」

 

 いつだってホシノは冷静で、そのおかげでなんとか理性的な行動を取り戻す。

 

(そうだ、コンパスを持っていないだなんてのはただの俺の妄想なんだ。何の根拠も無くて、ただただ嫌な予感と原作のせいで勘違いをしただけだ)

 

 机に置かれていた「いつもありがとう」と書かれた付箋に、先輩は死ぬという思い込みに。そんな幻覚に踊らされていただけ。

 

 そう、思っていたのに。

 

『ごめ&"ね、二%$とも』

 

 先輩からノイズだらけのメッセージが飛んできたのは、翌日のことだった。

 

 

 

 

 

 

◯◯◯

 

 

 

 

 

 

『先輩は砂嵐を避けるために一度廃墟に入ったはず』

 

 根拠のない予測を元に探し続けて、一週間。

 未だ先輩は見つからないでいる。

 

「…………レミ。休息は取った方が良いです」

 

「自虐と捉えていいか?お前も全く休んでない癖に」

 

 隈を作り、少しふらついているホシノは傍目からも分かるほどに疲弊していて、最低限の睡眠しか取っていないことが分かる。

 俺も、多分似たような状況なのだろう。

 

「レミよりも、私の方が探せる範囲が広いので」

 

 妙に曇って俯いているホシノからは、「それに、私のせいですから」と言外に聞こえてくる。

 

「……だとしても、お前が休んで無い時に俺は休めないさ」

 

 ホシノは悪くない、悪いのは俺だ。だって、知っていたのに見殺しにしたんだから──そう言える程の勇気を、俺は持てずにいた。

 

 

 

 

 

 

◯◯◯

 

 

 

 

 

 

「…………」

 

 捜索開始から二週間。言葉にこそ表していないが、俺とホシノの間には悲壮感が漂っていた。

 

 遭難前提の装備でなかったであろうユメ先輩は、あったとしても二日分程の水しかないだろう。

 例えヘイローを持っているとしても……十日を超える遭難には耐え得ない。

 

 それでももしかしたら、もしかしたら助かっているかもしれないと。

 どこか期待することを、祈ることを止められないでいる。

 

 

 

 

 

 

◯◯◯

 

 

 

 

 

 

「はぁっ、はぁっ……!」

 

 見つけた!

 見つけた、見つけた、見つけた!

 

 位置情報を送りながら、全力で駆け寄る。

 あの見覚えのある緑髪は、あの制服は、間違いなく先輩だ!

 

 二十日間全く寝れていないと言うのに、それを忘れたかのように体が動く。

 

(きっと生きてる、助かるはずだ、死ぬ訳が無い)

 

 俺が先輩に助けられた時みたいに、水を飲ませて、学校に連れて行けば良い。

 いや、期間を考えると医療機関に運ぶべきだ。

 

 それで、先輩が助かったら、謝らないと。

 

 知ってたって。俺が馬鹿だったって。それで、その後は三人でいつもみたいに。

 

 

 

 そうやって祈って、明日を願って。

 

 そして、祈りは空っぽになった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「レミ!先輩は!?…………あぁ」

 

 

「こんなところにいたんですね、ユメ先輩」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 その後に何があったのかは、もう覚えていない。

 

 ただ。

 俺が抱えた先輩の体は、鋼鉄の盾は。前よりずっと、ずっと軽かった。

 

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