椿にナルト専用のクナイなどの作成を頼んでから1週間がたった。
物ができたと椿が届けてくれたのでナルトたちは確認をしていた。
「これが頼まれていたクナイだ。要望どおりにできてると思う」
椿が机の上に広げた風呂敷から出てきたクナイは普通のクナイではなく、三叉にわかれたクナイだった。
このクナイの形は、ナルトの父である波風ミナトが好んで使っていた形だった。
これを見た自来也は懐かしく感じていた。
ナルトは実際に持ってみたり、投げてみたりして確認をしていた。
「うん、大丈夫だってばよ!ありがとう椿のねぇちゃん!!」
「望まれた物を作るのが鍛冶師のしごとよ!また何かあったら訪ねてくるがいい」
「おう!」
納品が終わった椿は帰っていった。
ナルトは届いたばかりのクナイに何か術式を刻んでいた。
自来也はそれを見てナルトが何をしているのかすぐに分かった。
「ナルト、お前飛雷神の術を使えるのか?」
「まだ試してないけど術式は覚えたってばよ」
そう言ってナルトは術式を刻み終えたクナイを持って中庭に出る。
クナイを投げてチャクラを練り術を発動する。
「飛雷神の術!!」
ナルトの姿が一瞬で投げたクナイの場所に現れた。
「よし!成功だってばよ!!」
術が成功してはしゃいでいるナルトを見て自来也は、ミナトとの修行の日々を思い出し懐かしい気持ちになっていた。
「よし!今度は連続でやるってばよ!!」
「ナルトよ、確かに飛雷神の術は連続でできたほうがいいと思うが、クナイはそんなに持てんだろう」
自来也の言う通り、ダンジョンに大量のクナイを持っていこうとするとサポーターのような大荷物になってしまう。
そうなったらせっかくの高速移動も無駄になってしまう恐れがあるのだ。
「そのへんは考えてるってばよ!」
そう言ってナルトはクナイを投げた後印を結ぶ。
「手裏剣影分身の術!!」
ナルトの投げたクナイがどんどんと増えていった。
「猿飛先生」
ナルトの使った術は自来也の恩師であり、木ノ葉隠れの里三代目火影でプロフェッサーと呼ばれた猿飛ヒルゼンが考案した忍術だった。
無数に増えたクナイにナルトは飛雷神の術で飛んでいくが、まだ完璧ではないので3回が限界であった。
「ハァーッハァーッ、クッソー!全然続かないってばよ!!」
「相変わらずチャクラコントロールが甘いのぉ。もう一度木登りと水面歩行からやり直しだ!!」
自来也はそう言ってナルトを担ぎ上げると、ホームを出てオラリオの城壁まできた。
「オラリオの中には木がないからここを登ってもらう!」
「オッス!!」
久々の自来也との修行が嬉しくてナルトのやる気があがる。
ナルトは勢いよく城壁を登っていく。
はたから見れば子供が城壁を水平歩行しているのは驚きの光景なのだが、自来也とナルトからしたら当たり前のことだった。
「ふむ、壁上りは問題ないのぉ」
「へへーん!当たり前だってばよ!!」
ナルトは得意げに言う。
「ふむ、では水面歩行にゆくぞ!!」
「オッス!」
ナルトは住宅の屋根を走っていく自来也の後を追っていく。
そしてついたのは、神々専用の大浴場であった。
ナルトはここについた瞬間に師である自来也が何をしでかすのかわかってしまった。
忍び世界での修行の旅で自来也が女湯を取材と言って覗きまくっていたので、これから起こることは想像できる。
ナルトは自来也にバレないように影分身を一体出して、本体はホームに送った。
「よぉし!ここで水面歩行の修行を始める!!」
「嘘つけ!!ぜってぇー覗くのが目的だろうが!!」
「バカモノ!!これは修行だ!!」
「そんなニヤけた顔で言われても信用できねぇってばよ!!!」
そう、ナルトの言った通り自来也の顔は思いっきりニヤけていて鼻血まで出していたのだ。
「お前はあんな素晴らしい忍術を思いつくくせに頭が硬いのぉ」
自来也が言う素晴らしい忍術とはおいろけ忍術のことだろう。
「いや!俺だって見てみたいってばよ?でも今は修行中だろうが!!」
この師にこの弟子あり。
実はナルトも結構なスケベに育ったのだ。
これは絶対に自来也の影響なのだが、思春期に自来也と共に過ごしたのだからなるべくしてなったと言ったほうがいいのだろうか。
その答えは誰にもわからない。
「ふっ、ワシの弟子でありながらムッツリなど許せん!!男ならオープンにいけ!!」
「お前はオープンすぎるのだ!!!」
そう聞こえたと同時に自来也は背後からリヴェリアのフルスイングを後頭部に叩き込まれる。
「ぐえぇっ!!」
殴られた自来也は顔面から地面に倒れる。
「まったく貴様は何をしようとしてるんだ!!」
「リッリヴェリア!なぜここに!!」
「ナルトが知らせてくれてな」
リヴェリアの隣にはもう一人ナルトがいた。
そこで自来也はナルトが影分身でリヴェリアに知らせたのだと気がついた。
「そっそれでも来るのが早すぎる!!」
確かにロキ・ファミリアのホームから大浴場まではどんなに早く走ったとしても5分はかかる。
それなのに何故だと自来也は思った。
「これだってばよ」
そう言ってナルトが取り出したクナイで自来也は全て理解した。
「飛雷神の術か!!」
そう、ナルトは影分身にマーキングを施したクナイを持たせていたのだ。
ホームに行くときはホームにおいてあったクナイに飛び、大浴場には影分身が持っているクナイにリヴェリアを連れて飛んだのだった。
こんな長距離を飛ぶことができるのはナルトだけであろう。
ナルト本来のチャクラに尾獣たちの膨大なチャクラを使うことで実現ができるのだから。
「さぁ、帰って説教だ自来也!!」
リヴェリアは持ってきた縄で自来也を縛りあげる。
しかし自来也は忍びだ。
縄抜けなど簡単にできるので、縄で縛るのは意味がないとナルトは思っていた。
けれど自来也は一向に縄抜けをしようとはしない。
いったいどうしたのかと思っていると、リヴェリアが答えてくれた。
「この縄は特殊でな、私の魔力を流しながら解かないと解けないんだ。無理して解こうとすると、逆に締まっていく仕組みになっているんだ。こいつには何回も縄抜けで逃げられてしまったからな。私が試行錯誤して作ったのさ」
こんな物を作られるぐらいに覗きをしている師匠を見てナルトはため息をつくのだった。
リヴェリアにより引きずられながらホームに帰ってきた自来也はリヴェリアとフィンの説教を受けていた。
「今後こういった行動はするな!わかったな!!」
説教が終わったので自来也は部屋に戻ろうとしたが、フィンに止められた。
「自来也、聞きたいことがある」
「なんじゃ?」
自来也はフィンが聞きたいことはおおかた予想がついていた。
「ナルトが使ったあの瞬間移動はどういったものなんだい?」
やっぱりかと自来也は思った。
フィンの事だ、ナルトの飛雷神の術があればダンジョン攻略での移動にかかる時間と体力を消費できるのではないかと考えているのだろうと自来也は予想していた。
「飛雷神の術のことかのぉ。どういったものとは?」
自来也がそう答えると、フィンはため息を付いてから真剣な顔になった。
「下手な探り合いはなしだ自来也。僕が知りたいのはその術でどれだけの距離が行けるのかと、何人まで連れていけるかだよ」
自来也は考える。
今のナルトのチャクラ量ならロキ・ファミリア30人全員を連れて1階層から18階層に飛ぶなんて余裕だろう。
しかしそれを知ればフィンはナルトを脚として使うだろう。
そんなこと自来也は許しはしないし、尾獣たちの怒りを買うに決まっている。
「言っておくがナルトを都合の良い脚として使うつもりならワシと尾獣たちが黙っておらんぞ?」
自来也は殺気を出しながらフィンにそう答える。
フィンは自来也から向けられた殺気で冷や汗を流す。
暫く沈黙が続き、フィンがまいったと言ったふうに両手を上げた。
「わかった諦めるよ。でも緊急事態の時は頼ってもいいだろう?」
「それはナルト次第だのぉ」
そう言って自来也は部屋からでていった。
残されたフィンはどうやってナルトと尾獣たちから信用してもらうかを考えるのだった。