メスガキがBackroomsにざーこ♡ざーこ♡する話 作:聖剣エクスカリバー
Level 1を雑談しながら暫く探索して、金属製のドアを見つけたチカ。その内側には、壁や天井にパイプが走る長細い通路が伸びていた。
「Level 2 "Pipe Dreams"(パイプの夢々)…!!」
中に入ると、ムワッとした暑い空気がチカを包み込む。パーカーを思わず脱ぎ、中身の黒Tシャツを晒しながら口を開く。
「うわ、あっつ〜♡ これ、31度ぐらい?」
コメント:
【シャツ姿キタ!!】
【ほんの少しは“ある”か…?】
【真夏日やん】
【劣悪な環境だな】
【湿度も凄そう】
パーカーを仕舞ってから、指にふっと息を吹きかけた。
「……湿度は92%かな? かなり不快度指数ヤバいね♡ まぁ、サウナ好きのドMおじさん達なら逆に快適かもね♡」
コメント:
【体感だけで温度と湿度把握できるの強すぎる】
【サウナはもっと暑くてカラカラだぞ】
【ド、ドMちゃうわ!!】
【普通に危険すぎて草】
パイプにスマホを向けながら、表面を軽く手のひらで触る。
「熱ッ♡…Level 2は見た目通りパイプだらけの通路のレベルなんだけど、この暑さはパイプの中を流れてる高温の蒸気が原因なんだよ♡ 今このパイプに穴空いたら……多分死ぬ♡」
コメント:
【ヒェッ】
【こわすぎ】
【Backrooms君さぁ…】
【本当にもっと気を付けてくれ】
【エンティティは居る?】
「エンティティは、会いにくいけどこれまでのレベルよりは多いよ♡ それに、このパイプは奥に行く程増えて気温が上昇していくから、かなり危険なレベルだね♡ 早めの脱出が重要だけど、脱出用の扉は結構大量にあるよ〜♡」
そんなことを言いながらも、チカは隣の扉を無視してテクテクと進んでいく。
コメント:
【早めの脱出が重要とは…?】
【でもそんなの関係ねぇ!】
【早く脱出した方がいいよ】
「早く脱出しないのかって? う〜ん、一応皆に色々見せてあげたいし…流石にもう少し映してから別のレベル行こっかな♡」
このレベルには見せたいものがあと一つあるのだ。
とはいっても暑いものは暑く、雑談の途中で「うひ〜…」と舌を出しながら服をぱたぱたする。
コメント:
【もう汗ばんできたね】
【おへそ……見え……】
【いいねぇ舐めたいグヘヘ】
【みんなちょっとキモずきるぞ】
「うわ、キンモ〜♡ せいぜい自分の汚い汗で濡れた画面でも舐めとけ♡」
コメント:
【てか、俺の汗って99.9999%の成分がチカたんのと同じなのか。prpr】
【キモ…】
【キモ…】
「キモ…」
格の違う変態を見て我が振りを直したのか、他のキモコメント達も鳴りを潜め始める。
チカとしては、視聴者が無意識に大きすぎる恐怖の捌け口としてキモコメントを打っている面を理解しているので、そこまで嫌ではないのだが。
「ってかマジ暑い、ちょっと水飲むね」
虚空に手を伸ばして、瓶の様なものを掴んだ。
「あ、そういえばまだアーモンドウォーター紹介してなかった!」
瓶を開けると、その中身をスマホで映した。
「アーモンドウォーター、Backroomsのそこら中で見つかる飲料だよ♡ 疲労回復、精神異常の緩和、ある程度のエンティティ撃退が出来るちょ〜便利な水♡ たまに危険なのもあるから要注意♡」
コメント:
【美味しそう】
【謎の白い液体…】
【便利すぎて草】
【俺も欲しい(残業中)】
【そんなのもあるんだ】
「……ん? 残業中?」
コメント:
【確かに草】
【だって!! 休憩時間にこんなん見ちまったら!! 辞められねぇじゃんか!!】
【ならしゃーねーわ】
【寧ろかわいそう】
「あはは、確かにそうかも♡ でも他の人に見られても画面は真っ黒だから、安心してね♡」
コメント:
【えぇ…】
【そんなことまで対策してんのか】
【てか、なんのためにそこまでしてんの?】
「うーん。視聴者の爆増と、一つの接続で2人以上が見るのを防ぐためかな。なんでかは、おじさん達の精神に配慮して説明しないけど……でも、今のままなら“見たせいで何かがある”ことはないよ♡」
コメント:
【そ、そうなんだ…】
【確かにそれはありがたい】
【俺たちの安全とか考えてくれてたんだな】
「ふふーん♡ それくらいの責任感はあるよ、私♡」
雑談しながら、たまにアーモンドウォーターに口をつけながら歩く。合計で10分程度は移動していた。
コメント:
【ねぇ大丈夫なの?】
「うん、全然。けど汗キモい……」
アーモンドウォーターのおかげで体調や体力的には問題ないが、汗の量は異常なことは誰の目からも明らかだった。
コメント:
【アーモンドウォーターが有能すぎる】
【ほんとに大丈夫なん】
【沢山飲んどけ】
【サウナで啜るアーモンド汁は美味そうだな】
「はぁ、おじさん達も意味不明だよね。何が楽しくてこんな暑苦しい部屋に集まってるワケ? てか、汗かいたおじさんだらけの部屋とか想像するだけでキモすぎるんですけど……」
コメント:
【サウナは健康にいいんだぜ】
【俺も行ったことない】
【まあ諸説あるけどメリットはあるよ】
【気持ちいいだけじゃないの?】
【そういえば美容にいいらしいな】
呆れ顔でコメントを眺めていたチカだったが、美容の情報を見るとパッと目を輝かせる。
「え! なになに?! 美容にいいの?!♡」
コメント:
【ええ…】
【なんだその食いつき】
【ダイエットになるとかかんとか】
【↑アレは一時的に水分が減るだけだぞ】
【発汗で毛穴が開いて、皮膚にたまった老廃物が排出されるよ。あと、血行が良くなって美肌効果も期待できるらしい】
「ふーん…♡」
満更でもない、といった表情のチカ。
コメント:
【こんなに可愛いのは努力の成果でもあるんだな】
【チカたんえらい!】
【最近の女の子はマセてるなぁ】
「ならまあ、サウナおじさんの気持ちも分からんでも──あ!」
その時、やっと目当ての場所を見つけた。
円形の広大な部屋の中央には、柱時計の様な意匠の施された機械が置かれていた。絶え間なく動き続けるそれに、スマホを翳す。
「あった!! 最初にドデカい不運があったせいか、ちょっと運いいね♡ この機械、蒸気で動いてるみたいなんだけど……なんのためにあるのか、何をしてるかまでほぼ意味不明♡ 」
コメント:
【デッカ!】
【ボシュボシュいってる】
【ラスボスが後ろから出てきそう】
【うわ蒸気やば】
「よし、クソ暑いからこれで撤収〜〜♡」
アーモンドウォーターを飲み干したチカは、そそくさとその部屋から立ち去った。早歩きで元来た道を戻り始める。
道の脇にあった扉から次のレベルに駆け込み、チラチラと辺りの安全を確認すると、大きく息を吐きながら自分が閉めた扉にもたれかかった。
「ふぃ〜……めっちゃ涼しい〜……♡」
コメント:
【しばらく休もう】
【大丈夫? おじさん化してない?】
【服びしょ濡れだよ】
【水風呂あれば良かったのにね】
《お疲れ様! ¥2000 》
【ようこそサウナの世界へ】
もう一本アーモンドウォーターを取り出して、それをゆっくりと飲んでいく。その途中で、ハッとしてスマホのカメラを押さえた。
「あ! す、透けてないコレ…!?」
謎の心地よさから現実に戻され、鏡を取り出して確認する。幸い下着が透けていないことを確認すると、チカは無い胸を撫で下ろした。
そしてスマホを持ち上げ、一旦配信を中断することを伝えるのだった。