ヒナタがロキ・ファミリアに入ってから1か月がたった。
元々勤勉だったヒナタはリヴェリアが出した課題をすぐに終えてナルトとアイズ、ラウルとパーティーを組んでダンジョンに潜っていた。
最初はヒナタ目的で近づいてくる男連中がいた。
礼儀正しくお淑やか、可愛い顔立ちに優しい笑顏に男どもはイチコロだった。
しかしヒナタはナルトにしか興味がないのでバッサリと断っていた。
それでもしつこく言い寄ってくる輩は、柔拳と綱手直伝の怪力で追い払っていた。
これを見ナルトと自来也は「「絶対にヒナタには逆らわないようにしよう」」と声を揃えてつぶやいた。
ナルトとラウルはヒナタとダンジョンに行けるので、男子団員たちは2人に嫉妬のこもった視線を毎日のように送っていた。
今日もヒナタの経験値稼ぎと剣の練習をするためにナルトたちはダンジョンに潜った。
「そういえばずっと思ってたんすけど、ナルトって何で団長にそっけないんすか?」
ダンジョンで魔石を拾いながらラウルがナルトに聞く。
「なんかフィンの笑顔は信用できねぇって思うんだってばよ」
「そうなんすか?」
「うん、なんて言うかお面みたいな感じだってばよ。笑顔だけど内心こっちを利用しようと考えてるって感じ」
ナルトがそう言うとラウルは何となくだが納得してしまった。
「見る目があるじゃねぇか」
いきなりそんな声が聞こえてきたので、警戒してそちらを見るとアストレア・ファミリアがいた。
さっき声を出したのはライラみたいでニヤニヤしていた。
しかし、ヒナタが戦闘態勢を取ると焦りだした。
「おいおい!あたしたちはあんたらと事を構えるつもりはねぇ!」
「ナルト君を犯罪者呼ばわりしていきなり拘束したくせに?」
どうやらヒナタはあの日の事を相当根に持っていたらしい。
それはそうだろう、あんな感じであったが長年の思い人からの告白だったのだから、ヒナタでなくても同じ女性なら怒るだろう。
「そのことについては本当にごめんなさい!!」
そう言ってアリーゼが土下座すると、他の団員たちも土下座する。
「「「「ごめんなさい!!」」」」
いきなりのことでラウルはオロオロ、アイズはぽかーんとし、ナルトは苦笑い。
ナルトは彼女たちが本当に反省し、心から謝罪していることがわかったのだ。
それはヒナタも同じだったみたいで、構えを解いてアリーゼたちに近づいていく。
「顔を上げてください。あなたたちが心から謝罪をしていることはわかりましたので謝罪を受け取ります」
ヒナタがそう言うと全員顔を上げてほっと安心した。
「ホントにごめんなさい!あの後いろんな人たちに告白を台無しにしたって怒られたの!!」
アリーゼが言うには、あの後街を巡回するたびにあの現場にいた人たちから『あんたらは女の子の一世一代の愛の告白を台無しにしたんだよ!』と怒られたらしい。
それを聞いてアリーゼたちは同じ女性として本当にあの日の行動を後悔し反省したそうだ。
「罪滅ぼしでないけど、私たちに出来ることがあったら何でも言ってね!!」
もしここに自来也がいたら『何でもよいのか!ぐっへへへっ!!』となっていただろう。
「女性が安易に何でもするなんて言うなってばよ!」
「そうです!そんなこと言ってはいけません!!」
ナルトとヒナタに説教されるアリーゼだった。
説教が終わった後、ナルトはリューと輝夜に剣の使い方を習うことにした。
「なかなか良い刀ですねぇ。どちらで御作りに?」
輝夜はナルトが持っていた草薙剣が気になったようだ。
「これは俺の親友から貰ったんだ。だからどこで作ったのかは知らねぇってばよ」
「そうですか」
それだけ言って輝夜は剣の指導に戻る。
アリーゼは真剣な顔をしてヒナタにつめよった。
「あのっヒナタさん」
「はっはい!」
いきなり真剣な顔で詰め寄ってきたので少し驚くヒナタ。
「私、あなたに聞きたいことがあるの!!」
「なっなんでしょうか」
「どうやったら彼氏ができるの!!」
「「「「そんな真剣な顔をしてダンジョンで聞くことか!!!!」」」」
アリーゼ以外の全団員が思いっきりつっこんだ。
「なによ!私はいつだって真剣よ!」
「だからって何でダンジョンで聞いてんだよ!!」
「アリーゼ!そんなハレンチなこと聞いてはいけない!!」
「アホだアホだと思っていましたがここまでアホだとは思いませんでした」
「私も流石にないなーって思うよ」
「確かに気になるけど今ではないって」
「だって!強くて正しくて美少女なアリーゼちゃんに彼氏が出来ないのはおかしいわ!!」
「自分でそんなこと言ってっから出来ねぇんだよ」
ライラがツッコミ他の団員たちはそうだと言わんばかりに首を縦に振る。
アストレア・ファミリアはダンジョンの中なのにわいわい楽しそうに言い合いをしていた。
それを見たナルトとヒナタは、アリーゼ達がホントにいい人達だということがわかり、この人たちは信用できると思った。
ダンジョンから帰ってきたナルトとヒナタは夕食を済ませて談話室でまったりとしていた。
そしたらそこにラウルが慌ててやってきた。
「なっななななナルト!!」
「どうしたんだってばよラウル兄ちゃん」
「ちゃっちゃちゃちゃちゃっ!!」
「何言ってるのか全くわかんねぇ!」
ラウルは必死に何かを伝えようとしているが全く伝わらない。
しばらくしてやっと落ち着いたラウルは真剣な顔をしてナルトに言う。
「俺にチャクラが発現したっす」
「ええええぇぇぇぇっ!!!」
ナルトは物凄く驚いた。
それはそうだろう、この世界でチャクラが使えるのは自来也とナルト、ヒナタの三人しかいないのだから。
ラウルは先程更新してもらった自身のステイタスが写し出された紙をナルトに見せる。
ラウル・ノールドLV2
力:263
耐久:259
器用:177
敏捷:216
チャクラ:0
忍:H
<スキル>
【努力の天才】
・チャクラの発現(忍術、幻術は使用不可)
・努力が続く限り大補正
・身体能力の向上
・体力回復の向上
確かにチャクラが発現し、さらにスキルまで発現していた。
「努力の天才か」
ラウルのスキルを見てナルトはロック・リーを思い出していた。
リーは忍術も幻術も使えない忍であったが、人一倍努力をして体術のスペシャリストになった。
「ホントにチャクラが流れてる」
ヒナタが白眼でラウルを見てチャクラが流れていることを確認した。
ナルトはラウルを連れて自来也の部屋に向かった。
「エロ仙人!起きてっか!」
ドンドンとドアを叩くと自来也がでてきた。
「なんじゃナルト。ワシは執筆で忙しいんじゃ」
「そんなくだらねぇ小説より大事な話だってばよ!!」
「くだらなくないわ!!お前みたいなお子様にはわからんのだ!!」
「それより!大事な話だってばよ!!」
「なんじゃ?ヒナタに愛想でもつかされたか?」
「ラウルの兄ちゃんがチャクラを発現させたってばよ」
ナルトがこっそりとそう言った。
「ッ!!入れ」
自来也はナルトとラウルを部屋に入れて結界忍術を貼る
「ラウル、チャクラが発現したのは本当か?」
「はっはいっす!」
ラウルは持っていたステイタスの写しを自来也にわたす。
自来也はそれを見て驚いた。
「まさか本当に!」
「ヒナタの白眼で見てもらったらチャクラが流れてたってばよ」
「そうか。ラウル、この事は誰にも言っておらんな?」
「はっはい!知ってるのはロキと団長ぐらいかと」
ラウルはステイタス更新をした時にフィンもその場にいたことを自来也に言った。
『そいつはめんどくせぇなぁ』
「ッ!?九尾か!」
「いきなりどうしたんだってばよ九喇嘛」
「えっ!一体どこから声が!?」
いきなり聞いたことのない声が聞こえてきたので驚くラウル。
『そこのガキがチャクラを発現させたってことは他にも発現させる人間がいるって証明になっちまった」
「そうだのぅ。これが神の恩恵か」
『ってことはだ、あのなにか企んでいるチビが黙っていると思うか?』
九喇嘛がそう言うとナルトは納得した。
「ぜっってー自分も手に入れようとするってばよ!」
『そうだ!そんで手に入れたら影分身と飛雷神の術を教えろと言ってくるに違いねぇ』
「確実にそうなるのぅ。その光景が目に浮かぶ」
九喇嘛と自来也が言う通り、フィンは影分身と飛雷神の術をなんとか習得できないかと考えていた。
影分身の還元の仕組みを使って何倍もの経験値が取れるし、飛雷神の術で楽にダンジョンの行き来ができればいいと考えていたのだ。
「とにかく、明日からラウルにはチャクラの練り方を教える」
「はっはいっす!」
「フィンへの対策はこっちでなんとかしておく。それで良いな九尾」
『フンッ!ナルトとヒナタに害がなければそれでいい。もしなにかしてきたら黙っちゃいねぇがな!』
九喇嘛はそう言って眠りについた。
ナルトとラウルも明日に備えて部屋に戻って寝ることにした。
「さて、フィンには釘を刺しておかんとのぅ」
自来也はそう言って執筆活動に戻ったのだった。