メスガキがBackroomsにざーこ♡ざーこ♡する話   作:聖剣エクスカリバー

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絶体絶命の大ピンチ?! Level5 "The Hotel"(ホテル)

 Level4に来る時に使ったエレベーターに戻り、今度は⑤と書かれたボタンを押す。これ以上の階層を示すボタンは無かった。

 チーンと音を立てて開いた扉の先に足を踏み入れながら、カメラをゆっくり回していく。

 

「お次はLevel 5 "The Hotel"(ホテル)だよ♡ 変なことしなければ全然よゆ〜なザコレベル♡ 見た目は1900年前半の高級ホテルで、結構雰囲気良いよ♡」

 

コメント:

【綺麗だなぁ】

【クオリティ唐突に爆発してて草】

【バックルーム君急にやる気出し過ぎだよ〜】

《 キリ良いし投げ銭させてー ¥300 》

 

「うわ、小っさ(額が)♡ お金無さすぎ♡ そんなんだから誰にもモテないんだよ♡」

 

コメント:

【うぎゃゅああああああああ】

【罵倒されるのが目的だろお前!】

 

 チカは生意気に笑いながら、テクテクと異国情緒のあるカーペットの上を歩いく。

 鮮やかな装飾を暖かい色合いの光が照らしていた。壁には番号のある札が吊り下げられた個室の扉が並んでいる。

 

「貧乏独身おじさん達には馴染みない景色かな?♡」

 

コメント:

【くっ…】

【か、海外旅行童○ちゃうわ!】

【今日はここで泊まるの?】

 

「(どうまる…?)うーん、ここで泊まるのもいいけど……まだ暫く歩けそうだし、ここから二つ先のレベルまでは行こっかな♡」

 

 通路の別れ道に当たったチカは右に曲がる。

 見知らぬ場所を彷徨い歩く時、専ら人間は別れ道において左を選択する……という風説がある。が、手掛かりがないとき割とチカは右方向を選ぶ方だ。あえて逆を選んでいる訳でもないし、特にその風説を知っている訳でもないのだが。

 

コメント:

【トイレ休憩はしなくていいの?】

【そういえば一回もトイレしてなくない?】

 

「……それは乙女の秘密ね??」

 

コメント:

【アッハイ】

【触れちゃいけん奴や】

【待って目が】

【チカたんは大も小もしない!!それこそが真理!!】

【もったいない】

 

「あ、気づいた? あの絵画の目、今私を追ってたよね〜♡ 実はこの空間には謎のイカ?が居て、こうして何かに擬態して怖がらせてくるんだ♡」

 

 チカは中年男性が描かれた絵画に近づいた。荘厳な瞳で冷ややかに見下ろす瞳は、まるで何もかもを見透かして来る様な──そんな絵画の前で、チカはスマホを顔の前に掲げながら身体を左右にフリフリと揺らした。

 

「あはははっ♡ ほら、見てる見てる〜〜♡ こんな子供をじっと見つめて、変態さんなんだね〜♡ キッモ〜♡」

 

コメント:

【ヒェッ】

【やばいって】

【アカーーーン】

【何しとんねーん!?】

【あわわわわ】

 

 視聴者には見えないが、手を口に当てて例のポーズをとる。

 

「散々煽られてるのに何にも出来ないね♡ 大人なのにダッサ〜♡ ざぁこざぁこ♡♡」

 

コメント:

【ここまで出来るの逆に凄いな!?】

【若干絵画赤面してない?】

【ようこそこちらの世界へ】

【怒ってるだけだと思うよ…?】

【よし、俺の罵倒フォルダがまた潤った】

 

「あ〜面白かったぁ……このエンティティ、攻撃力は0だから煽るのにオススメだよ!」

 

コメント:

【絶対やらん】

【出来るかっ!!】

 

 チカがクスクス笑ってから目を開くと、周りの壁から盛り上がる様にして3つほどの顔が浮き出た。

 それらは一斉にチカを見つめると、怒りの籠った声を口々に発した。

 

『『『ロビーに行け』』』

 

「あー、伝え」

 

『『『ロビーに行け』』』

 

「ロビーは」

 

『『『ロビーに行け』』』

 

「コイツら怒」

 

『『『ロビーに「うっさい!! 配信の邪魔!!!」

 

 ファイアーソルトをシャシャシャと投げると、同時に顔達は燃え上がり、ポトポトと焼きイカの姿になって床に落ちた。僅かに食欲を唆る匂いが漂って来る。

 

コメント:

【エグい】

【イカ怒らせた?】

【地味に鬼エイム】

【正直ちびった】

【逃げた方がいいよ】

【ロビーがどうしたの?】

【焼きイカ 】

 

「ロビーに行くと、基本的に帰れないと思った方がいいよ♡ 私も行ったことないし…正直、私でも生きて帰れるか分かんない♡」

 

コメント:

【それはやばいな】

【一体何があるんだロビーに】

 

 チカは傷一つない壁を指差す。

 

「ほら、さっきの焦げ跡。無くなってるでしょ? 汚れとか傷跡が勝手に修復するんだよね。実はこの建物、生きてるかもね〜♡」

 

コメント:

【マジか】

【やっぱ行きたないわこんなホテル】

 

 時折曲がり角の奥から足音が聞こえたり、明らかに怪しい矢印が描かれた絵が飾られたりしていたが、それらを全く気にすることなくチカは進んでいく。

 

 大きな正方形の部屋や、機械で埋め尽くされたボイラー室を通ったりしながら、途中、通路の壁に人間が入れそうなほどの穴がぽっかり空いているのを見つけた。

 チカはその穴の反対側の壁に沿うように歩き、穴の丁度前で止まる。

 

「こういう所に居るんだよね…。今から虫映ると思うから、苦手なよわよわおじさんは目閉じててね♡」

 

コメント:

【え】

【ちょま】

【e】

 

「ズームするね……見えたかな♡ あの穴の中にウジャウジャいるのは“デスモス”、蛾のエンティティだよ♡ 小さくて弱くて飼うことすらできちゃうヨワヨワ雄と、それより何倍も大きくて酸も吐く凶暴な雌に分かれます♡ 娘と妻に嫌われてるキモATMおじさん達はシンパシー感じちゃうね♡ 怒らせると集団で飛んでくるし酸もかなり危険だけど、所詮は光に誘導されちゃうザコ♡」

 

コメント:

【キモすぎんだろ】

【ヴォェ】

【かvんいっぱty】

【ざけんな】

【きもい】

【あーもー】

 

 そうしてチカは少し目を瞑り、ピコーンと閃いたように人差し指を立てた。

 

「そうだ! さっき貰ったお金使って、凄い事しちゃお〜♡」

 

 掌に現れたのは、ネズミ花火(¥283)。軽くファイアソルトの粉を着火部分に擦り付ける。

 

コメント:

【おい】

【アカン】

【チョマてよ】

【やめろぉぉぉおぉおぉぉぉ】

 

「えい♡」

 

 猛回転しながら穴に吸い込まれていくネズミ花火。シャーシャーバタバタと色々何かが暴れ回る音の後、少しの静寂が訪れ──大量の蛾が飛び出して来た。

 

コメント:

【ギブです】

【えぐ】

【いやああああああああ】

 

「逃げろ〜♡♡」

 

 電動スケボーを取り出し、最大速度で走り出す。

 同時にスマホの画面を注視し、後ろから飛んでくる酸の球をインカメによりスイスイと躱していく。

 

コメント:

【ガチで何がしたいんだ???】

【分からん……】

【音も映像も消してコメントだけ見てる俺、高みの見物】

【この子ガチで人間離れしてないか?】

【普通に凄くて草】

【弾幕ゲーかな?】

 

 次第に距離が離れていくと、チカは勝ち誇ったような顔を浮かべながら振り返る。

 

「ざーこざーこ♡ 子供相手に100匹以上でかかって捕まえられないとか、エンティティやめたらぁ?♡」

 

コメント:

【チカたんがおかしいだけだろ…】

【よく考えたら、デスモス完全に被害者やんけ】

【もう画面見ても良さげ?】

【これどっちが悪役なんだ】

 

 だが、そのままニヤニヤ顔を前に戻した時──その顔は硬直する。

 

「やっ…ば」

 

 その奥には、チカの後ろから追いかけているのとは別のデスモスの軍団があった。

 レベルに定住しているエンティティだけあって、その構造は完全に知り尽くしている。そして、どのようにすれば獲物を狩れるのかも。

 つまり、完全にハメられたということだ。

 

コメント:

【え?】

【挟み撃ちされてる感じ?!】

【何やっとんねん!!】

【洒落にならん】

【まだなんとかなる】

【部屋!!】

【部屋に入って!】

 

 スケボーを消滅させながら乗り捨て、そのままの勢いでドアに突進して滑り込むように部屋に入る。ドアを勢いよく閉めると、同時に大量の何かがドアにぶつかる音が響き渡る。

 

「や、やめときゃ良かったぁ…♡」

 

コメント:

【酸で溶かされたらマズい】

【チカたん怪我ない?】

【出口を見つけよう】

【とにかく隠れた方が】

 

 チカはゆっくりと目を瞑って、大きく息を吐いた。

 数秒の後に、ドアを溶かして大量のデスモスが部屋の中に飛び込んでくる。

 

コメント:

【やば】

【あ】

 

 床に呑み込まれていった画面は、完全な暗闇を映し出していた。

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