メスガキがBackroomsにざーこ♡ざーこ♡する話   作:聖剣エクスカリバー

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危険なエンティティにざぁこざぁこ♡ Level 3 "The Electrical Station"(電気局)

「てことで仕切りなおして、Level 3 "The Electrical Station"(電気局)の探索始っじめっるよ〜♡ 」

 

コメント:

【うおおおおおお!!!】

【安定のかわいさ】

【シャワー浴びた?】

【キタ──(゚∀゚)──‼︎】

 

 レンガ造りの壁にコンクリートの床。壁や天井には少しだけパイプが走り、中には亀裂が入り白い液体が滴り落ちているものもある。点々と設置された扉の奥からは、機械の駆動音が響いていた。

 

「で、歩き始める前になんだけどぉ…」

 

 予めパーカーの胸部に吊るしておいた収納ポケットに、スマホを横向きで差し込む。

 

「よいしょっと。これ、見えてる?」

 

コメント:

【見えてる】

【見えてる】

 

 もう少し“何か”が膨らんでいたら、傾斜がついて見えにくくなっていただろう。流石にそれを指摘しようとする程のノンモラルおじさんは居なかったが。

 スマホを取り出してコメントを確認すると、そのまま画面を弄り始めた。

 

「さっき貰ったお金で買ったんだ〜♡ このレベルは流石に両手開いてないとね♡ でも画面見れないから……よし、これでコメントしてみて!」

 

『オッス、オラ社畜』

『チカたんかわいい』

 

 抑揚のない割と早口の機械音声が、比較的小さい音ではあるがスマホから発せられた。

 満足気に頷いてチカはスマホを再びポケットに差し込んだ。

 

「これでまだ話せるね♡」

 

『マジか?!』

『どんだけ雑談したいんだ…』

『エンティティに見つかったりしないの?』

 

「大丈夫だよ、すぐに音量調節できるようにしてあるもん♡ けど…“黙って”って言ったら、コメントやめてね?」

 

『了解』

『気をつける』

『命知らずすぎだろ…』

 

「それで、このレベルはエンティティが沢山出てくるんだけど……今回は、戦っていこうと思いますっ♡」

 

『え』

『大丈夫なの??』

『やめとけ』

『どうやって戦うの?』

 

「武器はこれ! てってれ〜! ファイアソルトぉ〜!」

 

 そうして取り出したのは、赤い大粒の砂が入った瓶だ。

 

『チカえもん…』

 

「衝撃を加えると火花を立てる便利な砂♡ エンティティの撃退が主な使い道だけど、料理、煮沸消毒にも使えちゃう♡ Backroomsでよく見つかる便利アイテムその2♡」

 

 左手に瓶を持ちながら、今までより慎重に歩いていく。ニつ目の曲がり角を覗き込むと、早速一体のエンティティを発見した。

 

「(あ、もう居る……このレベルはエンティティが結構多いよ♡ メタボおじさん達は美味しい餌になるだけだね♡)」

 

『囁き声きた』

『声だけでかわいい』

『マジで気を付けてね』

『唸り声聞こえる』

 

「(あれは“ハウンド”、人面犬の様な見た目と鋭い爪牙が特徴的だよ♡ 唸り声が聞こえたら大体こいつ♡ 噛まれたら一発アウトで仲間入りだけど、睨みつけると少しの間ビビるから所詮隙だらけのザコ♡)」

 

『ザコかなぁ…』

『見た目こっっっわ』

『後ろも気を付けて』

 

 周囲の安全をもう一度確認してから、チカは壁から飛び出した。

 

「てわけで今度こそ喰らえ、“鋭い眼光”!!」

「グルルルォォオ!!!」

「デスヨネー」

 

 襲い掛かかろうと走り出すハウンドの鼻頭にファイアソルトを当て、文字通り出鼻を挫く。怯んだ隙に更に連続で浴びせ、火だるまにしてしまうのだった。

 

「ざ〜こ ざ〜こ♡」

 

『グロ』

『うわ』

『怯んでなくない?』

『今度こそ…?』

『なんらかの愛護団体からクレーム来そう』

『かわいすぎて睨んだ判定になってないのでは?』

 

「も〜、うるさいうるさい! 別に怯ませなくても余裕で勝てるし〜!!」

 

 気を取り直して、再び歩き始める。

 

『犬になったチカたんにほっぺたぺろぺろして貰いながら他愛のない日常を過ごしたい』

『キモ』

『キモ』

「キモ…ッ」

 

 部屋の中身を撮影していくと、中では様々な機械が動作していた。常に稼働し続けるそのマシンには、エネルギーの供給源らしきものはない。

 

「……何の機械なんだろ?」

 

『名前的には変電とか配電する場所だけど』

『これも意味なんか無いんだろうな』

『下がって!』

 

「え──きゃあっっ?!」

 

 二歩後ろに下がった途端、機械の一部が破裂して大量の蒸気を噴出した。あと少し前にいれば、大火傷を負っていたかもしれない。

 

「……っ…」

 

『装置のあかんメーターが今やばい動きしてた』

『大丈夫?!』

 

「……大丈夫。忘れてた、ここの機械は迂闊に近づいちゃいけないんだよね……」

 

『び、ビビった』

『怖』

『マジで気を付けてよマジで?!』

『心臓止まるって』

 

 少し声が震えてしまったことに気が付いたチカは、誤魔化すように、煽る声を作る。

 

「ざっ……ざーこざーこ♡ ビビりおじさん多すぎ♡」

 

『いやチカたんも相当ビビってただろ!』

『マジに怖がる声初めて聞いたかも』

『誤魔化しが下手すぎて草』

『有識者ニキに感謝すぎるな』

 

 劣勢を感じたチカは、すかさず歩き出して話題転換を図る。

 

「えぇっと、そういえば──」

 

 ふと、背後から聞こえた遠い声に振り返った。

 

「ん〜…?」

 

『なんか聞こえるな』

『人?』

『走ってくる』

『気を付けて』

『コイツもしかして…』

 

 はっきり見えるようになると、チカはアーモンドウォーターの瓶を取り出した。

 

「Hello〜」

 

 手を振りながら走ってくるそれは、金髪で高身長の外国人の姿だった。

 そして、あと数m程まで迫ってきた時。

 

「えいっ♡」

 

 アーモンドウォーターをかけられたそれは苦しみだし、ボロボロと表面が崩れ落ちる。その中から現れたのは、“肌”の塊の様な人型のエンティティだった。

 

『うわ』

『ヒェッ』

『うわ』

『パツキン兄ちゃんが』

 

「あははっ♡ あれは“スキンスティーラー”、文字通り人間から皮膚を剥ぎ取ってくるエンティティだよ♡ 本来は分厚い皮膚がゴワゴワ巻き巻きのキショい見た目なんだけど、殺した人間に変身できるから注意♡ 背が高くて白目の人間が居たら大体こいつ♡ 声真似で騙そうとしてくるけど、アホすぎて会話ができないからバレやすいザコ♡ …ってことで、えいっ♡」

 

 追撃のファイアソルトを浴びせる。

 

『なんでもザコ判定やん…』

『グロい』

『マジで地獄みたいな場所だな』

『スキンスティーラーって語呂いいね』

 

 もがき苦しみ、灰になっていく皮膚の塊。

 それに向かって、また頬に手を当て生意気げに囁く。

 

「ざぁこ ざぁこ♡」

 

『お決まりやね』

『これやってくれるならエンティティも本望だろ』

『俺も一緒に! ざぁこざぁこ♡』

『なんだかんだで強いよな、チカたん』

 

 ふぅ、と息を吐くチカ。

 

「それにしてもスキンスティーラーって、普段から自分を隠してマトモなフリして生きてるおじさん達っぽいよね♡」

 

コメント:

『急に刺してくるな』

『あべしッ!!』

『やめてくれチカ、その言葉は俺に効く』

『ぐはっっっ』

『本当の俺ってなんなんだろうな…』

 

「よしよし♡ ざこざこなのが本当の自分だからね♡」

 

コメント:

『そうか、それが真実……』

『人間はみんなざこなのである』

『“深い”な──』

 

 

 そのままエンティティと戦闘しつつ探索を続けるチカだったが、割とすぐに出口を見つけることが出来た。とはいっても、1時間程度は歩いたのだが。

 

「お、エレベーター発見♡ これでこのレベルともおさらばだね〜♡」

 

 スマホを取り出して、インカメにしながら久しぶりに文字として流れるコメントを読む。

 

コメント:

【久しぶりのお顔!!】

【可愛い!】

【かわいい】

【チカたんだけが癒し】

【キャワイイねえ】

 

 ③④⑤と並んでいるボタンの④を押し、チカは僅かな浮遊感を感じた。

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