尾上 愛は生きている。   作:柳川 秀@尾上 愛【新人Vtuber】

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04『尾上 愛は作りたい。』

「だあああああ! テツ! お前また縛ったな!?」

 

 ハートの6の上に重ねられた、ハートの9。

 先に上がったリンがキャハキャハ笑っていて、同じく上がっているアイもクスクス笑えば、その頭の上の輪っかはユラユラ揺れた。

 

「出せるもんねぇよ!」

「見え見えなんだよお前の手は。どうせこっちも出せねぇんだろ?」

 

 ハートとダイヤの4のペア。ペアを持っていないので出せない。場が流れる。

 ダイヤとクラブの9のペア。ペアを持っていないので出せない。場が流れる。

 続いてスペードの7……んあ? テツが残り1枚だから……?

 

「ハイ7渡し。スペードのAでお前が死ね」

「ああああああああああ!!」

 

 叫び声が響く、幼馴染四人組だけの放課後の教室。

 ガララと、引き戸が開けられる音がした。

 

「あれ? まだ帰ってなかったんだ?」

 

 入ってきたのは四宮だ。

 

「ふーん、大富豪?」

「そっ! 四宮っち、東京から来たんだっけ。ルールどんな感じだったん? ウチらと同じなら、一緒に遊べんじゃん?」

「んー、革命はもちろんあったし……スペ3返し、5飛ばし、7渡し、8切り、10捨て……階段と縛りもあったよ」

「じゃあ、わたしたちのルールと一緒だね!」

 

 いや、よくもまぁ割と詰め込んだローカルルールが被ったなおい。

 

「四宮くんもやる?」

「いいの?」

「もっちろん!」

 

 招き入れるアイを見て、俺はそこら辺の席から椅子を1つ借りてくる。

 

「うん、アイさんありがとう。トオルくんも」

「お、おう」

「そーいえば、こんな時間まで何してたん?」

「ああ」

 

 リンの質問に、四宮は俺に向けていたニッコリをやめて引き戸の方を向いた。

 

「僕は、岡井さんに部活の紹介をしてもらってたんだ」

「そっか。梨恵ちゃん、文芸部だけど生徒会役員でもあるもんね」

「うん。下校時間も近いし、全部回りきれたわけじゃないけど」

 

 既に17時40分。下校時刻20分前。

 

「あーね。ウチの高校、ジーマーで部活の種類だけは多いし?」

「へぇ、そうなんだ?」

「部員が5人集まれば割とどんな部活でも作れるんだよ! 生徒の自主性? みたいなのを尊重してて、顧問になってくれた先生は全然顔出さないけど」

「だから安請け合いするんだろうなアイツら。しかも一度出来たら、部員がゼロになって丸1年経たないと廃部になんねぇ。だから部員2,3人の部活がゴロゴロあんだぜ?」

「オカ研とかオカ研とかオカ研とかオカ研とかな」

 

 私怨たっぷりの補足してきたテツのことは一旦無視する。

 

「それで、みんなは? 部活、何も入ってないの?」

「テツ以外はな。コイツはまぁ、科学部部長だけど」

「ハハ、だからオカルト研究部と犬猿の仲なんだ。あれ? テツくん、今日はいいの? 部長なんでしょ?」

「あー、部長つっても部員が1年しかいないからやってるだけだしな。今日はみんな塾で帰っちまった」

 

 それでこう、リンの持ってきてるトランプで大富豪していたってワケだ。

 こういう日は結構あって、基本大富豪だけど、他のトランプゲームだったりUNOだったりすることもある。

 俺とテツが遊戯王持ち込んでデュエルしてたときは、さすがに女子組は置いてけぼりだったけど。

 

「ホントはね、わたしたちもやりたい部活があるんだよ?」

()()()()()ってか()() ()()がな」

「どんな部活?」

 

 四宮って俺を無視することあるんだ。

 

「天使部! 校内でも校外でも、困ってる人の手助けをしたり事件を解決したりする部活をやりたいんだ! あと1人いてくれたら設立申請できるのになぁー」

 

 チラッ。じゃねぇよ。引っこ抜いたろうかその輪っか。

 

「お前なぁ、んなあからさまな勧誘」

「うん、いいよ」

「いやいいのかよ」

 

 思い出した……コイツもアイの天使姿にツッコまない側の人間だったわ!!

 朝教室に入った瞬間言えよな!? 「え、なにあの天使コスプレの人、頭大丈夫?」ってよォ!!

 

「だって、楽しそうじゃない?」

「そうだよ! 誰かの幸せのために何かできるって、きっと自分にとっても幸せだもん!」

「うん。そうして多くの人々と関わっていけば、そのうち自然と世界は広がっていく」

 

 アイに微笑んでいた四宮が、そのままの顔を俺に向けてくる。

 

「繋がりが大事なんでしょ? 君たち人類は」

「人類ってお前……ナニモンのつもりだよ」

「んー、宇宙人」

「どこらの」

「光の国」

「ウルトラマンかよ」

 

 平然としたその顔と視線がぶつか――

 

「んあ? お前、その目……」

「ああ、青いんだ。海外の血が――じゃないや。宇宙人だからね」

「あーハイハイ。……悪ぃ、触れるのマズかったか?」

「別に、構わないよ。僕は僕のこの目を気に入っている」

 

 ニコッ。うんやっぱ気持ち悪いわコイツ。

 

「四宮くんありがとう! じゃあ早速、福原先生に顧問お願いしに行こ!」

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