メスガキがBackroomsにざーこ♡ざーこ♡する話   作:聖剣エクスカリバー

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ガチでヤバいエンティティに遭遇?! Level 9 “The Darkened Suburbs”(暗闇の郊外)

「チカたん大ふっか〜〜つ♡」

 

コメント:

【うおおおおおおおおおおおおおおおおおおお】

【待ってた】

【かわいい】

【生きてる…】

【本当に良かった】

 

 西洋風のリビングの中で机に腰掛けるチカは、てへっとポーズを取りながら言う。

 

「昨日は間違えて死んじゃったみたいだね♡ 心配かけてごめんね♡」

 

コメント:

【許さん】

【かわいいから許す、やっぱり許さない】

【心配どころじゃねーぞ!!!】

【あんな配信の終わり方で正気を保てると思う??】

【なんで予め説明しなかったの?】

 

「うーん……昨日の朝からの記憶がないから、その時の私に言って欲しいな。何が起こったか自体は、スマホの記録で知ってるんだけど」

 

 チカは悪びれもなくそう告げる。

 

コメント:

【え?】

【そうなんだ……】

【復活の副作用みたいな感じ?】

【いやでも、そういう話じゃないんだよなぁ】

【死なないこと知ってたら俺たちがどれだけ楽だったか】

 

「いや、死んだけどね。昨日までの私は、もういないよ。最新のデータをもとに、死体ベースで最初から作り直したみたいな感じだし」

 

 淡々とそう告げるチカに、コメント欄は凍りつく。

 

コメント:

【え……】

【ほんとに言ってる?】

【嘘だろ?また俺たちを揶揄ってるんだろ?】

 

「あはは♡ こんな揶揄い方、私はしないよ」

 

 暫くの間、静寂が訪れる。照明のじりじりという音がやけに響いた。

 

 誰もコメントを打つことすらできない中、1人の視聴者が、あっけらかんとした様子のチカに問いかける。

 

コメント:

【平気なの?】

 

「……じゃあ、聞くけどさ。みんなは、眠るのが怖くないの?」

 

 淡々と続ける。

 

「連続してた意識が途切れて、朝起きた時には今とはちょっと変わった身体、ちょっと変わった記憶と意識になってる。昨日と同じ自分だって思ってるかもしれないけど、昨日の夜寝る前の自分はもうどこにもいないんだよ。それって、私が死んでから復活するのと何が違うの?」

 

コメント:

 

 

「まあ、確かに最初は怖かったけどね……何度も“復活”を経験してるうちに慣れちゃった♡ ……もう、今更どうでもいい。それより、私は楽しくて刺激的なことが沢山できればそれでいいかなって♡」

 

 思い出したようにチカは「あっ」と指を立てて、付け加える。

 

「確かに、初日にこのこと説明しなかったのはごめんね。今度はちゃんと大事なことは先に言うね♡」

 

 誰も心の整理をできぬままに、チカはLevelの紹介を始める。

 

「ここは夜の住宅街、Level 9 “The Darkened Suburbs”(暗闇の郊外)だよ♡ 外の道路はほぼ真っ暗だしエンティティがウジャウジャ居るから危険だけど、家の中は100%居ないから安全♡ 屋内の人間はエンティティに認識されないし、すぐ家に逃げれば寧ろ安全なざこレベル♡」

 

 暫くしてから、ぽつりとコメントが流れる。

 

コメント:

【雨が降ってなかったっけ】

 

「あー、確かにフェリィの配信では雨降ってたね。ここ、気候変動があるLevelなんだよね。いつもかなり肌寒いのは共通点かな♡ おじさん達は頑張って頭をあっためなきゃね♡」

 

コメント:

【今ハゲ弄りしたか?】

【超えてはいけないラインがあるんだよなあ】

 

「ひゃ〜♡ おじさんたち怖いよ〜! お月様なのに直接お仕置きしないで!」

 

コメント:

【相変わらずキレッキレやな…】

 

 チカは家の中をテクテクと歩き出し、全体を外カメで映して行く。家の中の電球はすべて割れているか機能していないので、背後に光の球を出現させていた。

 

コメント:

【チカたんもその光出せたの?】

 

「うん、そうだよ♡ 使う機会がなかっただけ♡」

 

 ……歩く度に床材が軋む音が響く。風がばたばたと窓ガラスを揺らす音が何処からか聞こえる。遠い所から、金切り声と雄叫びを織り交ぜたような異音が微かに聞こえる。

 背後の光源はチカの形の影をくっきりと、くたびれた木の床に写し出す。進む度に映るのは、一般的な西洋住宅として差し支えない普通の内装。だが、その妙な生活感の無さや家具の配置に違和感がふつふつと湧き起こる。

 

 2階に上がり、寝室らしき部屋に足を踏み入れる。ベッドの横の机には、人間にしては大きすぎる編みかけのマフラーが放置されていた。

 

コメント:

【なにあれ】

【デカすぎんだろ…】

 

「たまにデカい編み物あるけど、使えないし全然気にしなくていいよ♡ あ、メタボおじさんの汗臭腹巻きにはなるかもね♡」

 

 そのままベッドの反対側を確認したチカは、ゴミ箱を見て「あった♡」と声を上げる。

 中にはかなり大きなサイズの缶詰めがギッシリと幾つも詰まっており、ゴミ箱をひっくり返して床にぶちまけた。

 

コメント:

【缶詰もでかいな】

 

 ベッド脇のデスクにスマホを置き、缶切り(¥500)を手元に出現させたチカは、缶詰めを開けて中のものを取り出した。

 

「銃♡」

 

コメント:

【銃?!】

【それで戦えってことかッ!!】

 

 黒光りする鉄の塊をくるくると回し、時折ガチャガチャと弄りながらぶつぶつと呟く。

 

「自動式か…口径は…あー、380が二百発はあるっけ…まあ状態は良好だけど…」

 

コメント:

【手つきが慣れ過ぎてるw】

【マジかよチカたん】

 

「いらない♡」

 

 ポイっと投げ捨てられた銃は、ベッドにぽすんと音を立てて沈む。

 

 

 

「その時ファイアソルトがポップコーンみたいに弾けちゃってさぁ…でも次は絶対成功させるから、いつか配信で……あ、これで終わりか」

 

 それから暫く雑談しながら物色が行われ、結果的に二つの銃がチカの“もちもの”に加えられた。

 

コメント:

【ヤバ】

【草も生えない失敗エピソード】

【わたあめ作りの雑談しながら実銃を物色する配信とは】

 

 立ち上がったチカは、ぐぐぐと伸びをする。

 

「んん゛〜ぅ……ふぅ♡ じゃ、早速お待ちかねの戦闘タイムにしよっか♡」

 

コメント:

【お待ちかねじゃない件】

【マジでやめて】

【軽くトラウマなんだが】

【もう死ぬの見たくない】

【やめてくれ】

【視聴者が望まない映像を放送するんか?】

 

「だって、私がやりたいんだもん♡」

 

 準備体操をしたチカは、スマホを胸に装着し、両手にそれぞれ別種の拳銃を握っり、にひひ♡と笑う。

 

「今まで銃弾が貴重だからあんまり使わなかったけど……よく考えたらもう“買えちゃう”んだよね♡」

 

『これ何言っても無駄なやつや』

『あ、音声モードになった』

 

 タタタッと走り出したチカは、なんと窓ガラスを突き破って道路に飛び出した。

 道路は暗く、点々とある街灯だけが仄かに光を放っていた。五点接地で綺麗に降り立ったチカの背後から、ドタドタと複数人が走る様な音が響く。振り返ると、大量の四肢が絡まって組み合わさった塊が、何度も地面を叩きながら排水溝から捻り出て来ていた。

 

「あれは“クランプ”、ゴミ箱とか排水溝みたいな狭い所によく居るよ♡」

 

 クランプは駆ける猛獣の様な速さで迫り来る──が、チカはそれをギリギリで躱す。

 

「見た目の割にはクソ速いし、腕もクソ伸びるから超危険♡」

 

 それでもぐにょりと方向転換して伸びてきた2本の腕へ向け、チカは拳銃を連射する。パスッ!パスッ!と音を立てて銃弾が腕に食い込むと、クランプの動きが一瞬止まる。

その隙を見逃さず、チカは拳銃を“しまって”、蓋が開いたファイアソルトの瓶を“取り出し”、中身を振り撒く。クランプは火だるまになって悶え苦しみ、ドタドタと逃げ出して行った。

 

「大体のLevelではお腹空いてる時にしか攻撃してこないから、実質的な危険性は下がるためザコ♡」

 

『ガチでヒヤヒヤする』

『どう考えてもザコじゃねぇ』

 

 走り来るハウンドの群れを雑にヘッドショットで処理してから、チカは指先でくるくると銃を回す。

 

「あはは♡ ザコばっかで──」

 

 

 金属と金属が噛み合わさるような異音が鳴り響いた。

 

 

 画面が唐突に真っ暗になる。

 

『は?』

『え』

『まさか』

 

 視聴者が勘違いしたのも束の間、画面の中央に空中に浮いた二つの眼球と鋭く合わさった歯が映し出される。

 

「3連ばきゅん♡」

 

 リズミカルな爆音の後にバラバラに弾けて地面に散らばった眼と歯は、チカが再び光を付けると消え去った。

 

「今のは“スマイラー”、暗い場所にしか現れない歯と目だけの存在だよ♡ 光に向かって直進する性質があって、パニックになったり音を立てたりすると凄く攻撃的になるから要注意♡ 勿論光源を投げ捨てればそっちに向かってくから、冷静に対処できれば普通にザコ♡」

 

『ふぅ…』

『あ、光だけ食べられたのか』

『怖すぎる』

『ガチで心臓に悪い』

『マミったのかと思った』

『今からでもやめませんか?』

 

 その後、スキンスティーラーやデスモスの群れ、鼠の大軍を電動スケボーとファイアソルトも駆使して軽々と撃破していく。

 

『もはや何かのゲーム映像に見えてきた』

『いや強すぎだろ…』

『腰抜かしてあわあわしてた誰かとはえらい違いだな』

『まあ戦闘だけなら安心してよさそうかも』

 

 流石に数で押されるとキツいものがあり息を荒げるチカだったが、襲い来るエンティティの流れは止まったように思えた。周囲のエンティティが狩られ尽くしたのだろう。

 

「はぁ…はぁ…(あはは♡ ざ〜こざ〜こ♡ こんなに一杯エンティティ居るのに女の子1人も倒せないんですかぁ〜?♡ 信じられな〜い♡♡)」

 

 口に手を当てて心底楽しそうに言っているが、その声は囁く程度に小さい。光も消して街灯の明かりの外に立っていることからも、そろそろ撤退しようとしていることを視聴者も察してコメントを慎む。

 スマホを胸に取り付けたポケットから外したチカは、インカメにして画面に向かってウインクする。

 

「(じゃ、色んなエンティティも撮れたしそろそろ次のLevelに行くね♡)」

 

コメント:

【後ろ】

 

「(んひひ♡ もう引っかかんない──)」

 

 画面の中で、一つ眼にひょろ長く赤い足が直接生えた蜘蛛に似た形の巨大なエンティティが、背後の民家を跨ぎながらチカを凝視していた。

 

 即座に振り向いて眼球に向かって発砲するが、鈍い音を立てるだけで動きは止まらない。長い足が突き刺す様に高速で放たれたかと思えば、配信がぷつりと終了した。

 

コメント:

【うわ、、、】

【だから言ったのに……】

【また、死なせてしまった……】

 

 

《 勝手に人を死んだことにしない! 》

 

 

【え、チカたん?!】

【生きとったんかワレェ!!】

【mjk】

【生きてたー!!】

 

《 アイツは視覚と触覚は鋭いけど聴覚と嗅覚がないから、咄嗟にゴミ箱の中に瞬間移動したんだよね 》

 

【??】

【しゅ、瞬間移動?】

 

《 空きスペースが足りないのに無理矢理モノを取り込もうとすると、逆に私がそのモノの中に入っちゃうんだよね。今までの配信で色々買ったのもあって、大きなゴミ箱は入らなくなってて良かった! 私が取り込める範疇にある大きさで中が空洞のモノが近くにあって、しかも容量が足りないときだけ使える奥の手だよ 》

 

【なるほど…?】

【めっちゃギリギリやんけ】

【え、空洞じゃないものでやったらどうなるんですか??】

【うーん、使い勝手悪いな】

【配信止めたのはスマホしまって光漏れを防ぐためか】

【え、ならなんでコメント書き込めてるの?】

 

《 そりゃ、私のスマホは特別だもん 》

 

【そういえば前言ってたな】

【異世界から配信しできること自体おかしいしね】

【今どんな感じ?】

【まだ近く居る?】

 

《 今遠ざかって行ったよ。いきなり姿が消えたら、普通もう同じLevelにはいないのがBackroomsだし 》

 

【良かった…】

【出る時も気をつけてね】

 

 

 

 配信が再開されると、道路から逸れてテクテクと野原へと歩き出して行くチカがぼんやり映し出された。

 

「ふぅ……あー、楽しかった♡」

 

 少しずつ、画面が明るくなっていく。




第一話を投稿した時点でのストックはここまででした。なのでこれ以降、投稿頻度は落ちます。ご了承下さい。それと、今後のレベル紹介は順番通りではなくなります。

ところで、本作を投稿する前に軽いテストとしてメスガキものの恋愛短編を出したんですが、興味があったら読んでみてください。5000字ぐらいですぐ読めると思います。
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