ナルトが投げた手裏剣を槍でさばいていくフィン。
ナルトはその間に次の準備に入っていた。
「多重影分身の術!!」
ナルトは10人の分身を出して全員でフィンに特攻する。
フィンは本体だろうが分身だろうがお構い無しの殺す気で槍を振るう。
何体かの分身は槍に突かれてボンッと消えていく。
しかし分身をいくら減らしても減らしても数が減っている気がしない。
(やはり本体を叩かないと無限ループか)
フィンはそう考えて周りを観察すると1体だけ少し離れた場所にいるのがわかった。
それが本体だと考えたフィンは向かってくる分身の波をすり抜けて本体と思わしきナルトに槍を突き刺す。
「とった!!」
フィンは嬉しさのあまり言葉が漏れてしまった。
しかしフィンが刺したナルトはボンッと音を立てて消えてしまった。
「なにっ!!」
ナルトの戦略にまんまと引っかかってしまったことに気づいたフィンだが、もう遅かった。
分身たちがフィンの足元めがけてスライディングをしていた。
「う・ず・ま・き!」
掛け声とともに足元から分身たちに蹴り上げられて宙に浮くフィン。
ナルトは分身を足場にしてフィンより少し高い位置に飛び、足を思い切り上げる。
「ナルト連弾!!」
その掛け声と共にかかと落としをフィンに食らわす。
フィンはうまいこと槍を間にいれることで威力を和らげることに成功したがダメージを0にしたわけではないので地面に倒れる。
ナルトは倒れてるフィンを見るだけで何もしなかった。
こんな好機に追撃しないナルトに怒りを覚えるフィン。
LV6の第一級冒険者である自分にLV2になったばかりの子供に手加減をされていると考えるフィン。
その考えはあっていた。
LV2のナルトだが、フィンよりはるかに強い。
オラリオの冒険者全員で立ち向かっても簡単に叩きのめせるだけの力がナルトにはある。
なのでナルトはこの戦いは新しく覚えた忍術の練習としか思ってなかったりするが、フィンは知らない。
フィンが息を整えながら起き上がると、ナルトは印を結ぶ。
「火遁!鳳仙花の術!!」
炎が花びらのように散らばりながらフィンを包みこんでいく。
起動が読みにくいのでフィンは何発かくらってしまった。
この鳳仙花の術はイタチなどがよく使っていた。
イタチは炎の中に手裏剣を忍ばせたりしていたが、ナルトにはまだできない。
フィンは槍を杖にしながら立ち、ポーチからポーションを取り出して飲む。
この時もナルトはフィンに何もしなかった。
「ずいぶんと余裕だね、ナルト」
「そんなことねぇさ。殺さないように手加減すんのに必死だってばよ」
「ッ!!なめやがって!!」
ナルトの言葉にフィンは完全にキレた。
「魔槍よ!血を捧げし我が額を穿て!!ヘル・フィネガス!」
フィンは指先に集まった槍の穂先の形をした紅い魔力で自らの額を撃つと、目が紅眼に変化した。
「手加減なんてふざけたこと言えないようにしてやる!!」
先程よりも早く、それでいて強い攻撃が放たれると、ナルトの頬を槍がかすりナルトの頬から血が流れる。
「ふっ」
フィンはそれを見て笑みを浮かべる。
ナルトに攻撃が通ったことが嬉しかったのだ。
しかしその喜びもつかの間、先程つけた頬の傷はポーションも使わずに一瞬で治ってしまったのだ。
「嘘だろ!」
ナルトのこの回復力は尾獣たちのチャクラによるものだった。
元々九喇嘛のチャクラだけでもかすり傷程度ならすぐに完治できるのだが、すべての尾獣が揃っているナルトの今の回復速度は忍びの神とうたわれた千手柱間をも超えているのだ。
「今なんかしたか?」
「化け物が!!」
「なら化け物の力で戦ってやるってばよ。死ぬんじゃねぇぞ?」
ナルトがそう言い終わると、体からポコポコと紅いチャクラが湧き出てきてナルトを包み込む。
やがて紅いチャクラは一本の尾を持つ狐の形をした。
「なんだこの禍々しい威圧感は!!」
離れて見ていたリヴェリアが冷や汗をかきながら自来也に聞く。
「あれが尾獣のチャクラだ。あんなんでも雀の涙程度だがのぅ」
「あの威圧感でか!!」
自来也の言葉に驚くリヴェリア。
今のナルトから感じる威圧感は37階層の階層主であるウダイオスがアルミラージぐらいに思えてしまうほどの威圧を放っていたのだ。
それを至近距離で感じているフィンは足が震えて動けないでいたが、なんとか自らを奮い立たせていたのだ。
「いくぞっ!!」
ナルトがフィンにむかって動くが、フィンは早すぎて目で追えなかった。
でも親指の疼きと長年の感でナルトの攻撃を防いでいくが、一方的になぶられていた。
なんとかして反撃をしようと距離を取ったフィンだが、紅いチャクラが手の形をして伸びてきてフィンを捕まえる。
「なっ!!」
フィンはなすすべなくナルトに振り回され何度も地面に思い切り叩きつけられた。
もうフィンはボロボロで立っているのもやっとになってしまった。
ポーションは先程叩きつけられた時に全部割れてしまった。
回復手段も無く体は満身創痍、魔力も残りわずかでもうフィンに勝ち目はない。
ナルトもチャクラの衣を解除してフィンを見つめる。
「もう勝負はついたろ?」
ナルトがフィンにそういうと、フィンが顔を上げる。
「僕は勇者だ!小人族の希望にならないと行けないだ!!」
フィンは力強くそういう。
「それはみんなが望んでんのかよ?」
「えっ?」
「他の小人族全員が望んでんのかって聞いてんだよ!!」
「ッ!」
ナルトの言葉に何も返せないフィン。
「
ナルトはかつて親友であるサスケの兄、イタチに言われたことをフィンに言った。
初めて言われたナルトはこの言葉を胸に刻んで突き進んでいた。
「皆に認めてもらいてぇって気持ちは痛いほどわかる。でも!だからって何をしてもいいてことにはなんねぇだろ!!」
「何でももってる奴に俺の気持ちがわかるはずねぇだろ!!
フィンの言葉に言い返そうとしたとき、ナルトの前に9人の影分身が立った。
しかしその影分身達は全員瞳と纏うチャクラが違っていた。
『さっきから黙って聞いてりゃずいぶんと言ってくれるじゃねぇか』
『流石の私も頭にきました』
『おでも怒ってる!!』
『何も知らねぇクソガキがっ!ウキーッ!!』
『無知とはここまで罪深いとは』
『こいつ溶かしちゃおう!!』
『俺の角で叩き潰す!!』
『尾獣玉で吹き飛ばすか?』
『ワシ等をここまで苛つかせたのはマダラいらいだな』
先程まで黙っていた尾獣たちが我慢の限界を超えてナルトの影分身を乗っ取り出てきたのだ。
「おっおい!みんな!いきなりどうし『お前は黙ってろ!』っはい!」
止めようとしたナルトは九喇嘛に怒鳴られて大人しく見ていることにした。
『おいガキ、ナルトが最初から何でも持っているとか言ってたな?』
「あっああ。それだけの力があるんだから手に入れられない物はなかっただろうさ」
フィンはいきなり出てきた尾獣たちに驚きながらも答える。
尾獣たちはフィンの答えを聞いて怒りでチャクラを荒げる。
『そんなわけねーだろが!!』
九喇嘛が声を荒げてフィンに怒鳴る。
ナルトが生まれてから今までずっと腹の封印の中でナルトがどんな扱いを受けてきたのかをずっと見てきた九喇嘛。
フィンの言葉に怒りがこみ上げて今にもフィンを殺してしまいたくなる衝動に駆られている気持ちを必死に抑えているのだ。
それは他の尾獣たちも同じだった。
人柱力の扱いはどの里も同じで、人柱力となった者たちがどんな扱いを受けてきたのかを長年見続けてきていたのだ。
『お前には口で言ってもわからねぇだろから体験してこい』
九喇嘛はそう言いながらフィンに近づくと、頭の上に手を置いた。
フィンは何が始まるのかと警戒していたが、眼の前が真っ暗になった。
『お前がなんでも持っていると言ったナルトの過去を見せてやる』
九喇嘛の言葉とともにフィンの意識は遠のいていった。