たまにナルトがいなくなった忍界の話を書いていこうと思います。
ヒナタがナルトの元に旅立ってから1週間がたった。
ヒナタがナルトの元に行くといった時はとうとう壊れてしまったと思っていたハナビも笑顔で見送った。
そんなハナビに最近元気がなかった。
それはそうだろう、大好きな姉であったヒナタにもう会うことができなくなってしまったのだから。
送り出した時は笑顔で見送ったが、心の中ではいかないでほしいと思っていた。
でも大好きな姉の幸せを思って口にはしないでぐっと飲み込んだのだ。
そんなハナビは今は里をふらついていた。
特に何をすわけでもなくただふらふらとしていたのだ。
たまにヒナタと一緒に行った店に入りこんな話をしたなとか思い出してくすりと笑う。
ハナビは里を周り終えて顔岩の上から里を見渡していた。
「こんなことしたって姉さまがいるわけでも戻ってくるわけでもないのに、何でこんなことしてるんだろ」
ハナビはそう言ってため息をつく。
「何やってるんだ?コレ」
「木ノ葉丸さん」
声がする方を見ると木ノ葉丸が立っていた。
「どうかしたのか?ハナビ」
普段ならなんでもないと言うのだが、この時は何故か違った。
「姉さまを思い出していたんです」
ハナビは木ノ葉丸ではなく里を見ながらそう言った。
「なんだハナビもそうなのか」
そう言って木ノ葉丸は寂しそうに笑った。
「木ノ葉丸さん?」
「実は俺もナルト兄ちゃんの事思い出すとここに来ちまうんだなコレ」
木ノ葉丸はハハハッと笑った。
木ノ葉丸にとってナルトは自分を火影の孫ではなく木ノ葉丸個人として初めて見てくれた人物であり、火影の名を賭けて争うライバルでもあった。
そんな特別な存在であったナルトがいなくなってしまったのだ、心にぽっかり穴が空いたみたいになっていた木ノ葉丸だった。
それはハナビも同じであった。
大好きな姉が死んだわけでもないのに一生会うことが出来なくなってしまったのだから、割り切ることなど出来なかった。
「木ノ葉丸さんもそうなんですね」
ハナビは自分と同じ気持ちをもった人がいた事に安心した。
ナルトとヒナタの同期達は自分のやるべき事を一生懸命やっていて、ハナビのように感傷に浸る人はいなかった。
ハナビも本来ならば日向家次期当主として色々とやらなければいけないが、ヒナタが旅立った直後ということもあって何も手につかない状態だった。
「何時までもくよくよしてちゃナルト兄ちゃんに怒られちまうんだけどな、コレ」
タハハハッと笑う木ノ葉丸だが、その顔は悔しそうであった。
「今でも思うんだ。俺に猿飛のじいちゃんみたいな力があれば、ナルト兄ちゃんがいなくならなかったのかもしれないって」
木ノ葉丸の表情は真剣なものだったが、その中に悲しさもあった。
「そうですね。私もそう思ったことがあります」
ハナビも悲しそうな顔をしながらそういった。
ヒナタが引きこもってしまった時に、自分や家族がどんなに励ましてもヒナタの力になれなかった。
この時、自分に力がない事にどれだけ悔しい思いをしたかわからないハナビだった。
「それじゃあ私はコレで」
ハナビはこれ以上木ノ葉丸の悲しそうな顔を見ていると、自分も抑えていた気持ちが溢れてしまいそうになったので足早にこの場を離れる。
「えっおっおう」
いきなり走って帰ってしまうハナビに「俺なにかしちゃったか?」と首を傾げ自分も帰ろうとした時、ハナビの後を怪しい男が3人つけていった。
「なんだあいつら?」
そう思いながら木ノ葉丸はバレないように後をつける。
ハナビが屋敷に入ろうとした時、男たちはハナビを取り押さえて何かを首に注射してハナビを大きな袋に入れて素早く去っていく。
里の中ということとヒナタがいなくなった喪失感で注意力が低下していたハナビは何も出来ずにさらわれた。
それを物陰から見ていた木ノ葉丸は、すぐさま日向家の人に見たことを説明して急いでハナビを追った。
「ここまでくれば大丈夫だろう」
ハナビを拐った男たちは木ノ葉隠れの里と雲隠れの里の境界で一息ついていた。
木ノ葉丸は木の上から気配を消して監視する。
「戦争が終わって平和ボケしてくれてて助かったぜ」
「木の葉の忍には尾獣を全部どっかにやられたからな」
「あー、うずまきナルトだろ?忍界の英雄とか言われてた」
「何が英雄だ!人柱力なんだから里に従って兵器の役割してればよかったんだよ!!」
「そうだよなぁ。まっ木の葉にはこいつで責任取ってもらおうぜ!」
男はそう言ってハナビを袋からだす。
ハナビは射たれた薬でぐったりしていた。
「木の葉の白眼を手に入れられたぜ!本当は『うちは』の写輪眼が良かったけどな」
「『うちは』もう1人しかいねぇ。そいつが子をなしてくれるまで待つしかねぇよ」
男たちの狙いは白眼、つまりはハナビの目だった。
「ここで目を取り出して殺すのか?」
「いや、里に連れて帰る。女だからな、目を取った後も使いようがある」
「こいつに子供産ませればいくつも白眼が手に入るってことさ!!」
どうやら男たちはハナビを使って白眼を量産しようと考えていたのだ。
この話を聞いて木ノ葉丸は怒りで頭に血が登っていった。
大切な里の仲間を拐ってそんなふうに扱おうとしていることに。
世界を救い人々が平和に過ごせるようにと自らの夢を捨ててこの世界を去った、大好きで仕方なかったナルトを侮辱された事に。
「なぁ、こいつ結構可愛くね?ちょっとやってもいいか?」
「は?お前ロリコンかよ!」
「別に構わん。里に帰ったらどうせそういうふうに使うんだ。やりたいならやればいい。だが俺達に見えないようにしろ」
「へへへっわかってるって」
男の1人がハナビを抱えて茂みの中に入っていく。
このままではハナビが犯されてしまうと思い、木ノ葉丸は援軍を待たずにハナビを助けるために動き出した。
「へへへっいい体してやがるぜ」
男はハナビが着ていた着物を開けさせてハナビの体を舐め回すように見ていた。
木ノ葉丸は気づかれないように男の背後に回る。
「さて、そんじゃあ楽しもうか!」
男がハナビのショーツを脱がせようとした瞬間、木ノ葉丸はクナイで男の首を切り裂く。
「がっ!?」
首を切られた事により、血が吹き出し男は絶命する。
木ノ葉丸はハナビの服を戻して背中に背負う。
後はこの場から逃げればいいのだが、そう簡単にはいかなかった。
「おいおい、せっかく手に入れた白眼なんだ。持ってかれるのは困るぜ」
その言葉と同時に手裏剣やクナイが複数飛んでくる。
木ノ葉丸はそれを避けて飛んできた方を見ると、男が2人ニヤニヤしながら立っていた。
「木の葉の忍、しかもこんなガキが1人とは舐められたものだな」
「あのバカ!こんなガキに気づかないなんて!!」
木ノ葉丸はどうするか考えていた。
自分1人ならなんとか逃げ切れるだろう。
しかしハナビを背負ってとなると不可能に近いし、援軍が来るまで持ちこたえられるかわからない。
「その女をおいていけば助けてやるよ」
「ガキじゃ無理なんだから大人しく言うこと聞いとけ」
他の忍ならそうするかも知れないが、木ノ葉丸は違った。
「ナルト兄ちゃんが言ってた。忍の世界でルールや掟を破る奴はクズ呼ばわりされる」
「あ?なに当たり前なこと言ってんだ?」
木ノ葉丸の言葉に男は首を傾げながらそういう。
「けど!仲間を見捨てるような奴はそれ以上のクズだ!!」
木ノ葉丸がそう言うと背負われていたハナビが飛び上がり印を結ぶ。
「火遁・灰積焼!!」
ハナビの口から灰が吐き出される。
「なっ!!あの女の薬が切れてたのか!!」
「そんな馬鹿な!あれは雷影様でも半日は動けなくなるんだぞ!薄めてるとはいえあんな小娘が短時間で動けるわけがない!!」
男たちは視界が悪くなった灰の中でそう言い合っていた。
男たちの予想はあたっていて、術を使ったハナビは木ノ葉丸の影分身が変化したものだった。
本物のハナビは見つからないように木ノ葉丸が隠したのだ。
カチッ!と奥歯に仕込んだ火打ち石を鳴らして火花を出すと、灰が一気に燃え上がりボーンッ!と爆発する。
「ぐあっ!!」
これにより敵の1人を倒すことが出来た木ノ葉丸。
しかし後1人残っているので警戒を解かないようにする。
ヒュンッと後方から飛んでくるクナイをなんとかかわす木ノ葉丸。
相手を視界に捉えて手裏剣を投げて印を結ぶ。
「手裏剣影分身!!」
投げた手裏剣が10、20と増えていく。
「クソがっ!!」
男はクナイを両手に持ち手裏剣をさばいていくが、全ては無理で体に刺さっていく。
男が倒れたのを確認した木ノ葉丸はほっと息をつくが、その油断がいけなかった。
倒れていたはずの男が素早く立ち上がり、木ノ葉丸の首を掴み持ち上げる。
「うぐっ!!」
「残念だったなクソガキ!これで形勢逆転だ!!」
男はもう片方の手にクナイを持つ。
「さて、女はどこだ?」
「いっいわねぇ!!」
「そうか、なら死ね!!」
男はクナイを木ノ葉丸の心臓に突き立てる。
すると木ノ葉丸はボンッと音を立てて消えた。
「なっ!影分身!!」
男が慌てて木ノ葉丸を探すがもう遅かった。
木ノ葉丸はすでに男の背後で手のひらに螺旋丸を作り終えていたのだ。
「螺旋丸!!」
振り返った男の土手っ腹に思い切り螺旋丸をぶち込んだ。
「ぐぁぁぁっ!!」
螺旋丸を食らって吹っ飛び木に当たり、気を失う男。
「里の仲間は俺が守る!姓は猿飛!名は木ノ葉丸!!英雄うずまきナルトの弟子だ!よく覚えておけ!!」
こうしてハナビを誘拐した忍を倒すことが出来た木ノ葉丸だった。